離島・高島で長崎市が猫約30頭を駆除!

長崎の離島である高島町で、長崎市によって30頭以上もの猫たちが捕獲され、市の動物管理センターに搬送されて殺処分されたと、島民や他県の市民の方々からJAVAに通報がありました。JAVAは事実関係を確認したうえで、長崎市に対して厳しく抗議し、猫捕獲の再発防止と不妊去勢手術の徹底など動物愛護にかなった方法による根本的な解決を強く要請しました。
この一件は、すでにインターネットなどを通じて拡散され、長崎市には多数の抗議が寄せられています。また、他県の動物愛護団体により、島にいる猫の一斉不妊去勢手術の実施がなされるなどの動きも出ています。

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JAVAが長崎市に確認して判明した内容

  • 猫の引取りとして手続きしたつもりだが、約30頭の猫を高島行政センター(市役所の出張所のような機関)が捕獲し、動物管理センターで殺処分を行ったのは事実。
  • かなり以前から、島内の猫の数が増えすぎて、自治会や住民から猫について何とかしてほしいと言われていた。
  • 捕獲と殺処分について全国から抗議の声が多数あった。猫の駆除は問題だったとあらためて認識した。
  • 「地域猫」を対象とした、不妊去勢手術の助成金制度(メス18,000円、オス8,000円)は2012年度で廃止になった。理由は、「地域猫」として認定するにあたって、地域の反対意見がなくならなかったため。「地域猫」という形での助成ではなく、効率的なやり方はないか見直す対象となった。
  • 今回、他県の動物愛護団体の負担で120頭くらいの手術が終わったが、まだ手術していない猫が残っている。手術によって数を減らしていき、「地域猫」を目指したいが、今後のやり方については検討に入ったばかりである。

猫の捕獲には違法性がある

■動物愛護法違反
猫は野良猫、飼い猫などの区別は一切なく、どのような立場の猫であっても「動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)」において、罰則が適応される対象の「愛護動物」と規定されていて、すべての猫が平等に保護されるべき立場にあります。
猫を捕獲する行為自体は違法とされておらず、だからこそ、不妊去勢手術や傷病の治療といった愛護目的の捕獲(保護)ができるわけです。しかし、殺すことや虐待することが目的の捕獲は、猫に精神的・肉体的に大きな苦痛を与える虐待行為であり、動物愛護法違反と言えるのです。今回のケースの場合、猫を迷惑と思い、猫を排除することを目論んで、捕獲し殺処分したのですから、後者の動物愛護法に反する捕獲として、十分違法性を問えるわけです。

■遺失物等横領の罪
猫は、その習性などから、「野良猫」または、「飼い猫」「迷い猫」などであるか判断するのは非常に困難で、野良猫に限って捕獲することは実質、不可能です。迷い猫が数キロ、数十キロ離れた場所で発見された、行方不明になってから数ヶ月、数年後に発見され、無事に飼い主の元に帰ることができた、というケースも報告されていて、単純に「自治会全世帯や近隣住民に聞いたが、飼い主はいない」「ここ数ヶ月、庭に住み着いている」というような猫でも所有者のいる可能性が高いのです。
さらに、首輪は着けていても取れることがあり、また、首輪が木にひっかかり首吊り状態になった等の首輪装着による事故の危険性から、あえて首輪を着けない飼い主も多く、首輪を着けていない猫であっても野良猫とは限りません。つまり、猫を捕獲するという行為は、他人の猫を盗むという、遺失物等横領罪もしくは窃盗罪になる可能性があるのです。なお、他人の飼い猫を死傷させる行為は、器物損壊罪に該当します。

高島行政センターが捕獲し、動物管理センターで殺処分した約30頭の猫たちについては、「所有者からの引取りを市が手伝っただけ」と両センターは主張していますが、野外で暮らし、捕獲器を用いないと捕まえることもできない猫を「引取りを依頼した島民の飼い猫」とするのは無理があります。その依頼者以外に、その猫たちにエサをあげていたり、家に入れて文字通り「飼い猫」として一緒に暮らしている島民がいる可能性もあります。そうなれば、そのエサをあげていたり、飼っていた人の猫を市が盗ったことになります。
実際、JAVAには、島の事情を良く知る人から「捕獲された猫の中には、市場で多くの人からエサをもらい、かわいがられていた猫たちもいた」「駆除後、不妊手術をされていて、毎日、ご飯をもらっていた猫数頭が姿を見せなくなった」といった通報が入っているのです。

捕獲された猫の引取りも違法性がある

長崎市は「猫の引取りとして手続きしたつもり」とJAVAに説明しています。これは「犬猫の引取りは、動物愛護法に則って行っている業務であるから、引取り依頼のあった猫を引き取るのは当然の行為で問題はない」と主張していると解釈できます。確かに動物愛護法第35条に、「行政は所有者もしくは所有者の判明しない犬猫の拾得者などから引取りを求められた場合、引き取らなければならない」とあります。しかし、これはあくまで、「飼い主が自ら持ち込んだ場合」もしくは「拾った犬猫の引取りをその拾得者から求められた場合」であり、先に指摘したとおり、飼い主と断定できない島民からの依頼や、センターに持ち込み、殺処分することを目的とした不法捕獲は、そもそも引取り対象にはなり得ません。
2012年の動物愛護法改正の際、衆参両議院の付帯決議において、「八 (略)なお、駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められない」と盛り込まれてもいます。
ところが、長崎市では、「増えすぎた猫を減らす方法はないかと考えた末、所有者からの引取りという形をとった」と、猫を殺処分するために、動物愛護法を悪用し駆除を実施しました。一頭でも殺処分数を減らすよう最大限の努力をすべき動物行政担当者として、あるまじき行為です。

解決には、「遺棄の防止」「不妊去勢手術の徹底」しかない

猫による被害を防止するには、駆除を目的とした捕獲では何ら解決することはできません。猫が増える原因は、「猫を捨てる(遺棄する)」「不妊手術を施していない飼い猫が自宅以外で子猫を産んだ(繁殖制限を怠る)」などに尽きるからです。猫の遺棄を取り締まり、不妊去勢手術の実施を徹底させれば、不幸な猫はいなくなり、それによって、市民からの苦情もおのずとなくなっていきます。
地域の野良猫たちに不妊去勢手術や定期的なエサやりを行うことで、野良猫を減らし、ゴミ荒らしなどを防いでいく、といった「地域猫活動」が全国的な広がりをみせているように、「野良猫の増加」「猫のフン」などの問題は、動物愛護を基盤にした、地道な息の長い地域ぐるみの取り組みによってしか、根本的な解決の道はありません。
これら「地域猫活動」については、すでに行政と連携した本格的な活動を行う市民グループも増えていますが、元をたどれば、一人、二人の市民による取り組みが発展したものです。本来なら行政は、こういった市民を励まし、地域猫活動へと段階的に発展させていくべきなのです。
ところが、長崎市では、最初から「地域の合意を得た地域猫にしか補助金を出さない」という高いハードルを設けました。行政は地域猫に反対する住民を説得したうえで、活動を積極的に支援すべき立場なのです。しかし、長崎市は説得するどころか、せっかく地域猫活動をしたいと市民が名乗りあげているにもかかわらず、「反対意見がなくならないから」と地域猫活動を断念しています。これでは市民の地域猫活動の芽をつんでしまっているのも同然で、長崎市は猫問題を解決する意思が皆無と非難されても致し方ありません。
不妊去勢手術を市民や動物愛護団体に任せっきりするとは言語道断です。行政が日々努力し、獣医師会の協力を得て手術を実施していくなど、率先して実行しなければ、いつまでたっても猫の問題は解決しません。

JAVA、長崎市に再発防止と根本的な対策を要請

JAVAは長崎市長に対して、厳しく抗議をしました。また上記の問題指摘をしたうえで、次のことを強く要請しました。

  1. 猫の駆除や愛護目的以外の猫捕獲の再発防止の徹底
  2. 捕獲された猫の引取りの即時廃止
  3. 猫の増加問題の解決のため、市が不妊去勢手術の実施を徹底するシステムの構築
  4. 3の実現のため、不妊去勢手術に協力してくれる市民に対する手術費用の補助制度の設置

長崎市は再発防止を回答
徹底した不妊去勢対策を求めよう!

JAVAの要請に対し、長崎市からは、職員に動物愛護法の主旨を十分に理解させ、猫の駆除の再発防止をする旨の回答がありました。また今年度、不妊去勢手術費用の助成制度を開始するとしています。
長崎市がこの助成制度をはじめ、愛護にかなった対策を迅速に実行し、それに全力を注ぐよう、皆さんからも要望してください。

長崎市動物管理センター
〒852-8104 長崎市茂里町2番2号
TEL:095-844-2961
FAX:095-846-1197
Eメール:doukan@city.nagasaki.lg.jp

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