酪農学園大を動物愛護法違反で刑事告発

牛の首を切り、放血させる・・・
酪農学園大を動物愛護法違反で刑事告発
虐殺を全廃させよう!

JAVAでは、2009年7月12日付けで、牛を虐殺している酪農学園大学(北海道)を、動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)違反で刑事告発しました。
その件について、7月15日付けの読売新聞 北海道版に記事が掲載されました。記事の内容は次のとおりです。

解剖用牛処分巡り酪農学園大学長告発
東京の団体、地検に

江別市の酪農学園大学が、解剖用の牛を麻酔を使わずに殺処分しているなどとして、動物保護団体「動物実験の廃止を求める会」(本部・東京)が14日、同大の谷山弘行学長を動物愛護法違反容疑で札幌地検に告発したと発表した。同会によると、同大はこれまで、牛の病理解剖や解剖実習などで年間約500頭を使用しているが、麻酔などを使わずに殺処分しており、「動物に苦痛を与えないことを定めた動物愛護法に違反する不正な行為」などと主張している。
これに対し、酪農学園大学学務部は、「告発状を見ておらず、正式なコメントは差し控えるが、動物実験には、規定をそろえて対応している」としている。

(2009年7月15日 読売新聞 北海道版)

酪農学園大学獣医学科では、牛の病理解剖や剖検、解剖実習、殺処分において、鎮静剤(キシラジン)もしくは筋弛緩剤(サクシニルコリン)の接種のみしか行っていない状態、つまり、牛を意識や感覚が明瞭である状態で、学生達が力づくで牛を横倒しにして、押さえつけ、首を切り開き、頚動脈を引っ張り出して切断し、放血(血をすべて流れ出させる)させて殺しています。牛は大変な苦痛と恐怖を味わいながら死んでいくのです。

その他、筋弛緩剤(サクシニルコリン)と獣医用薬品ではない科学実験用の試薬である硫酸マグネシウムを注射し、全身、特に呼吸筋と神経系機能を侵し、窒息死させたり、牛舎や牛の体を消毒するための逆性石鹸「パコマ」を静脈内に投与し、酸素欠乏に陥らせて殺処分する、といった方法も用いられるケースがあるのです。
虐殺の実態は、酪農学園大学の獣医学生など関係者からの内部告発で明らかになりました。その実態は以下のとおり、非常に凄惨です。

筋弛緩剤を頸静脈に打ち、牛が倒れたら「足結び係」が足を結び「放血係」が首を刀で裂き、頚動脈を引き剥がし、鉗子で動脈を挟み、ハサミで切れ込みを入れ、バケツにつながるチューブを動脈内に挿し込み、鉗子をはずし放血をする。 眼瞼反射や肛門反射で死を確認し、足のロープにフックを掛け、吊り上げて体重を量る。解剖室中央に牛を移動させ(天井からフックのついた牛を左右に移動できる機械がある。有線のリモコンで操作。)頭をはずし、また牛を移動させ、台に降ろし、四肢をまずはずし、そのあと「腹出し係」がお腹を刀で裂き、腸、胃、肝臓などを取り出す。 そして「胸出し係」が胸くうを空け、肺と心臓を取り出す。一方では「脳出し係」が脳を出している。 子牛の場合は、ドンと押せば倒れるので、その要領で倒し、足を結び、いきなり刀で首を裂く。時折、子牛を連れてくる研究室の学生がキシラジンを打っていたが、牛の意識ははっきりしていた。子牛の場合はチューブを動脈内に挿しはせず、ズバっと切って血が流れるままにする。動脈は体の深部にあるので、深く切る。殺される牛の中にはそれほど弱っていない牛もいた。その際、牛がモーモー!!!!!!とひどく苦しそうに、大きな叫び声をあげることがあったが、放血を担当していた当時の病理学教室の大学院生がそれに対し、「モーモー!!!!!だってよ、アハハハハ!!」と笑ったこともあり、その光景はまさに地獄絵図のようだった。 まだ鳴いている子牛に先生が近づき、刀で気管を切り裂いたこともあった。

一人の女子学生は、この残酷な殺処分方法に対して、勇気を振り絞り、「せめて麻酔を打って欲しい」と学長に直訴しました。しかし、彼女の訴えを学長は黙殺し、この残酷な方法を続けました。女子学生は、日々、行われる牛の虐殺のことで悩み続け、昨年10月末、首をつり自殺をしたのです。彼女の死後も大学は何ら改善を行っていません。
動物愛護法の第40条第1項において、「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない」と定められており、同法に基づく「動物の処分方法に関する指針」の第3 処分動物の処分方法においては、「処分方法は、できる限り処分動物に苦痛のない方法を用いて意識喪失の状態にし・・・」とあります。そして、「苦痛」の定義として、肉体的な痛みだけでなく、精神的苦悩、恐怖、不安等も含まれると定められています。
動物愛護法第44条第1項において、みだりに愛護動物を殺すことが禁じられているにも拘らず、酪農学園大学では、年間約500頭にものぼる数の牛が虐殺の犠牲となっているのです。

札幌地検と面談
2009年12月8日、JAVAのスタッフ2人が札幌地方検察庁に出向き、担当検事と主任捜査官と2時間にわたり、酪農学園大学に対する告発の詳細、事実確認などについて面談いたしました。
話し合いの内容の詳細については、現在、告発中で捜査準備段階にあるので、残念ながらお伝えできませんが、JAVAから提出した告発状をはじめ、証拠を確認しながら、今後の進め方についての具体的な話し合いを行ないました。
そして、引き続き連携をとりながら、違法の疑いのある行為には毅然とした姿勢で対応を進めて行くことを確認しました。

国内外からの協力や関係者からの反響が続々
JAVAでは、この酪農学園大学の問題については、国内外に広くその実態を知らせ、大学への働きかけを呼びかけてきました。
それに対し、多くの方々が電話やEメールなどで、大学に改善を求める声を届けてくださったり、獣医学の専門家の方々が意見書を提出してくださったり、動物関係団体が、会報誌への記事掲載やEメールニュースで呼びかけてくださったなど、たくさんのご協力をいただきました。
また、JAVAのホームページ等で、この問題を知った酪農学園大学の卒業生や現役の獣医学生からもコンタクトがあり「卒業生として恥ずかしい」「ここの学生だけれども、知らなかった。改善のためにできる限りのアクションを起こしたい」などの反響が寄せられました。

獣医学会も「無麻酔放血殺は安楽殺ではない」
JAVAでは、(社)日本獣医学会に対しても公開質問状を送り、酪農学園大学の実態を伝え、「日本獣医学会は、無麻酔での放血殺という方法は、安楽殺処置であるとお考えになりますか?」と問うたところ、「安楽殺ではない」と明確な回答をしてきました。(回答書/PDFファイル)
そして、牛及び大動物の安楽死処置としては、「米国獣医学会の安楽死に関する研究会報告にある、バルビツール酸誘導体の投与、全身麻酔下の塩化カリウム投与等の方法が妥当と考える」との見解も示してきました。
つまり、日本の獣医学の最高権威である獣医学会も、「酪農学園大学のとってきた殺処分方法は不適切である」と認めたのです。

酪農学園大学が「原則廃止」を回答。しかし…
JAVAは酪農学園大学を刑事告発するとともに、大学に対して、ありとあらゆる抗議活動を展開し、直接「無麻酔での殺処分の廃止」を繰り返し求めてきました。その結果、酪農学園大学は、無麻酔下で殺処分を行ってきたことを認め、「昨年4月の動物の安楽死に関する指針制定とともに原則廃止した」とJAVAに回答してきました。
この大学の決定は、日本全国、そして海外からも多くの抗議や批判の声が寄せられた結果と考え、一応の成果ではありますが、JAVAでは決して楽観できないと考えています。
それというのは、酪農学園大学は、無麻酔下の放血殺が不適切であったとは、いまだに認めず、「無麻酔での殺処分は今後二度と行わない」との確約をしようとしないのです。
しかも、実際、麻酔使用を開始した研究室もありますが、まだ、無麻酔での殺処分を実施している研究室がある疑いは晴れてはいません。

酪農学園大学が「無麻酔の殺処分が虐殺であり、不適切であった」と真摯に認めて、「いかなる場合においても、二度と実施しない」と確約するまで、追及の手を緩めることはできません。完全廃止、全廃を実行させるため、引き続き、皆様の声を届けてください。

【酪農学園大学】
学長:谷山弘行
〒069-8501 北海道江別市文京台緑町582番地
TEL:011-386-1111(代表)
FAX:011-386-1214(代表)
E-mail:koho@rakuno.ac.jp(広報)

獣医学教育に動物の犠牲はいらない
~獣医学専門家の見解~

酪農学園大学の牛の虐殺の問題については、JAVAは、日本にとどまらず、海外にも情報を発信していました。日本の獣医大学でも動物の犠牲のない教育プログラムを実現させるために、代替法教育の専門家の協力を強く求めました。
その要請に対し、BUAV(英国動物実験廃止連盟)が、カリフォルニア大学デイビス校の獣医学名誉教授 Nedim C.Buyukmihci 博士を紹介してくれました。博士はBUAVのコンサルタントをされています。
博士はJAVAへの協力を快諾くださり、酪農学園大学や関係機関に対し、酪農学園大学の方法を批判し、代替法による教育を求める意見書を送ってくださいました。
また、米国の動物福祉のために活動する獣医学の専門家団体Humane Society Veterinary Medical Association(HSVMA)も酪農学園大学に対し同様の意見書を提出してくれました。

■カリフォルニア大学のBuyukmihci博士から酪農学園大学長あての意見書 (PDFファイル)

■HSVMAのKrebsbach博士から酪農学園大学長あての意見書 (PDFファイル)

※どちらもとても参考になりますので、ぜひご一読ください。

(JAVA NEWS No.83&84より)

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