カネボウ化粧品回収「事故原因の調査究明に動物実験しないで」特別委員会に要望

2013年8月7日

皮膚がまだらに白くなる「白斑」症状を引き起こすとして、7月4日に自主回収が発表されたカネボウの美白化粧品
7月末のカネボウ化粧品の発表では、その被害の訴えは8600件を超え、症状が確認された人は3285人へと拡大。台湾など輸出先各国へも被害が広がっていると報道されています。

信頼して使い続けたカネボウ化粧品によって被害をこうむってしまった方々の早期救済が強く求められるところですが、私たちJAVAでは、同時に、事故原因究明のために、あらたに動物実験が行われるのではないかと懸念しています。

そこで、日本皮膚科学会に設置された「ロドデノール含有化粧品の安全性に関する特別委員会」に対して昨日、「ロドデノール含有化粧品の安全性検証に際する動物実験回避を求める要望書」を提出しました。

カネボウ化粧品は、開発した美白有効成分ロドデノールとそれを含む化粧品について、2006年夏に、PMDA(医薬品医療機器総合機構)に対して承認申請をしています(医薬部外品区分1)。
当時の申請資料によると、カネボウ化粧品は安全性試験はもちろん、有用性試験においても動物実験を行っており、動物を使って「白斑ができないこと」の確認試験も行っていました(※文末参照)。

つまり、モルモットの背中の毛を刈り、8日間毎日紫外線を照射し、毛を刈った部分に1日1回、28日間続けて、高濃度の薬物を繰り返し塗りこんだ後、再び6日間にわたって紫外線を照射して色素沈着の状況をみる、という実験です。

これらの動物実験等によって安全と判断されて市場にでたわけですが、この白斑事故が起きたことで「動物実験は人体への安全性を担保するものではない」ことが明らかになったわけです。
今春実施された化粧品の動物実験に関する意識調査でも、約9割にのぼる人が「動物実験が必要なほど危険な成分を化粧品に使わないでほしい」と答えていることなどを付け加え、特別委員会に対し「本件事故原因の調査・究明にあたって、あらたな動物実験を行わない」よう、強く要望しました。 

※「動物における白斑非形成の確認」

ホ-1-4-3 動物における白斑非形成の確認

目的
K166(※注1)試料の塗布により白斑が形成される可能性がないことを確認することを目的とし、動物における白斑非形成確認試験を行った。

方法
Kwl A-1系モルモット(雌)背部を毛刈りし、各動物に試験部位を4カ所設定した。試験1から8日目の毎日、試験部位に紫外線の照射を行った。照射線量は各〓(※注2)mJ/㎠とした。初回紫外線照射の直後から試験28日目まで各試験部位に1日1回、各100μLずつ試料塗布を行った。塗布試料は1.ハイドロキノン(以下HQと略す)用基材(グリセリン、蒸留水混合液(〓))、2.HQ試料 HQ用基材にHQを〓%になるように溶解調製したもの、3.K166用基材(グリセリン、エタノール、蒸留水混合液(4:3:3))、4.K166試料 K166用基材にK166を〓%になるように溶解調製したものの4種類とし、塗布部位はローテーションして振り分けた。試料塗布の終了した後の試験30日目から試験35日目までの毎日、試験部位に再度紫外線の照射を行った。
皮膚色を色彩色差計を用いて測定し、皮膚明度を表す知覚色度指数L*値を指標とした。L*値は低いほど明度が低く、色素沈着が進んでいることを示す。皮膚色の測定は試験開始時、試験8日目、試料塗布終了後の試験30日目、及び試験終了となる試験43日目に行い、△L*値を算出して評価した。

結果
試験開始時の明度との差である△L*値を図ホ-11、表ホ-13(※注3)に示した。対照薬剤のHQ塗布部位では試料塗布終了後の紫外線照射によっても色素沈着は亢進されなかった、一方、K166塗布部位では再び色素沈着が亢進された。このことからHQとは異なり、K166 の作用は、K166 の作用は、K166が除かれると解消される可逆的なものであることが確認された。

「カネボウ ホワイトニング エッセンスSに関する資料」のうち「効能又は効果に関する資料」より抜粋

※注1:K166とは新有効成分「4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール」、いわゆる「ロドデノール」のこと
※注2:〓は黒塗り部分を示す
※注3:図ホ-11、表ホ-13は省略

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