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お知らせ

動物プロダクションの不適切飼育

ソフトバンクの“お父さん犬”も所属する
動物プロダクションの不適切飼育問題
― 動物愛護法の改正なくして改善はない ―

 

数々のCMやテレビ番組に動物タレントを派遣し、「国内映像業界の90%以上のシェアを修めている」と宣伝している「株式会社湘南動物プロダクション」(千葉県成田市)。

2017年11月3日に放送されたテレビ朝日の深夜番組「※注 芸人調べ」において、このプロダクションの施設を芸能人たちが訪れて、飼育されている動物たちを紹介した際、劣悪な飼育状況も映し出されました。

JAVAには番組を観た方たちから次のような問題を訴える声が寄せられ、JAVAも録画映像によってこれらの状況を確認しました。

<猫について>

  • 「敷地内にいる野良猫を捕まえて飼育して、タレント猫として派遣する」と話していた。
  • 猫専用の部屋が紹介されたが、狭いケージに入れられていた。
  • 猫が2匹も入れられていたケージもあった。
  • 水を入れた容器が見当たらなかった。

<フクロウについて>

  • 「ウラル」という名前のフクロウが小さなケージに入れられていた。
  •  止まり木が角材だった。

問題点1:猫の捕獲について

猫は、屋外を徘徊しているから、首輪を着けていないからといって野良猫と断定することはできません。猫を捕獲するという行為には、他人の猫を盗むことになる可能性があります。 だからこそ、地域猫活動においては餌を与えながら飼い猫か否かを慎重に判断しているわけです。このプロダクションの場合、保護や地域猫目的ではなく、商品にするため捕獲して劣悪な環境においており、言語道断です。

問題点2:飼育環境について

猫やフクロウが入れられているケージは搬送や一時的な保管に使用されるものであって、飼育するには不適切です。
動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)に基づく「展示動物の飼養及び保管に関する基準」には、施設の構造等について、「個々の動物が、自然な姿勢で立ち上がり、横たわり、羽ばたき、泳ぐ等日常的な動作を容易に行うための十分な広さと空間を備えること。また、展示動物の飼養及び保管の環境の向上を図るため、隠れ場、遊び場等の設備を備えた豊かな飼養及び保管の環境を構築すること。」とあります。
それに対し、湘南動物プロダクション(以下、湘南プロ)での飼育は、猫にとって不可欠である上下運動もできない、フクロウにとって必要な水浴びができない状況にあります。また、猫もフクロウも身を隠すことのできる場所が必要ですが、設けられていません。止まり木については、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の展示動物保護法(Exhibited Animals Protection Act)に基づく「飼育下の猛禽類の展示基準(Standards for Exhibiting Captive Raptors in New South Wales)」では、「止まり木は少なくとも地面から2m以上離して設置すること」「止まり木は清潔で天然の枝であること。枝の直径や断面積はツメの長さの円周以下にならないようにすること」「止まり木と屋根は、翼を広げて弧を描いて離着陸するのに十分な距離を離すこと」と規定されています。

JAVAから改善を要望

湘南プロは広大な土地を所有していることから、十分な広さの飼育施設を建築することは不可能ではないと考えます。そして、常時、清潔な水を飲めるようにしておくことは、動物飼育の基本中の基本です。
2018年2月、JAVAは湘南プロに対して、飼育動物の福祉を担保するために最低限必要な以下のことを要望しました。
( 1) 猫に十分に動き回れる、上下運動ができるスペースを与えること。
( 2) 猫に身を隠せる場所を与えること。
( 3) 猫に爪とぎや遊ぶ道具を与えること。
( 4) フクロウに翼を広げ、飛翔できるスペースを与えること。
( 5) フクロウに身を隠せる場所を与えること。
( 6) フクロウをはじめ、鳥類には角材ではなく、種類や大きさに適した止まり木を設置すること。(適した止まり木とは:清潔な天然の枝で、直径や断面積はツメの長さの円周以下にならないもの。少なくとも地面から2m以上のところ、飛翔後に着地する際、翼が屋根にあたらないところに設置したもの)
( 7) 鳥類など水浴びをする動物は、水浴びができるようにすること。
( 8) その他の動物も、「展示動物の飼養及び保管に関する基準」を遵守した、自然な姿勢で立ち上がり、横たわり、羽ばたき、泳ぐ等日常的な動作を容易に行うための十分な広さと空間を与えている。また、隠れ場、遊び場等の設備も与えること。
( 9) すべての動物が常に新鮮な水が飲めるようにすること。
(10) 排泄場所を決める動物については、排泄場所と運動や寝るスペースを別にすること。
(11) 屋外飼育の動物については、砂浴びやストレス軽減のため、床材を土か砂にすること。
(12) すべての動物が野外の景色を眺めることができる、日光を浴びることができる等、できるだけ自然を感じることが可能な環境に置くこと。

その後、湘南プロから届いた回答では、「定期的に行政の視察を受け入れ、指摘を受けた事項については速やかに改善をしている」「JAVAからの要望事項について、一通りの現況の確認を行い、JAVAの要望の水準を満たしていると判断した」旨の回答(回答1/PDFファイル)がありました。

視察を拒否

では、どのように改善されたか、本当にJAVAの求める水準を満たしているのかを確認するため、JAVAは湘南プロに視察を申し入れました。
それに対して湘南プロは、「行政による視察を受け入れることはしているが、そうした法令に基づくものでなければ、第三者に当社内部の施設を見ていただくようなことは通常は行わない」「法令に基づいて立ち入りを制限しなければならないという事情があるほか、不用意に外部の方を立ち入らせることは飼養されている動物の安全や衛生を害すると考えるから」(回答2/PDFファイル) として、視察を断ってきました。

質問状にも答えない
つまりは何の改善もなし

湘南プロのいう理由からすると、ではなぜ、テレビの撮影隊やタレントたちを入れたのかという疑問が生じますが、私的な施設だけに視察を拒否されては致し方ありません。そこで、JAVAの求める水準を満たす改善をしたのかをはじめ、次の点を確認する質問状を送付しました。

【質問1】 「動物の飼育環境の改善を求める要望書」(2018年2月21日付)に対する貴社からのご回答(同年4月19日付)に「複数の監督庁からの御指導を遵守するとともに、定期的に行政の視察を受け入れ指摘を受けた事項については速やかに改善をしています」とありますが、複数の監督庁とはどこになりますでしょうか?

【質問2】 ご回答に「テレビ番組の演出により視聴者の方や貴会に御懸念を招いた部分がある点については反省を致します」とありますが、「テレビ番組の演出により視聴者の方や貴会に御懸念を招いた部分」とは具体的にどのようなことかご説明をお願いします。

【質問3】 テレビ番組では、貴社が「敷地内にいる野良猫を捕まえて飼育して、タレント猫として派遣している」と紹介されました。この野外にいる猫の捕獲に関する貴社の現状について、該当する項目に○をつけてください。(エ)の場合、具体的にご記入ください。
(ア)現在、猫の捕獲は行っておらず、今後も行わない
(イ)現在も猫の捕獲を続けている
(ウ)番組制作側の誤った報道で、そもそも猫の捕獲は行っていない
(エ)その他(                         )

【質問4】 ご回答には、「貴会からの御要望事項(上記の( 1)~(12)の項目)について、(略)現在においても御要望の水準を満たしていると判断しました」とありました。
12項目それぞれにつきまして、当会の要望を満たされているかについてお尋ねします。「はい」もしくは「いいえ」のうち、該当する項目に○をつけてください。

この質問状に対しては、個々の質問には答えず、「質問事項は要望書と重複しており、回答はすでに差し上げたとおり」「御社からのご指摘を機に、その方法については当社内で検討をして参りたいと考えている」との回答(回答3/PDFファイル)がありました。12項目を守っているのであれば、12項目の「はい」に○をつければよいだけの話です。それにもかかわらず、個々の項目を守っているか否かを答えていません。さらに「水準を満たしている」としながら、「JAVAからの指摘を機に検討して参りたい」と、まるで検討をこれから始めるかのような言い方をしています。つまりはJAVAの求める水準を満たしているどころか、何の改善もしていないと受け取らざるを得ません。

本来、行政が改善指導すべき
不適切業者の対策には、愛護法改正が不可欠

皆さんご存知の通り、湘南プロだけでなく、ペットショプ、ブリーダー、動物園等々、問題ある動物取扱業は、数えきれないほどあります。
本来、動物愛護法に基づき、不適切な飼育をする動物取扱業に対しては、都道府県や政令市が改善勧告をして、その勧告に従わなければ命令をし、それにも反した場合、営業停止や業登録の取り消しができます。
ところが、この湘南プロのケースでは、JAVAと協力関係のある動物保護団体PEACEによる通報で判明したことですが、千葉県は立入検査をしたうえで「問題なし」という結論をだしています。 こういったケースがいくつも発生しています。
これには、JAVAは主に次の3つの要因があると考えています。

【要因1】虐待・劣悪飼育の基準があいまいで判断がしづらい
今回、JAVAの指摘の一つに「猫を狭いケージに入れている」という点がありました。しかし、どれくらいのスペースを「狭い」と感じるかは人によって差があります。現行の動物愛護法では、飼養保管に関する基準や細目はあるものの、「十分な広さと空間を備えること」「適切な温度、通風及び明るさ等が保たれる構造にすること」というように抽象的な内容です。また飼育スペース以外でも、どういった扱いが“虐待”や“飼育放棄(ネグレクト)”にあたるのかも法文には記されていません。そのため、立入り検査に入った行政職員の判断、感覚に委ねられています。それゆえ私たちがどうみても「劣悪」と感じる状態も「問題なし」との結論が出されることすらあるのです。ですので、法文に虐待の定義を盛り込んだり、飼養に関する規程を設けることで一定の判断ができるような改正が必要です。

<JAVAが求める改正>
⇒ 虐待の定義を法文に盛り込む。
⇒ 最低限の飼養設備の飼養面積及び高さや運動量等を規定する。(具体的な数値ではなく、動物種ごとに習性にあった形で体長・体高の○倍といった規定にする。犬の散歩等運動を義務化する。従業員一人当たりの飼養可能頭数を規定する等)

【要因2】勧告・命令や営業停止・登録取り消しが義務ではない
立入調査に入った行政が、「改善の必要あり」と判断した場合の改善の勧告・命令、そしてその命令にも従わなかった場合の営業停止や登録取り消しは、「できる」であって、「しなければならない」と行政の義務にはなっていません。そのため、何度も何度も改善指導を繰り返しても一向に改善しない業者が営業を続けていたりします。これでは、いつまでたっても悪質業者がなくならないばかりか、人手不足の自治体にとっても大きな負担です。例えば1ヶ月など猶予期間を定め、その期間中に改善がされなかったら、自動的に勧告、命令と手続きを踏むようにする実効力のある法改正が必要です。
また、登録取り消しで廃業した場合、そこにいる動物たちの行く末が心配で厳しい措置が取れないという行政の声もあることから、緊急保護や取り消し後5年の立入権限なども併せて盛り込む改正をJAVAは求めています。

<JAVAが求める改正>
⇒ 違反については1か月以内の勧告を義務付け、勧告に従わない業者に対して1か月以内の措置命令を義務付ける。
⇒ 行政の権限を増やし、実効性をあげる。(登録時の立入の義務化、動物の緊急保護、迅速な登録取り消し、登録取り消し後5年までの立入権限等)

上記のような法改正がなされなければ、今回の湘南プロのようなケースでは、飼育状況の改善は困難です。
JAVAは、上記の改正をはじめ実効性があり、動物たちを真に守ることができる動物愛護法にするため、積極的なロビー活動を続けています。

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