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日本動物実験代替法学会第28回大会報告

「考・動物実験代替試験法の今とこれから」
-日本動物実験代替法学会第28回大会・横浜の報告-

2015年12月10日(木)~12日(土)/ワークピア横浜

毎年この時期に開催され、最新の代替法に関する研究が発表される大会です。
今回は、違う講演が同じ時刻に行われるということはなく、3日間をとおして、ひとつの会場にて行われました(ポスター発表公演は別会場)。これは、今大会のテーマに則し「参加者全員が講演について議論することを通して、代替試験法開発の現状と将来について考える場を提供する」ためのものでした。参加する立場からすると、やや縮小されたようにも感じられましたが、まだ小さな学会においては、同じ情報を共有することが非常に大事なことと思え、よかったように思いました。


「日本動物実験代替法学会第28回大会・横浜」のWebサイト

講演は、新規局所毒性代替法試験のバリデーション試験の現状紹介、一般毒性試験のための毒性学、ES/iPS細胞や組織工学手法、動物福祉の国際動向など40近くありましたが、以下にふたつを紹介します。

公開された毒性試験のデータベースHESSを活用
動物を使わずに反復投与毒性を予測する

一般社団法人日本化学工業協会は、LRIという化学物質の評価研究事業を日米欧の化学工業会で協力して行っており、その年間助成額は民間では最大の10億円以上にのぼるとのこと。それらの中から反復投与毒性の予測に向けた新たな取り組みについて次のような発表があった。
「化学物質の安全性評価における製品開発の効率化や動物愛護の観点から、代替法開発が強く求められている。REACH規制やEUの化粧品の実験禁止もある。しかし沢山の動物を使用し、検査項目が多く、求める結果(エンドポイント)も多彩である反復投与毒性試験に関しては、代替法の開発は全く進んでいない。反復投与毒性の標的臓器・組織が複数であること、作用機序も様々であることなどが理由として考えられる。いわゆる代替法であるin vitro試験だけでは反復投与毒性の予測は困難で、構造活性相関も反復投与毒性試験のデータの公開情報が不足していて、これもまた困難であった。これらのことから、独立行政法人製品評価技術基盤機構から最近公開されたラット反復投与毒性試験データベース(HESS-DB)を活用し、反復投与毒性を予測可能なin vitro(試験管内)/in silico(コンピュータ内) 融合型の手法の開発に取り組んでいる。この研究の特徴は、化学物質との反応性の高いタンパク質(核内受容型転写因子や薬物代謝酵素等)との化学的特徴から計算される記述子を組み合わせて、化学物質のプロファイリングを行うことである。」
HESS(有害性評価支援システム統合プラットフォーム) は、2014年6月より公開され、OECDが開発したシステムとも互換性を持っているそうだ。これらのデータベースから必要な情報を抽出し、未試験化学物質の反復投与毒性の評価を支援することが可能だとのこと。

日本の試験法(STE)がOECDのガイドラインに収載
化粧品の試験でも行われる「眼刺激性試験」

2000年から花王によって始められたSTE試験。2006年からは複数の企業による共同開発が始まり、2015年7月に日本の代替法試験が初めて「OECD TG491」として採択された。講演した花王の研究者からは、「思ったより長かった」と苦労が垣間見える感想が聞かれた。
眼への刺激性は、これまで生きたウサギの眼に、化学物質を投与して、96時間観察するドレイズテストによって調べられていた。代替法を開発するにあたり、眼に対して被験物質がさらされる時間は実際は短いと予想されること、また、眼の刺激性反応は最表面の細胞障害から引き起こされること、に着目したそうだ。
「STE試験では、ウサギ角膜由来細胞株のSIRC(サーク)細胞に被験物質を暴露させ、細胞生存率をみる。容易な技術習得性、高い施設内・間再現性、高い予測性がある、との利点がある一方、欠点は揮発性物質の偽陰性の発生頻度が高い。そのため、高揮発性物質と活性剤以外の固体の化学物質及び固体の混合物は除かなければならない。他の異なるエンドポイントに基づく代替法試験法と組み合わせて、より幅広い種類の被験物質に対する評価が可能なので、まずこの試験法にて被験物質が刺激性か非刺激性かをみて、別の試験を行うのが好ましい。」といった内容だった。
JacVAM(日本動物実験代替法評価センター)の室長からは、「重要なのはこれからで、組み合わせを前提とするのではなく使ってもらうための改善~活性剤以外の固体などには使えないといった問題を解決するなど~が必要」といった厳しい指摘がされていたが、今後を期待してのことと思われる。

動物実験代替法イメージ

動物実験代替法イメージ写真

動物の細胞も使わない試験方法を求めます

「眼刺激性試験」にはドレイズテストの代替法として、OECDに収載されているBCOP(牛摘出角膜)、ICE(ニワトリ摘出眼球) がありますが、発表されたSTE試験と同様に、いずれも動物の細胞を使用しており、完全な置き換えとはなっていません。また、HESSのようなデータを活用することで、新たな動物実験を避けたり減らすことが可能になれば喜ばしいことですが、そのベースとなるデータをいつまでも動物のものとせず、一刻も早くヒトのものに変えるよう、全力をあげるべきです。
ヒトの反応はヒトでみるのが一番ということについては、誰もが納得のいくことだと思いますので、代替法学会には、最終目標をそこに据えた研究を発展させていってほしいものです。

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