JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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動物実験の廃止を求める

情報公開はどこまで?大学のサルの実験2

情報開示請求でどこまで公開されるか
~京都大学のあるサルの実験の場合 その2~

京都大学(以下、京大)で行われているニホンザルを使った研究「巧緻な運動制御に関わる神経回路とその損傷後の機能回復機構の解明」について、JAVAが関係文書の開示請求を行ったところ、サルの入手元など多くの情報が黒塗りにされ、開示されなかったことをご報告しました。 今回はその第二弾をお伝えします。

開示請求をした京大のサルの実験

JAVAから以下の研究について、動物実験計画書や実験で使用するサルの入手にかかわる文書などの開示請求をしました。

研究課題名:巧緻な運動制御に関わる神経回路とその損傷後の機能回復機構の解明
実験責任者:医学研究科神経生物学の伊佐正教授
使用動物:ニホンザル 28頭

同じ文書なのに不開示部分が異なる

この研究の動物実験計画書は最初に2016年に入手しました(上)。その後、別に請求した資料の添付資料として2018年に全く同じものを入手しました(下)。
比べていただくとお分かりのように次の情報の開示・不開示が違っているのです。

  • 連絡先TEL:黒塗り ⇒ 開示
  • 伊佐教授のメールアドレス:黒塗り ⇒ 開示
  • 伊佐教授以外の動物実験実施者及び飼養者の所属と肩書:黒塗り ⇒ 開示

京大は、最初の2016年では非開示とした理由を「公にすることにより当該研究者の研究活動の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」としています。具体的にどんな支障なのかは書かれていませんが、おそらく市民からの抗議の電話やメールを想定しているのでしょう。それなのに2度目は公開したことは不可思議です。

一方、印影は、最初は開示されたのに2018年の2度目は黒塗りでした。その理由を京大に確認したところ、「平成30年11月27日の送付時点で、特別な事案に対してのみ使用している印鑑の印影であり、公にすることにより、偽造等犯罪に利用されるなど個人の権利利益を害するおそれがあるため」との説明でした。

ウェブサイトに出ているFAX番号が黒塗り

「研究用ニホンザル提供申請書」を入手したところ、伊佐教授の研究室のFAX番号が黒塗りとなっていました。しかし、FAX番号は京大のウェブサイトに出ている伊佐教授の研究室の求人広告に記載されているのです。ウェブサイトにおいて開示している情報は不開示の対象外となっているため、京大に確認したところ、「その掲載内容に係る連絡を目的としたものであり、慣行として公にしているものではない、開示している情報ではないと見做している」とのこと。
内容が何であれ、京大のウェブサイトに掲載しているのに黒塗りするとは、何でも理由をつければ不開示にできる際たるケースといえます。

サルの餌の業者まで黒塗り

前々号でこの実験に使用しているサルの入手元が黒塗りにされていたことをご報告しましたが、今回はなんとサルの飼料製造法人(餌の業者)名やその商品名まで黒塗りでした。
その理由を京大は、「公にすることにより、当該法人の権利、その他正当な利益を害するおそれがあり、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第5条第2号の柱書及び同号イに該当するため」としています。
餌の業者を市民が知ることが、なぜその業者の権利や利益を害するのか、はなはだ疑問です。

サルのケージの配置図も見せない

下の資料、これはケージの配置が記されただけの図です。それをこのように黒塗りにする必要があるでしょうか。施設の平面図も同様に真っ黒でした。
その理由は「厳重な警備、厳格な管理を必要とし、当該実験動物を飼養または実験する建物内部に関する情報で、具体的に公表しておらず、公にすることにより、当該実験室の場所や位置が特定され、またはセキュリティ対策が明らかになり、当該施設の安全管理上、これらの情報は犯罪の予防、鎮圧または捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」としています。
おそらく市民からの抗議行動を想定しているのでしょうが、ケージの配置がわかっただけでセキュリティが脅かされるのでしょうか。過剰反応としか思えません。

しかしケージの写真は公開

一方で、サルを入れているケージの写真は公開されました。市民からすると配置図を見るより、この狭いケージの写真を見たほうが「サルがかわいそう」と京大の実験に対して反感を持つように思いますが、京大の感覚は違っていたようです。

サルはモンキーチェアで拘束される

この実験がどのような手順で行われるかは動物実験計画書に記されていました が、実験はサルたちをモンキーチェア(サルを固定する装置)で拘束して行うことが、入手した「特定動物飼養・保管許可証」から判明しました。

モンキーチェアに拘束されるサル。
今回、開示請求をした実験に使われているサルではありませんが、過去に京大で行われていた実験の写真です。

開示漏れとサルの数の追加

先に請求した「見積書」「納品書」「請求書」と「譲渡証明書」「繁殖証明書」の照合をしたところ、個体識別番号J-08-004F1のサルの「譲渡証明書」「繁殖証明書」が見当たりませんでした。その理由を京大に確認したところ、「送付が漏れておりました」の一言で、漏れた文書を送ってくれるわけでも、「あらためて開示請求の手続きを」との案内もありませんでした。JAVAから確認しなかったら漏れたままであったわけで、開示された文書が請求した関係文書すべてではないこともあるという一例です。

この照合の過程で、サルの頭数の合計が29頭になることに気付き、それについても問い合わせしたところ、「当初は28頭で計画していましたが、実験が想定を超えて進捗したため、当該個体(JAVA注:開示が漏れていたサル)を年度末近くに導入し、平成29年度の動物実験計画書に記載しました」と、サルの使用数を増やしたことがわかりました。

開示請求するたびに、納得できない不開示が多くあり、これが今の日本の情報公開制度の現状といえるでしょう。しかし、活動にとって必要な情報が得られることもあります。入手した情報を今後も活動に活かしてまいります。

中・高等学校で動物実験についての講演を行う

2018年12月、東京・中野区にある都立富士高等学校・都立富士高等学校附属中学校にて、生徒さん60名を前に、動物実験についての講演を行いました。その時の様子をご報告します。


2018年12月18日、JAVAの事務局長の和崎、理事の石島、事務局の山本の3人が同校を訪問し、動物実験についての講演を行いました。この講演を行うに至ったのは、附属中学校3年生(当時)の渡辺小春さんから「JAVAに動物実験についての講演をお願いしたい」という依頼をいただいたことがきっかけでした。

講演は放課後に行われ、希望者のみが参加する形でしたが、依頼者の渡辺さんが、企画、ポスター制作、アナウンス、先生との連携など、しっかりと準備してくださったおかげで、勉強や部活動などで忙しい中にもかかわらず、中高生合わせ60名もの生徒さんたちが参加してくださいました。

参加者の皆さんにご挨拶をした後、まず初めに動物実験への関心を高めるための導入として、石島がJAVAの活動に参加するまでの自身の体験談を話し、動物実験が行われる分野や使われる動物の種類、動物実験の賛否などについて、生徒さんたちに挙手していただく形でのアンケートをとりました。

次に、和崎が、この日のために制作した60枚のスライドを使いながら動物実験についての講演をしました。

講演内容は、「意外と身近な動物実験」というテーマで、まずは動物実験が私たちの日常生活にとても密接に関わっているという説明から始めました。実験に使用される動物の種類や頭数、動物実験の内容やその残酷さ、科学的根拠に基づいた動物実験の問題点を述べ、動物実験に代わる代替法の紹介や、動物実験をなくしていくためにはどうしたらいいかなどの対策を話しました。それらは資生堂に対するキャンペーンや解剖実習をなくすためのキャンペーンなど、JAVAの活動の実例を挙げて、順序立ててまとめたものでした。動物実験についての説明は難しい言葉が多くなりがちですが、中高生でも理解できるような言葉に言い換えたり、専門的な言葉には丁寧な説明を加えたりするなどの工夫をしました。

初めての会場だったので、音響や映像の不調も何度かありましたが、先生方のサポートで、大きなトラブルもなく無事に講演を終えることができました。

1時間以上もの間、生徒さんたちはとても熱心に耳を傾けてくださり、最後に、配布していた用紙に感想や質問を書いていただきました。感想を集計した結果、最終的に「動物実験に賛成」が2名、「動物実験に反対」が53名、「動物実験の賛否に中立」が6名でした。また21名が「講演を聞いて気持ちが変わった」と答え、13名が「この事実を周知したい」と意思表示をしてくださいました。全員がとても丁寧に感想を書いてくださり、心温まるメッセージもたくさんいただきましたので、いくつかご紹介いたします。

  • 私も将来は、動物実験や殺処分を減らせるような仕事に就きたいと思う。そして、少しでもJAVAの皆さんの活動に貢献できるように日本の未来を変えていきたい。
  • JAVAの動物実験廃止への行動力が素晴らしいと思い、考えさせられた。これから少しでも廃止されるように自分達にできることはしたいなと思った。
  • 私は動物実験の存在は知っていて、私自身、動物が好きだけれど、それがかわいそうだ、残酷だと感じていませんでした。しかし今回、動物実験の実態とともに人間がしていることの残酷さを知り、お話を聞いたり、写真を見ていて、とても胸が痛くなり、悲しくなりました。「動物実験をゼロに」と言うと綺麗ごとのようになってしまうかもしれないけれど、まずは多くの人が動物実験の残酷さを知り、少しでも多くの動物を救わなくてはならないと思いました。また、自分でもできる小さなことから動物の命を守っていきたいと感じました。今回の講演は私に大きな影響を与えるものでした。このような機会をありがとうございました。

日本では今でも「動物実験は必要」というイメージを持つ人が多いと思いますが、動物実験の問題点や残酷さをきちんと伝えることができれば、「動物実験反対」という私たちのメッセージは、多くの方に理解していただけるのだと改めて実感しました。この度の講演は私達としてもいい経験となりましたし、若い方たちの感想を受け、今後の活動の励みにもなりました。 これからの日本を担う素晴らしい生徒さんたちに、動物実験について知っていただく貴重な機会を設けてくださった富士高等学校附属中学校の皆様、誠にありがとうございました。


この講演を企画してくれた渡辺小春さんは、その後4名のチームメンバーと共にアイデアをまとめ、今年3月に米国・シリコンバレーで様々な企業に対して動物実験に関するプレゼンテーションを行いました。その時の様子をレポートしていただきました。(富士高等学校附属中学校では、シリコンバレー研修を今年から開始。その第1回目のわずか24名の中に、渡辺さんも選ばれていたのです。)

NO!!! ANIMAL EXPERIMENTS

こんにちは。渡辺小春です。私は3月に学校の研修で1週間シリコンバレーへ行ってきました。シリコンバレーはサンフランシスコの中にある、グローバル企業が多く集まっている地域です。そこで学校の友達とチームを組んで準備していた動物実験に関するプレゼンテーションを行なったので、そのお話をさせていただきたいと思います。プレゼンの内容は、どうして動物実験は問題なのか、どうしたら動物実験をしなくて済むのか、そしてそのためにどんなアイデアがあるのかという、動物実験をゼロに近づけるためのアイデアピッチです。私たちのチームは、動物実験が問題である理由として、残酷であるからだけでなくコストパフォーマンスが悪いことや人と動物には科学的に大きな違いがあることなどをあげました。動物実験の問題を、感情論だけでなくより科学的・論理的にして多くの人を納得させるためです。

※投資家に対して新しいアイデアをアピールするカジュアルなプレゼンテーション。シリコンバレーで生まれた用語。

私たちのチームのアイデアは代替法を生み出すことと動物実験をしていない商品を売るためのことです。代替法のアイデアは、人の細胞を使って植物から皮膚や眼球など人の器官を作り出すことです。

売るためのアイデアは、AIとスマートフォンを利用して動物実験の情報を送り、多くの人に知ってもらうことや、ボディブレッドという臓器の見た目をしたパンを売り、パンの酵母菌と人との関係性が動物実験のない世界を作れることを宣伝する、ということなどです。現地の人によるアイデアピッチのフィードバックではそれらを開発するのには莫大な費用と技術が必要であることや、たくさんの努力、経験、教育をもって、これを続けていかなければならないと言われました。何より重要なのはお金の問題だとおっしゃっていました。具体的な面では、動物実験をしていない商品を見分けるためにどのようなことができるかと質問されました。私たちのグループでは、見分けるためのマークを商品に付けるというアイデアをピッチしましたが、これからもっといい方法も考えていけたらと思っています。

JAVAの方々の力もお借りして、シリコンバレーで、いいプレゼンテーションができました。ありがとうございました。この恩を返すためにも、今回だけで終わらせずこれからもっと良いアイデアを、企業に力を借りれるようなアイデアを考えていきたいと思います。

都立富士高等学校・附属中学校3年生 渡辺小春

Good News!日清食品グループ、食品事業における動物実験を全廃!

NHK連続テレビ小説「まんぷく」の即席めん開発ストーリーも記憶に新しい日清食品。2019年4月24日、同グループが、食品事業における動物実験を全面的に廃止したことを、当会JAVAに対して明らかにしました。キッコーマンヤクルト本社に続いて、動物実験を廃止した食品メーカーがまた一つ、誕生しました!

日清食品の動物実験方針

https://www.nissin.com/jp/about/thewave/innovation/index.html

これまでの経緯

米国の動物保護団体PETAが2018年7月に配信したブログ記事、同年10月17日配信のネットメディア報道などによれば、法律で義務付けられていない範囲の動物実験を廃止してほしいというPETAからの求めに対し、日清食品を含む13の日本の食品メーカーがそれに同意したとのことでした。

しかしながら、その前年に開催された日本動物実験代替法学会第30回大会では、同社の研究員が登壇し、即席めんを例に挙げ、使用原料の残留農薬や、容器から溶出する可塑剤、また、加熱時に生成される化学物質など、一つの商品をめぐって安全性評価が必要な物質が多数存在し、そのために動物実験を行っている、と発表していました。

また、2014年に開設した研究施設「the WAVE」について、2015年8月25日付のプレスリリースには、新設した「究理棟」が「新規危害物質の健康影響を調べる動物試験施設を有する」旨の記載がされていました。

2018年7月には外部委託も廃止!

そこでJAVAでは3月、日清食品ホールディングスに対し、日清食品グループ(以下、「日清食品」といいます)が動物実験を廃止したのかどうか、日清食品の動物実験方針の確認のため面会を申し入れ、4月24日にJAVAから4名が日清食品を訪問し、広報部CSR推進室課長、グローバルイノベーション研究センター健康科学研究部部長の2名と面会しました。そこで以下の事実を確認しました。

  • 2016年4月以降、自社における動物実験は廃止した。
  • 「the WAVE」の「究理棟」では、2015年の稼働後に行なった動物実験は1件のみ。
  • 2018年7月、PETAがブログを配信したタイミングで、それまで行っていた動物実験の外部委託も廃止した。

また、

  • 2017年の代替法学会での発表は、即席めんをめぐる安全性評価を一般論として申し上げたもので、自社でやっているものを紹介したというわけではない。
  • したがって、弊社では食品事業の動物実験を廃止しているのだが、2015年当時のニュースリリースがそのまま残ってしまっていること(動物実験を行う旨の記載が残っていること)、動物実験を廃止した旨の方針を公表していないことから、動物実験を続けているのではないかという誤解を与えてしまっている。

トクホについて

食品分野のなかでも「特定保健用食品(トクホ)」については、摂取することである程度の健康効果が期待できるとしてロゴマークを表示できるようになっていますが、国の審査のもとに消費者庁の許可を受けるにあたって、有効性や安全性などの科学的根拠を示す動物実験等の試験データの提出が求められています。日清食品でも、カップ麺、シリアル、乳酸菌飲料といったトクホの商品を販売していますが、これらは動物実験を廃止する以前に開発・申請したものであるとのこと。

今後、もし新商品を出すとなった場合でも、動物実験ではない方法によるデータで承認申請を行うとのことでした。

食経験を第一に

「食べるものにまで動物実験が行われているのか!」「動物実験しなければ安全性が分からないようなものを食べさせられているなんて!」というように、食品に対する動物実験は受け入れがたいという消費者感情があることをJAVAから伝えると、「日清食品ではまず食経験があるものであること(過去に食べ物として食されてきたものであること)を優先に考えて原料を選んでいる」ということでした。実際、ヒトによる食経験がない、または乏しいものをトクホとして申請しようとする場合には、動物実験による安全性試験が求められています。

原料調達について

原料メーカーにおける動物実験の有無については、花王カネボウグループ富士フイルムなどの大手化粧品企業でも原料調達時に書面確認の徹底を始めていただいていることを紹介すると、日清食品では「仕入れ原料について動物実験が直近で行われているかどうかはわからない」としながらも、「原料メーカーへの書面への確認など、前向きに検討したい」との回答を得ました。

日清食品へエールを

食品分野においても動物実験を忌避する潮流をいち早くキャッチし、外部委託も含めて動物実験廃止に踏み切っていた日清食品。ぜひ、日清食品に対して、この方針を支持するメッセージを送ってください!

日清食品への意見送付先

メールフォーム

フリーコール(日清食品グループお客様相談室)
0120-923-301
受付時間 9:00~17:30 (土・日・祝日を除く)

※「法規制で求められる場合を除いて」との表現について日清食品に照会したところ、「現段階で何らかの動物実験を想定している訳ではない」「今後も、自社内、外部委託も含めて動物実験を実施しない」旨を確認しています(2019年6月3日現在)。

<英国>動物を使用しない医学研究所

<英国>動物を使用しない医学研究所

英国の動物代替センターARC (Animal Replacement Center of Excellence)は最先端の科学を駆使して、ヒトモデルを進化させ、現在のがん研究で使用されている動物の数を減らすことを目指している。ARCはロンドン大学クイーン・メアリーのブレイザー研究所と英国で動物を用いない研究に助成金を提供する助成機関AFR UK (Animal Free Research UK)が協力して運営している。

人の病気はヒトモデルで

ARCのMike Philpott教授のプロジェクトは、人の皮膚がん、頭頸部がんにおける動物からの置き換えや、ヒト細胞モデルを使うことに焦点を当てている。例えば皮膚がんについては、ヒトのがん組織、がん細胞株、または美容整形手術から寄贈された正常な皮膚細胞のいずれかを使用しており、そこから遺伝子発現を変えることによって皮膚がんのモデルを作成している。人の皮膚がんでは最も一般的である基底細胞がんを対象にしている。基底細胞がんを治療するために使用される薬物の多くは、マウスを用いて試験されてきた。しかし、基底細胞がんはマウスではなく人の皮膚の病気であるため、創薬試験のモデルとしては、マウスよりもヒト細胞モデルの方がはるかに優れている。

また、Adrian Biddle博士(AFR UKが代替法で資金提供している研究者)による研究では、人のがんとの適合性がより高い腫瘍の侵入、転移および治療抵抗性が異なる細胞亜集団に対する重要な試験を行うことができるイン・ビトロモデルを構築している。新鮮なヒト腫瘍標本をモデルに組み込む技術は、大きな進歩である。この研究は、口腔がんと乳がんの両方のヒト腫瘍標本を用いて行われている。

“HOW COSMETIC SURGERY CAN HELP US BEAT SKIN CANCER”

“THE ANIMAL REPLACEMENT CENTRE OF EXCELLENCE (THE ARC)”

(右から)Philpott教授と研究メンバーのDr. Rahman、Dr. Biddle 、Dr. Youssef
©Animal Free Research UK

農薬登録基準に動物実験の3Rを

生活環境動植物に関する農薬登録基準
環境大臣に動物実験の3Rを要望

2018年6月15日に改正農薬取締法が公布されました。農薬登録基準のもと、農薬が及ぼす水産動植物(魚類、甲殻類等)に対する影響評価がこれまで行われてきましたが、この改正により、陸域を含む「生活環境動植物」に対象が広げられました。そして現在、環境省の中央環境審議会 土壌農薬部会 農薬小委員会において、「生活環境動植物」に対する影響を評価するための審査基準の設定について、検討・審議が始められています。
この検討・審議を経て、評価対象とする動植物種や試験に用いる生物種の選定、毒性試験の策定等がなされます。これはつまり新たな動物試験が追加されることを意味します。

欧米は代替法の採用において日本のお手本となることが多いですが、今回の場合、EUや米国では、すでに哺乳類や鳥類といった陸域の生物への影響を評価する動物試験を行っていることから、欧米をお手本とはできません。
しかし、日本においては、化粧品をはじめとした企業の動物実験廃止や様々な分野での代替法の採用が進められています。今回と同じ農薬に関しても、3月に農薬の登録申請に必要な試験からイヌを用いた1年間反復経口投与毒性試験が削除されるという、画期的な動きがあったことは4月にご報告したばかりです。
そして、今般の農薬取締法の改正でも、参議院の付帯決議に次のとおり動物試験に代わる方法の開発・活用や3Rの有効な実施の促進について盛り込まれたのです。

七 試験に要する費用・期間の効率化や国際的な動物試験削減の要請に鑑み、定量的構造活性相関の活用等を含む動物試験の代替法の開発・活用を促進すること。
また、国内外の法制度で明記されている動物試験における3R(代替法活用、使用数削減、苦痛軽減) の原則に鑑み、不合理な動物実験の重複を避けるなど、3Rの有効な実施を促進すること。

JAVAは、8月、国内外の3Rの動向を伝えた上で、中川雅治環境大臣(当時)に対して、「生活環境動植物に係る農薬登録基準」に動物を用いない試験方法を取り入れる等、3Rを最大限考慮することなどを求める要望書を提出しました。今後の環境省の動きに注目し、またご報告したいと思います。

写真:イメージ

毒物劇物の分野での代替法利用についての講演会参加報告

8月2日(木)に東京大学本郷キャンパスで開催された、技術講演会「毒物劇物の判定にどう代替法を用いるか」(主催:日本動物実験代替法学会)に参加しました。

開催挨拶
酒井 康行 (日本動物実験代替法学会会長、東京大学大学院工学系研究科)

毒物劇物の判定基準
古田 光子 (厚生労働省 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 化学物質安全対策室)

OECDのTGとJaCVAM提案書の現状
小島 肇 (国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部)

代替法利用における留意点
高橋 祐次 (国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)

代替法利用に関する留意点
稲若 邦文 (日本化学工業協会 化学品管理部)

個別研究例 STE法(TG491)の利用
安保 孝幸 (花王株式会社 安全性科学研究所)

個別研究例 毒劇物の眼刺激性評価におけるウシ角膜を用いる混濁度および透過性試験法(BCOP試験)の有用性について
河村 公太郎 (株式会社化合物安全性研究所 安全性研究部)

総合討論(パネルディスカッション)

毒物及び劇物取締法において、化学物質が毒物・劇物の指定対象となるかどうかの判定にも、多くの動物実験が実施されています。
昨年6月に厚労省から出された「毒物劇物の判定基準の改定について(通知)」(薬生薬審発0613第1号 平成29年6月13日)では、近年の動物愛護の観点からの動物実験の廃止などの動向をうけて、毒物劇物の判定に使える具体的な代替法の例示がされました。

通知は国立医薬品食品衛生研究所のウェブサイトでご覧いただけます。

例示された代替法は、皮膚腐食性についての2つの代替法(経皮電気抵抗試験とヒト3次元培養表皮モデル)、眼腐食性と強度刺激性についての4つの代替法(ウシ摘出角膜を用いる混濁度および透過性試験(BCOP)、ニワトリ摘出眼球を用いる試験(ICE)、 フルオレセイン漏出試験法(FL)、in vitro 短時間曝露法(STE))です。また、皮膚刺激性についての代替法も条件つきで考慮可とされました。
ただし、急性経口毒性、急性経皮毒性、急性吸入毒性は、有効の代替法はないとして、動物実験での判断が継続されます。また、毒物劇物に指定された製剤の適用除外申請にも代替法は活用可能とされましたが、具体的な例示はされていません。このような現状や課題について6名の専門家の講演があり、最後にパネルディスカッションが行われました。

講演では、毒性の専門家から「多くの化学物質が対象となる毒物・劇物の分類における代替法の利用は、評価の高速化と効率化にも寄与する」、産業界からは「代替法の利用促進をはかりたい」といった発言がありました。
そして、パネルディスカッションでは、「動物実験ありきで、代替法は動物実験との比較のためだけのツールという印象を受けた。何十年も同じ状態。代替法でやっていこうと考えを変えてもらわないと」と、私たちが「そのとおり!」と思わず叫びたくなるような意見を言ってくれた参加者がいました。JAVAも「一つでも動物実験が減るよう代替法採用にさらに尽力してもらいたい」とパネラーたちに要望しました。

情報公開はどこまで?大学のサルの実験1

情報開示請求でどこまで公開されるか
~京都大学のあるサルの実験の場合 その1~

「情報公開制度」は、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」や「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」、いわゆる情報公開法や地方自治体の情報公開に関する条例にもとづいて、行政機関や独立行政法人等が保有する文書の開示を請求できる制度です。JAVAの活動においてこれまで何度も国立大学や自治体などに請求してきましたが、今回ご報告するのは、京都大学に対して行ったあるサルの実験に関する開示請求についてです。

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京大のサルの実験について開示請求

2016年7月、「医学部において、2016年1月1日~12月31日までに実施された又は実施予定である、霊長類(ヒトを除く。生体・死体を問わず)を用いたすべての実験の動物実験計画書」という条件で開示請求したところ、該当する実験が3件ありました。
そのうちの1件のニホンザルを使った実験について、計3度の開示請求と不服審査請求を行いました。

開示資料:動物実験計画書
動物実験計画書というのは、動物実験を行う前に、責任者が作成し、その機関に設置されている動物実験委員会に提出します。委員会はその計画書をもとに実験実施の可否を審査します。計画書の様式は機関によって若干異なります。

<開示された主な情報>

申請書提出日:2016年5月27日
研究課題名:巧緻な運動制御に関わる神経回路とその損傷後の機能回復機構の解明
研究目的:ここの内容を読むと、次のような目的の研究であることがわかる。

  • 正確に視覚対象を注視するための眼球の運動(サッケード運動)や細かい物体を持って操作するような手指の巧緻運動のシステムは特に霊長類で発達している。
  • 人間が脳や脊髄を損傷した後に障害が顕著に現れる機能である。
  • 巧緻運動の制御に関わる脳の領域での情報生成過程やその機能、障害後の機能回復機能について、ニホンザルを使って、行動や神経活動への影響を解析する実験を行う。

実験責任者:医学研究科神経生物学の伊佐正教授
実験実地期間:承認後~2017年3月31日
使用動物:ニホンザル 28頭
入手先:ナショナルバイオリソース、他(←ここは黒塗り)
研究計画と方法:ここの内容を読むと、次のような実験方法であることがわかる。

  • 吸入麻酔をしたサルの頭部に頭部固定用ボルト、チャンバー、電極、眼球運動用記録アイコイルなどを取り付ける手術をする。
  • 日を変えて、第一次視覚野の吸引除去や部分的脊椎損傷等の手術をする。
  • 急速眼球運動やレバー操作など様々な課題を行わせ、その神経活動や脳活動を記録する。
  • 脊椎損傷や脳の第一次視覚野除去、薬物注入などによる、課題を行う行動や神経活動への影響を調べる。
  • 摂食・摂水が困難な状態が数日続く、急激な体重減少などが見られたら実験を打ち切る。
  • 鎮痛剤などでは軽減できないような苦痛等が見られるときには安楽殺処置を行う。
  • 実験後、ペントバルビタールの静脈内大量投与で死に至らせ、脳と脊椎を採取する。

想定される苦痛のカテゴリー:D.脊椎動物を用い、回避できない重度のストレスまたは痛み(長時間持続するもの)を伴うと思われる実験(※Dは4段階のうち、苦痛が大きい方から2番目)

承認日:2016年6月13日

<非開示(黒塗り)の情報>
1 伊佐教授の連絡先(電話番号、メールアドレス)
⇒京大は、これを非開示とした理由を「公にすることにより当該研究者の研究活動の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」としています。具体的にどんな支障なのかも書かれていないばかりか、おそらく市民からの抗議の電話やメールを想定しているのでしょうが、それはあくまで推測にすぎません。なんでも「おそれがある」が通ってしまえば、すべて非開示になってしまいます。そもそも伊佐教授の個人の連絡先ではなく国立大学という公的機関の連絡先であり、開示すべきです。

2 伊佐教授以外の実験実施者や動物飼養者名
⇒京大は、これを非開示とした理由を「本学と雇用関係ない者の氏名は、慣行として公にしておらず、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第5条第1号に該当するため」としています。ちなみに、この法第5条第1号では、「個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」は公開しなくてよいと定められています。学生ならともかく、研究者として京大のプロジェクトに関わっているなら、氏名を公開すべきと考えます。

3 実験に使うサルが飼養保管されている動物実験施設内の部屋名
4 実験を行う動物実験施設内の部屋名
⇒京大は、これを非開示とした理由を「厳重な警備、厳格な管理を必要とし、当該実験動物を飼養または実験する建物内部の情報を具体的に公表していない場合で、施設棟欄に記載された実験室の名称を開示することにより、当該実験室の場所や位置が特定されるおそれがある場合は、当該施設の安全管理上、これらの情報は犯罪の予防、鎮圧または捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあり、法第5条第4号ロに該当するため」としています。この法第5条4号ロでは、「犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ」がある場合、情報を公開しなくても良いと定められています。
ここでも①と同じく、具体的にどんな犯罪や公共の安全と秩序の維持に対する支障なのかも書かれていません。おそらく市民からの抗議行動を想定しているのでしょうが、これもまたあくまで推測にすぎません。

5 サルの入手先
⇒後述の「黒塗りにされたサルの入手元」をご覧ください。

ナショナルバイオリソース(NBR)とは
2002年に文科省が着手した、動物、植物、微生物、細胞といったバイオリソース(生物遺伝資源)、いわゆる研究材料を整備、安定供給させるための一大プロジェクト。動物では、マウス、ラット、虫、魚類、鳥類、カエル、ニホンザルなど様々扱われている(2018年4月現在)。
そのなかの「ニホンザル」のプロジェクトは、過剰繁殖した動物園のサルを母群にして、産まれた子ザルを実験に使うというもの。国内の3つの動物園が、同プロジェトの代表機関である京都大学霊長類研究所とサルの提供で合意していたが、うち函館市営熱帯植物園と松本市アルプス公園は、JAVAをはじめ国内外からの抗議により中止を決定。残る札幌市立円山動物園に対しては、JAVAは署名活動、文科省と札幌市役所前でのアピールアクション、文科省、動物園、札幌市との面談、住民監査請求、裁判と闘い続けたが、最高裁がJAVAの上告を退けた。円山動物園は2005年3月に第一陣となる15頭のサルを京大霊長研に移送し、計45頭を提供した。
なお、伊佐正教授(当時、自然科学研究機構 生理学研究所に所属)は、かつて「ニホンザル」プロジェクトの課題管理者や副運営委員長を務めた人物である。

開示資料:納品書 ・請求書・譲渡証明書など
3回目の開示請求で入手した見積書と請求書から、サルを1頭、325,000円で購入したことがわかります。見積書と納品書は3セット(サル8頭分)が開示されましたが、いずれにも日付が入っていないという杜撰さです。残りの20頭のサルは同じく開示された譲渡証明書や繁殖証明書から、譲り受けたり、京大ですでに所有しているサルであったなどが考えられます。また発注書はなく、何をもって正式な発注としたのかも疑問です。

黒塗りにされたサルの入手元
JAVA、不服審査を請求

動物実験計画書のサルの入手先の欄において、ナショナルバイオリソースとは別の入手先が黒塗りになっていました。さらに、譲渡証明書 でも、譲渡元(矢印 )が黒塗りになっています。いくつもの非開示部分のうち、ここが最も問題と考えます。その理由は以下の<JAVAの主張>に記します(その他の黒塗りについては、JAVAが請求した実験とは別のサルについてなので黒塗りは妥当)。
JAVAは2017年8月18日、譲渡証明書で譲渡元が非開示であった点について、総務省 情報公開・個人情報保護審査会に諮問する不服審査請求を行いました。不服審査請求は不開示について不服がある場合に、行政不服審査法に基づき不服の申し立てをできる制度です。

<京大の主張>

  • 記載のある民間事業者はすべて、実験責任者である教授が、過去に在籍した研究機関で同様の開示請求があった際に意見を求め、自己の正当な権利利益を害されるおそれがある旨、明確な反対意見を寄せていた事業者であった。
  • 現に英国において、実験動物を取り扱う特定の企業が、過激な動物愛護団体等から圧力を受けて倒産の危機に瀕したことや、国内でも動物実験を行う機関が不法侵入、窃盗等の被害を受けた実例もあること等に鑑みれば、当該事業者の危惧は現実の可能性があり、現在もその社会状況に特段の変化があったわけではなく、法第5条第2号に該当すると判断、不開示とした。
  • 今回の審査請求を受け、当該民間事業者に改めて社名や代表者名等、事業者の特定が可能となる情報の開示の可否について意見を求めたところ、「情報が開示されることで、不当な圧力を受けて営業に甚大な被害を生じる可能性がある」旨の反対意見があり、現在においても当該事業者の意見に変更がないことを確認した。
  • 開示すれば、今後、法人名を開示されることを懸念して民間事業者が京大との取引を中止するおそれがあり、ひいては京大の研究に係る事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、法第5条第4号柱書にも該当し、不開示は適当。

<JAVAの主張>

  • 京大から提出された理由説明書には、当該民間業者から「情報が開示されることで、不当な圧力を受けて営業に甚大な被害を生じる可能性がある」旨の意見があったためとある。
  • 今回の場合、不当な圧力や被害を与えるのは、開示請求をしているJAVAであると見なされる。JAVAは、設立以来、当然のことながら法を遵守して社会に貢献する活動を行っており、法人として、動物問題に関連し、国民のモラルの向上を目指す立場にいる。そのような当会の開示請求に対して、「不当な圧力」や「甚大な被害」という理由で非開示にするというのは、JAVAの社会的な立場と名誉を著しく汚すのも同然であり、看過できない。
  • しかも、「不当な圧力」や「甚大な被害」とはどういったものなのか、その具体的な説明もなされず、非開示にすることは到底納得できない。
  • 実験動物に係る業に限らず、どのような業者であっても、何らかの被害に遭う可能性は皆無ではない。当該民間業者が「不当な圧力」や「甚大な被害」を過去に実際に受けたのならまだしも、海外の企業や他機関が受けた被害を挙げて、「自分たちにも起こり得る可能性がある」と言い出したら際限がなく、この主張が通るなら、取引業者名の非開示はいくらでも認められることになる。
  • 取引先は個人ではなく、法人である。 社会的に責任のある立場として当該民間業者が適正に業務を行っているならば、国民に堂々と知らせるべきであり、非開示にするということは、当該民間業者との取引に対して、有らぬ憶測を呼ぶおそれがあるものである。特に本件の動物実験責任者である伊佐正教授と当該民間業者は、伊佐教授が他の研究機関に在籍していた時から取引を続けているとのことであり、なおさら癒着関係等の疑いを生じさせてしまう。
  • 国税によって実施されている研究に用いられる研究資源(今回の場合はニホンザル)は、国民の財産である。自分たちの財産について、国民は知る権利があるのは当然のことであり、どこから得ているのかを知ってはじめて、その入手ルートや方法が妥当かつ正当なものなのかを検証することができるのである。譲渡元や譲渡先が不開示では、不正な国有財産の出入りや癒着等があっても国民の監視の目が行き届かないことになる。つまりは、情報公開制度が意味をなさなくなってしまうも同然である。
  • よって、「譲渡証明書中に記載のある譲渡した民間業者名及び譲渡先民間業者名」の開示を求めるものである。

審査会の結論は「不開示は妥当」

2018年3月、今回、情報公開・個人情報保護審査会が出した結論は、「不開示は妥当」というものでした。「民間業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある旨の京大の説明に特段不自然、不合理な点はない。JAVAの主張は審査会の判断を左右するものではない」との理由ですが、JAVAが指摘する疑問点にきちんと応えているとは言えません。

なぜか時間がかかる・・・

このように開示請求しても、国民に知らされない情報が多いことがおわかりいただけたかと思います。そのうえ、とにかく開示されるまでの時間が非常にかかるのです。情報公開法で認められているとはいえ、毎回毎回、30日以内の開示決定期限を30日間延長してきて、4枚、6枚といった資料を見つけ、コピーして送られてくるまでに2か月、3か月かかりました。不服審査請求に至っては、7か月を要しました。
行政文書には保管期間が3年、5年のものも結構あります。このように請求手続きの手間取っているうちに、文書が処分されてしまことも大いにあり得るのです。

今回の3回の請求と不服審査の流れをご覧ください。

情報開示請求1回目 情報開示請求2回目 情報開示請求3回目 不服審査請求
2016年7月19日

JAVA⇒京大

動物実験計画書を請求

2016年12月5日

JAVA⇒京大

動物実験計画書以外の動物実験関係資料を請求

2017年4月3日

JAVA⇒京大

サルの入手に係る文書すべてを請求

2017年8月18日

JAVA⇒京大

請求書を京大に送付

8月19日

京大⇒JAVA

9/20まで決定期限延長の連絡

2017年1月6日

京大⇒JAVA

2/6まで決定期限延長の連絡

5月8日

京大⇒JAVA

6/5まで決定期限延長の連絡

12月7日

京大⇒JAVA

審査会に諮問したとの通知

9月16日

京大⇒JAVA

決定通知(6枚ある)

2月6日

京大⇒JAVA

決定通知(4枚ある)

6月5日

京大⇒JAVA

決定通知(24枚ある)

12月19日

審査会⇒JAVA

意見書提出を希望するなら2018年1月16日までに出すこと、との通知

9月23日

JAVA⇒京大

郵送での公開を希望する旨、返信

2月14日

JAVA⇒京大

郵送での公開を希望する旨、返信

6月27日

JAVA⇒京大

郵送での公開を希望する旨、返信

2018年1月10日

JAVA⇒審査会

意見書提出

9月30日

京大⇒JAVA

6枚を発送

3月13日

京大⇒JAVA

4枚を発送

7月27日

京大⇒JAVA

24枚を発送

3月14日

審査会⇒JAVA

不開示妥当の答申

かかった期間:約2か月半 かかった期間:約3か月半 かかった期間:約3か月半 かかった期間:約7か月

それでも請求してみる価値あり!

このように、疑問や納得できないことの多い情報公開制度ですが、それでも開示請求する意義、価値はあります。活動に必要不可欠な情報が把握できることもしばしばありますし、もし、欲しい情報が開示されなくても、請求された側(今回の場合は京大や伊佐教授)からしたら、市民から注視されれば、慎重になる部分もあるでしょう。
市民による監視は市民運動の基本でもあります。情報開示は誰もが請求できます。ぜひチャレンジしてみてください。

<カナダ・米国>小児科医研修、すべての動物使用を廃止

<カナダ・米国>歴史的Victory
米国とカナダの小児科医研修、すべての動物使用を廃止

2018年6月19日にカナダ・ケベック州のラヴァル大学小児科部長Marc-Andre Dugas 博士は、米国の動物実験に反対する医師・科学者の団体PCRM(責任ある医療のための医師委員会)に、小児科医研修プログラムで生きた子ブタを使用しないことを伝えた。ラヴァル大学は研修に生きた動物を使用する最後の大学だったが、この決定により、PCRMが調査した米国とカナダの小児科医研修、全227のプログラムから、動物を用いた実習が姿を消すこととなった。

ラヴァル大学の小児科医訓練では、気管内挿管のような侵襲的処置の実習に子ブタを使用し、心臓を包んでいる嚢に針を通したり、静脈や胸郭、喉を切開するよう指導しており、このような訓練を行う前の段階で子ブタを殺していた。PCRMは2012年に同大学での動物の使用中止を求める運動を始め、その後6年間、ケベック州政府へ請願書を提出したり、動物を使用しない最新の方法を紹介するなどして働きかけてきた。

これまで、さまざまな大学や研究所が、小児科医研修に生きた動物を使い、気管内挿管の実習を行ってきた。それが原因で気管挫傷や出血を引き起こし、動物に激痛をもたらし、死ぬことさえあった。それに対し、ヒト解剖用のシミュレーターは、プログラムすることで繰り返し使用できるなど、動物を使って行う研修より優れている。

“All Surveyed Pediatric Residency Programs in U.S. and Canada No Longer Use Animals for Training”

 

動物用ワクチンの対象動物試験が省略可能に

動物用ワクチンの対象動物試験が省略可能に
~ICAPPPのパブコメが反映される~

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」によって承認されたワクチンなどの動物用生物学的製剤については、バッチ(製造単位)ごとの販売前の品質検査において、その製剤の使用対象の動物(牛、豚、犬、猫などの哺乳類、鳥類、魚類など)または実験動物を用いて安全性を確認する試験が行われています。
日米EUで組織される動物用医薬品の承認等のガイドラインを策定している国際機関VICH(動物用医薬品の承認審査資料の調和に関する国際協力)では、安全性に関して実績のある動物用生物学的製剤の安全性試験の実施を省略するための検討が進められていて、動物用不活化ワクチンの「対象動物バッチ安全試験(TABST)」の省略要件の見直し、動物用生ワクチンのTABST省略要件の制定が行われました。

2016年にそれら見直し案と制定案に対するパブリックコメント募集が行われ、JAVAは、日米欧の動物保護団体で構成する医薬品プログラムにおける国際動物保護委員会(International Council on Animal Protection in Pharmaceutical Programmes (ICAPPP))の日本窓口として、意見を農林水産省に提出していました。
2018年4月、その結果が公表されまして、ICAPPPも賛成の意見を出していた省略要件の改正や制定が実現しました。これによって、十分な数の連続したバッチが適合した生産システムの下で生産される場合、TABSTは省略*できることになったのです!さらにICAPPPが求めていた次の記述の削除・追加がなされました。

*製造工程の重要な変更や予期されていなかった副作用の発生等の例外を除く。

動物用不活化ワクチンのTABST省略要件(VICH GL50)の見直し案

  • すでにヨーロッパでは要求されていないにもかかわらず、ヨーロッパの要件表に記載されたままだったTABSTの記述が削除された。
  • 認可企業がTABSTの省略を求めることを認める、米農務省(USDA)の方針が書かれている「Veterinary Service memorandum 800.116(獣医療サービス覚書800.116)」が参考として米国の要件表に追加された。
  • ICAPPPの提案がほぼ言葉通り採用され、日本の要件表に次の一文が追加された。
    「2014年より、動物用生物学的製剤基準に定める試験に、少なくとも10バッチ連続で適合した場合、TABSTを省略することができる」

動物用生ワクチンのTABST省略要件(VICH GL55)の制定案

  • すでにヨーロッパでは要求されていないにもかかわらず、ヨーロッパの要件表に記載されていたTABSTの記述が削除された。
  • 「近い将来、Veterinary service memorandum 800.116は生ワクチンに対するTABSTの免除申請ができるように改訂される」と米国の要件表に追加された。

 

Good News!農薬のイヌの動物実験が廃止に!

年間約200頭の犬が救われる
農薬のためのイヌ慢性毒性試験が廃止に!

農薬の製造・加工、輸入、販売を行うには、農水省にその農薬を登録しなければなりません。この登録申請には、数多くの動物実験データの提出が義務付けられています。その中のひとつにイヌを使った「1年間反復経口投与毒性試験」があります。JAVAはこの試験の廃止を農水省に働きかけてきて、今回、廃止が決まったのです!


農薬のために義務付けられる動物実験

農薬の登録申請の際、データの提出が農薬取締法で義務付けられている試験*1のうち、毒性に関する試験だけで、以下のように29の試験があります。そのうち23試験が動物を用いるものです。

義務付けられている毒性試験
「農薬の登録申請に係る試験成績について」
(平成12年11月24日付け 12農産第8147号 農林水産省農産園芸局長通知)より

ア 急性経口毒性試験
イ 急性経皮毒性試験
ウ 急性吸入毒性試験
エ 皮膚刺激性試験
オ 眼刺激性試験
カ 皮膚感作性試験
キ 急性神経毒性試験
ク 急性遅発性神経毒性試験
ケ 90日間反復経口投与毒性試験
コ 21日間反復経皮投与毒性試験
サ 90日間反復吸入毒性試験
シ 反復経口投与神経毒性試験
ス 28日間反復投与遅発性神経毒性試験
セ 1年間反復経口投与毒性試験
ソ 発がん性試験
タ 繁殖毒性試験
チ 催奇形性試験
ツ 変異原性に関する試験
テ 解毒方法又は救命処置方法に関する試験
ト 動物代謝に関する試験
ナ 植物代謝に関する試験
ニ 家畜代謝に関する試験
ヌ 土壌中動態に関する試験
ネ 水中動態に関する試験
ノ 水産動植物への影響に関する試験
ハ 水産動植物以外の有用生物への影響に関する試験
ヒ 有効成分の性状、安定性、分解性等に関する試験
フ 環境中予測濃度算定に関する試験
ヘ 農薬原体の組成に関する試験

「1年間反復経口投与毒性試験」とは

今回、廃止になった、イヌを用いた「1年間反復経口投与毒性試験」(以下、「イヌ慢性毒性試験」)はどういった実験なのでしょうか。
試験実施のガイドラインである「農薬の登録申請に係る試験成績について」(平成12年11月24日付け 12農産第8147号 農林水産省農産園芸局長通知)から抜粋してみました。(※下線はJAVAによる)

ガイドライン抜粋 JAVAのコメント
1.目的
本試験は、被験物質を長期間にわたって反復投与したときに生じる毒性変化、明らかな毒性変化を惹起する用量及び毒性変化の認められない最高投与量(無毒性量:NOAEL)についての科学的知見を得ることを目的とする。
農薬が長期にわたって繰り返し体内に入った場合に有害な影響が出ない最大量を得るために行われる試験です。
2.供試動物
(1)げっ歯類1種(通常、ラット)及び非げっ歯類1種(通常、イヌ)を用いる。
(2)げっ歯類については、離乳後、馴化期間を経てできるだけ早い時期の同一週齢の動物(通常、5~6週齢)を用い、非げっ歯類については、4~6か月齢の動物を用いる。
使う動物は通常、ラットかイヌです。ラットは5~6週齢、イヌは4~6か月齢と、幼い個体を使います。
3.投与方法
経口による連続投与とし、通常、混餌投与又は飲水投与により行う。ただし、混餌又は飲水投与が困難な場合には強制投与を行ってもよい。
被験物質である農薬の成分の投与方法は経口ですが、餌や水に混ぜての投与が難しければ、強制投与、つまり無理やり摂取させてもいいとなっています。
4.投与期間
1年以上とする。
実験に使われる期間は1年以上と長期にわたります。
5.動物数及び試験群の設定
(1)動物数の設定
1.げっ歯類は1群当たり雌雄各20匹以上、非げっ歯類は1群当たり雌雄各4匹以上とする。
(2)試験群の設定
1. 被験物質投与群
ア 対照群の他に少なくとも3段階の用量設定による投与群を設ける。
2. 対照群
ウ 毒性に関する情報が十分に得られていない溶媒等を使用する場合には、さらに無処置対照群を加える。
1群あたり、ラットは雌雄各20匹以上、イヌは雌雄各4匹以上とあります。対照群と、少なくとも3段階の投与群設けるので、通常、最少でラットは160匹、犬は32匹使われます。
6.観察及び検査
次の(1)~(5)の項目について実施する
(1)一般状態の観察
(2)血液検査
2. マウスを除き、検査前に一晩絶食させることが望ましい。
(3)尿検査
(4)眼科学的検査
(5)病理学的検査
1. 投与期間中に死亡した動物は速やかに剖検し、器官・組織の肉眼的観察及び病理組織学的検査を行い、死因及びその時点での毒性変化の程度を明らかにするよう努める。
2. 投与期間中に死に瀕した動物は、速やかに屠殺、剖検し、1と同様の観察及び検査を行い、瀕死状態に至った原因及びその時点での毒性変化の程度を明らかにするよう努める。
3. 投与終了時におけるすべての生存動物は、諸検査等のための採血及び採尿を行った後、屠殺、剖検し、器官・組織の肉眼的観察を行う。(略)なお、マウスを除き剖検前に一晩絶食させることが望ましい。
ラットやイヌたちは、(1)~(4)の観察・検査をされ続け、途中で死亡したら、剖検、途中で死に瀕しても、殺されて剖検、1年間実験されて生き残っても、殺され剖検されるという、いずれにしても悲惨な最期を迎えることになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

殺される前の日に絶食の苦しみまで味わいます。

なぜこの実験をターゲットにしたか

上述ように、数ある動物を用いた毒性試験の中で、なぜ今回このイヌ慢性毒性試験にターゲットを絞ったか。それは、まず1年間と非常に長期にわたる点で他の実験より残酷であり、動物福祉の観点から、EUでは必須試験から削除されていて(2013年)、米国(2007年)、カナダ(2016年)でも条件付きながら削除されているからです*2
そういった国際的な動向があることに加え、JAVAと協力関係にある米国に本部を置く動物保護団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals;動物の倫理的な扱いを求める人々)が、同じく義務付けられているイヌを用いた「90日間反復経口投与毒性試験」のデータの利用によって、1年間の実験を削除しても農薬の安全性の担保に支障はないという科学的根拠を提示してくれたからです。
そのため、まずこのイヌ慢性毒性試験を削除させよう、ということになりました。

農水省に削除を要請

JAVAはPETAと連携しながら、2015年から農水省に対して、イヌ慢性毒性試験をガイドラインから削除するように働きかけを続けてきました。そして、農水省から次のような回答を得ていました。

  •  OECD(経済協力開発機構)を始めとした国際機関で3Rの原則に基づいた取り組みがなされていることは承知している。
  •  農水省でも不要な動物試験はなるべく減らしていく方針としている。
  •  JAVAから寄せられた意見・情報や欧米における動きも参考に、今後、関係府省との協力の下、見直しを検討していきたいと考えている。
  •  具体的には、イヌ慢性毒性試験から得られるデータと同等の情報が他の試験から入手可能かどうか、国内の毒性評価の専門家からの助言を求めていく。
  •  この試験の必要性の調査研究を行っている。期間は2年間で、遅くとも2017年3月には結果が出る。

食品安全委員会の結論は「例外つき削除」

上記の農水省が言う調査研究結果が、リスク評価機関である内閣府食品安全委員会で審議されました。そして発表された「農薬の食品健康影響評価におけるイヌを用いた1年間反復経口投与慢性毒性試験の取扱いについて」(平成29年12月21日 農薬専門調査会決定)において、「原則、イヌ慢性毒性試験は不要」という結論が出されました。
しかし、この結論には以下の1~4の場合は例外として、この試験が必要と考えられると示されていました。つまり「例外つき削除」という結論だったのです。

  1.  亜急性毒性試験で認められる毒性プロファイルがイヌとげっ歯類で大きく異なる場合
  2.  イヌ及びげっ歯類について、毒性標的臓器が同じでも明確な発現用量の差が認められ、イヌの感受性が高いと考えられる場合
  3.  イヌにおける農薬の蓄積性が懸念される場合
  4.  イヌにおける薬物代謝(動態)について、1~3で示されるようなイヌ特有の毒性等に関与することが想定される場合

パブコメ募集
農水省の案は「例外なし削除」

食品安全委員会の結果をうけて、農水省がイヌ慢性毒性試験を削除するガイドラインの改正案をまとめ、それに対するパブリックコメントの募集をしました。
農水省のガイドライン改正案にも食品安全委員会がつけた4つの例外が書かれてしまうかと危惧していたのですが、農水省の改正案では、一切の例外なくイヌ慢性毒性試験を削除するという内容になっていたのです!

JAVAは次のように、農水省が出した例外なし削除の案を評価、支持し、案のとおり改正をすることを求めるコメントを農水省に提出いたしました。
また、改正案を後押しするご意見を届けてくださるよう広く呼びかけました。

  •  米国、カナダは上記の1、2、4の例外は設けていない。また、EUは1~4すべての例外を設けていない。それはこれらの場合において、イヌ慢性毒性試験を追加で実施してもリスク評価に更なる評価価値を与えないからである。
  •  食品安全委員会は、これら海外の方針を認識しながら、農薬専門調査会決定において例外を設けた。これは「3Rの原則」にも、「不要な動物試験はなるべく減らしていく」という農水省の方針にも反した時代に逆行する結論と考える。

ガイドラインから削除される!

3月29日、パブコメの結果が公表され、全部で115件の意見が寄せられ、そのうちJAVAと同様の意見が79件あったと報告されています。そして、そこには「原案の通り改正いたします」との農水省の見解が書かれていました。4月に入り、イヌ慢性毒性試験の記述すべてが削除された新しいガイドラインが通知されたのです!
今後、農薬申請の際、イヌ慢性毒性試験を行う必要がなくなります。登録申請数などにもよりますが、今後年間約200頭の犬が犠牲にならずにすむと推測されます。JAVAはすべての実験の廃止を求めていて、これはゴールではありませんが、今回の結果は大きな1歩です!

改正されたガイドラインは農林水産消費安全技術センターのウェブサイトでご覧いただけます。


  1. *1暴露の危険性や毒性の程度等からデータ提出が除外されるケースもある。
  2. *2JAVAが把握している、その他の国の状況としては、韓国は依然としてイヌ慢性毒性試験を実施、ブラジルは削除を検討中(2018年4月1日現在)。

農薬を飲まされる犬たちを救おう!

!この実験は廃止になりました!

「Good News!農薬のイヌの動物実験が廃止に!」をご覧ください
パプコメにご協力くださった皆さま、ありがとうございました


【2018年2月21日に締め切られました】
「1年間 農薬を飲まされ続ける犬たちを救おう!」
農水省へパブコメを送ってください

農薬の製造・加工、輸入、販売を行うには、農水省にその農薬を登録しなければならないと農薬取締法で定められています。
この登録申請には、数多くの動物実験データの提出が義務付けられています。その中のひとつに「1年間反復経口投与毒性試験」という実験があります。これは、ラットやイヌを用いて、1年間もの間、農薬をエサや水に混ぜて投与したり、強制投与して、繰り返し体内に入った場合に有害な影響が出ない最大量を得るために行われる必須試験です。動物たちは実験の最後に殺され、解剖されます。

この度、農水省がこのイヌを用いた1年間反復経口投与毒性試験(以下、「イヌ慢性毒性試験」といいます)を必須試験から削除するガイドラインの改正案をまとめ、それに対するパブリックコメントの募集をしています。

これは大変評価できる改正で、JAVAはこの改正案に賛成・支持するコメントを提出しました。
ぜひ、皆さんからもご意見届けてください。

イヌ慢性毒性試験は、1年間と非常に長期にわたること、また90日間の同様の試験が義務付けされている等の理由や、動物福祉の観点から、EUでは必須試験から削除されています(2013年)。またアメリカ(2007年)、カナダ(2016年)でも条件付きながら削除されています。
一方、日本では必須とされていたため、JAVAは米国に本部をおく動物保護団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals;動物の倫理的な扱いを求める人々)と連携しながら、2015年から農水省に対して、イヌ慢性毒性試験を削除するように働きかけをしてきました。
そして、農水省から「貴会やPETAから寄せられた御意見・情報や欧米における動きも参考に、今後、関係府省との協力の下、見直しを検討していきたい」「この試験の必要性の調査研究を行っている。遅くとも2017年3月には結果が出る」という回答を得ていました。

この調査研究結果が内閣府食品安全委員会で審議され、昨年12月21日付で、「原則、イヌ慢性毒性試験は不要」という結論が出されました。
しかし、この結論には以下の1~4の場合は例外として、この試験が必要と考えられると示されていました。

  1. 亜急性毒性試験で認められる毒性プロファイルがイヌとげっ歯類で大きく異なる場合
  2. イヌ及びげっ歯類について、毒性標的臓器が同じでも明確な発現用量の差が認められ、イヌの感受性が高いと考えられる場合
  3. イヌにおける農薬の蓄積性が懸念される場合
  4. イヌにおける薬物代謝(動態)について、1~3で示されるようなイヌ特有の毒性等に関与することが想定される場合

そのため、農水省のガイドライン改正案にもこの4つの例外が書かれてしまうかと危惧していたのですが、農水省の改正案では、食品安全委員会が示した例外は書かれておらず、例外なくイヌ慢性毒性試験を削除するという内容になっていたのです!

JAVAは当然、すべての動物実験の廃止を目指していますので、ラットを用いた1年間の試験をはじめ、多くの動物実験がまだ必須とされていることには反対ですが、今回の改正は農薬のための動物実験廃止への大きな一歩です。
JAVAでは以下のようなこの改正案を評価、支持するコメントを農水省に提出いたしました。

JAVAが提出したパブコメ(PDFファイル)

ぜひ皆さんからも「改正案に賛成、支持する」「国際的な動向をみても、動物福祉の観点からもイヌを用いた1年間実験の削除は不可欠。案の通りの改正をお願いします」など、改正案を後押しするご意見を届けてください。

締め切りは2月21日です。
提出方法や改正案はパブリックコメント募集のページをご覧ください。

ご協力を宜しくお願いします。

市民公開講座「動物実験の1R<代替>をめざして」

日本動物実験代替法学会第30回大会
市民公開講座「動物実験の1R<代替>をめざして」を企画・開催しました

2017年11月23~25日、『レギュラトリーサイエンスと3Rs』というテーマを掲げ、日本動物実験代替法学会第30回大会が開かれました。同学会としては最大規模の711名という参加者を数えました。
毎年、代替法学会の大会開催時に市民向けの公開講座が開かれていますが、今回はその講座の企画立案から当日の座長まで、動物保護団体PEACEの東さちこさんとともにJAVAの亀倉が務めさせていただきました。25日には市民や学会の研究者などの来場者を前に『動物実験の1R〈代替〉をめざして』というテーマでディスカッションを行いました。

第30回大会

大会テーマである「レギュラトリーサイエンス」とは、医薬品、食品、医療機器、化粧品など、私たちの身の回りのものについて、科学的根拠に基づいてその有効性や安全性を的確に判断できる試験法を研究開発・評価していくことだとされています。化粧品や食品の動物実験の廃止を企業に訴えてきている私たちにとっても関心の高いテーマでした。傍聴したプログラムから抜粋してレポートします。

●基調講演
日本のレギュラトリーサイエンスをけん引する国立医薬品食品衛生研究所の川西徹所長から、動物実験反対運動やそのベースとなっている哲学、それらの影響を受けて動物実験を取り巻く環境がどう変わってきたのか、自身が米国の研究所に勤めていたときのエピソードを踏まえたビビッドな紹介がありました。今後は、個別の動物実験に対する代替法開発ではなく、AOP(毒性発現経路)*1を踏まえてin vitro*2やin silico*3を組み合わせて対応していき、すぐにでもできる実験動物数の削減には随時取り組んでいくといった方向性も示されました。
試験法を組み合わせながら対応するのか、それとも一つの試験法を洗練させていくべきなのか、研究者の間でも意見の分かれるところだと思いますが、さらに活発な議論が行われ、最善策へとつながることを望みます。

*1毒性の原因となる分子レベル反応から、細胞レベル、臓器レベル、生体レベル、有害性発現に至るまでの各段階の因果関係を整理したもの
*2 in vitro 「試験管内で」という意味で、試験管内などの人工的に構成された条件下で行う試験のこと。これに対して動物実験は「in vivo」(生体内で)と呼ばれる。
*3 in silico 「コンピュータ(シリコンチップ)内で」という意味で、コンピュータシミュレーションなど計算上で結果を予測する試験のこと。

●サテライトセッション
動物実験の廃止を促進するため、動物を使用しない、まさに1Rを条件とした代替法研究に対する世界最大規模の賞金を提供するラッシュプライズ。英化粧品ブランド、ラッシュの提供によるサテライトセッションでは、2015年のラッシュプライズの若手研究者部門アジア賞を受賞した、当時大阪市立大学大学院、現在京大大学院および大阪国際がんセンター所属の辰巳久美子さんが講演。ヒトの肝細胞と組織を使って化学物質の安全性評価測定方法の研究功績が認められての受賞でしたが、日本では臓器移植法が障害となってヒト肝細胞の入手が困難なため、欧米から移植不適合となった正常ヒト肝細胞を入手して研究を続けているとのこと。こういった環境が研究の足かせになっており、現在さまざまな病院と連携し理解と協力を得ながら問題解決を図っているとの報告がありました。
動物実験に代わる方法がいち早く確立するためにも、研究開発が行われている環境について、私たち市民も広い視野をもって理解を進めていかなければいけないと改めて感じました。

●シンポジウム3
実験動物の福祉、AAALAC(国際実験動物管理公認協会)の認証制度の現状とその問題点をテーマにしたこのセッションでは、北里大学獣医学部の実験動物学研究室教授が登壇しました。
同教授は、2007年当時日本の大学として北海道大学が初めてAAALAC認証をとった際、同大学に在籍していました。2013年に異動した先の北里大学獣医学部では2008年に動物実験規則が作られていましたが、2014年、ある講座で農家から持ち込まれた病気のウシを無麻酔で放血して殺すという違反が内部告発によって明らかになり、その後、大学はアニマルウェルフェア相談窓口を設置し、動物福祉違反に対する相談や内部告発を受け付けているという報告がありました。
この事件はJAVAも取り組みました 。同じ学内に相談窓口が設置されても自浄作用が働くのか疑問が残ります。なお、北里大学獣医学部はAAALAC認証は受けていません。また、AAALAC認証を受けていたとしてもこのような事件を未然に防ぐことはできません。

●ワークショップ
「化粧品・化学・食品・製薬メーカーにおける代替法活用の最前線」では、6社からの発表のうち味の素と日清食品という2社が食品メーカーでした。たとえばカップラーメン一つをとってみても、お湯を入れて数分待ち、食べるまでの間にその容器が安全な状態を維持できるかどうかを確認しなければならない、そのためにも動物実験が行われている、ということでした。
ポスト化粧品といえるほど、食品業界でも動物実験廃止が続いているのに(キッコーマンヤクルトの例を参照)、動物実験はまだまだやめられないという主張には違和感を覚えました。より便利なもの、より安価なものと引き換えに、動物を犠牲にすることに、多くの市民がNOを突き付けるようになった事実をきちんと受け止めるべきです。

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明法中学・高等学校、ブタの心臓を使った講座を廃止!

明法中学・高等学校、ブタの心臓を使った講座を廃止!

東京都東村山市にある私立明法中学・高等学校では、同校の卒業生である心臓外科医の指導のもと、毎年、中学2年生に対してブタの心臓を使った心臓手術体験講座を実施していました。
この学校のホームページでは、「哺乳類の心臓を解剖します。最終的に人工血管や人工弁の縫合まで行います。中学生対象の心臓外科医による医学講座は全国でも実施例のない貴重な実験です。」と宣伝をしていました。
2月、この講座が新聞で取り上げられたことから、記事を見た方々より、「子どもたちがやるべき実習ではない。やめさせてほしい」といった声がJAVAに届きました。

死体の解剖にも問題がある

「死体・臓器の利用」であれば、その動物に痛み、苦しみ、恐怖を味わわせるといった問題はありませんが、その動物たちは寿命をまっとうしたのではなく、人間によって殺されたことをまず考えなければならないでしょう。死体を解剖するということは、その前段階において、その生き物を殺す行為(今回の場合はおそらく食用のためにと畜された)が必ず必要になるわけです。中学生のような多感な時期の子どもが、学校で行われる死体を使う講座に参加したら、「食べているものなんだから、感謝すれば何をしてもよい」「動物の体を解剖するのはよいこと」という誤った認識を持ちかねません。そういう認識を持ってしまったら、子どもたちは弱い立場の動物を慈しむ気持ちに蓋をするようになり、殺すことや切り刻むことに無感覚になることが懸念されます。そして、「自分でカエルや魚を捕まえて解剖してみよう」「車に轢かれた猫の死体を解剖してみよう」と考える子どもが出てくる可能性もあり、今後、どのようにエスカレートするか計り知れません。

海外では動物を用いない教育が進む

欧米では、従来動物実験が必要不可欠と考えられていた大学の獣医学部や医学部においてさえ、「動物を殺す非人道的な教育を拒否する権利」を多くの学生たちが主張し始めた結果、動物実験を廃止して代替法を用いる学校が急増し、実際、アメリカとカナダにある医学校の100%以上(197校中197校)では、動物を犠牲にするカリキュラムがありません。

また、ドイツ、イタリア、ベルギー、デンマーク、フランス、イギリス、オランダ、スイスなどでは、初等中等教育における生体解剖を禁止する等の規制を設けているほどです。

生き物の体の仕組みや医療技術を学ぶ方法には、生体や死体を使用する以外にも、コンピューターシミュレーションを使用した学習システム、ビデオ、精巧な3D模型など様々な代替法があります。これらを使えば、一人一人が自分のペースで何回でも繰り返し学習することができるという大きなメリットがあります。欧米では医学生だけでなく医師の手技練習にもコンピューターシミュレーションが活用されています。この学校のホームページには「実験器具は本校のコンセプト『本物に触れる教育』にそって、すべて本物を使用します」とありましたが、それなら本物の実験器具を用いて、医師が使う手技練習用のキットを利用して縫合等の体験をするという方法も考えられます。

解剖は「他者を思いやる心を育てる教育」に反する

日本でも、動物虐待と青少年による凶悪犯罪の深い関連性が指摘さています。また、教育の名のもとで生き物を殺したり、その死体を粗末に扱うことが青少年の精神面にいかに大きなダメージと悪影響を与えるかが明らかになってきた昨今、学校での解剖実習に対しても批判は高まってきています。
学校で深刻な問題となっている「イジメ」を解決するためにも、他者を思いやる心を育てることは急務です。動物の体を切り刻むことは、それとは真逆の行為であり、それにより道徳心が育つということはありません。
教育において「観察する」「しくみを調べる」「体験する」ことの大切さを否定するつもりはありませんが、それは痛みを伴わない方法であるのは勿論のこと、生命の尊厳を踏みにじることのない方法でのみ許される行為です。命ある動物たち、命あった動物の死体を、人間の好奇心を充たすための道具として利用するといった行いは残酷極まりありません。

学校は「廃止」を決定!

このような理由から、JAVAは明法中学・高等学校に対して、動物(生体、死体・臓器を問わず)の使用をやめるよう働きかけました。後日、「JAVAの要望を踏まえて検討した」として、「(同校卒業生の心臓外科医による)特別医学講座では、ブタの心臓をはじめ、動物(生体、死体・臓器を問わず)を用いない」との回答があったのです!

JAVAが主張する解剖実習を廃止すべき理由

獣医学教育への代替法導入を求めて

「獣医学教育への代替法導入を目指す検討委員会を設置」
全国大学獣医学関係代表者協議会がJAVAに回答

全国に16ある獣医系大学の教員代表者から成る「全国大学獣医学関係代表者協議会」(以下、協議会)。
JAVAは今年2月、この協議会にあてて、実験動物の飼養環境の改善や代替法の採用を求めました。
かねてからJAVAは、獣医大学における動物の扱いの改善や代替法への転換を働きかけてきました。たとえば、東京農工大学での牛の解剖実習の中止、酪農学園大学や北里大学での牛の殺処分方法の改善もその一つです。
今回の働きかけは、今年1月、JAVAと協力関係にある、英国の動物保護団体Cruelty Free International(CFI)が、日本の獣医大学における犬の劣悪飼育や犬を使った実験の実態を調査・公表したことがきっかけでした。


 

▼CFIによる調査・公表内容(JAVA翻訳・抜粋)▼

CFIが調査したところ、日本では獣医大学において、毎年、数百頭の犬が学生の訓練のために使われているという衝撃的な発見がありました。犬たちは、繰り返し切り開かれて縫い合わされるといった多数の不必要な手術をされ、必要なくなると犬の多くが殺され、ほとんどが解剖のために使われているのです。ある大学では、犬たちは酷い状態で飼われていました。犬たちは小さな金属製の2段ケージに1頭ずつ入れられ、かろうじて立ち上がったり、向きを変えることのできるその狭いスペースの中をグルグルと回っていたのです。

英国、カナダ、米国を含む世界中の多くの大学や獣医学校では、この残酷で不必要な練習はすでに廃止されています。シミュレーションやモデル、臨床現場での実習といった多くの人道的な代替法が存在します。

■関連するCFIのウェブページ:
https://www.crueltyfreeinternational.org/JapanInvestigation
https://crueltyfreeinternational.org/what-we-do/breaking-news/japanese-universities-kill-dogs-train-students
https://crueltyfree.e-activist.com/ea-action/action?ea.client.id=1998&ea.campaign.id=61859
https://www.crueltyfreeinternational.org/JapanPhotos

■このCFIのキャンペーンに関する共同通信の記事:
クルーエルティフリーインターナショナルが医学生訓練のために犬を殺すのをやめるよう日本に呼び掛け

日本の実験用ビーグル犬

JAVAから協議会へ要望

英国では8つある獣医大学すべてで生きた動物を犠牲にする実習がありません。
それに対して、日本の獣医大学では、さまざまな動物が実習の犠牲になっています。
欧米と日本の法律、カリキュラム実施の方法の違いや大学の意識の差など様々な事情から、現時点での日本での実現は難しいとしても、少しずつでも代替法を取り入れるなど、できることはたくさんあるはずです。第一、動物に苦痛を与えるようなことは論外であって、実験動物を適切に管理するのは当然のことです。

CFIは、日本の文部科学大臣や日本獣医師会へ働きかけをしていましたが、JAVAはこの問題については、全国大学獣医学関係代表者協議会に働きかけるのが最適と考え、2月、協議会の尾崎博会長(当時)に対し、下記の事項を求める文書を出しました。

1) CFIが指摘した犬の飼養状況に関して、調査を行い、改善をすること
2) 各獣医大学が所有する動物の飼養環境を調査し、福祉に十分配慮した環境に改善すること
3) 犬を用いた実習・実験について、速やかに代替法の採用を検討すること
4) 犬以外の動物を用いた実験・実習について、速やかに代替法の採用を検討すること

●JAVAからの要望書(PDFファイル)●

「代替法導入の方針と具体策検討を進める」
前向きな回答が届く

JAVAは4月25日までの回答を求めていましたが、協議会からは回答に時間がかかるとの連絡があり、7月10日、後任の稲葉睦会長名で回答が届きました。
そこには、「犬の飼養環境等については、各大学がその改善に努めている」「動物実験削減ならびに代替法の導入について、検討を早急に進める必要がある」「検討委員会を設置し、代替法導入の方針と具体策検討を進める」と前向きな姿勢が示されていたのです。

●協議会からの回答(PDFファイル)●

JAVAは、この回答に対して、「犬の飼養環境等の改善の状況をご報告いただきたい」「今後の検討委員会の動向をお知らせいただきたい」という要望ともに、代替法導入のため、代替法ソフトやキットの寄贈や代替法の情報提供等、できる限りの協力をすると協議会に伝えました。
一歩ずつでも日本においても動物の犠牲のない獣医学教育の実現を目指していきましょう!

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