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情報公開はどこまで?大学のサルの実験2

情報開示請求でどこまで公開されるか
~京都大学のあるサルの実験の場合 その2~

京都大学(以下、京大)で行われているニホンザルを使った研究「巧緻な運動制御に関わる神経回路とその損傷後の機能回復機構の解明」について、JAVAが関係文書の開示請求を行ったところ、サルの入手元など多くの情報が黒塗りにされ、開示されなかったことをご報告しました。 今回はその第二弾をお伝えします。

開示請求をした京大のサルの実験

JAVAから以下の研究について、動物実験計画書や実験で使用するサルの入手にかかわる文書などの開示請求をしました。

研究課題名:巧緻な運動制御に関わる神経回路とその損傷後の機能回復機構の解明
実験責任者:医学研究科神経生物学の伊佐正教授
使用動物:ニホンザル 28頭

同じ文書なのに不開示部分が異なる

この研究の動物実験計画書は最初に2016年に入手しました(上)。その後、別に請求した資料の添付資料として2018年に全く同じものを入手しました(下)。
比べていただくとお分かりのように次の情報の開示・不開示が違っているのです。

  • 連絡先TEL:黒塗り ⇒ 開示
  • 伊佐教授のメールアドレス:黒塗り ⇒ 開示
  • 伊佐教授以外の動物実験実施者及び飼養者の所属と肩書:黒塗り ⇒ 開示

京大は、最初の2016年では非開示とした理由を「公にすることにより当該研究者の研究活動の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」としています。具体的にどんな支障なのかは書かれていませんが、おそらく市民からの抗議の電話やメールを想定しているのでしょう。それなのに2度目は公開したことは不可思議です。

一方、印影は、最初は開示されたのに2018年の2度目は黒塗りでした。その理由を京大に確認したところ、「平成30年11月27日の送付時点で、特別な事案に対してのみ使用している印鑑の印影であり、公にすることにより、偽造等犯罪に利用されるなど個人の権利利益を害するおそれがあるため」との説明でした。

ウェブサイトに出ているFAX番号が黒塗り

「研究用ニホンザル提供申請書」を入手したところ、伊佐教授の研究室のFAX番号が黒塗りとなっていました。しかし、FAX番号は京大のウェブサイトに出ている伊佐教授の研究室の求人広告に記載されているのです。ウェブサイトにおいて開示している情報は不開示の対象外となっているため、京大に確認したところ、「その掲載内容に係る連絡を目的としたものであり、慣行として公にしているものではない、開示している情報ではないと見做している」とのこと。
内容が何であれ、京大のウェブサイトに掲載しているのに黒塗りするとは、何でも理由をつければ不開示にできる際たるケースといえます。

サルの餌の業者まで黒塗り

前々号でこの実験に使用しているサルの入手元が黒塗りにされていたことをご報告しましたが、今回はなんとサルの飼料製造法人(餌の業者)名やその商品名まで黒塗りでした。
その理由を京大は、「公にすることにより、当該法人の権利、その他正当な利益を害するおそれがあり、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第5条第2号の柱書及び同号イに該当するため」としています。
餌の業者を市民が知ることが、なぜその業者の権利や利益を害するのか、はなはだ疑問です。

サルのケージの配置図も見せない

下の資料、これはケージの配置が記されただけの図です。それをこのように黒塗りにする必要があるでしょうか。施設の平面図も同様に真っ黒でした。
その理由は「厳重な警備、厳格な管理を必要とし、当該実験動物を飼養または実験する建物内部に関する情報で、具体的に公表しておらず、公にすることにより、当該実験室の場所や位置が特定され、またはセキュリティ対策が明らかになり、当該施設の安全管理上、これらの情報は犯罪の予防、鎮圧または捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」としています。
おそらく市民からの抗議行動を想定しているのでしょうが、ケージの配置がわかっただけでセキュリティが脅かされるのでしょうか。過剰反応としか思えません。

しかしケージの写真は公開

一方で、サルを入れているケージの写真は公開されました。市民からすると配置図を見るより、この狭いケージの写真を見たほうが「サルがかわいそう」と京大の実験に対して反感を持つように思いますが、京大の感覚は違っていたようです。

サルはモンキーチェアで拘束される

この実験がどのような手順で行われるかは動物実験計画書に記されていました が、実験はサルたちをモンキーチェア(サルを固定する装置)で拘束して行うことが、入手した「特定動物飼養・保管許可証」から判明しました。

モンキーチェアに拘束されるサル。
今回、開示請求をした実験に使われているサルではありませんが、過去に京大で行われていた実験の写真です。

開示漏れとサルの数の追加

先に請求した「見積書」「納品書」「請求書」と「譲渡証明書」「繁殖証明書」の照合をしたところ、個体識別番号J-08-004F1のサルの「譲渡証明書」「繁殖証明書」が見当たりませんでした。その理由を京大に確認したところ、「送付が漏れておりました」の一言で、漏れた文書を送ってくれるわけでも、「あらためて開示請求の手続きを」との案内もありませんでした。JAVAから確認しなかったら漏れたままであったわけで、開示された文書が請求した関係文書すべてではないこともあるという一例です。

この照合の過程で、サルの頭数の合計が29頭になることに気付き、それについても問い合わせしたところ、「当初は28頭で計画していましたが、実験が想定を超えて進捗したため、当該個体(JAVA注:開示が漏れていたサル)を年度末近くに導入し、平成29年度の動物実験計画書に記載しました」と、サルの使用数を増やしたことがわかりました。

開示請求するたびに、納得できない不開示が多くあり、これが今の日本の情報公開制度の現状といえるでしょう。しかし、活動にとって必要な情報が得られることもあります。入手した情報を今後も活動に活かしてまいります。

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