JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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動物実験の廃止を求める

明法中学・高等学校、ブタの心臓を使った講座を廃止!

明法中学・高等学校、ブタの心臓を使った講座を廃止!

東京都東村山市にある私立明法中学・高等学校では、同校の卒業生である心臓外科医の指導のもと、毎年、中学2年生に対してブタの心臓を使った心臓手術体験講座を実施していました。
この学校のホームページでは、「哺乳類の心臓を解剖します。最終的に人工血管や人工弁の縫合まで行います。中学生対象の心臓外科医による医学講座は全国でも実施例のない貴重な実験です。」と宣伝をしていました。
2月、この講座が新聞で取り上げられたことから、記事を見た方々より、「子どもたちがやるべき実習ではない。やめさせてほしい」といった声がJAVAに届きました。

死体の解剖にも問題がある

「死体・臓器の利用」であれば、その動物に痛み、苦しみ、恐怖を味わわせるといった問題はありませんが、その動物たちは寿命をまっとうしたのではなく、人間によって殺されたことをまず考えなければならないでしょう。死体を解剖するということは、その前段階において、その生き物を殺す行為(今回の場合はおそらく食用のためにと畜された)が必ず必要になるわけです。中学生のような多感な時期の子どもが、学校で行われる死体を使う講座に参加したら、「食べているものなんだから、感謝すれば何をしてもよい」「動物の体を解剖するのはよいこと」という誤った認識を持ちかねません。そういう認識を持ってしまったら、子どもたちは弱い立場の動物を慈しむ気持ちに蓋をするようになり、殺すことや切り刻むことに無感覚になることが懸念されます。そして、「自分でカエルや魚を捕まえて解剖してみよう」「車に轢かれた猫の死体を解剖してみよう」と考える子どもが出てくる可能性もあり、今後、どのようにエスカレートするか計り知れません。

海外では動物を用いない教育が進む

欧米では、従来動物実験が必要不可欠と考えられていた大学の獣医学部や医学部においてさえ、「動物を殺す非人道的な教育を拒否する権利」を多くの学生たちが主張し始めた結果、動物実験を廃止して代替法を用いる学校が急増し、実際、アメリカとカナダにある医学校の100%以上(197校中197校)では、動物を犠牲にするカリキュラムがありません。

また、ドイツ、イタリア、ベルギー、デンマーク、フランス、イギリス、オランダ、スイスなどでは、初等中等教育における生体解剖を禁止する等の規制を設けているほどです。

生き物の体の仕組みや医療技術を学ぶ方法には、生体や死体を使用する以外にも、コンピューターシミュレーションを使用した学習システム、ビデオ、精巧な3D模型など様々な代替法があります。これらを使えば、一人一人が自分のペースで何回でも繰り返し学習することができるという大きなメリットがあります。欧米では医学生だけでなく医師の手技練習にもコンピューターシミュレーションが活用されています。この学校のホームページには「実験器具は本校のコンセプト『本物に触れる教育』にそって、すべて本物を使用します」とありましたが、それなら本物の実験器具を用いて、医師が使う手技練習用のキットを利用して縫合等の体験をするという方法も考えられます。

解剖は「他者を思いやる心を育てる教育」に反する

日本でも、動物虐待と青少年による凶悪犯罪の深い関連性が指摘さています。また、教育の名のもとで生き物を殺したり、その死体を粗末に扱うことが青少年の精神面にいかに大きなダメージと悪影響を与えるかが明らかになってきた昨今、学校での解剖実習に対しても批判は高まってきています。
学校で深刻な問題となっている「イジメ」を解決するためにも、他者を思いやる心を育てることは急務です。動物の体を切り刻むことは、それとは真逆の行為であり、それにより道徳心が育つということはありません。
教育において「観察する」「しくみを調べる」「体験する」ことの大切さを否定するつもりはありませんが、それは痛みを伴わない方法であるのは勿論のこと、生命の尊厳を踏みにじることのない方法でのみ許される行為です。命ある動物たち、命あった動物の死体を、人間の好奇心を充たすための道具として利用するといった行いは残酷極まりありません。

学校は「廃止」を決定!

このような理由から、JAVAは明法中学・高等学校に対して、動物(生体、死体・臓器を問わず)の使用をやめるよう働きかけました。後日、「JAVAの要望を踏まえて検討した」として、「(同校卒業生の心臓外科医による)特別医学講座では、ブタの心臓をはじめ、動物(生体、死体・臓器を問わず)を用いない」との回答があったのです!

JAVAが主張する解剖実習を廃止すべき理由

獣医学教育への代替法導入を求めて

「獣医学教育への代替法導入を目指す検討委員会を設置」
全国大学獣医学関係代表者協議会がJAVAに回答

全国に16ある獣医系大学の教員代表者から成る「全国大学獣医学関係代表者協議会」(以下、協議会)。
JAVAは今年2月、この協議会にあてて、実験動物の飼養環境の改善や代替法の採用を求めました。
かねてからJAVAは、獣医大学における動物の扱いの改善や代替法への転換を働きかけてきました。たとえば、東京農工大学での牛の解剖実習の中止、酪農学園大学や北里大学での牛の殺処分方法の改善もその一つです。
今回の働きかけは、今年1月、JAVAと協力関係にある、英国の動物保護団体Cruelty Free International(CFI)が、日本の獣医大学における犬の劣悪飼育や犬を使った実験の実態を調査・公表したことがきっかけでした。


 

▼CFIによる調査・公表内容(JAVA翻訳・抜粋)▼

CFIが調査したところ、日本では獣医大学において、毎年、数百頭の犬が学生の訓練のために使われているという衝撃的な発見がありました。犬たちは、繰り返し切り開かれて縫い合わされるといった多数の不必要な手術をされ、必要なくなると犬の多くが殺され、ほとんどが解剖のために使われているのです。ある大学では、犬たちは酷い状態で飼われていました。犬たちは小さな金属製の2段ケージに1頭ずつ入れられ、かろうじて立ち上がったり、向きを変えることのできるその狭いスペースの中をグルグルと回っていたのです。

英国、カナダ、米国を含む世界中の多くの大学や獣医学校では、この残酷で不必要な練習はすでに廃止されています。シミュレーションやモデル、臨床現場での実習といった多くの人道的な代替法が存在します。

■関連するCFIのウェブページ:
https://www.crueltyfreeinternational.org/JapanInvestigation
https://crueltyfreeinternational.org/what-we-do/breaking-news/japanese-universities-kill-dogs-train-students
https://crueltyfree.e-activist.com/ea-action/action?ea.client.id=1998&ea.campaign.id=61859
https://www.crueltyfreeinternational.org/JapanPhotos

■このCFIのキャンペーンに関する共同通信の記事:
クルーエルティフリーインターナショナルが医学生訓練のために犬を殺すのをやめるよう日本に呼び掛け

日本の実験用ビーグル犬

JAVAから協議会へ要望

英国では8つある獣医大学すべてで生きた動物を犠牲にする実習がありません。
それに対して、日本の獣医大学では、さまざまな動物が実習の犠牲になっています。
欧米と日本の法律、カリキュラム実施の方法の違いや大学の意識の差など様々な事情から、現時点での日本での実現は難しいとしても、少しずつでも代替法を取り入れるなど、できることはたくさんあるはずです。第一、動物に苦痛を与えるようなことは論外であって、実験動物を適切に管理するのは当然のことです。

CFIは、日本の文部科学大臣や日本獣医師会へ働きかけをしていましたが、JAVAはこの問題については、全国大学獣医学関係代表者協議会に働きかけるのが最適と考え、2月、協議会の尾崎博会長(当時)に対し、下記の事項を求める文書を出しました。

1) CFIが指摘した犬の飼養状況に関して、調査を行い、改善をすること
2) 各獣医大学が所有する動物の飼養環境を調査し、福祉に十分配慮した環境に改善すること
3) 犬を用いた実習・実験について、速やかに代替法の採用を検討すること
4) 犬以外の動物を用いた実験・実習について、速やかに代替法の採用を検討すること

●JAVAからの要望書(PDFファイル)●

「代替法導入の方針と具体策検討を進める」
前向きな回答が届く

JAVAは4月25日までの回答を求めていましたが、協議会からは回答に時間がかかるとの連絡があり、7月10日、後任の稲葉睦会長名で回答が届きました。
そこには、「犬の飼養環境等については、各大学がその改善に努めている」「動物実験削減ならびに代替法の導入について、検討を早急に進める必要がある」「検討委員会を設置し、代替法導入の方針と具体策検討を進める」と前向きな姿勢が示されていたのです。

●協議会からの回答(PDFファイル)●

JAVAは、この回答に対して、「犬の飼養環境等の改善の状況をご報告いただきたい」「今後の検討委員会の動向をお知らせいただきたい」という要望ともに、代替法導入のため、代替法ソフトやキットの寄贈や代替法の情報提供等、できる限りの協力をすると協議会に伝えました。
一歩ずつでも日本においても動物の犠牲のない獣医学教育の実現を目指していきましょう!

元石川高校、生体解剖を全面廃止に!

<教育プロジェクト>

元石川高校、生体解剖を全面廃止!(2016年8月)
必修科目では死体の解剖も廃止に

2015年1月から取り組んできた、神奈川県立元石川高等学校(以下、元石川高校)の必修科目と選択科目における解剖実習の問題。2年以上にわたるJAVAの働きかけにより、生体の解剖は全面廃止に、必修科目については死体の解剖も廃止になりました。


コイ

2015年1月 生徒たちからの悲痛な訴えが届く

元石川高校の生徒や保護者の方々から、この高校で行われたコイの解剖実習について次のような通報がJAVAに寄せられました。

  • K教諭による1年生の「生物基礎」の授業で、生徒たちがコイにメスを入れ、体を切り開き、内臓を見るという解剖実習が行われた。
  • コイは、生徒たちに解剖させるためにK教諭が正月休みに釣ってきたもの。
  • 10人に対して1匹のコイが渡された。
  • 生徒たちに解剖以外の方法の選択肢は提示されなかった。
  • 成績への影響が心配で、休んだり、実習を拒否することはできなかった。
  • 同校の生徒によって画像共有サービスInstagramに解剖の動画が投稿され、血だらけ、内臓はぐちゃぐちゃのコイの体内から、生徒がさらに臓器を取り出したりしている様子が多くの人の目に触れることになった。
  • 同じ1年生でも、別の教諭が生物を教えているクラスでは解剖実習はない。

飼い猫の死体も解剖! 解剖に執着する教諭と傷つく生徒たち

K教諭の問題は、コイの解剖をやらせたことにとどまりません。授業中に、自分の飼い猫の死体を解剖したという話をしたのです。さらに、1月に実施したコイの解剖の話、2~3年生になったら、動物の眼球の解剖をさせたいといった話もしたのです。
生徒たちが嫌がると容易に想像できる話をあえてしたこのK教諭は、解剖に異常に執着しているとしか思えません。生徒の方たちからは、「コイがかわいそうで、解剖させられて辛かった」「眼球の解剖なんて、やりたくない」とJAVAに悲痛な訴えがあったのです。

JAVA、学校に廃止を要求

学習指導要領においても解剖実習は義務付けられていません。また、この高校で使用している教科書にも解剖についての記載はありません。解剖をさせるか、別の方法で学ばせるかは学校や担当教師の判断で決めることができるのです。
JAVAは学校長に対して、解剖実習は多くの問題があり、生徒たちに大きな不利益を被らせると指摘しました(JAVAが主張する解剖実習を廃止すべき理由 )。さらにK教諭の生徒の心情に全く配慮しない言動は許されるものではないと強く抗議したうえで、生体、死体を問わず、解剖実習を廃止するよう強く求めました。

2015年4月 必修科目での解剖が廃止となる

JAVAの強い働きかけにより、元石川高校は1年生の必修科目である「生物基礎」では、生体だけでなく死体を含む解剖実習の廃止を決定しました。しかし、2、3年生の選択科目「生物」では解剖を続けることに固執しました。

20157月 教育委員会にて協議されるが改善はなし

選択科目の「生物」では解剖を続けるとしている元石川高校に対して、全面的な廃止を指導するよう神奈川県教育委員会に要望しました。

また元石川高校に対しては、「解剖実習の具体的な内容」「解剖をやりたくないという生徒に対する対応」について問い、さらに解剖実習が生徒たちに及ぼす悪影響について追及する質問状を提出しました。

JAVAからの要望を受けて、7月9日開催の教育委員会にてこの問題が協議されました。しかし教育委員会は、「生命を尊重する態度を育成することが大切」としながらも、「高等学校学習指導要領解説理科編には、生きている生物を教材とすることも記載されている」として、解剖を廃止するよう元石川高校に指導する考えはない旨の回答をしてきたのです。そして元石川高校も、JAVAの質問状の質問には答えず、教育委員会と同様の主張だけをしてきました。

開示資料でわかった実態

JAVAは選択科目「生物」においても解剖実習を廃止するよう元石川高校に対する働きかけを続けていきました。

さらに2016年2月、解剖実習の詳細を把握するため、2014年度~2015年度に実施された解剖実習に関係する文書すべての情報開示請求をしました。

そこで明らかになった元石川高校の解剖実習の実態は以下の通りです。あらためて解剖実習は、動物の体をモノのように扱う行為であること、精巧な模型などを使う代替法で十分学べる内容であることがわかります。

<コイの解剖>
※使用したコイは生物担当教諭が釣ってきた生きたコイであるということが通報により判明している(10人に対して1匹)。

  • 目的:身近なコイの解剖をすることによって動物の内臓のしくみを知り、生物の神秘にせまる。
  • 方法:①外部形態の観察 ②解剖(内部形態の観察) ハサミで肛門の直前から腹部に沿ってえらぶた直後まで切る。えらぶた直前を背と腹の中央まで切りあげる。そのまま後方、肛門の直前まで切る。腹側へ切り下がり、片側の体壁を切り取る。③コイの内臓の観察 ④コイの顕微鏡観察

    コイ解剖プリント

    コイの解剖実習に用いられた教材資料

<イカの解剖>

  • 2015年度、スーパーマーケットにて4,104円の刺身用のスルメイカを購入。
  • 解剖の目的:親しんでいる生物を解剖することにより、構造の詳細を知り、生命の尊さを再確認する。貝とイカはまったく異なる動物に見られるが、同じ軟体動物であることを理解する。
  • 方法:①口のように見える漏斗(ろうと)付近からハサミ・メス入れ、内臓が見えるように外套膜だけを切り開き、プリントに描かれている図の内臓などを確認する。 ②適量の過酸化水素水をイカの内臓にかけて反応を見る(血液が青く見える)。

<ニワトリの脳の観察>

  • ペットショプでペットフードの鶏頭水煮缶を1缶141円~165円で購入(2014年度、2015年度ともに8缶ずつ)。
  • 目的:ドッグフードとして販売されている鶏頭水煮缶を使用して、ニワトリの脳を観察し、脳の機能と構造を調べる。
  • 方法:①シャーレに乗せたニワトリの頭を1人1つずつ持っていき観察する。 ②ピンセットを使用して、皮、頭骨を外し、脳を露出させる。 ③切り出した脳を色々な角度からスケッチする。 ④メスを使い脳の断面を観察する。

<ブタの心臓の観察>

  • 東京芝浦臓器株式会社から、ブタの心臓(大動脈付き)を1頭1,400円にて購入(2014年度は11頭、2015年度は8頭)。
  • 目的:ブタの心臓を実際に観察し、模式図との違いを意識しながら構造を調べる。
  • 方法:①ラベルに大動脈、大静脈、肺動脈、肺静脈を記入し、ストローに貼る。 ②心臓を色々な角度から観察する。 ③左心室の位置を確認し、その位置を起点に各部位を確認する。 ④各ストローを血管に見立てて差し込んでいく。 ⑤心臓のスケッチをした後、大動脈をハサミで切り開き観察する。 ⑥左心室と左心房の間にある半月弁を観察する。 ⑦左心室と左心房の部分を輪切りにし、筋組織の厚さの違いを観察する。

生体解剖の全面廃止が実現!

開示資料では、選択科目の解剖実習は死体・臓器のみでした。生体の解剖が行われていたことを示す文書がないことから、あらためて学校に生体解剖の廃止を求めたところ、2016年8月、2、3年生の選択科目「生物」でも生体解剖は廃止したとの回答を得ることができたのです!

「死体の解剖もイヤ!」
死体・臓器の解剖廃止を目指す

ただ、選択科目「生物」での死体・臓器の解剖については、やりたくないという生徒には強制をせず、プリントでの学習で対応しているとした上で、今後も解剖に使用する方針を変えませんでした。元石川高校は「イカや鶏頭水煮などのペットフードは死体ではなく、食材や加工食品である」という主張なのです。それに対し、JAVAに相談してきた生徒の方たちは「食べているものだろうが動物の体ということは同じ。解剖したくない」「ブタだって、イカだって、好きで殺されたわけじゃない。心臓を切るとかなんでやるのか」といった反応でした。
そこで、JAVAは「死体の解剖もやめて」という生徒の方たちの反応について校長に伝え、子どもたちの気持ちも考えて、すべての解剖の廃止をするよう粘り強く働きかけています。

(2017年6月現在)

動物実験代替法の国際会議と学会大会

アジア初の代替法国際会議「Asian Congress 2016」と「日本動物実験代替法学会第29回大会」が合同開催

動物実験代替法に関するアジア地域の国際会議、アジアンコングレス(Asian Congress 2016 on Alternatives and Animal Use in the Life Sciences)。初大会となる今回は、日本動物実験代替法学会第29回大会と合同で、11月15~18日、佐賀県唐津市および福岡・九州大学にて開催されました。前半の唐津開催だけで、韓国、中国、タイ、インドネシア、インドなどのアジア諸国のほか、米国、カナダ、ヨーロッパなど世界18か国から代替法の研究者ら約200名が参加しました。
アジアンコングレスに続き、11月16~18日、日本動物実験代替法学会 第29回大会が福岡・九州大学で開かれました。地方開催であるにもかかわらず、国内外から500名以上の参加者があり、代替法への関心の高さをうかがうことができました。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

<アジアンコングレス>

犬の農薬実験、時代遅れ

唐津での2日間のプログラムは、3Rの原則(以下3R。*1)をめぐるアジア各国の動向、各国の化粧品規制、農薬の動物実験と代替法、血液製剤やワクチンなど生物材料における3R、そしてAOPs(*2)など注目される新たなアプローチなど3Rの将来展望、というように、盛りだくさんの内容で展開されました。
農薬のセッションでは、犬を使った1年間の慢性毒性試験は必要ないという研究結果の報告を受けて、すでに米国、EU、ブラジル、カナダでは法的な義務付けが解除されたこの試験が、日本と韓国ではなぜまだ存続しているのかという問題提起がなされました。この実験は、ビーグル犬に1年間、農薬の混入した餌を食べさせるというもので、除草や昆虫駆除を目的にした成分を1年ものあいだ体内に取り込み続けることの苦しみは想像に難くありません。JAVAは農林水産省に対して再三にわたりこの試験の削除を求めています。

動物実験からの脱却を!

国際的なNGO、Humane Society International(HSI) のトロイ・サイドル氏の講演では、1960年代に確立した動物実験という試験の枠組みが、いまなお使われ続けていることが多くの疾患の治療法の確立を妨げてきたと指摘。これからの時代は、人間への影響を直接調べることのできる、ヒト生物学に基づいたモデルやツールを活用していく新たな枠組みが必要であり、動物愛護という観点を抜きにしても、動物実験という古い枠組みから脱却することが、結果的に人間の保健衛生の向上へとつながる、という力強いプレゼンテーションでした。
HSIは、世界最大の動物保護団体のひとつHSUS(Humane Society of the United States; 全米人道協会)のいわば姉妹団体で、動物保護団体でありながら専門的見地から動物実験の過ちとそれに代わる科学の確立を訴えており、またアジアンコングレスを後援するなど豊富な資金を駆使してこのような国際会議の開催をバックアップしています。

アジア圏での開発競争へ

アジアンコングレスは今後継続していくことが決まり、2018年には中国で、2021年には韓国で開催されることが決定しました。アジア地域が、国際標準となりつつある動物実験の廃止あるいは動物福祉の徹底という考え方をベースに、技術開発で欧米に拮抗する勢力へと成長していくことが期待されます。また、アジア諸国のなかでも、日本は早くからICATM(*3)など国際社会でプレゼンスを高めていました。その主導的地位を追い抜かれないようにするためにも、日本は技術開発そのものはもちろん、制度や予算など充実化が必要だと感じます。

 

  1. *1Replacement(動物を使用しない方法への置換)、Reduction(動物使用数の削減)、Refinement(実験技術の洗練による動物の苦痛軽減)のこと。1954年、動物学者ウィリアム・ラッセルと微生物学者レックス・バーチがUFAW(Universities Federation for Animal Welfare;動物福祉のための大学連合)から人道的な実験について検討するよう依頼を受け、1959年に「人道的実験技術の原則(The Principles of Humane Experimental Technique)」を著し、その中で「3Rの原則」を提唱した。現在さまざまな国際機関で実験技術の基準として採用されている。
  2. *2Adverse Outcome Pathways 個体または群に対する化学物質の暴露から、個体レベルまたは群レベルでの最終的な有害性の発現までの事象の経路を示したもの。(独立行政法人製品評価技術基盤機構「構造活性相関に関する用語集」より)
  3. *3International Cooperation on Alternative Test Methods;代替試験法国際協力会議。化粧品規制国際調和会議(International Cooperation on Cosmetic Regulation;ICCR)において2007年に設置された、動物実験代替法推進に向けた国際間のワーキンググループ。設置時は、日米欧カナダ、その後韓国が加入。

 


 

 

 

 

 

 

<日本動物実験代替法学会第29回大会>

『分子―細胞―個体の視点からの代替法』というテーマのもとに開かれた今大会。化粧品医薬品の代替法の動向、動物福祉をめぐる国内外各業界の動向という定番のセッションに加え、マイクロ流体デバイス技術などを用いた臓器や人体システムの観測という新しい技術展開、産業に応用できる化学物質の初期スクリーニング方法としての代替法技術、iPS細胞を用いた最前線の実用化研究など、単に「動物愛護意識の向上による動物実験の代替」というだけでなく、最先端科学としての動物を使わない技術開発という面が強く打ち出されてきていると感じました。「動物愛護」というと業界のモチベーションにはなかなかつながりにくいものですが、科学的側面、経済的側面からのニーズは、業界を動かす大きな原動力になるのではないでしょうか。
とはいえ、「動物愛護」「動物福祉」という観点は、「動物実験代替法」という研究分野のベースにきっちりと据え置かれなければなりません。JAVAは今後も市民団体としてしっかりとウォッチし、叱咤激励していく必要があると感じています。以下、動物福祉をテーマにしたセッション、「シンポジウム『個体の視点からの代替法』」での発表を中心にレポートします。

シンポジウム

■実験動物にも獣医学的ケアは必須
米国の場合、実験動物施設の第三者認証機関AAALACの認証を受けた研究機関では、動物実験を行う研究者とは別に、獣医師や動物看護師が立ち会い、実験動物の疾病やケガへの対処を行ったり、ときには苦しむ動物を人道的に死に至らせる役割を担っているということです。
こういった獣医学的ケアを含む具体的な「動物福祉」の担保は、日本では動物愛護法第41条で「できる限り(動物に)苦痛を与えない」と規定されているにもかかわらず、まだ日本ではまったくと言っていいほど普及していません。普及していないというどころかむしろ、「研究(動物実験)の過程で獣医にあれこれ口出しされたくない」という研究者(動物実験実施者)の意識が、獣医学的ケアを遅らせている原因ではないかと言われています。事実、動物実験推進派の意向を汲んで作られた文部科学省、厚生労働省、農林水産省の「動物実験の実施に関する指針」には、獣医師や動物看護師を実験に立ち会わせるといった条項は一切ありません。

■モノづくりが動物を救う
化粧品でもなく、医薬品でもない、「医療機器」という、動物実験が行われている分野があります。人工心臓やステントなど循環器系の人工臓器の開発にあたっての実験にはマウスやラットではなく大きな動物、主にヤギが使われています。
国立循環器病研究センター病院に併設された動物実験施設では、人工心臓の実験に年間30〜50頭のヤギが使われているとのことですが、この現場でも、動物を使わない方法の開発が模索されているとの報告がありました。
人工心臓などの医療機器の性能を評価するために開発された、「ラボハート」という心機能シミュレータ。この機械が誕生したことで、その施設で使われている動物数の約10分の1にあたる年間3〜4頭のヤギの犠牲を減らすことができたとのこと。1割弱というこの数字、少なく感じるかもしれません。でも確かに苦しまずにすんだ命があります。
人間を救うだけではなく、実験に使われてきた動物をも救う。このような、まさに「血の通った」モノづくりがもっともっと広がっていくことを心から期待します。
余談ですが、2年前に放映された阿部寛さん主演のTBSテレビドラマ「下町ロケット」の第二部ガウディ編は、人工心臓弁の開発がテーマでした。その随所にこのシミュレータが登場したのを思い出す方もいらっしゃるかもしれません。

■Refinementは究極のゴールではない
長年大会に参加していますが、折に触れて「代替法学会は動物実験が行われることを前提に3Rを普及させようという学術団体。JAVAのように動物実験廃止を訴えるのはなじまない」という批判を受けることがたびたびあります。また、Refinementの措置を行えば動物実験はどんどんやってよいといわんばかりの研究者もいます。もちろん、実験技術を改善することによって動物の苦痛を軽減するRefinement は、動物実験が行われている以上、しっかりと取り入れられていかなければならないことです。国際標準にもなりつつある獣医学的ケアの普及を妨害する動物実験推進団体などには、積極的に改善を求めていかなければなりません。でも見失ってはならないのが、究極のゴールは動物を使わないReplacementであるということです。その究極のゴールに向かう道のりのなかで必要な取り組みの一つがRefinement だと、JAVAは考えています。

ポスター発表

■インパクトより倫理を
和洋女子大学の管理栄養士養成課程に在籍する学生らによるポスター発表「動物実験実習における3R の学生評価と代替法開発の試み」が興味深かったのでレポートします。その内容は:

  1. 栄養生化学実験履修者132名を対象にアンケート調査を行い、3Rの評価と動物解剖模型やシミュレーションソフト(Rat Dissection)による教育効果について調べた。
  2.  また10名を対象として、生きたラットを殺して使う代わりに、ホルマリン代替保存液で処理されたラットの解剖についてアンケート調査を行った。
  3.  実験動物数の削減、動物の苦痛の軽減は「達成できた」「だいたい達成できた」と回答した割合はともに90%を超えた。
  4.  実験の予習としてのシミュレ―ション教材の使用は好評だったが、動物実験の代替法として考えた場合、78%が動物実験の学習効果より劣ると答えた。
  5.  ラットの解剖実験では、10名全員が、保存液処理されたラットでも、殺処分直後のラットの解剖と同等の教育効果が得られると回答。さらに実験参加のストレスが軽減するという意見が多かった。
  6.  3R教育の導入は、動物実験に対する意識と学習意欲を高めた。
  7.  殺処分直後の解剖を苦痛と感じる学生には、シミュレーション教材や保存液処理された動物の使用が実験実習の代替法として有効であると思われた。

発表者の学生いわく「自分たちの学年に、動物の解剖がイヤという声が多かったためシミュレーションの利用を考えた」とのことでした。指導教員によると、「シミュレーションで代替できると思っていたし学生もそう望んでいたが、結果は違った。解剖の知識はシミュレーションで学べても、さきざき栄養士になって栄養指導をすることを考えると、本物(※動物)が必要なところもあると感じた。人体実験は倫理的にできないので、脂肪のつき方などは動物で実物を見るしかない。実物はインパクトが大きく学生の反応が違う。」とのこと。一方、「この研究によって命に対する考えが変わって、ラットを丁寧に扱うようになった」ともお聞きしました。
医学部、薬学部、獣医学部など生命科学系の学部だけでなく、栄養学、家政学などにまつわる課程でも動物実験が行われているという実態があります。そんななか、動物実験代替法学会での研究発表に踏み切ってくれた指導教員と学生たちの存在に勇気づけられます。「解剖はイヤ」という率直な気持ちから始まった倫理的な検討によって、学生たちが動物を丁寧に扱うようになったという変化は、いままでは丁寧ではなかったのかという指摘はさておき、歓迎すべき変化だと思います。一方、動物の犠牲より学生へのインパクトを重視するような考察は残念です。そもそも栄養学は人間のための栄養学であって、ラットではなく、疫学的手法を用いてヒトの画像を比較検討するなどの方法を採用すべきです。ぜひとも次のステップを踏み出されることを期待します。

教育講演

■倫理は時代によって変わる
大会最終日(18日)には、会場となった九州大学大学院の笹栗俊之教授による「人体実験の倫理」と題した教育講演がありました。
戦時中には、ナチス、マンハッタン事件、九州大学生体解剖事件、七三一部隊など、非倫理的と言われる多くの人体実験が行われてきました。ナチス・ドイツの人体実験への反省からニュルンベルク綱領(*4)、ヘルシンキ宣言(*5)を経て、人を対象とした臨床試験についての研究倫理が構築されてきましたが、同氏は、著書『利己的遺伝子(Selfish Gene)』が有名な進化生物学者で動物行動学者であるリチャード・ドーキンスの「動物は苦痛を遮断する能力がない、その能力を与えなかったのだから神はいない」という言葉を引き合いに出し、したがって人間は科学の力でその苦痛を回避しなければならない、と動物実験倫理の必要性を説きました。
宗教の是非論は別として、人間も含めた動物の苦痛を回避しようという試みは、まさに現代の人間に課せられた倫理的課題です。少し前までは公然と行われていた人体実験がいまやだれもが非倫理的だと答えられることを考えると、いずれ動物実験も決して行ってはならない非倫理的なものとなるはずだと確信します。その日が一日も早く訪れるようにするためには、いま動物実験に反対する私たちが声を上げ続けていくことではないでしょうか。

  1. *41947年に、ニュルンベルク裁判の結果として提示された、研究目的の医療行為(臨床試験及び臨床研究)を行うにあたって厳守すべき10項目の基本原則のこと。(Wikipediaより)
  2. *5ナチスの人体実験の反省より生じたニュルンベルク綱領を受けて、1964年6月、フィンランドの首都ヘルシンキにおいて開かれた世界医師会第18回総会で採択された、医学研究者が自らを規制する為に採択された人体実験に対する倫理規範。正式名称は、「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」。(Wikipediaより)

学会からJAVAに感謝状

JAVAは1997年から、日本動物実験代替法学会の賛助会員に登録しています。今回、長年、同学会の運営と3Rの推進と普及に貢献したとして、大会最終日にJAVAに対して感謝状が贈られました。
理事長の代理として感謝状を受け取った事務局長の和崎聖子からは、「当会が市民団体で唯一の賛助会員。今後も、市民団体ならではの協力をさせていただきたい」と挨拶しました。

 

来る11月25日 当会理事が座長を務めて市民講座を行います!
今から予定に入れてぜひご参加ください!

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日本動物実験代替法学会第30回大会
市民公開講座日時:2017年11月25日(土)10:15~12:15
※大会会期は11月23日(木・祝)~25日(土)
会場:大田区産業プラザ(PiO) 〒144-0035東京都大田区南蒲田1-20-20
タイトル:動物実験の1R(代替)を目指して
※大会テーマは「レギュラトリーサイエンスと3Rs」
座長:東さちこ(PEACE代表)、亀倉弘美(JAVA理事)

動物実験の代替を進めるために、行政、アカデミア、マスコミなど各界からパネリストを招いて活発な議論を展開したいと思います。市民公開講座のみ、無料でご参加いただけますのでぜひお越しください。

JAVA、代替法研究費を助成

JAVA、初のアジア大会で代替法研究費を助成
韓国の若手研究者に

アジアンコングレス2016において、JAVAは若手研究者の代替法研究に15万円を助成しました。
選考の末、この「JAVA賞」を受賞したのは、韓国・ソウル大学校薬科大学のSae on KIMさんのグループ。
化粧品などのパーソナルケア用品では、アレルギーを引き起こす可能性があるかどうかのテスト(皮膚感作性試験)が行われていますが、この分野では、従来の動物実験のほか、代替法として採用されているのが、動物の苦痛軽減というRefinementに基づいた試験法であり、この試験では結局のところモルモットなど動物が使われています。
KIMさんらの研究では、動物をいっさい使わずに、ヒトの不死化角化細胞であるHaCaT ケラチノサイトを用いたアプローチを行っています。
新しい代替法の開発といっても、一朝一夕にできるものではありません。多くの時間とお金がかかります。動物実験の廃止への一助となるよう、JAVAもできる限りの研究支援を行っていきたいと考えています。

 

▼助成した研究プロジェクトの詳細▼

HaCaT ケラチノサイトにおける皮膚感作性試験代替法
生物指標としての血管内皮増殖因子(VEGF)の予備的評価
Sae on KIM

 化粧品に警告表示や安全に使用するための注意書きがあるのはなぜか、疑問に思ったことはありませんか。化粧品などには、私たちの体にとって異物となる化学物質が含まれており、その多くは、肌に触れるとアレルギー反応を誘発する可能性があるからです。化粧品や歯磨き粉、石鹸などのパーソナルケア商品に含まれる金属成分によって発疹が出る人がいることはご存じだと思います。あるいは、特定のメイクアップ用品をつけた時だけかゆみを感じたり、つけた部分が熱を持ったりした経験のある方もいるでしょう。これらは、皮膚感作性と呼ばれる症状の代表的な例です。

 皮膚感作性とは、特定の化学アレルゲン(アレルギー誘発物質)に繰り返し触れることで起きるアレルギー反応の一種で、化粧品、日焼け止め剤、家庭用品などの原材料に含まれる物質によって引き起こされることがあります。上記の商品に用いられている化学物質の多くは、使用量やそれに触れる度合い等にもよりますが、なんらかのアレルギー反応を誘発する可能性があります。アレルギー反応が起きるまでには、 感作相(かんさそう)(誘導相とも呼ばれます)と惹起相(じゃっきそう)のふたつの過程があります。感作相では、初めて化学アレルゲンと接触することで増感し、体に免疫記憶が形成されます。2番目の惹起相では、前に触れたことのある化学物質に再び触れることで、アレルギー性過敏症反応が誘発されます。

 『化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS) 』によると、皮膚感作物質の定義は、「臨床試験により、接触によるアレルギー反応誘発の可能性が証明できるもの」となっています。しかし、化学物質の皮膚感作性の有無を確認するために、動物実験が頻繁に行われています。潜在的な皮膚感作性を見極める方法として推奨され、実際に行われている方法として、局所リンパ節試験(LLNA)とモルモットマキシマイゼーション法(GPMT)があり、それぞれマウスとモルモットを使用します。動物への苦痛が軽減されてきているとはいえ、生体実験(in vivo)であることに変わりはありません。

 私たちが研究している新しい皮膚感作性試験の代替法では、物質が生体にもたらすメカニズム(作用機序)に着眼し、血管内皮増殖因子(VEGF)を生物指標(バイオマーカー)としました。血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管形成とリンパ管形成を調整する働きがあり、サイトカイン・ネットワークのインターロイキン-8(IL-8)に関係していることが分かっています。インターロイキン-8(IL-8)は、多様な免疫細胞によって作られるケモカインで、化学物質の潜在的な皮膚感作性を調べるための試験、インターロイキン-8ルシフェラーゼアッセイで使用されています。私たちは、16の代表的な化学感作物質が、正常ヒト初代表皮細胞(NHK)内における血管内皮増殖因子(VEGF)とインターロイキン-8(IL-8)の発現にどう作用するかを調べました。そして、16の化学感作物質のうち14が、正常ヒト初代表皮細胞(NHK)内の血管内皮増殖因子(VEGF)またはインターロイキン-8(IL-8)、あるいはその両方の値を著しく増加させることを発見しました。しかし、皮膚感作性の検証に、正常ヒト初代表皮細胞(NHK)を使用する方法には、限界があります。外的刺激や毒性刺激が異なると、正常ヒト初代表皮細胞(NHK)の生物学反応も変化するからです。この変化は、予備試験用に表皮組織を提供してくれたボランティアの人たち生物学的反応の違いからくるものです。 

 この可変性を補うため、正常ヒト初代表皮細胞(NHK)の代わりに、不死化角化細胞のHaCaT細胞を使えないか調べてみました。綿密に調べた結果、HaCaT細胞が、皮膚感作性が疑われる物質と刺激物に反応し、血管内皮増殖因子(VEGF)またはインターロイキン-8(IL-8)、あるいはその両方を作り出す事実を発見しました。皮膚感作性が疑われる物質と刺激物は、報告書や文献、『OECDテストガイドライン429』、欧州式光貼付試験をもとに選びました。HaCaT ケラチノサイト内で誘発した血管内皮増殖因子(VEGF)は少なかったものの、局所リンパ節試験では陰性だったヒト感作性物質の塩化ニッケルが、血管内皮増殖因子(VEGF)とインターロイキン-8(IL-8)の発現を大きく変化させました。

 この研究により、血管内皮増殖因子(VEGF)とインターロイキン-8(IL-8)が、細胞を基盤としたモデルにおいて、化学物質が持つ潜在的な皮膚感作性の評価に、生物指標として使用できることが分かりました。私たちの研究が、科学分野の研究で使用される動物たちの苦痛の軽減(Refinement)、使用数の削減(Reduction)、そして代替法の採用(Replacement)の必要性に対する意識を高める一助になることを希望するとともに、私たちが手本を示すことで、皮膚感作性試験に、より多くの代替法が採用されることを願っています。

JAVA賞・発表スライド

発表スライドより


Preliminary Evaluation of Vascular Endothelial Growth Factor as a Biomarker for Alternative Skin Sensitization Test in HaCaT Keratinocytes
Sae on KIM

 Have you ever wondered why consumer products are provided with warning labels and directions for safe use? Chances are that many of the foreign chemicals found in such items are capable of inducing an allergic reaction upon skin contact. Perhaps, you have noticed that some individuals develop rashes from metals found in personal care products, or have experienced itching and burning sensation after applying certain types of makeup. These represent some common examples of what is known specifically as skin sensitization.
 Skin sensitization is a type of allergic response that results as of repeated exposure to a particular chemical allergen, and can be induced by substances found as ingredients of cosmetics, sunscreens, household products, and more. Depending on the dose and extent of dermal exposure, many of the chemicals in use have, to some degree, the potential to induce an allergic reaction. The events leading up to this process occur in 2 phases, and comprises of sensitization (also referred to as induction) and elicitation. In the first phase, the initial contact with a chemical allergen generates a sensitization process, in which the individual develops immunological memory. Following, in the second phase, an allergic hypersensitivity response is elicited upon re-exposure to the same chemical sensitizer.
 The Globally Harmonized System for Classification and Labeling of Chemicals (GHS) defines a substance as a skin sensitizer if there is clinical evidence indicating that it has the potential to cause an allergic response upon contact. Frequently, however, the method used to evaluate a chemical’s skin sensitization potential involves animal testing. Examples of some preferred and accepted methods for the assessment of skin sensitization potential include the Local Lymph Node Assay (LLNA) and Guinea Pig Maximization Test (GPMT), which involve the use of mice and guinea pigs, respectively. Although the assays have been refined to minimize harm to animals, they are still performed under in vivo conditions.
 The main objective of our research was to discover a novel mechanism-based alternative method for testing skin sensitization using vascular endothelial growth factor (VEGF) as a biomarker. VEGF is involved in the regulation of angiogenesis and lymphangiogenesis, and is known to be associated with interleukin-8 (IL-8) in a cytokine network. IL-8 is a chemokine produced by various types of immune cells, and is used in the Interleukin-8 Luciferase assay to evaluate the skin sensitization potential of chemicals. In our study, we tested the effects of 16 referenced chemical sensitizers on the expression of VEGF and IL-8 in primary normal human keratinocytes (NHKs). We found out that 14 of the 16 chemical sensitizers significantly increased VEGF and/or IL-8 expression in NHKs. However, the use of primary human keratinocytes for skin sensitivity validation studies is limited. The biological responses of human keratinocytes to different external and toxic stimuli are generally variable, and this is due to differences in the biological responses amongst the volunteers that donate their epidermal tissue for the prevalidation studies.
 In order to compensate for the variation, we evaluated the feasibility of HaCaT cells, immortalized human keratinocytes, as an alternative to primary human keratinocytes. Following a thorough investigation, we found out that HaCaT cells produced VEGF and/or IL-8 in response to potential skin sensitizers and irritants, which were selected based on reports in literature, OECD Test Guideline 429, and Scandinavian photo patch. Although fewer sensitizers induced VEGF production in HaCaT keratinocytes, nickel chloride, a human sensitizer resulting in a negative result using the LLNA method, significantly changed VEGF and IL-8 expression.
 In this study, we found out that VEGF and IL-8 can be used as biomarkers to assess the skin sensitization potential of chemical substances in cell-based models. We hope that our work can increase awareness about the need for refinement, reduction, and replacement of animals in scientific research, and that we could possibly set an example for others to adopt more alternative methods for testing skin sensitization.

<欧米>多くの鳥も研究と実験に使われている

多くの鳥も研究と実験に使われている(欧米)

実験に使われる動物はげっ歯類や霊長類が代表的であるが、実は鳥類も数多く使用されている。米国では、鳥類は「動物福祉法」の適用外であるため統計はないが、毎年60万羽以上が使用されていると推測される。

一方、EUでは2011年に675,000羽が使用され、これはEU内の全実験動物数の5.9%にあたる。それらのほとんどが動物の基本的な性質を調べるための生物学的研究に使用された。たとえば、鳥に装置を埋め込み飛行中の呼吸器内の空気の流れを調べたり、脳の一部を損傷させて、さえずりの発達への影響を調べる研究などがあった。また、医学・獣医学用の製品と医療器具の研究、開発、品質管理にも多くの鳥が使われ、その中の89%は家禽の病気、とりわけ鳥インフルエンザの研究に使用された。

それ以外では、人間や動物用薬品、農業用物質、飼料の添加物の毒性や安全性を調べる試験には、17,000羽以上が使われた。これらの試験には、試験物質を高用量投与する急性、亜急性試験といった鳥たちに大きな苦痛を与える実験も多く含まれている。

実験に使われる鳥たち

 AV Magazine(American Anti-Vivisection Society) Issue 1, 2016: Birds in Research and Testing

子ども向け科学講座で「ブタの臓器の解剖」

<東京・渋谷区> 子ども向け科学講座で「ブタの臓器の解剖」
二度と行わないよう働きかけを!

東京都渋谷区にある「こども科学センター・ハチラボ」で7月10日(日)、ブタの臓器を解剖する講座が行われました。ハチラボは、子どもにさまざまな科学実験などを体験させる渋谷区が運営する施設です。
JAVAは実施前に中止を求めましたが、渋谷区は強行し、廃止する考えもありません。


区報に出ていた講座の告知

●ハチラボ講座「ブタの臓器・器官から読み解くヒトの体のつくり」

[用いたブタの部位]心臓、肺、腎臓、肝臓、胆のう、舌、食道、胃、小腸
[入手方法]卸問屋から購入
[部位ごとの使用数]各5組
[目的]ヒトの臓器や器官のつくりやしくみについて、ブタの臓器・器官から学ぶ。
[内容]講座や実験の概要を説明⇒各臓器を観察したり、実際に触ってみる⇒ワークシートに記入⇒各臓器を廃棄
定員 15人(抽選)

実施した解剖講座の詳細(JAVAが渋谷区から得た情報)

日時 7月10日(日) 14:00~16:30場所 こども科学センター・ハチラボ
内容 ブタの臓器や器官を観察し、呼吸や消化の仕組みを学ぶ
講師 都立小山台高校教諭 飯塚慎氏
対象 在住・在学の小学校6年生~中学生(中学生優先)
定員 15人(抽選)

死体・臓器の解剖にも問題がある

「死体・臓器の利用」であれば、その動物に痛み、苦しみ、恐怖を味わわせるといった問題はありませんが、その動物たちは寿命をまっとうしたのではなく、人間によって殺されたことをまず考えなければならないでしょう。死体を解剖するということは、その前段階において、その生き物を殺す行為(今回の場合は食用のためにと畜された)が必ず必要になるわけです。つまり、死体の解剖を良しとするなら、生き物を殺す行為をも容認することになるのです。

ましてや、小中学生のような多感な時期の子どもが、高校教師の指導で行われる区の講座に参加したら、「食べているものなんだから、感謝すれば何をしてもよい」「動物の体を解剖するのはよいこと」という誤った認識を持ちかねません。そういう認識を持ってしまったら、子どもたちは弱い立場の動物を慈しむ気持ちに蓋をするようになり、殺すことや切り刻むことに無感覚になることが懸念されます。そして、「自分でカエルや魚を捕まえて解剖してみよう」「車に轢かれた猫の死体を解剖してみよう」と考える子どもが出てくる可能性もあり、今後、どのようにエスカレートするか計り知れません。

さらに、近頃、人間の遺体をバラバラにして棄てるといった猟奇的な犯罪が多発しています。それに関して、評論家などは、人々の道徳心が希薄になり、遺体への畏敬の念が薄れてきたため、と指摘しています。死んでいるのだから何をしてもよいという感覚は、命を軽視することに繋がるものであり、極めて危険な発想です。 渋谷区の解剖実習はつまり、そのような恐ろしい考え方を子どもたちに教えているのも同然であることを区は理解すべきなのです。

区は解剖を強行

JAVAでは、渋谷区長に対し、死体・臓器の解剖の問題点を指摘し、事前に講座の中止を求める文書を提出しました。しかし、JAVAに対する渋谷区の回答は、次のようなJAVAが指摘した問題点に答えていないばかりか、到底納得できるものではありませんでした。そして、解剖講座を強行したのです。

★渋谷区要望回答

区の回答に対するJAVAの反論

【反論①】  「学校では経験できないことを経験させる」ために解剖をさせることは、教師の信念を否定する
区長の回答は、「最近は、解剖実習を行う学校が減ってきている。だからハチラボで体験させる」と解釈できます。動物愛護意識が徐々に向上し、また教育現場で命の大切さを教えることの重要性が言われてきて、それが解剖実習の減少につながっていると考えられます。減ってきているから、あえて体験させるというのは時代錯誤もいいところです。
どのような方法で動物の体の仕組みを学ばせるかは、学校・教師が決めることができますが、なかには「子どもたちに、解剖のような行為をさせたくない」という高い倫理観をもって解剖をあえてさせていない教師もいます。そのような学校・教師の方針を、この講座は否定し、侵害するものです。

【反論②】 解剖ではない「理科離れを食い止めるための見て、触れての体験」はさまざまある
理科離れが指摘されていて、その対策として、「観察や実験に力を入れる」ことが国の方針でも出されています。
講義を受けるより、子どもたちは実際に観察・実験することに興味を示すでしょう。だからといって、解剖をさせてよい理由にはなりません。
生物分野の「観察・実験」なら、たとえばフィールド観察にて、野生動物たちがたくましく、懸命に生きる姿や植物の成長を観察させたり、人間の骨格やその動きを講座の参加者同士で動かしながらお互いに学んだり、学校では持っていないような学習ソフトや顕微鏡を使わせるなどの体験もできます。
子どもたちに解剖をさせる行為については、「解剖体験のショックから、科学の道に進もうという意欲をそぐことにもなりかねない」と指摘する論文もあり、子どもたちの理科離れを防ぐどころか、加速させてしまう恐れもあるのです。

【反論③】 解剖をして「医学・生物学分野への関心をもつきっかけになる」は疑問
高齢女性を惨殺した名古屋大学の女子学生は理学部に属していました。同級生を殺害した佐世保市の女子高生は、さまざまな小動物を解剖し、人間の解剖にも興味を持っていました。
「子ども達が医学・生物学分野への関心をもつきっかけになることへの期待を含めて開催する」と渋谷区は主張しています。子どもが「生物学の勉強をして世の中の役に立つ研究をしたい」「医者になって病気の人を助けたい」と思うきっかけは、苦しんでいる人、困っている人のことを知ったり、そういった人と接しているうちに湧いてくる熱意ではないでしょうか。解剖を体験して「生物学系・医療系に進みたい」と考えるようになった子どもの場合、「今度は生きた動物を解剖したい」「人間でやってみたい」という考えを持つ危険性を孕んでいると言っても過言ではありません。

これまでの医学研究の歴史においては、ブタは多く使われてきました。だからといって、子どもたちにブタの臓器を解剖させる必要性は全くなく、そればかりか医学研究においても動物を使用しない方法の開発・採用が進められています。
また、米国・カナダにある197の医学校すべてが生きた動物を使用したカリキュラムをなくしたなど、医学教育分野でも動物を犠牲にしない努力が進められており、この講座は時代に逆行しているとも言えます。

廃止に向けて、アクションを!

渋谷区の回答や解剖を強行したことを受けて、JAVAは区に解剖の問題点を厳しく追及をしたところ、今度は不都合な質問には答えないという対応をしてきました。これからも廃止に向けて追及を続けていきます。
皆さんからも、「動物もその死体も臓器も使う講座はやらないで」といった声を渋谷区やハチラボに届けてください。

 

<長谷部健 渋谷区長>
〒150-8010渋谷区渋谷1-18-21
区長への手紙専用FAX:03-5458-4900
区長への手紙メールフォーム

<区の担当部署>
渋谷区教育委員会 生涯学習振興課 生涯学習係
〒150-0042渋谷区宇田川町5-2 渋谷区役所 神南分庁舎
電話:03-3463-3049 FAX:03-3463-3822

<解剖を実施する施設>
こども科学センター・ハチラボ
〒150-0031渋谷区桜丘町23-21 文化総合センター大和田内
電話:03-3464-3485 FAX:03-3464-4785

<米国・カナダ>すべての医学校で生きた動物を使う実習が廃止!

アメリカとカナダのすべての医学校で生きた動物を使った実習が廃止される!

ジョンズ・ホプキンス大学医学校に続き、テネシー大学医学校も動物の使用を中止した。この結果、アメリカとカナダにあるすべての医学校の実習で、動物が使用されることがなくなった。

米国の動物実験に反対する医師・科学者の団体PCRM(責任ある医療のための医師委員会)は30年以上、医学校での実習で動物を使用することを止めさせるキャンペーンを展開してきた。1985年にPCRMが設立された当時は、ほとんどの医学校は、病気の治療法を熱心に学びたいと望んでいる学生に対し、動物の体を切り開く外科手術や、薬の反応を見るために犬たちにさまざまな薬を注射するなどの実習をやらせ、動物を殺すことを要求していた。多くの学校では、このような実習に参加しなかった学生は罰せられたり退学させられたりしていた。

今回の成果で、アメリカとカナダのすべての医学校で、学生は動物を傷つけることなく医師の資格を取ることができるようになった。

PCRM: All Medical Schools END ANIMAL USE for Trainin

The Washington Post: One last U.S. medical school still killed animals to teach surgery. But no more.

<米国>「動物実験を最小限に」―有害物質規制法改正!

「動物実験を最小限に」―有害物質規制法が改正される!
米国政府、行動を起こす!

2016年6月22日、新しい化学物質の安全に関する法律にバラク・オバマ大統領が署名した。動物実験に対する画期的な非難を組み入れたこの改正法を動物保護団体は称賛している。
上下両院の賛成を得てオバマ大統領が署名した改正有害物質規制法(TSCA)は、動物実験の削減をさらに促進させる次のような条項が盛り込まれている。
アメリカ連邦議会はEPA(米国環境保護庁)に対し、この法の制定日から2年後までに脊椎動物を用いた試験の削減と苦痛軽減と代替試験について、方法や戦略の開発と実施を促進する戦略計画を提出することを命じている。また、計画書作成から5年後以降、5年ごとにその計画の実施と進歩、今後の代替試験の方法と戦略の実施目標について記載した報告書を連邦議会に提出することも指示している。さらにこの法は、EPAが脊椎動物を使用した実験をするよう要求する前に、既存の毒性学の情報と代替試験を用いることによって、脊椎動物を使った実験を行わない方法をまず検討することも命じている。
動物実験は、コストが高く、試験に時間がかかり、ヒトへの影響の予測性が低いことが多い。「この改正法は、アメリカ連邦議会が動物実験を最小限に抑え、代替法の開発とその使用のための戦略を優先することを初めて明確にしたものだ。またこの改正法は、化学物資、殺虫剤、バイオサイド*、化粧品などのリスク評価あるいは安全性確認における動物使用からの脱却の動きを加速するであろう。」と米国の動物保護団体HSUS(全米人道協会)の会長兼CEOであるウエイン・パーセル氏は述べた。
*工業製品の微生物汚染を防ぐ薬剤(防腐剤、防かび剤、防虫剤など)

The Huffington Post: The U.S. Takes Action to Minimize Animal Testing
One Hundred Fourteenth Congress of the United States of America

<米国>禁酒で胎児性アルコール障害は防げる

禁酒で胎児性アルコール障害は防げる (米国)

アメリカでは、20人に1人の子どもがFASD(胎児性アルコールスペクトラム障害)児とされており、心臓や肝臓の障害、脳のダメージ、行動障害や知的障害などを発症する可能性がある。NIAAA(米国立アルコール乱用・アルコール症研究所)は、ミミズから霊長類までを使ったFASDの研究に1,500万ドル(約15億円)以上を使っているが、この実験データをヒトのFASD患者に当てはめることはできず、この複雑な病気を理解するために行われる動物実験が役立っていない。英国の医学雑誌 「ザ・ランセット」 に最近掲載された127の研究から、FASD患者は428の病気を併発し得るということが分った。
近年、APHA(米国公衆衛生協会)は、動物ではなくヒト生物学に焦点を当てていくべきだという方針を出しており、PCRM(責任ある医療のための医師委員会)も協力している。CDC(米国疾病管理予防センター)はFASDを防ぐ最適の方法は妊娠中の禁酒であるという勧告を出している。

Good Medicine (Physicians Committee for Responsible Medicine) Spring 2016/vol. xxv, No.2:
Could Human Intervention Studies Prevent Birth Defects?

学校から解剖実習をなくそう!in アースデイ東京

学校から解剖実習をなくそう!キャンペーン
アースデイ東京2016でアクション展開

4月23日(土)と24日(日)に東京・代々木公園で行われた「アースデイ東京2016」。JAVAは毎年のようにブース出展して、動物実験の実態を伝えるパネル展示などをやっています。
今年は、「学校から解剖実習をなくそう!キャンペーン」の次の新しい3つのアクションも実施しました。

4月23日(土)と24日(日)に東京・代々木公園で行われた「アースデイ東京2016」。JAVAは毎年のようにブース出展して、動物実験の実態を伝えるパネル展示などをやっています。
今年は、「学校から解剖実習をなくそう!キャンペーン」の次の新しい3つのアクションも実施しました。

 

1.文科大臣へのハガキアクション2016アースデイ解剖1
「学校から解剖実習をなくして!」という声を文部科学大臣に届けていただくハガキアクションを開始しました。
JAVAが作成したハガキに署名をしていただくもので、この2日間で127名の方からのハガキをお預かりして、JAVAが責任を持って投函いたしました。

 

 

 

2.「解剖反対」の気持ちを❤シールでアピール2016アースデイ解剖2
できる限り大勢の方々に参加していただくことを願って、「解剖に反対の気持ちをもってくれたら、シールを貼って!」という簡単なアクションも行いました。
写真のように、ハート型のシールに名前を書いてもらい、「学校から解剖実習をなくして!」ボードに貼ってもらうというものです。どんどんとボードがシールで埋め尽くされる様子をアースデイの会場からJAVAのフェイスブックに投稿して、このアクションやキャンペーンを広くアピールしました。

 

 

3.「カエルにやさしさを」 解剖反対アピール風船をプレゼント2016アースデイ3
アースデイの会場は広く、200以上のブースが立ち並ぶため、いかにJAVAのブースに寄ってきてもらうかが鍵になります。家族づれも多く訪れるイベントであることから、“❤シールでアピール”に参加してくれた子どもたちにハート形の風船をプレゼントしました。
市販のハート型の風船の表面に、キャンペーンマスコットのカエルのイラストと「ボクたちにやさしさを 学校から解剖実習をなくそう!」とのメッセージが書いてあるラベルを貼って、「解剖反対」をアピールした風船にアレンジ。たくさんの子どもたちが寄ってきてくれて、❤シールアクションに参加してくれました。また保護者の方たちにはパネルを見てもらったり、ハガキアクションに協力していただきました。
さらに風船を持って会場内や帰り道を歩いてもらうことで、キャンペーンアピールもしてもらえるという効果も発揮しました。

市立船橋高校で、小・中学生向け解剖講座

生命を尊ぶ態度を学ぶ!?
市立船橋高校で、小・中学生向け解剖講座

夏休みには子ども向けのさまざまなイベントが開催されますが、千葉県船橋市立船橋高等学校では、小・中学生を対象にした生き物の解剖講座が行われ続けています。

動物を使った講座だらけ

2015年7月上旬、船橋市立船橋高等学校(以下、船橋高校)のウェブサイトや「広報ふなばし(7月1日号)」に、同校が7月29日~8月1日に開催を予定している下表の公開講座の案内が掲載されていることが、船橋市民の方々の通報で発覚しました。講座の内容は、魚、節足動物、イカ、ブタの臓器を使った解剖に、ミジンコ、ウミホタル、ダンゴムシを使った実習など、生き物を使ったものがほとんどです。

開催日

対象

内容

7/29

小学1~3年生

 顕微鏡でミクロの世界を探検しよう

小学4~6年生

 ミジンコやウミホタルを観察しよう

7/30

小学1~3年生

 魚のからだをしらべよう

小学1~3年生

 葉脈標本をつくろう

7/31

小学1~3年生

 ダンゴムシのひみつ

小学4~6年生

 節足動物のからだのつくり

8/1

中学1~3年生

 魚になりたかった軟体動物~イカの解剖と寄生虫~

中学1~3年生

 ブタの解剖と脳の観察~眼や耳の微細構造~

船橋高校では、これまで毎年のように同様の講座を開催しており、同校のウェブサイトには、4年前は節足動物のエビを解剖したことの報告が、3年前と一昨年は魚やイカの体を切り開く小・中学生の写真が掲載されています。
船橋高校は、「死体や臓器なら、殺すわけではないので実習に利用しても問題ない」などと考えているのでしょう。たしかに死体・臓器の利用であれば、その動物に痛み、苦しみ、恐怖を味わわせるといった問題はありません。しかしJAVAは、死体であっても、動物の体を切り刻む「解剖」という残虐行為には、子どもたちの心に悪影響を及ぼす等、多くの重大な問題点があると考えています(JAVAが主張する解剖実習を廃止すべき理由参照)。

船橋高校、聞く耳なし

JAVAはすぐさま船橋高校と、この学校を運営する船橋市に対して、解剖実習の問題点を指摘した上で動物を用いた公開講座の中止を強く要請しました。
しかし、船橋市教育委員会と船橋高校の連名で届いた回答は、「本講座は例年たいへん好評」と自画自賛し、JAVAの問題指摘に耳を傾ける姿勢すらなく、今後も解剖講座を続けるとしています。

  • 実習に際しては、動物愛護や生命尊重の理念は当然のごとく強く受講生に訴えるものであり、生命軽視や好奇心を満たす道具に供するという指摘はまったく当たらない。
  •  解剖実習が犯罪の契機になるという指摘は、動物愛護・生命尊重の精神を正しく学習した場合には考えにくく、本講座においてはまったく当たらない。

これは、動物愛護や生命尊重を正しく教えなければ、解剖は子どもに悪影響があると教育委員会と学校が認めていると読み取れます。しかし、仮に実習前に動物愛護や生命尊重など正当なことを児童生徒に教えたとしても、生き物を切り刻む解剖実習を行ってしまえば、それらはすべて打ち消されてしまうことになります。なぜなら、解剖実習は動物愛護とは正反対のものであるからです。

  •  用意される教材はすべて市場で購入できる商品であり、食用として流通しているもの。食育にも直結する本講座の内容は、まさに生命を尊ぶ態度を学ぶことを主眼として展開するもの。

内閣府の「第2次食育推進基本計画」には「基本的な取組方針」として、「『もったいない』という精神で、食事ができることに感謝の念を持つことは、食育の極めて大切な要素である。(略)動植物の命を尊ぶ機会となるような様々な体験活動や適切な情報発信等を通して、自然に感謝の念や理解が深まっていくよう配慮した施策を講じる。」と記されています。食用として売られていた魚、イカなどを解剖に用いることは、食べ物を無駄にし、粗末に扱うことになります。
そして、解剖は「生命を尊ぶ態度を学ぶ」ことになるのでしょうか。もしそうならば、保健所で殺処分された犬猫の死体を解剖させるなどすれば、生命を尊ぶ態度を学べることになってしまいます。しかし、そのようなことは決して許されることではないのです。
本当に生命を尊ぶ態度を学ばせる講座にするなら、フィールド観察にて野生動物たちがたくましく、懸命に生きる姿を見せたり、犬猫等の動物の保護施設にて世話の体験をさせるなど、方法はいろいろあります。それなのに、なぜ解剖なのか、船橋高校の命に対する感覚を疑います。

「動物は使わない公開講座を!」の声を

高校の公開講座という機会を設け、地元の小・中学生や地域の住民が学んだり、交流を持つことは意義があることだと思います。しかし、そこにどのような講座を設定するかは講座を開催する学校側がもっと神経を使う必要があり、判断を間違えば「その講座は子どもたちに悪影響を与えかねない」という世間のそしりは免れません。船橋高校でこれまで行われた公開講座の中には、読み聞かせや、体力テスト、パソコン講習などもあります。動物を用いなくても公開講座はできるのです。「動物を使った公開講座は必要ない」、「次回からは、動物を使った講座は行わないように」と皆さんからも声を届けてください。

船橋市立船橋高等学校
校長:赤熊一英
〒273-0001千葉県船橋市市場4-5-1
TEL:047-422-5516 FAX:047-422-9129

<船橋市長 松戸徹>
〒273-8501 千葉県船橋市湊町2-10-25
TEL:047-436-2784(市民の声を聞く課)FAX:047-436-2789(同課)
市政への意見・要望メールフォーム(船橋市のサイトが開きます)

キッコーマン、動物実験を廃止!

世界でも有名な醤油メーカーである日本のキッコーマン(Kikkoman)は、醤油や豆乳など古くから日本人になじみの深い食品をはじめ、様々な食材の健康効果を証明するために、おびただしい数の動物実験を行ってきました。

キッコーマンに対し、これらの残酷な動物実験から、人道的かつ科学的にも有効な代替法への転換を求めてきた米国動物保護団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals; 動物の倫理的扱いを求める人々)と、協力して、JAVAでも2015年10月からキャンペーンを開始。
このキャンペーンが成功して、2016年1月、キッコーマンから動物実験廃止の回答を得ることができました!

詳細は、↓こちらのページをご覧ください。
キッコーマン:醤油や豆乳のために動物を犠牲にしないで!

Kキャンペ-ンロゴ

日本動物実験代替法学会第28回大会報告

「考・動物実験代替試験法の今とこれから」
-日本動物実験代替法学会第28回大会・横浜の報告-

2015年12月10日(木)~12日(土)/ワークピア横浜

毎年この時期に開催され、最新の代替法に関する研究が発表される大会です。
今回は、違う講演が同じ時刻に行われるということはなく、3日間をとおして、ひとつの会場にて行われました(ポスター発表公演は別会場)。これは、今大会のテーマに則し「参加者全員が講演について議論することを通して、代替試験法開発の現状と将来について考える場を提供する」ためのものでした。参加する立場からすると、やや縮小されたようにも感じられましたが、まだ小さな学会においては、同じ情報を共有することが非常に大事なことと思え、よかったように思いました。


「日本動物実験代替法学会第28回大会・横浜」のWebサイト

講演は、新規局所毒性代替法試験のバリデーション試験の現状紹介、一般毒性試験のための毒性学、ES/iPS細胞や組織工学手法、動物福祉の国際動向など40近くありましたが、以下にふたつを紹介します。

公開された毒性試験のデータベースHESSを活用
動物を使わずに反復投与毒性を予測する

一般社団法人日本化学工業協会は、LRIという化学物質の評価研究事業を日米欧の化学工業会で協力して行っており、その年間助成額は民間では最大の10億円以上にのぼるとのこと。それらの中から反復投与毒性の予測に向けた新たな取り組みについて次のような発表があった。
「化学物質の安全性評価における製品開発の効率化や動物愛護の観点から、代替法開発が強く求められている。REACH規制やEUの化粧品の実験禁止もある。しかし沢山の動物を使用し、検査項目が多く、求める結果(エンドポイント)も多彩である反復投与毒性試験に関しては、代替法の開発は全く進んでいない。反復投与毒性の標的臓器・組織が複数であること、作用機序も様々であることなどが理由として考えられる。いわゆる代替法であるin vitro試験だけでは反復投与毒性の予測は困難で、構造活性相関も反復投与毒性試験のデータの公開情報が不足していて、これもまた困難であった。これらのことから、独立行政法人製品評価技術基盤機構から最近公開されたラット反復投与毒性試験データベース(HESS-DB)を活用し、反復投与毒性を予測可能なin vitro(試験管内)/in silico(コンピュータ内) 融合型の手法の開発に取り組んでいる。この研究の特徴は、化学物質との反応性の高いタンパク質(核内受容型転写因子や薬物代謝酵素等)との化学的特徴から計算される記述子を組み合わせて、化学物質のプロファイリングを行うことである。」
HESS(有害性評価支援システム統合プラットフォーム) は、2014年6月より公開され、OECDが開発したシステムとも互換性を持っているそうだ。これらのデータベースから必要な情報を抽出し、未試験化学物質の反復投与毒性の評価を支援することが可能だとのこと。

日本の試験法(STE)がOECDのガイドラインに収載
化粧品の試験でも行われる「眼刺激性試験」

2000年から花王によって始められたSTE試験。2006年からは複数の企業による共同開発が始まり、2015年7月に日本の代替法試験が初めて「OECD TG491」として採択された。講演した花王の研究者からは、「思ったより長かった」と苦労が垣間見える感想が聞かれた。
眼への刺激性は、これまで生きたウサギの眼に、化学物質を投与して、96時間観察するドレイズテストによって調べられていた。代替法を開発するにあたり、眼に対して被験物質がさらされる時間は実際は短いと予想されること、また、眼の刺激性反応は最表面の細胞障害から引き起こされること、に着目したそうだ。
「STE試験では、ウサギ角膜由来細胞株のSIRC(サーク)細胞に被験物質を暴露させ、細胞生存率をみる。容易な技術習得性、高い施設内・間再現性、高い予測性がある、との利点がある一方、欠点は揮発性物質の偽陰性の発生頻度が高い。そのため、高揮発性物質と活性剤以外の固体の化学物質及び固体の混合物は除かなければならない。他の異なるエンドポイントに基づく代替法試験法と組み合わせて、より幅広い種類の被験物質に対する評価が可能なので、まずこの試験法にて被験物質が刺激性か非刺激性かをみて、別の試験を行うのが好ましい。」といった内容だった。
JacVAM(日本動物実験代替法評価センター)の室長からは、「重要なのはこれからで、組み合わせを前提とするのではなく使ってもらうための改善~活性剤以外の固体などには使えないといった問題を解決するなど~が必要」といった厳しい指摘がされていたが、今後を期待してのことと思われる。

動物実験代替法イメージ

動物実験代替法イメージ写真

動物の細胞も使わない試験方法を求めます

「眼刺激性試験」にはドレイズテストの代替法として、OECDに収載されているBCOP(牛摘出角膜)、ICE(ニワトリ摘出眼球) がありますが、発表されたSTE試験と同様に、いずれも動物の細胞を使用しており、完全な置き換えとはなっていません。また、HESSのようなデータを活用することで、新たな動物実験を避けたり減らすことが可能になれば喜ばしいことですが、そのベースとなるデータをいつまでも動物のものとせず、一刻も早くヒトのものに変えるよう、全力をあげるべきです。
ヒトの反応はヒトでみるのが一番ということについては、誰もが納得のいくことだと思いますので、代替法学会には、最終目標をそこに据えた研究を発展させていってほしいものです。

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