※2004年に行ったキャンペーン

BUAV

ドイツの動物実験施設潜入レポート

このレポートは、BUAV(英国)の調査員がドイツの動物実験施設で技師として5か月間働き、内部の実態をとらえたものである。

ドイツのミュンスター市にあるコバンス研究所は、2,000匹のサルを収容できる施設と世界各国に18の実験施設を持ち、50もの製薬会社を顧客として抱えている。そこでは、急性・準慢性・慢性の毒性実験、生殖、神経、吸入の毒性試験など、ありとあらゆる動物実験が行われている。
コバンス研究所のサル達は、果てることのない苦痛を強いられている。彼らは、身動きのできないモンキーチェアーに拘束され、暴力的に扱われ、毒物を強制的に投与され、まさに地獄のような日々を送っているのだ。

拷問のような実験

<経口胃管給餌/試薬の注入>
経口胃管給餌はもっともストレスのかかる方法である。サルの両腕は後ろに強くねじ上げられ、無理やり口をこじ開けられてゴム管を強制的にねじ込まれる。
試薬の実験の際には、サルたちはモンキーチェアーに固定され、直接試薬を大動脈に注入される。妊娠中のサルでさえ胎児に与える毒性効力観察のために、この苦痛に満ちた実験を受けなければならないのだ。

<精液採取/膣の塗抹標本>
麻酔をかけられたサルはテーブルに載せられていた。精液を採取するため、肛門に電極をつけられ、電気ショックによって強制的に勃起を起こさせられた。その様子を見て職員は、嘲り笑いながら精液を採取していた。
塗抹標本は、毎朝すべてのメスザルに行われる。綿棒を膣に挿入して出血の有無をチェックするのだが、研究員のサルの扱い方が余りにも暴力的でまるで強姦しているようだったため、上司が「塗抹しなさい、レイプではなく・・」と思わず言ったほどである。

<身体的暴力/言葉の暴力>
毒物を投与されるだけでも苦しいのに、動物の扱い方も酷いものである。ある職員は、大音量のディスコ音楽にあわせてサルを踊らせたり、サルが言うことを聞かないといって殴りつけたり、汚い言葉で罵り怒鳴りつけていた。さらには注射器で脅したり、麻酔をかけられて無防備なサルの体をいたぶり、骨折をさせてそのまま放置していたこともあった。
研究員達は、繊細な感覚と知能を持つ霊長類を尊重する倫理観など全く持ち合わせないばかりか、その尊厳を剥奪し貶めているのである。


動物福祉法違反

コバンス研究所での動物の扱いは、EUの制定した指令(EU86/609指令)と、ドイツの動物福祉法に違反するものである。例えばEUの指令では、各実験施設に術後の回復目的のための施設の設置を義務づけ、研究者は常に思い遣りと優しさと同情の念をもって動物に接しなければいけないとしている。
しかし現実には、サルは何の手当もされないままケージに戻され、嘔吐し苦しみながら回復を待つだけだし、職員による身体的暴力、下劣な行為や言葉の暴力が横行しているのだ。
思いやりと同情といった倫理観が全く欠如しているのは、実験施設では当然のことと言える。さもなければ、どうして動物をこんなにも傷つけることができるだろう!


霊長類による動物実験の欠陥

同じ薬物でも、それを受ける動物の種類によって反応が大きく異なる。例えば、抗不安薬のジアゼパムはラットやサルでは胆汁に排出されるが、人間では尿中に排出される。細菌酵素(intermedilysin)は肝臓にある物質で細胞を殺す原因となるが、カニクイザルは人間の100倍も毒性に強い。また、サルは繊細な動物であるため、恐怖によって白血球数は大きく変化し血液サンプルの分析は不正確となる。長期間にわたる殺伐としたケージでの生活、孤独、身体的精神的刺激の欠如、人間による酷い扱い、度重なる血液採取による損傷、チューブでの経口服用による苦痛や出血、不安や恐怖など心理的苦痛・・これらは全て、身体的化学変化を起こす原因となり、本来欠陥のある動物実験の結果をさらに信頼できないものとしてしまう。
人間以外の種を使った実験のデータが信憑性にかけることは、国際会議においても認められているのだ。動物実験よりも生物学的にみて適正な、人間の細胞やコンピューターシステムを使用した代替法があるのに、ドイツのコバンス研究所は非科学的な動物実験を続けているのである。

コバンス研究所の実態を撮した証拠ビデオは、欧州議会議員に公開される予定だが、EUが現在、86/609指令の見直しを進め、「類人猿を使う実験禁止の要請」を検討しているこの時期に、これは、現在の法規制の抜け穴を示す決定的な証拠になるはずである。