JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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改訂された学習指導要領、公表される
「解剖」は削除されず

2015年4月からスタートさせた、この「学校から解剖実習をなくそう!キャンペーン」。
小・中・高の新しい学習指導要領とその解説が公布されましたが、JAVAが文部科学省に働きかけ続けてきた「解剖」の記述をなくすことは実現できませんでした。

キャンペーンの目的は「解剖」の記述削除

学校でのカリキュラム作成や教科書作成の基準となっているのが、文部科学省の「学習指導要領」と「学習指導要領解説」です。理科の「解説」に解剖を学習方法の一つとして例示していることが、解剖を行う学校がなくならない大きな要因なのです。そのため、キャンペーンは、大きく次の2つの目的をもって展開してきました。

  1. 小学校・中学校・高等学校の学習指導要領とその解説に、「動物の解剖」「動物を用いた実験」(ともに死体を含む)を学習方法の一つとする記述をしないこと。
  2. 小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の学習指導要領とその解説に、「動物の解剖、その他動物を用いた実験(ともに死体を含む)は、望ましくない」という一文を盛り込むこと。

「解剖」の記述は残ったままに

原則10年に一度の学習指導要領の改訂。今回は2014年11月~2016年12月の2年をかけて有識者による改訂に関する審議等の作業が行われました。この間JAVAは、いまだ多くの学校で解剖実習が行われていることを広く知ってもらうため、さまざまな方法でキャンペーンを展開し、そして、「解剖をやりたくない!」「解剖をなくして!」という子どもたちをはじめ多くの人の願いを実現するため、文部科学省に働きかけてきました。
2018年7月までに文部科学省から、幼稚園、小学校・中学校・高等学校、特別支援学校のすべての教科の新しい学習指導要領とその解説が公布されましたが、「解剖」や「動物を用いた実験」についての記述は、私たちの努力の甲斐なく削除されませんでした。下表が、理科の「解説」についての改訂結果です。

「理科の学習指導要領解説」にある
解剖や動物を用いた実験に関する記述の新旧比較 

※飼育動物等の動物の観察は除く。

小学校

学習指導要領解説

理科編

体内の観察については,魚の解剖や標本などの活用が考えられる。 体のつくりの観察については魚の解剖や標本などの活用が考えられ,その際,事前にその意義を十分説明するよう留意する。 1
中学校

<strong学習指導要領解説

理科編

生活場所と体のつくりを表にまとめて比較,考察し,自分の考えを発表させるなどの学習が考えられる。標本や図鑑を見せるばかりでなく,生きている動物を実際に観察させることが大切である。 例えば,魚の干物や煮干し,エビ,貝など入手しやすい食材などを用いて,背骨の有無について観察して比較させることが考えられる。 2
例えばイカなどの解剖を行い,無脊椎動物の体のつくりの特徴を脊椎動物と比較し,共通点や相違点について考察させる。 昆虫,エビ,イカなどの外部形態について観察させたり,調べた資料を基に比較させたりすることが考えられる。(略) 3
動物の体のつくりと働きの理解を深めるために,例えば,魚の煮干しやイカなどを解剖して(略)
運動器官については,骨格と筋肉の働きによって運動が行われることを扱う。その際,ニワトリの手羽先の観察をしたり,動物の骨格標本や人体模型などを利用したりすることが考えられる。 運動器官については,骨格と筋肉の働きによって運動が行われることを扱う。 その際,動物の骨格標本や人体模型などを利用することなどが考えられる。 4
動物では,ウニやメダカの発生の継続観察などを行わせることが望ましいが,視聴覚教材などを活用することも考えられる。 動物では,ウニやメダカの発生の継続観察などを行わせることが望ましいが,映像などを活用することも考えられる。 5
受精によって新しい個体が生じ,受精卵から複雑な生物体がつくられることを理解させるため,ウニやメダカなどの発生の様子を継続的に観察させることが考えられる。 受精によって新しい個体が生じ,受精卵から複雑な体がつくられることを理解させるため,メダカやウニなどの発生の様子を継続的に観察させることが考えられる。 6
動物を解剖する場合には,事前にその意義を十分に説明し,こうした機会を大切にしながら真摯に多くのことを学習しようとする態度を育てる。 イカなどを解剖する場合には,事前にその意義を十分に説明し,こうした機会を大切にしながら真摯に多くのことを学習しようとする態度や生命を尊重する態度を育てる。 7
高等学校

学習指導要領解説

理科編

市販されている動物の血液などを材料にして,塩濃度を変化させると,溶血などの現象を観察することができる。 例えば,食事の前後における血糖濃度と血中のインスリン濃度の経時的変化を示す資料に基づいて,(略) 8
遺伝子の組合せが変化することを見いださせるには,例えば,ショウジョウバエの交配実験の結果などの資料に基づいて,(略) 9
カイコのメスをオスに近づけると激しくはばたく行動が見られるが,(略)その際,刺激を受容していると考えられる受容器を切除した場合,はばたき行動にどのような変化が見られるのかを考察することが考えられる。 例えば,カイコガの中枢神経系のつくりを示す資料と,性フェロモンによる定位行動及び触角や頭部を切除したときの行動の変化を示す資料に基づいて,(略)神経系の働きと行動との関係について考察させることが考えられる。 10
カイコガやダンゴムシなどを用いて,フェロモンの働き,触角による刺激の受容や行動などについて研究する。 (JAVA注)上記を参照することと記されている。 11
生きている生物を教材とする場合には,生物や自然に与える影響を必要最小限にとどめながら,真摯に多くのことを学習するよう指導するなど,適切な扱いに配慮する必要がある。 生きている生物を教材とする場合には,生徒の心情に配慮するとともに,生物や自然に与える影響を必要最小限にとどめながら,真摯に多くのことを学習するよう指導するなど,適切な扱いに配慮する必要がある。 12
遺伝子組換え実験や動物を用いた実験を行う際には,(略)関連法令に従い適切に行う必要がある。 遺伝子組換え実験や動物を用いた実験を行う際には,(略)関連法令に従い適切に行う必要がある。 13

<考察>理科の「解説」の改訂

指導要領においては、改訂前のものにも改訂後のものにも「解剖」や「動物(死体を含む)を用いた実験」についての記述はありませんでした。
「解説」については、上記の表のとおり、ほぼすべての記述が残ったどころか、表の2、3、9のとおり増えてしまっています。
また、表では省略しましたが、野外で採取した昆虫や学校で飼育する動物を観察するといった方法は改訂前後問わず多数の記述があります。採取や学校での不適切飼育で犠牲になる動物も多いと考えられます。

一方、良い方向に改訂されたところでは、以下の点が挙げられます。

  • 「ニワトリの手羽先」 ⇒ 削除(表1)
  • 「動物の血液」 ⇒ 資料による学習(表8)
  • 「カイコの実験」⇒ 資料による学習(表10・11)

その他、「(解剖の)事前にその意義を十分説明するよう留意する」(表1)や「解剖する場合には,・・・生命を尊重する態度を育てる」(表7)、「生きている生物を教材とする場合には,生徒の心情に配慮する」(表12)といった記述が追加されています。これは解剖によって傷つく子どもが多いことを私たちが文部科学省に強く訴えてきたからかもしれません。しかし、これらの追加記述でごまかすのではなく、解剖そのものの記述をなくすべきなのは言うまでもありません。

大きな矛盾「解剖」と「生命尊重」の併記

新しい理科教育の方向性は、「実験・観察を重視する」となっています。天体観測、力学実験など動物を用いない実験も数多くありますが、解剖や動物を用いた実験の促進にもつながりかねません。JAVAは解剖の記述をなくすことと同時に「理科の教育における重要目標として“生命を尊重する態度を育てる”“生きものを大切にすることができるようにする”を打ち出すこと」を求めてきました。
「生命尊重」についての記述は増えたのですが、それに相反する解剖や動物を用いた実験の記述を残したままの文部科学省の理科教育の方向性には大きな矛盾があると言わざるを得ません。

次の改訂に向けて

JAVAではこれまで多くの学校に解剖実習の廃止をさせてきましたが、学習指導要領の改訂を働きかけたのはこのキャンペーンが初めてでした。法律を改正するのと同じぐらい難しいとも聞く学習指導要領。正直なところ、試行錯誤、手探りで取組んできました。多くの皆様にご協力いただきましたのに、力不足で成果を出せず申し訳ありません。
次の改訂まで約10年ありますが、これからも地道に学校への働きかけや動物愛護意識の向上をさせていき、次の改訂を待たずして、すべての学校から解剖実習をなくせるよう活動していきたいと考えています。これからも、ご協力をお願いします!

写真:イメージ


 

Course of Study Revised
But Dissection Remains as Guideline

From April 2015, JAVA has been running a campaign, End Animal Dissection from Schools. Despite our continued appeal to the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT), the description on “dissection” still stays in the newly published Course of Study and its Commentary for schools.

The standards for creating curriculums and textbooks at schools, namely elementary, middle and high schools, is based on the Course of Study, and its Commentary published by MEXT. To illustrate dissection as one of the learning methods in those publications is a big factor for schools not to stop dissection. For this reason, JAVA, during the campaign, has focused on requesting MEXT to delete “anatomy of animals” and “experiment using animals” (both including corpses) described as examples of the learning methods from those publications.

Course of Study is supposed to be revised every 10 years. The latest work by experts for this revision took over two years from November 2014 to December 2016. During this period JAVA was actively lobbying at MEXT, while implementing various activities along with the campaign in order to inform the public that many schools still carried out dissection, wishing that we could be able to respond to voices of many people including children saying “I do not want to do dissection!” or “get rid of dissection from school”.

A new Course of Study and its Commentary were published by MEXT by July 2018, but the description about “dissection” and “experiment using animals” remains in the Commentary except one deletion and two changes.

  • Descriptions such as “dissection of fish”, “dissection of squid”, and “experiment on generation using sea urchin and rice-fish (medaka)” remains.
  •  A description of the hybrid experiment using drosophila was added.
  •  Deletion and changes

・Observation of “chicken wings” was deleted.
・Observation using “animal blood” was changed to a learning method using
non-animal based materials such as data and statistics.
・Experiment using “silkworms” changed to a learning method using non-animal
based materials such as data and statistics.

Following JAVA’s opinion, many schools have ended dissection, but this is our first campaign that we urged the authority to revise the Course of Study. We knew that “to revise the Course of Study is as difficult as to revise the law” but have done to the best of our abilities, even through trial and error. Yet, it was not enough. We thank you for your encouragement and support and sorry that we could not accomplish our goal.

Nevertheless, we lobby for ending dissection at school completely as usual by talking to schools and increasing awareness of animal welfare so that we don’ have to wait next revision planned in next 10 years.
Your continued cooperation is highly appreciated.

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