ミシシッピアカミミガメの「輸入・繁殖・販売の禁止」と「殺処分方法の改善」を!

2021年10月29日

ペットにされ、飼いきれなくなって野外へ遺棄されることも多いミシシッピアカミミガメ(別名:ミドリガメ。以下「アカミミガメ」とします)。緊急対策外来種として多数駆除されている現状があります。ところが輸入も販売も禁止されておらず、このままでは永遠に殺し続けることになってしまいます。また環境省は殺処分方法として冷凍殺を推奨していますが、この方法はOIE(国際獣疫事務局)などのガイドラインでは苦痛が大きく不適切とされています。

JAVAは、これらを問題視し、動物愛護法改正や化粧品の動物実験の問題などで連携しているPEACEとともに環境省に働きかけを続けています。


2021年9月、JAVAとPEACEは下記を求める文書を環境大臣に提出しました。

【環境省への要望事項】

  1. 「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(以下「外来生物法」とします)を改正し、アカミミガメの輸入・繁殖・販売を禁止すること。
    ただし、既に飼育しているアカミミガメに限り、飼育許可なしで飼育を継続できるようにすること。また、アカミミガメを飼いきれなくなった飼育者が新たな飼い主に譲ることについては禁止しないこと。
  2. 獣医師以外の者によるアカミミガメの捕獲、殺処分を即刻、廃止すること。

【要望事項1】の理由

現在野外に生息するアカミミガメは、いわゆる「ペット」として海外から輸入・販売された個体です。大量に安く輸入できることから、これまで亀すくいやプレゼント企画などでも安易に扱われてきました。そもそも、飼育下では約40年生きることもあるほど寿命も長く、背甲長も20センチを超えるほど成長する動物の販売を国が許してきたことが問題です。結果、多くのアカミミガメが野外に遺棄されてきました。野外に多くのアカミミガメが生息する現状は、人間が引き起こしたものです。その責任は、輸入業者、販売業者、購入者だけではなく、輸入・販売等の規制を行ってこなかった国にもあります。

しかし、アカミミガメは既に大量に飼育されており(環境省は「推定で百十万世帯数で飼育」としている)、現行の外来生物法によって飼養、保管、運搬、輸入等が規制される特定外来生物に指定することは現実的ではありません。もし現行法の特定外来生物に指定されたなら、飼育しているアカミミガメを飼い続けるには、主務大臣の飼育許可が必要になるのです。環境省の飼育許可業務の量が膨大となるだけではなく、遺棄や殺処分を推進することになってしまいます。

また、飼えなくなった人から新たな所有者への譲渡まで禁止することには反対します。アカミミガメの新たな飼い主探しの活動をする人、里親になる人もいます。輸入と販売が禁止されれば、新たにアカミミガメを飼育したい者は、飼えなくなった人から譲り受けようとするはずです。遺棄防止の観点からは、このルートが残されているほうが好ましいと考えます。

環境省では、外来種被害予防三原則として、「入れない」「捨てない」「拡げない」を提唱していますが、最も重要なのは、これ以上増やさないことです。それには、輸入・流通を止めなければなりません。捕獲、殺処分を繰り返しても、後から後から輸入して、売買していては何の解決にもなりません。まず、環境省が行うべきは、法的にアカミミガメの輸入と販売を止めることです。
それから、一部マニアには繁殖を行う者もいて、飼育者間での譲渡が許されている場合、繁殖した個体を無償譲渡する形で新たな飼育が広がる可能性があります。新たな飼育個体を増やさないという観点から、繁殖についても禁止する必要があります。

環境省>外来種問題を考える>注目の外来種>アカミミガメ

【要望事項2】の理由

2019年7月に環境省が作成した「アカミミガメ防除の手引き」「アカミミガメ防除マニュアル」では、環境省は全く専門的な知識がない行政官や国民に、防除と称して、川や池にワナを作ってアカミミガメを捕獲するよう促し、捕らえたアカミミガメをマイナス20度に冷凍して殺すよう呼びかけています。冷凍殺は大変残酷な方法で、即刻中止すべきです。

OIE(国際獣疫事務局)が公表している「皮、肉、その他の製品のための爬虫類の殺害」についての動物福祉規約の中で、爬虫類を気絶させたり殺す際に不適切で許容されない方法として、次のような方法を例示しています。

  • 冷凍または冷却
  • 失血
  • 加熱または沸騰
  • 窒息または溺死
  • 圧縮ガスまたは液体を使用した膨張
  • 生きたままの内蔵摘出または皮剥
  • 窒息ガスの吸入:二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、または窒素(N2)
  • 神経筋遮断薬の使用
  • 頸椎脱臼

OIEには、日本も加盟しており、環境省ではこの動物福祉規約のことは知っています。それにもかかわらず、これを全く無視し、冷凍による殺処分方法を行うよう、広く国民に呼びかけているのです。

動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護法」とします)の第40条において、「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない」と規定されています。麻酔もせずに、土嚢袋に閉じ込め、動けないようにして冷凍庫に入れ、温度をさげ、ジワジワと死に至らしめるといった行為は紛れもなくこの規定に反します。

アカミミガメをできる限り苦痛のない方法で殺処分する方法を獣医師に照会したところ、「水生動物用麻酔薬MS-222;Tricaine methanesulfonateを体腔内に注射して全身麻酔後、頸動脈切断によって失血させる。その前段階で吸入麻酔をかけ、体腔内に注射する痛みを防ぐことが望ましい」とのことでした。水生動物用麻酔薬MS-222;Tricaine methanesulfonateでの全身麻酔後、頸動脈切断による失血殺という方法は、大学でも採られている方法です。
これらできる限り苦痛のない殺処分をするには、薬品を扱い、極めて専門的な知識と技術を要することから、獣医師のみが行う資格があることになります。決して一般市民ができるものではなく、アカミミガメが増加し様々な被害が生じたからといって、素人の国民に安易に捕獲・殺処分をさせるとは言語道断、決して許されることではありません。

駆除そのものをなくしたいのがJAVAの本心ですが、環境省と農水省により「緊急対策外来種」に位置づけられ、駆除が推進されている現状において、今、私たちができる最大限のことは、できるだけ苦痛の少ない方法に改善することなのです。

国会でも取り上げられる

JAVAとPEACEは、堀越啓仁衆議院議員に輸入・販売の禁止と殺処分方法の改善について陳情していました。

2020年11月17日の衆議院の環境委員会にて、堀越議員はこれらの点について追及。環境省から「輸入、販売の規制も重要な課題ということは我々環境省としても深く認識をしている」「(殺処分方法に関して)最新の知見を参考にし、捕獲個体にできる限り苦痛を与えないことに加え、生態系の保全や関係者の理解を得ることなども留意しながら、引き続き、よりよい方法を検討してまいりたい」と今後の私たちの活動に役立つ答弁を引き出してくれました。

左:笹川博義環境副大臣(当時)、右:堀越啓仁衆議院議員

この質疑全文は下記よりご覧いただけます。
第203回国会 環境委員会 第2号(令和2年11月17日(火曜日))

環境省からの回答 ― 規制の方向を示す

私たちの要望に対して、環境省は次のように回答しました。

<規制について>

  • アカミミガメの輸入をなくすこと、飼育個体が野外に放たれたり逃げ出したりしないようにすること、野外に生息している個体の防除を実施することなどを総合的に進めていく必要がある。
  • 環境省では、現在進めている外来生物法の施行状況等を踏まえた必要な措置の検討の中でも法的規制の導入についても議論した。本検討は、「外来生物対策のあり方検討会」により、2021年8月6日に「外来生物対策の今後のあり方に関する提言 」に取りまとめられた。
  • この提言を踏まえ、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会において「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の施行状況等を踏まえた必要な措置について」の諮問に対する審議が進められている。
  • 今後、パブリックコメントを行い、更なる検討の上で答申が取りまとめられ、必要な場合は法令改正等必要な措置を進めていく予定。
  • 具体的にどのような行為を規制していくかは答申を踏まえて検討していくことになるが、ご指摘の点も参考にしながら検討を進める。

<殺処分方法について>

  • 殺処分方法については、OIEの動物福祉規約を含め、多方面の最新の知見を参考にしながら、捕獲個体にできる限り苦痛を与えないことをはじめ、残留性のある毒物は用いないこと、作業者の安全が確保されること、また心理的負担が少ないことにも留意しながら、引き続きより良い方法を検討する努力を続けていく。
  • 薬剤による殺処分については、個体に大きな苦痛を与えない方法として有用なものとは承知している。
  • 薬品の入手や取り扱い、管理に専門的な資格や知識が必要になることから、地域ごとに実施される防除においては実用が難しい状況もある。
  • 冷却・冷凍による方法の妥当性を支持する知見も得られていることから、「防除の手引き」では両手法を併記している。

規制に関しては、環境省は、私たちとそう違わない認識を持っていると受け取れる回答です。
一方、殺処分方法については、薬剤による方法が苦痛を与えない方法であると認識しながら、その方法を推奨しない言い訳が並べられていると言わざるを得ない回答です。先にも述べましたように、できる限り苦痛のない薬剤による方法は極めて専門的な知識と技術を要するからこそ、獣医師以外の者には行う資格がないのです。環境省は、「両手法を併記している」としていますが、薬剤による方法についてはコラムという形で軽く触れているだけです。しかも、「この手法を用いるのは簡単ではない」「少なくとも現時点では、 冷凍処理に代わる効果的及び効率的な殺処理方法は見つかっていない」とし、実質薬剤による方法を否定しているに等しい記載なのです。

環境省における検討の経緯や今後のスケジュールは下記をご覧ください。
「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」 (外来生物法)の施行状況等を踏まえた必要な措置の検討について

パブリックコメントの募集始まる
~皆さんからも意見を届けてください~

環境省からの回答にもあるように、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会において、「外来生物対策の今後のあり方に関する提言」も踏まえて審議を行い、同小委員会の答申素案として「外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について(答申素案)」が取りまとめられました。

そして、10月15日、環境省がこの答申素案について、パブリックコメント(国民の意見)募集を開始しました。
このパブリックコメント募集についての環境省のホームページ
※締め切りは2021年11月15日(月)です。
※意見提出の様式が決められていますので、環境省のホームページでご確認のうえ、ご提出ください。

この答申素案には、アカミミガメについての私たちの要望に関係することとして、次のような記載があります。

アカミミガメやアメリカザリガニのように、特定外来生物と同様に生態系等への被害が明らかになっているにも関わらず、大量に飼育されていること等から、現行法では、飼養等(飼養、栽培、保管又は運搬をいう。同法第1条。以下同じ。)の禁止の対象となる特定外来生物への指定が難しい種が存在するという課題がある。

できる限り苦痛を与えない殺処分方法の採用や従事者の心理的負担軽減に配慮しつつ、効率的な防除に取り組んでいく必要がある。

○アカミミガメやアメリカザリガニのように、我が国の生態系等に大きな影響を及ぼしているにもかかわらず、飼養等を規制することによって、大量に遺棄される等の深刻な弊害が想定される侵略的外来種については、一律に飼養等や譲渡し等を規制するのではなく、輸入、放出並びに販売又は頒布を目的とした飼養等及び譲渡し等を主に規制する等の新たな規制の仕組みの構築や、各種対策を進める必要がある。

JAVAは、10月29日付で、答申案にあるアカミミガメの規制に関する方向性には賛成し、殺処分方法については「できる限り苦痛を与えない殺処分方法の採用」にあたっては、冷凍殺等、国際基準で不適切とされている方法は除外するよう求める意見を環境省に提出しました。
(※JAVAはすべての外来動物の殺処分には反対の考えですが、今回は私たちが求める規制の実現の可能性があるアカミミガメの問題に焦点をあてた意見を出しました)

JAVAの意見書(PDF)

ぜひ、皆さんからも環境省にご意見を届けてくださいますよう、よろしくお願いいたします。

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