進化する代替法〜動物実験に替わる方法〜の研究

ヒトの研究はヒトの細胞で「人間細胞バンク」

新薬の実験や生物医学の基礎研究に使う実験動物に代わるものとして、人間の細胞組織がいま注目されている。

本来、人間についての研究は、人間の細胞組織を使用してこそ正確なデータが得られる。それにもかかわらず、人間の代わりに、誤った実験結果を出すかもしれない動物が使われている主な理由は、人間の細胞組織が継続的に確実に供給されないという障害があるからだ。研究者も、必要なときに入手できないのではという懸念から、細胞組織を使う実験には積極的ではなかった。

そこで、この問題点を解決するために3年前にイギリスのNPO「人間細胞組織バンク」が設立され、細胞組織の提供や要請に即座に対応できるような体制が整えられた。このたび、このバンクに「ダウディング卿基金」から、色層分析器が寄贈されたことにより、科学者の求める最適の細胞組織を送ることが可能となった。今後さらに迅速、効率的に各施設に細胞組織が送り出せるようになれば、実に多くの動物の命が救われることになる。

現に、ロンドン大学では、このバンクから提供された人間の肝臓の細胞組織を使って、抗癌物質の分析実験が試験管の中で行われるなど、以前には動物を使っていた実験にこの細胞組織が使われ始めている。

(Campaigner Sept/Dec 2001)

動物実験よりも信頼できる、脳の研究に活用できる方法「SAM」

脳神経は、外部からの刺激に応じて、電磁気の信号を出すことはよく知られているが、この度、この信号を出す領域がどこなのかということだけでなく、その深度も測定できるSAMと呼ばれる画期的な技術が開発された。これまでは、この測定をするには、脳を切開する以外に方法がなかったのであるが、「ダウディング卿基金」からの補助金を得た研究グループが、人間の脳の活動を映像という形で映し出す方法を開発したのである。この技術は、イギリス人の2割近くが悩んでいるといわれる過敏性腸症候群などの腸機能性疾患の原因究明にも応用され、これにより、霊長類などを使って行なわれていた動物実験よりも、精度が高く、しかも、初めて電気生理学的な証拠に基づいた実験結果が得られるようになっている。また、食道などの働きに関わる脳の領域を特定する実験は、現在、猫や猿などの動物を使って行なわれているが、これも、SAMを使った実験に代替可能であると、この研究グループは明言している。

(Campaigner Sept/Dec 2001)