JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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JAVAが求める「自治体の業務」に関わる改正と
「動物行政に関するアンケート」調査結果

JAVAが求める動物愛護法の改正案は多岐にわたりますが、自治体の業務に関することでは、以下の4点があります。

1. 所有者不明の犬猫の引取り条項の改正により、駆除目的の猫の引取りをなくす
2. 定点収集の実質禁止
3. 収容状況の改善(冷暖房・収容スペースの広さ・運動等)
4. 炭酸ガス殺の禁止

環境省が毎年発行している動物行政に関するデータがまとめられた「動物愛護管理行政事務提要」。ここからではわからない、私たちの要望の重要性を裏付ける動物行政の現状を把握するため、そしてその結果をもとに、より強く国会議員の皆さんに私たちの求める改正を訴えるために、JAVAは自治体に対するアンケート調査を実施しました。
アンケートでは50もの質問を行ったため、すべてをご報告できないことから、ここでは、改めて上記の4点の実現のためにどのような改正を求めているかをお伝えし、そして、4点に関係するアンケート調査結果をご報告します。

■アンケート調査概要■
実施期間:2017年5月~8月
対象:動物行政を行う114の都道府県・指定都市・中核市(同年より中核市に加わった八戸市は実績がないため除く)
実施方法:51問(都道府県は50問)の質問を記した質問票を郵送
回答率:100%

求める改正1 駆除目的の猫の引取りをなくす

犬猫の殺処分数は年々減少はしてきています。平成27年度は92,656頭、平成28年度は、64,377頭でした。そして、引取り数も減ってきていますが、猫は犬のおおよそ倍の引取り数があります。引取りの内訳をみると、犬猫ともに、80%以上が所有者不明として引き取られています。

環境省中央環境審議会動物愛護部会(第47回)配布資料
「資料3-2 動物愛護管理をめぐる主な課題(資料集 その2)」より

 

つまり、殺処分をなくすには、所有者不明犬猫の引取りをいかに減らせるかがカギになるといえます。中でも子犬子猫の引取りを減らすには、何より不妊去勢手術の徹底が必要ですし、猫については地域猫活動の普及も不可欠です。そのほかの対策としては、「本来引き取るべきではない猫の引取りをなくす」ということをしなければなりません。
「本来引き取るべきではない猫の引取り」とは、たとえば「庭に糞をする」とか「数が増えている」というような苦情を言ってきた市民に、「猫に困ったら捕獲して持ち込みなさい」とアドバイスして、そうやって持ち込まれた猫を駆除目的と知りながら引取っている、といったケースです。
全国各地で、こういった猫の駆除問題があり、これまでJAVAにはたくさんの通報が寄せられ、多くの自治体の不正な猫の捕獲や引取りを廃止させてきました。ただ、ここ最近はこういった通報を受けることも少なくなってきたため、最近の状況を把握するためアンケート調査を行ったところ、依然として不正な引取りをしている自治体が多数あるということが判明したのです。
前回の改正で、所有者からの引取りを定めた第35条第1項は、相当の事由がない場合、「自治体は引取りを拒否することができる」と改正されました。しかし、所有者不明犬猫の引取りについて規定した第3項は、「引き取らなければならない」のままとなっています。これが、不法に捕獲された猫の引取りを続ける自治体が依然として存在する大きな要因の一つになっています。不正な持込み・引取りをなくさなければ、いつまでたっても殺処分をなくすことができません。
前回の改正時の付帯決議、つまり国会の委員会の意思として「駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められない。」旨が盛り込まれました。これについても法に反映することを求めています。

【平成24年 動物愛護法改正付帯決議】
8 駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められないが、やむを得ず引き取る際には、猫の所有者又は占有者を確認しつつ関係者の意向も踏まえた上で、引取り後に譲渡の機会が得られるよう最大限努めるよう、各地方自治体を指導すること。

 

求める改正案
※消し線は削除、下線部を追加
第35条第3項 第一項本文及び前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。この場合において拾得者は当該犬又は猫を拾得した場所を管轄する警察署長に届け出ることとし、原則として、駆除目的に捕獲された猫の引取りは動物愛護の観点から行わないこととする。

「本文」の削除により、引取りを拒否できる規定が準用されることになります。
「その他の者」の削除により、引取りは拾得者に限定され、捕獲者は除外されます。

調査結果【1】 所有者不明猫の引取り依頼理由
平成27年度に、自治体が所有者不明の猫の引取りを市民から依頼された理由の上位3位は、以下の通りでした。

(単位:円)
猫が子猫を産んだ・母猫のいない子猫がいた 88
猫が遺棄されていた 65
猫が徘徊していた 20

調査結果【2】 猫の苦情対応
屋外にいる猫についての苦情に対して「猫除けや追い払う方法をアドバイスする」といった正しい対応以外に、次のような不適切な対応をしている自治体もあることが判明しました。

(単位:円)
自治体に持ち込むようにアドバイスする 5

調査結果【3】 引取り対象にしている猫
所有者不明の猫のうち、引取り対象としてはならない次のような猫も「引取り対象にしている」と回答した自治体が数多くありました。

(単位:票)
徘徊していた首輪付きの猫 21
徘徊していた首輪なしの猫 32
鳴き声がうるさいと住民が持ち込んだ猫 14
数が増えていると住民が持ち込んだ猫 16
ゴミをあさると住民が持ち込んだ猫 14
庭に糞尿をすると住民が持ち込んだ猫 15
自宅外で餌やりしている住民が持ち込んだ猫 8
相談・苦情を受け行政職員が捕獲した猫 1
その他(警察から依頼された猫、所有者がいないと申告された猫 等) 26

調査結果【4】 不正持ち込みを助言する自治体
調査結果【3】の自治体について、JAVAが追加調査を行った結果、駆除目的とわかりながら、猫についての苦情を言ってきた市民に対して、「持ち込めば引き取る」と説明している自治体が19自治体あることが判明しました。
首輪の有無や近隣住民の判断では、飼い猫と野良猫の区別はできません。動物愛護法や所有権の問題をきちんと理解している自治体では、駆除目的で捕獲された猫はもちろんのこと、負傷していない成猫は引き取っておらず、子猫についても、自活できるくらい成長していたり、乳飲み子でも母猫がいれば引き取りません。ところが、調査結果【3】や調査結果【4】のとおり、不正な引取りを行っている自治体が数多くあることが明らかとなりました。

調査結果【5】 引取り対応者
引取りの対応を必ず獣医師免許を有する職員が行う自治体は36のみであり、引取りの際の健康状態や虐待を受けていたかどうかの確認、不妊去勢手術等の指導が十分にできていない自治体が多いと考えられます。

(単位:票)
すべての引取り施設で獣医師免許を有する職員が対応する 36
すべての引取り施設で獣医師免許を有しない職員が対応する 2
すべての引取り施設で委託した業者が対応する 3
すべての引取り施設で狂犬病予防技術員が対応する 3
ほとんどの引取り施設で獣医師免許を有する職員が対応するが、獣医師免許を有しない職員や委託した業者、狂犬病予防技術員が対応する場合もある 42
ほとんどの引取り施設で獣医師免許を有しない職員や委託した業者、狂犬病予防技術員が対応するが、獣医師免許を有する職員が対応する場合もある 10
その他、上記以外の組み合わせでの対応 20

調査結果【6】 引取り既定の改正を望む自治体
どのような改正を希望するかの問いに対して、「引取りの規定の改正」を選択した自治体は25自治体ありました。そして、求める具体的な内容としては、次のような回答でした。
この結果は、自治体が所有者不明の猫の引取りの基準に悩んでいることの証です。また、現行法では、いかなる所有者不明の猫の引取りも拒否できないと誤った認識をしていて、本来引取りを拒否すべきと考えている自治体があることもわかります。

(単位:自治体)
法第35条第3項の運用の明確化 12
自治体が拒否できる権限・裁量を持たせる 7
所有者不明猫は引き取らない旨の明確な規定 1
駆除目的で捕獲した猫の引取り拒否 1
その他(虚偽申告の罰則追加、無記入 等) 4

求める改正2 定点収集の実質禁止(=搬送の改善)

現行法では、第35条第2項の規定によって、都道府県等は犬猫の引取り場所を指定することができます。さらに環境省の告示「犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」によって、引取り場所の指定にあたっては住民の便宜を考慮することとなっています。
日時と場所指定して公園や公民館、その他の場所に集められた犬猫をゴミ回収のように回収して回る「定時定点収集」は、これらの規定に基づいて実施されてきたわけですが、安易な放棄を助長するものであるうえ、長距離搬送されるなど引き取られた動物の心身の負担も相当なものです。引取り現場に必ず獣医師免許を有する職員を立ち会わせる、移動距離を制限するなど条件をつけることで、実質、定点収集を行えないようにすべきです。

求める改正案
基準や措置において次の規定を設け、動物の回収・搬送を規制する
●引取りを行う際、必ず獣医師免許を有する職員を立ち会わせる規定を設けること。
●搬送距離や所要時間に制限を設けること。

調査結果【1】 搬送時間
かつて多くの自治体によって行われていた「定時定点収集」は、今回の調査によって実施されていないものと判断することができました。一方で、今回の調査により、引き取られた犬猫が長時間搬送されている実態が明らかとなりました。

複数の保健所や支所等で引取りを行い、他施設へ輸送している自治体 65自治体
1か所で引取りを行い、他施設への移送がある自治体 86自治体
1回の輸送で最も長くかかる場合の所要時間の平均
(時間不明や府県に委託の5自治体、輸送のない15自治体を除く)
約2時間
最長(車) 7時間30分
最長(船) 30時間

調査結果【2】 搬送状況
搬送に使用する車の環境、動物の取扱いについて、「冷暖房がない」「犬猫を混在させる」といった犬猫の心身に負担のかかる状態で搬送されている実態が明らかとなりました。

(単位:票)
車内は冷暖房が完備されている 64
車内に冷暖房はない 21
動物は折りたたみケージに入れて搬送する 38
猫は麻袋に入れて搬送する 13
動物輸送用につくられた車両で搬送する 77
犬猫は別の車、もしくは車内を仕切り、別のスペースに収容する 53
犬猫は混在で搬送する 18
その他(冷房のみ完備、専用のケージで搬送 等) 12

求める改正3 収容状況の改善(冷暖房・収容スペースの広さ、運動等)

自治体の収容施設によっては、子犬・子猫を真冬に暖房のない所に置いておくなど、劣悪・虐待と言わざるを得ない状況のところもあります。これでは国民に適正飼養を指導することはできません。自治体に収容するのは家庭動物であっても収容事情は一般家庭と異なることから、自治体を対象にした収容基準を定め、収容動物にとって快適な環境にすべきです。ひいては、それが収容動物の健康につながり、健康な犬猫が増えれば、譲渡数の増加にもつながると考えます。

求める改正案
※下線部を追加
第35条第8項  環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、第一項本文の規定により引き取る場合の措置に関し必要な事項及び収容動物の飼養及び保管に関するよるべき基準を定めることができる。

調査結果【1】 収容環境
適切な温度管理や十分な運動ができる環境で収容していない自治体が多いことが明らかとなりました。

<犬について>                                                                                     (単位:票)
冷暖房を完備している 71
1頭ずつ個別スペースに収容している 90
親子や幼い兄弟姉妹は同じスペースに収容している 93
複数を同じスペースに収容しているが、小型、中型、大型を別にしている 20
複数を同じスペースに収容しているが、子犬と成犬は別にしている 22
引取り日が同一の犬たちは同じスペースに収容している 7
毛布やペット用ベッドなど寝るための用具を与えている 79
餌は年齢や体調に合わせ使い分けている 89
屋外で運動させている 82
キャリーや段ボールなど持ち込まれた時の状態のままにしている 3
その他(冷暖房完備は一部の施設のみ、個別収容が不可能な場合は雌雄別で収容 等) 18
<猫について>                                                                            (単位:票)
冷暖房を完備している 83
1頭ずつ個別スペースに収容している 79
親子や幼い兄弟姉妹は同じスペースに収容している 102
仲の良い猫同士は同じスペースに収容している 60
毛布やペット用ベッドなど寝たり、隠れたりするための用具を与えている 86
上下運動できる環境においている 66
キャリーや段ボールなど持ち込まれた時の状態のままにしている 5
麻袋に入れたままにしている 1
その他(冷暖房完備は一部の施設のみ、譲渡候補の猫のみ冷暖房完備・毛布やベッドのあるスペースに収容 等) 10

調査結果【2】 収容日数
生きる機会をできるだけ与えようと長期間収容しているものと思われますが、そうするのであるならば、動物たちが快適に暮らせるよう、収容環境の整備は不可欠です。不適切な環境に長期間置いておくことは、虐待に他なりません。

114自治体で最長の日数
2,182日
(期限は定めていない、返還・譲渡されるまで、としている自治体は多い)
927日
(期限は定めていない、返還・譲渡されるまで、としている自治体は多い)

求める改正4 炭酸ガス殺の禁止

やむを得ず殺処分しなければならない場合、「動物の殺処分方法に関する指針」には「できる限り速やかに、かつ苦痛のない方法によつてその動物の意識を失わせた上でしなければならない」と規定されているにもかかわらず、依然として炭酸ガス殺を行っている自治体が多く存在します。
「動物の処分方法に関する指針の解説」には行政による殺処分方法として炭酸ガス殺も記されていますが、この解説は20年も前のものであり、時代にそぐわなくなっています。JAVAは殺処分を容認していませんが、殺処分が無くなる過程において、すでに麻酔薬殺を採用している自治体もあることからも、獣医学的に最も苦痛が少ない方法を全自治体が採用するようにすべきです。
また、殺処分への批判を恐れてか、いかなる場合も生かしておく自治体があります。しかし、交通事故等で瀕死の状態で収容された場合には、いたずらに動物の苦痛を長引かせないように速やかに死に至らせるほうが人道的といえます。よって、「複数の獣医師による判断」や「方法は麻酔薬による」といった条件をつけた上で、致死処置をすることも必要です。

求める改正案 
「動物の殺処分方法に関する指針」において、炭酸ガスによる処分を禁じ、犬猫の殺処分は、現在のところ、最も苦痛が少ないとされる麻酔薬ペントバルビタールナトリウムの静脈注射による方法にすることを規定する。

調査結果【1】 殺処分方法
半数以上の自治体が炭酸ガス殺を実施していることが明らかとなりました。同時に、麻酔薬による方法を採用している自治体もかなりあることがわかります。殺処分後、獣医師による死亡確認を行わない自治体が14自治体ありました。

(単位:票)
成犬 成猫
炭酸ガス殺 46 41
麻酔薬殺もしくは麻酔薬前投与後に薬殺(薬品は自治体によって異なる) 45 45
鎮静剤もしくは麻酔薬前投与後に炭酸ガス殺 3 2
炭酸ガス殺と麻酔薬殺の混用(使い分ける) 4 11
炭酸ガスもしくは薬殺(薬品名は無記入)の混用(使い分ける) 5 6
炭酸ガス殺と鎮静剤+筋弛緩剤殺の混用(使い分ける) 2 2
薬殺(薬品名は無記入) 5 2
殺処分をしていない 4 5

調査結果【2】 安楽殺措置
「安楽殺」措置を行うことがあるか否かの問いに対する回答は以下の通りでした。なお、114自治体中30近い自治体が、殺処分と安楽殺を区別した統計をとっていませんでした。

(単位:自治体)
ある(下記の「安楽殺」の定義に当てはまらない薬剤・方法も含む) 53
ない 61

※「安楽殺」とは:ここでは、収容した動物が重篤な傷病を負っており、治療や苦痛の回避が不可能な状態にあり、その動物にとって良いという獣医師の判断に基づき、最も苦痛が少ないとされる方法(犬猫の場合、ペントバルビタールナトリウムの静脈への過剰投与)によって死に至らせる措置をいう。

調査結果【3】 負傷動物への治療
収容した負傷犬猫に対して施せる治療レベルについての回答は以下の通りでした。調査結果【2】と調査結果【3】は、十分な治療もできず、安楽殺措置もせず、生かしておく自治体があることを裏付けています。

(単位:票)
治療は一切できない 5
応急手当 99
外科手術など高度な治療 7
慢性的な病気に対する長期治療 5
その他(獣医師会や動物病院に委託 等) 22

アンケート調査によって、私たちが求める改正案の必要性・重要性が裏付けされたと言えます。アンケート調査結果を活用し、求める改正の実現に向けてロビー活動を展開して参ります。

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