第二回「化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議」に参加

2010年11月1日

2010年11月1日、資生堂汐留オフィス会議室にて、第二回「化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議(以下、円卓会議)」が開催され、JAVAを含め10名が参加しました。同年6月の第一回ではいまひとつ廃止への具体的な道筋が見えませんでしたが、今回は、「動物実験廃止」という原点に立ち返り、それに向けたさらなる前進を求めたいという希望を抱えての参加となりました。(各参加者の意見については資生堂の公式サイトをご覧ください)

第二回円卓会議参加者(敬称略)

(司会)IIHOE 人と組織と地球のための国際研究所 代表川北 秀人
全国消費者団体連絡会 事務局長阿南 久
NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)理事亀倉 弘美
大和証券グループ本社広報部 CSR担当部長河口真理子
日本動物実験代替法学会 元会長田中 憲穂
日経BPコンサルティング プロデューサー中野 栄子
経済産業研究所 コンサルティングフェロー藤井 敏彦
動物との共生を考える連絡会山崎 恵子
株式会社資生堂 執行役員岩井 恒彦
株式会社資生堂 品質評価センター 代替法研究エキスパート板垣 宏

「まず代替法ありき」の主張を展開する資生堂

円卓会議は前回同様、二部構成で行われました。第一部では資生堂から代替法研究開発の状況、薬事法との関連性についての説明や他社の動向について報告がありました。資生堂の主張の問題点は・・・

「新成分に関する新しい価値の創造というのは捨てていない」

代替法が確立されなければ動物実験をやめない、という趣旨の裏返しであり、「新規原料開発から既存原料活用へのシフト」という前田新造前社長が打ち出したビジネスモデルを無効にしてしまうものです。

「代替法を開発してもそれで申請できるような行政的な受け皿がないから、すぐに廃止はできない状況にある」

「代替法開発をこんなに頑張っているが、確立にはほど遠いので動物実験の早期廃止は困難」という弁明に終始し、「動物実験の廃止には代替法の確立が不可欠であり、それまでは動物実験を容認しろという結論に導こうとしていると感じざるを得ませんでした。

「2013年のEUの全面禁止は、代替法が確立していないことを理由に延期の可能性が高くなった。その場合の対応について結論は出ていない」

そもそも、EUでの動物実験の禁止時期によって、資生堂の廃止時期が左右される理由はどこにあるのでしょうか?「EUの動きを見ながら廃止を目指す」というのは資生堂の勝手なこじつけに過ぎません。仮に2013年にEUでの禁止が延期となった場合、資生堂の廃止も自動的に2013年を過ぎるのであれば、いままでの円卓会議での議論や取り組んできた課題などすべてが無に帰してしまいます。それを承知でいたずらに円卓会議を招集したのだとすれば、この会議は単にパフォーマンスであったということになります。

会議を通して掲げられた4つの課題

第二部では「廃止に向けた今後のプロセス(取り組み)の検討」と題した議論が行われ、最終的に以下の4つの課題が掲げられました。これらの課題を資生堂だけでなく、円卓会議参加者が取り組んでいくということになりました。

  1. 代替法開発
  2. 他社への働きかけ
  3. 厚労省への働きかけ
  4. 市民への啓発・情報提供

JAVAでは従来から化粧品メーカーへの働きかけは行なっており(「2. 他社への働きかけ」)、「4. 市民への啓発・情報提供」についてもコスメガイドの制作・頒布やパネル展開催、チラシ配りなど以前から積極的に取り組んできています。残る「1. 代替法開発」と「3. 厚労省への働きかけ」については、今後ロビー活動などを通して訴えていくことを検討しているところです。

一方、資生堂は会議で掲げられた課題に対して「一企業としては代替法開発以外取取り組むことはできない」と円卓会議に円投げしているとしか思えない姿勢です。

私たちが対資生堂キャンペーンをやめるとき、それは資生堂が動物実験を『全廃するとき』

「代替法ありき」で進行していく円卓会議の流れに対し、JAVAからは「動物実験に反対する消費者は『美しさの追求に対して動物の犠牲はあってほしくない』という気持ちが大前提。それは代替法の確立に関わりない」ときっぱりと訴えました。これに対して他の参加者からも「そういった消費者の直感的な部分をもっと訴えていかなければならない」「消費者は安全性を第一に求めるが、そのほとんどは安全確保のためにどれほどの動物が犠牲になってきたかを知らない」「もっと動物実験というものを密室から出すことが必要。難しい言葉で専門家たちだけがこの問題を語っているのもおかしい」という同調意見が相次ぎました。
代替法は動物実験廃止に必要な要素であることに間違いはありませんが 、代替法が 確立しなくても動物実験は廃止できるのですから、資生堂は自ら明言したように「(動物実験の必要な)新規原料の開発から(動物実験の必要のない)既存原料活用へ軸足を移す」ことを業界のリーディングカンパニーらしく実行すべきです。

日本では、今まで動物実験を行ってきた大手化粧品メーカーがその廃止を決断し実現したという先例はありません。「動物実験廃止」という試みに対して社内にも社外にも足を引っ張る勢力があったり、新しい価値創造に踏み出す躊躇があるかもしれません。「先例がない」という壁を超えさせるためには、私たち消費者からの積極的な訴えが今まで以上に必要です。資生堂には、完全廃止まで諦めずに、声を届けていきましょう!

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