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お知らせ

日本動物実験代替法学会第31回大会が熊本で開催

<動物実験代替法学の体系化と人財育成>
 日本動物実験代替法学会第31回大会報告

2018年11月23日~25日、「動物実験代替法学の体系化と人財育成」というテーマを掲げた日本動物実験代替法学会の第31回大会が、熊本県にある崇城大学にて開催されました。2016年4月に発生した地震の被害からの復興のさなかにある熊本を支援しようということで開催地が決まったとのことです。

「日本動物実験代替法学会第31回大会」のWebサイト

代替法を学問として

今大会のテーマである「動物実験代替法学の体系化と人財育成」についてのシンポジウムでは、大会長である崇城大学の松下琢副学長が登壇。「動物実験代替法に必要となる学問体系について」と題する発表で、「動物実験代替法(3Rs)の考え方の根底には「動物愛護の精神」があるが、「かわいそう」という感情的なものではなく、動物行動学、生理学、生態学など科学的根拠のある「動物福祉(アニマルウェルフェア)」に基づいており、さらに、生命倫理学、組織培養学、統計学、応用情報学といったさまざまな学問分野が関係しているという概要が改めて説明されました。そして、少子化で学生数が減少する昨今、この3Rsを担っていく人材を育成するためにも、これらの必要な学問を「動物実験代替法学」として早急に体系化していきたいとの提言がありました。体系化した場合、基礎科目としては英語や数学のほか生命倫理や動物愛護についても学ばせること、また、演習として薬理学実習や細胞培養実習に加え動物愛護センターでのボランティアなどが考えられるとしました。

続いて同大学総合教育センターの鈴木俊洋氏による「なぜ我々は動物を保護するのか? ―動物愛護の倫理的根拠―」という発表では、21世紀の科学は倫理について考えていかなければならないとし、人間と動物との関係における両極の考え方を紹介。①動物には意識も心もなく、よって権利もなく、保護する理由はもっぱら人間の利用のためとする人間中心主義、②動物には人間と同様の権利があり動物実験も肉食も禁止すべきという動物の権利思想の二極だが、動物の利用を認めつつストレスや苦痛を少なくする「動物福祉」という考え方はどちらにも属さず、中途半端だと考えられがちである。しかしいまの社会のなかでは我々の実感に沿った倫理であり、今後は動物にも道徳的コミュニティが拡大していくと考えられると話しました。この問題を考えるにあたって2本の映画「キューティー・ブロンド2」「猿の惑星(創世記)」を薦めていました。

※3Rsとは Replacement(動物を使用しない方法への置換)、Reduction(動物使用数の削減)、Refinement(実験技術の洗練による動物の苦痛軽減)の頭文字3つのRのこと。本来の言葉の意味から言えば動物実験代替法とは動物を使用しないReplacementだが、数の削減や苦痛軽減も含めて3Rsが広義の代替法とみなされている。

これからの動物愛護

熊本市獣医師会の松田光太郎元会長の特別講演では、これからの動物愛護のあり方として、「かわいそう」という感情に基づくものから、ヒト以外のすべての生き物との関わり方を論理的・科学的にとらえなおした学問として再構築していくべきとの提言がありました。障害者と健常者の間に優劣がないのと同様、同じ地球に存在する生命体にも優劣はなく、すべてが対等という認識のもとに、動物を「かわいがる」のではなく「命を尊重して共生する」と考えるべきである、として「感情からの離脱」を訴えていました。

口腔ケアはまだ動物実験が?

数あるポスター発表のなかで目に付いたのが口腔ケア用品。ライオン、花王、サンスターの3社による、ヒト3次元口腔粘膜培養モデルを用いた口腔ケア用途の原料の有用性評価に関する共同研究発表がありました。化粧品では大手各社が脱・動物実験の方向に進むなか、口腔ケア用品に関しては代替法の確立がまだ難しく、いまなお研究段階にあるとのこと。口腔ケアの有用性評価ということは、つまり薬用ハミガキ関連の分野です。購入する前に、動物実験を行っているかどうか、ぜひ問い合わせてください。化粧品の動物実験に反対する際の訴えと同様、「新規原料を開発するなら代替法が確立してからで十分。動物実験はやめてほしい」と声を届けましょう。

まとめ

今大会では、代替法を学問として位置付けるために、感情に依拠する動物愛護とは一線を画したいという研究者の思いが見て取れました。たしかに、不特定多数の、様々な価値観を持つ人たちに対して訴えていくとき、しっかりとした根拠に基づいた主張の仕方は大切です。でも、言葉の通じない動物たちの不幸な境遇を知って、「かわいそう」「助けたい」と思うのは自然な感情の発露。そこから次にどういうステップを踏むかが大事なのであって、感情自体を否定せず、説得力のある活動へとつなげていきたいものです。

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