JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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JAVAが「動物実験の法規制」に反対する理由

なぜJAVAが「動物実験の法規制」に反対するのか Q&A

2012年8月、改正された動物愛護法が成立しました。動物愛護法には実験動物に関する規定もあり、皆さんの中には、「JAVAが、なぜ、動物実験を規制する法律を作るよう訴えないのだろう?」と疑問を感じている方がおられるかもしれません。JAVAは、「動物実験の廃止を妨げる動物実験の法規制」には強く反対しています。今回あらためて、その理由をQ&Aでご説明します。

 

Q1.JAVAはすべての「法規制」に反対するのですか?

A.JAVAは動物実験の廃止を最大の目的として設立されました。動物実験廃止を一刻も早く実現させるために、JAVAはさまざまな情報をあらゆる角度から検証し、方針を決定しています。そして、最も有効な方法を用いて、積極的に活動を進めています。特に法規制については細心の注意を払って熟考を重ねました。その結果、法規制には動物実験廃止を阻む重大な問題があるという結論に達し、それを公表しました。しかし、JAVAは法規制すべてに闇雲に反対するのではなく、条項ひとつひとつを慎重に検討して、適宜、対応しています。

 

Q2.JAVAが反対する「法規制」とはどんなものですか?

A.「法規制」と一言で言ってもさまざまな規制があります。JAVAは廃止の妨げにならないと判断した規制に関しては、その理由を明確にし、積極的に要望するといった柔軟な姿勢で活動しています。たとえば、JAVAは動物愛護法改正の際、動物実験に関する要望事項で以下の2点を求めていました。
  1.  現在、動物取扱業の対象外となっている「畜産動物」や「実験動物」をはじめ、「生きている動物」を扱う業すべてを対象とし、登録を義務付けること。
  2.  3Rの原則を義務付けること。

今回の法改正では残念ながらどちらも実現できませんでしたが、これらも「法規制」のひとつです。では、JAVAが反対している「法規制」とはいったい何か、と申しますと「動物実験の廃止を阻害する規制」です。
具体的には、
(ア)動物実験の内容(計画)についての免許制・承認制
(イ)動物実験者の免許制
(ウ)動物実験施設の認定制や登録制
といったものです。

(ウ)の「動物実験施設の登録制」は、JAVAが求めている1と同じではないかと思われるかもしれませんが、JAVAが求める1はあくまで「動物取扱業としての登録」であって、「動物実験施設」を別扱いした独自の登録ではありません。生きている動物を扱っているのだからペットショップや動物園などと同様に取扱業とするのは当然である、という主張です。実験動物と畜産動物だけが除外されているのは、すべての動物を守るべき動物愛護法の理念に反し、到底、納得できるものではないからです。

 

Q3.動物実験の内容の免許・承認制にはどんな問題があるのですか?この制度を導入したら、動物実験を減らしたり、廃止できるのでは?

A.いいえ、動物実験の免許・承認制で削減や廃止は不可能です。
「免許・承認制」というと、一見、「承認されない実験も出てくるはずだから、実験が減るだろう」とか、「ひどい実験計画は却下されて、止めさせることができるに違いない」と、多くの人は思うかもしれません。
しかし、JAVAは、現段階で免許制や承認制を導入したところで、動物実験の削減にはつながらない、実際には何のプラスにもならない、と考えています。それ以上に、かえって、マイナス面が生じると考えています。そのマイナス面とは、次のようなことです。

  •  免許を与えたり、承認することは、その動物実験に公的な“お墨付き”を与えることであり、今以上に動物実験を守ることになる。
  •  「承認された実験で問題ない」と動物実験者側は主張し、今まで以上に抗議や反対の声が届かなくなる。
  •  免許・承認制度があることで、国民が「審査を受けているのだから、ひどい実験はされていないだろう」などと安心してしまう。
  •  動物実験反対の活動をしている人たちですら、「外部の目が入り、審査されている」「実験動物使用数など情報が開示されて、実態がわかるようになった」などと満足してしまう恐れがある。
  •  それら国民の安心は、動物実験反対の世論を弱めることにつながり、ますます動物実験廃止が遠のく。

 

Q4.免許・承認制の審査で動物実験計画が却下されれば、動物実験を削減できるはずでは?

A.これについても、答えは「いいえ」です。
「もし制度が導入されたら」とシミュレーションしてみてください。免許・承認制ができた場合、動物実験の内容を審査して、免許を与えるか、承認するか否かの判断をすることになるでしょう。
(社)日本実験動物学会のアンケート調査で、国内に少なくとも471の動物実験施設があるとされていますが(実験動物ニュース Vol.59 No.2/April 2010)、それだけの施設で、年間を通して行われている動物実験一件一件を審査できるでしょうか?そして、その審査は一体、誰が行うのでしょうか?もし、都道府県などの自治体職員が行うことになれば、専門知識のない彼らに、到底、実験内容の審査はできないでしょう。実際、動物実験者からそういった指摘が出ています。
「立ち入りに際しては、実験動物施設にはサイエンスという前提があることをわきまえて、調査員はサイエンスがわかるように勉強してくださることをお願いしたいと思います。しかも、前向きに、問題があるとすれば、どのようにして動物実験を改善できるのかという建設的なご意見も賜りたい。これらの条件を満たすのであれば、サイエンティストでない調査員の方もご意見をありがたくうけとめます。
現在、届出と立ち入りは、地方自治体がされていると思います。その線で進めるならば、担当者には科学動物である実験動物のことを、まず勉強していただく必要があります。」(2004年9月20日発行 RR2002企画シンポジウム「ニホンザルの研究利用と繁殖センター構想」講演収録集 「動物実験に対する研究者の責任」鍵山直子氏/理化学研究所(当時)より)
審査する側には動物実験を行う研究者以上の知識が必要になるということからも、動物実験の免許・承認制ができたとしても、実効力のある審査や査察を行うのは現実的には全く不可能です。そして、その結果として、申請される実験計画が却下されることはまずあり得ないということが想定できるのです。つまり、ほとんどすべての実験が反対されることなく、許可され、研究者は希望どおりに堂々と動物実験ができるようになるのです。

1995年に日本で行われた第42回日本実験動物学会総会での、イギリスの動物実験を擁護する組織Research Defence Society(のちにCoalition for Medical Progressと合併しUnderstanding Animal Researchに)の専務理事マーク・マットフィールド氏による講演内容も、それを示しています。

「Research Defence Societyは、動物実験廃絶を唱える人々から動物実験を防御する組織であります。イギリスでは、研究者は政府が出している3つのライセンスを持たなければいけないと言われております。最も重要なのは、プロジェクトに対して与えられるライセンスです。これは、非常に厳しい制度のように思われるかもしれませんが、 このシステムによって実験が中止になったという例はありません。システムは、研究を中止させるためではなく、人道的に倫理的に実験が行われていることを“保障する”というのがその目的です。科学者は査察官を恐れてはいません。むしろ、尊敬できるアドバイザーと見られています。査察官には動物での研究をやるべきだ、正しく規制さえ受けていれば、研究を続けるべきだという考えが基本にあります。
(動物実験を批判する)一般の人たちの声に最初から耳を傾けるようにしていれば、抗議のレベルを逆に弱めることができるでしょう。一般国民は無知であります。動物実験に関しては、特に知識はないのです。われわれ科学者、専門家の役割というのは、一般の人たちに正しい情報を与えてやるということです。倫理的な問題が適切に、そして賢明に対処されていることを、大衆に示してやることです」 (以上、抜粋)

つまり、「厳しい制度であるように見えても心配はいらない。規制のシステムでは実験は止められないのだから。制度を設けるのは、実験を中止させるためでなく、動物実験反対の声を弱め、実験を滞りなく行えるようにするため。情報は全て公開しなさい。知識のない市民は、情報を与えてやることで、改善されたと思い込み、安心する。この制度の目的は、実験を保障することである」と日本の研究者たちに語ったのです。

まともな審査ができていなくても、「免許・承認制」に基づいて認められた実験に、「その実験は残酷すぎる」とか「動物数が多すぎる」などと抗議、指摘しても、「公的に認められている実験なのだから、実験は合法的で問題ない」として、今まで以上に外部の意見が届かなくなります。
免許制や承認制は、動物実験を公的機関が認め、動物実験にお墨付きを与えてしまい、「実験者が堂々と動物実験を行うことを保障すること」になるのです。
さらに、「審査を受けている」「情報が開示され、実態がわかる」と国民が安心して、動物実験に疑問を持ち、反対する世論が弱まってしまうのは目に見えており、まさに上記のマーク・マットフィールド氏のいう、動物実験者の思惑どおりとなってしまうのです。

 

Q5.動物実験施設の認定や登録制で査察を行えば、劣悪な実験動物の飼育だけでもなくせるのでは?

A.これも大いに疑問です。Q8の英米の現状のところで述べますが、査察を受けた施設でも数々の虐待事件が発覚しています。それらが海外の動物保護団体の潜入で明らかになったことからみても、査察が機能していないことがおわかりいただけるでしょう。
それだけでなく、「認定」されたなら、それは、「その施設で動物実験を行うことを公的に認める」ということであり、Q3とQ4で述べた動物実験の内容の免許・承認制と同じく、より守られ、外部の抗議が届かなくなることが懸念されます。

 

Q6.規制制度を作ったうえで、廃止に持ち込めばいいのでは?

A.「とりあえず、規制でできるところまで数を減らして、あとは免許・承認制を改正したり、なくすなどして全廃に持ち込めばいい」と考えている人もいるかもしれません。
でも、法律やそれに基づく規定は一旦できてしまったら、たったひとつの文言の変更ですら非常に困難であり、ましてや一度作った法律をなくすことは不可能であることは、法改正の活動に携わった人なら誰もが痛感していることです。

しかも、動物実験については、反対する市民の数やその力より、実験推進・擁護派のほうが何倍もの巨大な勢力を持っています。私たち動物実験反対派の思う通りにはならず、むしろ動物愛護法改正の際に浮上した「動物実験に関する別法案」のように不利な方向に動く危険性が高いでしょう。
自分たちの望んだ通りにいくケースだけを考えるのではなく、常に抵抗や妨害があることを想定したならば、免許・承認制によって動物実験が廃止できることはあり得ないと認識するべきなのです。

動物実験の免許・承認制を含めた規制は、「動物実験がどこで、どんな目的で行われているかを知る」「ある程度の基準にそった実験をさせる」程度でしたら、有効に働くかもしれません。
しかし、私たちJAVAの目標は、「適切な動物実験を行わせること」ではなく、「いかなる動物実験も廃止させること」なのですから、動物実験を実行させるルールを決め、「これを守れば動物実験をやっていいですよ」というシステムを作ることを求めてはなりません。
社会のシステムは一旦できてしまったら、それをなくすことは不可能に近く、「しばらくの間、免許・承認制にして、いずれ動物実験全廃に」というのはあまりに短絡的な考えです。

 

Q7.Q6の「動物実験に関する別法案」とは、どのようなものだったのですか?

A.当時の与党民主党では、動物愛護法改正の作業を「環境部門・動物愛護対策ワーキングチーム(以下、WT)」に所属する議員が主に行っていました。このWTには動物愛護への関心・意識の高い議員が多く所属していることもあり、このWTが2012年4月に発表した改正案骨子では、JAVAが求めてきた「実験動物生産業の動物取扱業への追加」や「3Rの原則の義務付け」が盛り込まれていたのです。

ところが、これに猛反対をしている動物実験関係者からの要請を受けた民主党内の医師、薬剤師などの医薬系議員が大挙して、その骨子に反対しました。その反対派議員らが出してきたのが、「動物愛護法から、実験動物に関する項目をはずし、別の法律として制定する」という“別法案”でした。
つまり、実験動物を「愛護動物」の対象から除外し、法律上、「実験動物と愛護動物は別」と明確に分離するものです。そして、この“別法”に「動物実験施設の登録」を盛り込むというのです。
動物愛護への関心・意識の高いWTの議員からも、「別法案は、動物実験施設の登録を盛り込むもので、一歩前進ではないか」という声が上がってしまったのです。
議員たちは「動物実験にルールは必要」という考えがあっても「動物実験は廃止すべき」とは思っていませんので、別法案に反対でないのは当然と言えば当然でしょう。
しかし、実験動物が「愛護動物」から除外されたならば、ますます実験動物は守られなくなり、実験者たちは、今よりもっと動物実験を自分たちの思いどおりに行うことができてしまうのです。

JAVAでは、この別法案の情報を得てすぐ、連日、民主党の議員たちに働きかけました。そして、その結果、WTはこの別法案を白紙にし、最悪の事態は回避しました。

この“別法案”の一件は、いかに動物実験を推進する勢力が大きいかを示した一例といえます。こうした状況では、「いずれ廃止させれば」と廃止を前提にした「免許・承認制」は、日本においてはあまりに非現実的です。それなのに動物実験の廃止をさせたいという人たちまでが動物実験の「免許・承認制」を求めることは、結果的には「動物実験を永久に続けさせること」に加担してしまうことになるのです。

 

Q8.でも、アメリカやイギリスでは法律で動物実験施設の査察などの規制制度がありますが?

A.そのとおりです。では、アメリカと、世界で最も厳しいと言われているイギリスの法規制が、本当に実効力をもって運用されているのかどうかを見てみましょう。

<アメリカ>
アメリカには動物実験の内容は実験施設内の委員会が審査しますが、外部機関が審査する仕組みはありません。これは日本と同じです。

外部機関による動物実験施設の査察を義務付ける制度については、動物福祉法(Animal Welfare Act)とそれに基づく規則や基準によって、農務省(USDA)に登録され、査察官が査察する制度があります。
しかし、その対象は、「生きているイヌ、ネコ、サル(人以外の霊長類)、モルモット、ハムスター、ウサギ、その他温血動物」を扱う施設であり、この「その他温血動物」には、「研究利用のために繁殖された鳥類、ラット、マウス」は除外されていて、さらに温血動物ではない魚類、両生類、爬虫類も除外されているのです。
ラットとマウスはもっとも実験に使用される数の多い動物であるのに、それが対象外となってしまっているのです。対象外の動物のみ扱う動物実験施設は、農務省の査察を受けません。農務省査察官は、53名程度の獣医師で「国土の広さと農務省の予算、人員から考えて、マウス、ラットまでカバーできない」といったことが理由とされています。*1

そして、このように公的な機関の査察を受け、登録をされた施設でも、動物保護団体の調査や内部告発によって、動物実験受託企業PLRSによる犬猫やウサギへの虐待、同SNBL USAのサルの虐殺など多くの問題が発覚しています。これは、決して、査察や登録が動物の酷い取扱いを防げるわけではないことを証明しています。

<イギリス>
世界中で最も動物愛護意識が進んでいるといわれ、動物実験者や施設だけでなく、それぞれの実験計画(プロジェクト)も政府(内務省)の審査を受けなければならないという、世界で最も厳しい制度のイギリスの現状はどうでしょうか。

イギリス内務省による規制制度

  1.  実験者免許
  2.  プロジェクト免許
  3.  施設認定制度

1~3が揃った実験を許容する。

2011年12月31日現在、査察官23名。
2011年の1年間に2,550件の実験者免許、564件のプロジェクト免許、2件の施設認定の申請を審査した。
1,437回の査察を実施した。

※ イギリス内務省発行の「ANIMALS IN SCIENCE REGULATION UNIT ANNUAL REPORT 2011」より

これだけの査察・審査をするのに、23人の査察官しかいないため査察制度はほとんど機能していない状況です。 BUAVなどの動物保護団体の調査によって、ケンブリッジ大学でのマーモセットを使った脳の実験や、カーディフ大学での子猫たちのまぶたを縫い合わせる実験など、酷い実態が次々に暴かれ、これらひどく残酷な実験にも内務省の許可が与えられていることからも、査察制度が機能していないことは明らかです。

JAVAがイギリスの動物保護団体に自国のこれらの制度について照会したところ、次のような意見が寄せられました。

  •  評価システムは使用数削減のためにまったく役立っていない。
  •  政府による動物愛護の目標に向けたアプローチはまったくない。
  •  システムを厳しくして、ライセンス申請の許可を少なくしようという考えもない。
  •  イギリスは「動物実験規制が世界で最も厳しい」とよく言われるが、「厳しい」と「人道的」とは別だ。

そして、下のグラフのとおり、英国の動物実験数も実験動物の使用数も減るどころか、増加し続けています。
つまり、動物実験に対する社会の監視の目が最も厳しいイギリスの、「世界で最も厳しい制度」でさえ、動物実験数や実験動物使用数を減らすことができないのです。この現状から考えても、動物愛護意識が低い日本で導入されても、動物実験の削減にはつながらないことがお分かりいただけるかと思います。

イギリスの動物実験数と実験動物使用数※イギリス内務省発行の「Statistics of Scientific Procedures on Living Animls Great Britain」をもとにJAVA作成

 

Q9.JAVAと連携している海外の団体も法規制を求めていますが?

A.JAVAはアメリカのPETA(動物の倫理的扱いを求める人々)やイギリスのBUAV(英国動物実験廃止連盟)をはじめ、多くの海外の動物保護団体と連携して活動を行っていますが、この両団体もその他の欧米の団体も動物実験の法規制を求めながら、動物実験の廃止を目指そうと活動していることは承知しています。
日本の動物愛護活動において、動物実験反対だけでなく、毛皮反対や犬猫保護についても欧米の考えや方法を手本にすることがあることは皆さんもご存知のとおりです。

たしかに参考になることは多くありますが、欧米と日本では国民性や動物愛護意識、法体系の違い等もあり、すべてを取り入れればよいというわけではありません。JAVAは冒頭でご説明したように、活動方針を決定する際には、さまざまな情報を入手し、「これは日本では通じない」「日本では成立しない」「これは逆効果になる」と、あらゆる観点から、日本独自の、最も有効な方法を導き出しています。そのひとつがこの動物実験の法規制への反対です。

欧米は、動物実験反対運動が盛んで、多くの大規模な団体が存在し、さらに、それらの団体の多くが科学者や医師などの専門家を有しています。
そして、そういった専門知識を活かして、動物実験の論文を検証し問題点を指摘したり、研究員として実験施設に勤め、潜入調査をして、あのように数々の酷い実態を暴露できています。また、海外では潜入捜査といった日本では到底、受け入れられないような強硬な活動をも支持される背景があります。

これに対し、日本はというと、動物実験反対の活動をしている団体・グループの数は少なく、その規模も小さく、支援する国民の数も非常に少ない、いわゆる、少数派です。さらに多くの国民は「動物実験は医科学の役に立っている」と信じており、JAVAが啓発活動をするまで、化粧品の開発にも動物実験が行われていることを、多くの人がまったく知らなかったという現状があります。また、かつて、某国立大学で残酷な実験をされて衰弱していた犬をJAVAが緊急保護した時でさえ、社会は厳しい見方を示しました。欧米の動物保護団体が行っているような潜入捜査などの活動を日本で行った場合、過激と見なされ、支持を得るどころか、動物保護活動に対して批判が集まることになるでしょう。

こういった事情から、欧米との違い、日本の現状を踏まえ、欧米の良いところは見習って、日本にはなじまないところは日本にあったやり方にすることが必要と考えます。

 

Q10.JAVAは、法規制とは別の、第三者機関による査察や認証・評価についても反対なのですか?

A.第三者機関が動物実験施設を査察し、施設や実験動物の管理状況、施設内の動物実験委員会の機能等を審査したうえで認証や評価する制度は、日本ではAAALACインターナショナル(国際実験動物管理公認協会)、(公財)ヒューマンサイエンス振興財団、国立大学法人動物実験施設協議会、公私立大学実験動物施設協議会といった機関が行っていますが、これらはあくまで任意の制度であって、法律に基づいたものではありません。そのため、「法規制」とは異なるものですが、第三者評価制度についても、その良し悪しは、動物実験を削減し廃止につなげられるという、動物愛護の観点に立脚した制度であるかどうかで判断すべきであり、動物実験を守るための「隠れ蓑」としての制度であるならば、JAVAは容認することはできません。
JAVAは、第三者評価制度も、Q3の「動物実験の免許・承認制」と同じく、動物実験を守り、動物実験の廃止を阻害するシステムであると考えています。

「動物実験はなくして欲しい」と願う市民の皆さんが、第三者評価制度のことをお聞きになったら、「査察」をうけ「認証」や「適正評価」されたという規制のシステムは、いかにも進歩的に映るかもしれません。「わが社は、わが大学は~の認証を受けています」「動物に優しい機関です」という宣伝文句を聞いたなら、「認証を受けているならここの研究機関は大丈夫ね」というイメージを持たれることになるでしょう。
しかしながら、それはイメージだけで、現実的には動物を救うことはできないのです。

そして、Q4のResearch Defence Society専務理事が言う「無知である一般国民」とは、このからくりを理解できない国民をさしているのだということ、そして、第三者評価制度は動物実験に対する抗議のレベルを弱める役割を果たすものなのだ、ということを、ぜひ理解してください。

アメリカでは、AAALACによる施設の認証が普及しており、2007年10月29日現在、622施設が認証を受けています。*1普及している理由には「社会的信頼が得られる」「動物実験反対活動家への牽制にもなっている」といったこともあげられているのです。*1

日本でも、AAALACの認証を受けている機関の一つである北海道大学大学院獣医学研究科はこのことを学会やホームページ等でことあるごとに宣伝・自慢しています。
市民からしたら、「国際機関が認証しているのだから、認証を受けている機関は残酷なことはしていないだろう」と考えるでしょう。
しかし、アメリカでは、サルを虐待するなどの動物福祉法に反する行為をしていてもAAALACの認証を維持している大学がいくつもあるのです(http://www.java-animal.org/topics/2012/12/03/664/参照)。

そして、日本の研究界の中枢組織である日本学術会議は、「動物実験に対する社会的理解を促進するために」と題した提言書を2004年に出していますが、それには次のような記述があります。

●動物を科学研究に用いることに対する反対運動は根強い。(中略)動物を用いた研究が適正に、かつ支障なく実施されるためには、研究の意義と実施状況が広く社会に認識、理解され、動物実験に関する社会的合意が形成されることが必要。●動物実験に対する社会的理解をいっそう促進するため、次の2つの方策を提言する。
1) 統一ガイドラインの制定
2) 統一ガイドラインの基準が満たされていることを第三者の立場から評価・認証する機構を設けること

ここからも、第三者評価とは、動物実験者側が、動物実験反対の声を抑えるために考えた制度であるかがお分かりいただけるでしょう。
このようなことから、JAVAは、第三者評価制度が動物実験の削減につながるものではなく、逆に動物実験の廃止を妨げることになる、ということを警告しています。

*1 「イギリス及びアメリカにおける動物実験規制の比較分析―日本の規制体制への示唆」(社会技術研究論文集 Vol.5 ,132-172.Mar.2008)

 

まとめ

「規制」という言葉には、いかにも動物実験の数が少なくなったり、廃止に向かっていきそうな雰囲気があります。本当は止めて欲しいけれど、「廃止を求めるのは現実離れしているから」という考えで規制に賛同している市民の方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。この「規制」という言葉を辞書で見るなら、「規律を立てて制限すること」となっています。では、制限の意味するものは何か。制限とは「限界・範囲を定めること」。つまり、許される範囲で行い続けるということです。規制とは、「なくすため」ではなく、「存在する」ことが大前提になっているわけです。でも、規制があれば、今より、改善されるんだろうから歓迎すべきじゃないか、という気持ちになりがちです。しかし、「規制」のもう一つの問題は、そこにあるのです。数の減少にさえ変化がなくても、逆に実験が増えていたとしても、規制ができたからと、誰もがホッと安心してしまう。規制の制度を作ったという達成感に加え、動物実験に関する資料が手に入る満足感から、いかにも廃止に向かっているように感じてしまいます。それは市民だけでなく、動物実験反対を訴えながら規制を求めている人たちにも当てはまります。規制制度ができたなら、目的を達成したようなムードが漂い、動物実験への危機感が一気に薄れてしまう怖さがあります。

つまり、「規制」には、盛り上がりつつある、日本の動物実験反対の市民の声や流れを封じ込める、「動物実験を批判する市民の抗議のレベルを弱める」といった、危険因子があるのです。
日本では欧米諸国よりも市民の動物実験に反対する声がまだ弱いのですから、動物実験を守る制度を作れば、欧米以上に廃止の弊害になってしまうのは明らかです。

動物実験廃止のために最も重要なことは何かというと、それはまさに、「動物実験反対の世論を高めること」です。現に、EUにおける化粧品の動物実験廃止が実現した大きな要因は、動物実験反対の世論が高まった結果、動物を犠牲にしない研究方法が強く求められるようになり、代替法研究が発達したためと言われています。そして、日本でも化粧品最大手の資生堂やマンダムが国内での廃止を決定しましたが、これは法律が改正されたからでも法規制ができたからでもありません。それは私たち消費者の声で成し得たことです。動物実験の「規制」によって動物実験反対の世論が押さえ込まれることは、動物実験廃止への大きな流れをせき止めてしまうことになるのです。

これまで、JAVAが取り組み、廃止に導いた動物実験の多くは、その実験に疑問をもった関係者からの内部告発によるものでした。JAVAは、動物実験廃止の運動を市民だけでなく、実験関係者にも広げ、心ある研究者たちと協力連携し、密室の実験施設を監視する、といったやり方を今後、積極的に推進する方針で、すでに内々で活動を進めています。専門知識を有する研究者の協力は形だけの査察とは比較にならない強大な力になると確信しています。それにより、悲惨な動物実験を明るみに出し、JAVAが動き、世論やマスコミ、そして、国際社会に訴え、場合においては法律を用いるなどして、動物実験の廃止を現実のものにしていくのです。しかし、万が一、動物実験の規制の法律が制定されて、その実験が認められていたとするなら、明るみに出たその動物実験がどんなに残酷なものであったとしても、やめさせることはほとんど不可能になってしまいます。密室下で実験され苦しみ続ける動物たちを本気で救いたいのなら、現在の日本において、動物実験の法規制は決して求めるべきではないのです。このようなことから、JAVAは「動物実験の法規制」に強く反対しています。

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