2011年9月掲載「生きた犬を実験に使っている!?」―文科省委員の発言は事実に反していた―
|
|
この他にも、発言者名が非公開とされているため、同委員の発言なのか否かは不明であるが、先の発言と関連する、「動物愛護団体が反対するので実験動物が確保できないとあきらめるのではなく、学用患畜を確保するために工夫をすることが重要」「動物愛護の嵐が吹き荒れている国でも、動物を使用できないわけではなく、実際問題としてケンブリッジ大学などでは使用している」との発言も見受けられた。つまりは、この発言をした委員は、「ケンブリッジ大学をみならって、学生の教育、実習のための実験動物の利用とその確保が重要である」と主張したかったものと推察できる。
これらケンブリッジ大学に関する委員発言について、疑問を持ったJAVAは、昨年10月に、文部科学省高等教育局専門教育課に問い合わせたところ、「この会議は獣医学の6年の学部教育を念頭においており、発言で『外科実習』ともあり、教育課程を想定して発言いただいていると思う。ただ、ケンブリッジ大学の実習課程で犬を使っているか否かの事実関係は、我われは委員の発言を記録しただけで海外調査を行っていないので、この詳細、事実関係は申し上げられない」との説明を受けた。
委員発言は事実に反していた
そこで、今度は直接、ケンブリッジ大学に対し確認を行い、ケンブリッジ大学からは、冒頭のとおり、「獣医学生の教育用に犬を繁殖させ、その犬を外科実習に使用することはしていない」と回答を得た。
「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」は、日本の獣医学教育をどのように改善していくべきか検討している会議であり、欧米の獣医学の教育方法やシステムを例に挙げ、参考にしているケースも多い。ところが、その参考としている情報に事実と異なることが明らかになったわけである。
文科省、JAVAの指摘を認める
この会議は、今後の日本の獣医学教育の方針を左右する重要な役割を担っている専門家組織である。議事要旨は文部科学省のホームページでも公開されていることもあり、ケンブリッジ大学に関する事実に反する発言は多大な影響を及ぼす危険性が高い。
国の中枢機関である文部科学省が、たとえ一委員の発言とはいえ、事実に反することを公表するとはあまりに軽率であると言わざるを得ない。JAVAは同省に対し、発言の修正等、適切な対処を求めた。後日、文部科学省より、JAVAの指摘を認め、議事録やホームページの問題の記載を修正もしくは削除し、委員全員に修正した旨とその理由等を周知したとの回答があった。
(JAVA NEWS NO.86より)