超党派議連のとりまとめ案が公表される
2025年4月3日、PTがとりまとめた下記の「次期動物愛護法改正に向けた検討資料(案)」が同議連の総会で承認されました。今後、これをもとに骨子案作成や条文化作業が行われ、各党での検討を経て、法案提出に向けて進められる予定です。
次期動物愛護法改正に向けた検討資料(案)
・わかりやすくするため、項目番号をふるなどJAVAで編集
・丸数字は優先度を意味するものではなく、動物愛護法の関連条文順
Ⅰ. 2025年通常国会で法改正を目指すもの(主なポイント)
- Ⅰ-A 新たに獲得を目指す重要性、緊急性の高い事項
- ①愛護動物の所有者又は占有者に対する飼養管理基準遵守の段階的義務付け
- ②第1種動物取扱業に動物輸送業、実験動物取扱業(繁殖・販売)、両生類取扱業を追加
- ③いわゆる「移動販売」の禁止
- ④動物展示業への規制強化
- ⑤駆除目的での猫の捕獲の禁止
- ⑥愛護動物について「緊急一時保護制度」を導入
- ⑦動物虐待罪の定義の明確化と一部要件(「衰弱させること」)の削除
- Ⅰ-B 2019年改正を受けて速やかに手当てが必要な事項
- ①獣医師の責務の新たな位置づけ
- ②いわゆる「8週齢規制」の実効性確保
- ③飼養管理基準省令の実効性確保
- ④マイクロチップの届け出情報の扱いについて運用変更
Ⅱ. 今後、他の議員連盟と連携するなどし、更に検討していくもの
※下記のうち複数省庁にまたがるテーマについては、他の議員連盟などと連携して新たに「アニマルウェルフェア向上プロジェクトチーム(PT、仮称)」を早期に立ち上げ、文科・厚労・農水・経産各部門に知見のある議員に参加を要請する
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- ①目的規定で「アニマルウェルフェア」の概念を明確化
- ②第一種動物取扱業のうち繁殖を行う犬猫等販売業を「許可制」とする
- ③第二種動物取扱業を「登録制」とする
- ④愛護動物について「飼育禁止命令」を導入
- ⑤実験動物について飼養保管施設の「届出制」を導入、また「3Rの原則」達成を義務化
- ⑥畜産動物についてアニマルウェルフェアに配慮した飼養保管を求める規定を導入
- ⑦さらなる厳罰化
JAVAが強く求める改正は先延ばしに とりまとめ案に対するJAVAの見解
■「Ⅰ-A 新たに獲得を目指す重要性、緊急性の高い事項」について
JAVAは、Ⅰ-Aのどの項目にも賛成ですが、次のように不十分という問題があります。
- ①に関して:第25条では、不衛生な環境で飼育され周辺の生活環境が損なわれている事態や衰弱する等の虐待を受けるおそれがある事態である場合、行政による勧告等ができると規定されている。しかし、実験動物と産業動物については第10条の除外規定により、その対象から外されてしまっている。これでは、飼養管理基準遵守の段階的義務付けをしても、その効力を発揮できず、JAVAたちが求める第10条の除外規定の削除は必須である。
- ②に関して:JAVAたちは対象業種を生きた脊椎動物を扱うすべての業に拡大することを求めているが、動物実験施設、畜産関係業、生餌業、補助犬取扱施設、動物を使用した動画配信を生業とする者、魚類の取扱業者が含まれていない。
- 動物種については、業への追加だけでなく、殺傷や虐待の罰則が適用される「愛護動物」へも両生類と魚類を追加し、「脊椎動物」に拡大すべきである。
- ③に関して:移動動物園やサーカスにおいても多くの虐待・不適切な扱いが発生しており、「移動展示」も併せて禁止が必要。
- ⑥に関して:虐待された動物の緊急一時保護ができるようになったとしても、その後、保護した動物を虐待した所有者に返すことになったり、虐待者が新たな動物を飼ってしまっては元も子もない。Ⅱの④の「飼育禁止命令」と同時に改正し、虐待者に二度と飼育させないことが不可欠。
■「Ⅰ-B 2019年改正を受けて速やかに手当てが必要な事項」について
Ⅰ-Bは、前回改正後に発生した問題への対処ということで、たとえば8週齢規制違反への対処の必要性は理解する。しかし、一部の問題だけ手厚く手当てをして、実験動物や畜産動物のように、これまでずっと置き去りにされてきた動物についての改正をさらに先延ばしにすべきではない。
■「Ⅱ. 今後、他の議員連盟と連携するなどし、更に検討していくもの」について
このⅡにJAVAたちが強く求めることが含まれている(ただし、②の繁殖を行う犬猫等販売業の「許可制」は求めておらず、「登録制」のままで良い。⑤については、JAVAたちが求めているのは「登録制」であり、「届出制」ではない)。
愛護議連は、このⅡについては、「法改正に向けた道筋を見いだしたもののヒアリングの機会や議論がいまだ不十分である」という理由で「複数省庁にまたがるテーマについては、他の議員連盟などと連携した新たな検討の場を、早期に設けることをめざす」とし、今回の改正の対象から外してしまっている。これには非常に落胆しており、とりまとめ案から漏れてしまっているJAVAたちが求める改正も含め、この先延ばしにされた項目の改正を少しでも早期に実現できるよう、今後もロビー活動に力を注いでいくしかない。
※JAVAが求める改正の全項目は、3団体共通ウェブページをご覧ください。

※2025年4月20日現在の情報です。