JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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動物実験の廃止を求める

「マウスも困った仲間を助ける?!」川崎医療福祉大は残酷実験やめる気なし

2019年4月、川崎医療福祉大学(岡山県倉敷市)は、同大学が行った「閉じ込められたマウスを仲間が助けるかを実証する」という「マウスの救出様行動」実験についてニュースリリースを行い、複数のメディアが報じました。この残酷な実験に対してJAVAは中止要請をしましたが、同大学はやめようとしません。

実験の概要

川崎医療福祉大学(以下、医福大)が行ったこの実験の概要は次の通りです。
※ニュースリリース資料や報道より

  • この実験は、川崎医療福祉大学医療技術学部臨床検査学科の上野浩司講師と、川崎医科大学精神科学教室、岡山大学大学院精神神経病態学教室との共同研究グループによって行われた。
  • 1匹のマウスを透明なプラスチック製チューブ(直径3センチ、長さ約11センチ)内に入れ、チューブの後ろ側を紙のふたで覆った。閉じ込められたマウスは、チューブの先端の穴から鼻先を出すことができるだけで、身動きできない状況に置かれた。
  • チューブの外にいるもう1匹のマウスが紙のふたを破り、閉じ込められたマウスの尻尾を引っ張って中のマウスを解放した。
  • マウスは何も入っていない空のチューブの紙のふたは破かなかった。
  • マウスは濡れることを嫌がるため、濡れた床の上にチューブを置き、濡れた床を通らなければチューブに近づけないようにした。マウスは濡れた床をゆっくり歩いてチューブに接近し、閉じ込められたマウスを解放した。この結果は、報酬が得られないだけでなく、犠牲を払ってでも救出様の行動をとったと捉えることができる。
  • 麻酔でこん睡状態にされ、動かないマウスをチューブに閉じ込めた場合でも、もう1匹は救出を行ったため、助けを求める鳴き声などに反応しているわけではないことが確認できた。
  • この救出様行動は、会ったことのないマウスに対しても認められた。
  • 検証した14匹全てが紙のふたをかじって破り、閉じ込められていたマウスを解放した。
  • この研究は、4月9日付の英国のオンライン科学誌「Scientific Reports」で発表された。
  • チームによると、同様の行動は、マウスよりも大きいラットでは報告されているが、マウスでは初めて。実験に広く用いられるマウスが、共感や社会性をつかさどる脳のメカニズムの研究に利用できる可能性があることが今回分かり、発達障害など精神神経疾患の予防や治療法の開発に役立つという。
  • 今後、抗不安薬や精神状態に作用するホルモンなどを使って、この「救出」行動がどのように変化するかなど詳しく調べていくという。

この実験の動画や写真が下記の朝日新聞のサイトに出ています
https://www.asahi.com/articles/ASM4862KSM48PPZB00J.html

■ なんとも無意味で残酷な実験

閉じ込められ、必死に脱出しようとするマウス。窮地に陥った仲間を助けようと懸命にふたを破き、引っ張り出そうとするもう1匹のマウス。閉じ込められたマウスはもちろん、仲間への思いやりを利用されるマウスも哀れです。
動物たちが仲間を窮地から助けようとする行動は多くみられます。私たちも、一緒に暮らす動物たちや野生動物の観察などからも発見することができます。それをわざわざマウスを苦しめて再現するとは、あまりに無意味で残酷です。

2015年には関西学院大学がラットを溺れさせ、仲間が助けるかどうかの実験を行いました。またそれより前に閉じ込められたラットを仲間が助けるかどうかの実験は米シカゴ大学で行われており、どちらの実験でもラットでは仲間を助ける結果がでていることを医福大は知りながら、「マウスではどうか」とやったのです。

JAVAからの中止要請に対する呆れた回答

JAVAは医福大の学長に対して強く抗議し、次の事項を求める文書を提出しました。

1.上野浩司講師のチームによる、マウスの救出行動実験を中止すること。
2.その他の動物実験も廃止し、動物を犠牲にしない方法によって研究・実験を行うよう、
大学をあげて全力で取り組むこと。

それに対して医福大から届いた回答文は以下のとおり、改善の意思が一切感じられないものでした。

大学に「実験を止めて!」の声を

大学等で動物実験を行う場合、文部科学省の「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」や大学の規程に基づき、その動物実験の計画について動物実験委員会による審査や承認(医福大は学長の承認)を受けることになっています。誰が考えても実に低俗で残酷、無意味なものであると判断できる今回の実験の審査を通した動物実験委員会はまともに機能しているとは言えません。動物実験委員会は外部からの批判をかわし、動物実験を正当化し、実験をやりやすくする役割を担っているのです。それゆえ、JAVAはこの制度には問題があると考えています。
医福大は、JAVAからの抗議と中止要請を受けてもなお、「動物実験委員会の審査を通っているから」「学長に承認された実験だから」「法律や基準に則っているから」と回答してきました。意見を真摯に受け止め、今後は同様の実験は承認しないなどの改善をしようという姿勢はまったくありません。私たちが言いたいのは、定められた手続きを踏んで行われた実験であろうとも、ルールに従って行われた実験であろうとも、このような残酷な実験は許せない、即刻やめろ!ということです。

ぜひ、皆さんからも、医福大やこの実験を実施した上野講師に、「こんな実験、すぐにやめて!」「動物の気持ちをもてあそぶ実験なんて、二度とやらないで!」といった声を届けてください。1人でも多くの方のご協力をお願いいたします。

<川崎医療福祉大学>
 ◆椿原彰夫(つばはらあきお)学長
 ◆上野浩司(うえのひろし)講師(臨床検査学科)
 〒701-0193 岡山県倉敷市松島288 
 TEL 086-462-1111(代表) 
 FAX 086-462-1193(庶務課)
 お問い合わせメール(庶務課)
https://w.kawasaki-m.ac.jp/form-1/contact_form/&F_119=%E5%BA%B6%E5%8B%99%E8%AA%B2
 ◆上野浩司講師の紹介ページ:
https://w.kawasaki-m.ac.jp/data/3580/teacherDtl/

<農薬登録基準の改正>魚類、鳥類、蚕を用いた試験が減り、昆虫の試験は廃止される

2018年6月15日に改正農薬取締法が公布されました。農薬登録基準のもと、農薬が及ぼす水産動植物(魚類、甲殻類等)に対する影響評価がこれまで行われてきましたが、この改正により、陸域を含む「生活環境動植物」に対象が広げられました。そして環境省の中央環境審議会 土壌農薬部会 農薬小委員会において、「生活環境動植物」に対する影響を評価するための審査基準の設定について、検討・審議が行われてきました。

JAVAは、昨年8月、国内外の3Rの動向を伝えた上で、中川雅治環境大臣(当時)に対して、「生活環境動植物に係る農薬登録基準」に動物を用いない試験方法を取り入れる等、3R(代替法活用、使用数削減、苦痛軽減)を最大限考慮することなどを求める要望書を提出していました。
その後、審議やパブリックコメントの結果を受けて、2019年3月に農薬登録のガイドラインである新しい局長通知「農薬の登録申請において提出すべき資料について」(平成31年3月29日付け 30消安第6278号 農林水産省消費・安全局長通知)が出されました。さらに6月にはその新しい通知の改正がなされました。
その結果、農薬の登録の際に要求される「生活環境動植物」への影響を評価するための試験が設定されたのですが、次のように複数の動物を用いた試験が削減や廃止された一方、追加されてしまった試験もあります。

【魚類の試験】
農薬取締法改正前の旧通知「農薬の登録申請に係る試験成績について」(平成 12 年 11 月 24 日付け 12 農産第 8147 号 農林水産省農産園芸局長通知)にあった「魚類(ふ化仔魚)急性毒性試験」が廃止され、新通知では魚を用いた試験が1つ減りました。

【鳥類の試験】
旧通知にあった「鳥類混餌投与試験」が廃止され、新通知では鳥を用いた試験が1つ減りました。
なお、新通知には「鳥類予測暴露量」等、3つの試験が新たに加わりましたが、これは計算式を用いて算出するものであり、鳥類を用いる試験ではありません。

【ミツバチの試験】
旧通知では「急性経口毒性試験」または「接触毒性試験」のいずれかが要求されていましたが、ミツバチへの影響評価の充実を図るという理由で、新通知(平成31年3月29日施行版)では、「成虫単回接触毒性」と「成虫単回経口毒性」の両試験が要求されることになってしまいました。
さらに新通知(令和元年6月28日施行版)では、「成虫反復経口毒性」「幼虫経口毒性」「蜂群への影響」の3つのミツバチを用いる試験が追加となってしまいました。(同じく追加された「花粉・花蜜残留」「暴露量推計」はミツバチを用いない試験)

【蚕の試験】
旧通知は「急性経口投与試験」と、この試験で強い毒性がでれば、「残毒試験」も要求されていました。新通知では、残毒試験同様、給餌により農薬を投与する「蚕への影響」の試験だけとなり、「急性経口投与試験」は廃止されました。

【昆虫の試験】
旧通知には「天敵昆虫等影響試験(急性毒性)」がありましたが、新通知ではこれが廃止されました。

いくつもの試験が廃止されたことは評価できますが、ミツバチを用いた試験が増えてしまったことは残念です。一つでも動物を用いた試験を減らせるよう、JAVAは今後も農薬取締法を主管する農林水産省や共管する環境省へ働きかけていきます。


Good News! 不二製油グループ、食品事業における動物実験を全廃!

大豆製品や製菓材料を中心とした食品素材メーカー、不二製油グループ(本社:大阪市)が、2019年8月21日、食品事業における動物実験を全面的に廃止したことを、当会JAVAに対して明らかにしました。日清食品グループに続いて、動物実験を廃止した食品メーカーがまた一つ、誕生しました!

不二製油グループが公開した動物実験方針

https://www.fujioilholdings.com/research/network/index.html

「動物福祉ポリシー
当社グループはフードビジネスにおいて、動物実験の実施、資金援助ならびに委託研究は行わない方針です。但し、国/行政機関からの要請や法規制等により動物実験を求められ、且つ代替試験法がない場合を除きます」

不二製油グループ本社株式会社(以下、不二製油グループといいます。)は今年8月初旬に上記「動物福祉ポリシー」をウェブサイト上で公表しました。JAVAではその決断の背景や、例外の有無、代替法の研究・利用状況等、文字として表れていない部分を直接確認すべく面会を申し入れ、8月21日にJAVAから理事2名と事務局長が同社の東京支社を訪問し、約1時間にわたって意見交換を行いました。執行役員/未来創造研究所長、広報グループリーダー/シニアマネージャー、ESG経営グループリスクマネジメントチームリーダー/シニアマネージャー、広報グループ広報チームリーダーの4名にご対応いただきました。

2018年9月にトータルで廃止!

同社は、今年4月にJAVAに対して動物実験の廃止を明らかにした日清食品グループ同様、昨年、米国の動物保護団体PETAから「法律で義務付けられていない範囲の動物実験廃止」との要請を受けそれに同意したとされる13社のうちの一社ですが、その要請を受けて2018年9月より、動物実験の実施、動物実験への資金提供、動物実験の外部委託をトータルで廃止したとのこと!
食品業界において、「機能性食品」のカテゴリーが花盛りのいま、食品素材や成分の効能や効果を謳うために、さまざまな実験が行われていますが、ヒト試験にたどり着く前の、効能があるかもしれないと考えられる素材や成分のスクリーニング(選定、ふるい分け、絞り込み)のために、多数の動物実験が行われており、多くの食品会社が、この部分の動物実験をなかなか手放せずにいるのが現状です。
たとえば、大豆のある成分が、肥満のラットにどのような影響を及ぼすか、マウスの脳内物質の合成を増やすか、といったようないわゆる基礎研究も含まれますが、不二製油グループでは、この難しい部分についてもきっぱりと動物実験の廃止を決断しました。
代替法研究については、「広げていかないといけないと意識はしている」が現状ではまだ情報収集の段階で、十分な状況とは言えないとのこと。今後、日本動物実験代替法学会などの学会や企業間コンソーシアムへの参画を検討していきたいということです。

気になる例外条項は

ポリシーの「但し」以降の部分ですが、機能性を謳うなど新規の食品素材に対して、日本では基本的にヒト試験のデータが国から求められる一方、EUや米国ではいまなお動物実験のデータが要求されるため、欧米にも市場を持つ同社はこれを例外としたとのこと。他国の法規制との関係については、輸入化粧品に動物実験を課している中国の問題と通底しますが、JAVAでは、まず国内での動物実験の廃止に踏み切ったことを積極的に評価していきたいと考えています。
また、ポリシーでは「フードビジネス(※食品事業)において」と限定した表記であり、その他の事業ではどうなっているかを確認したところ、会社の事業はほぼすべてがフードビジネスであり、動物実験に関連があると思われる飼料製造や医薬品製造も事業目的として登記しているが、現時点ではそれらの事業は行っていないということです。

不二製油グループへエールを!

不二製油グループは企業向けのビジネスを展開するいわゆるB to B企業ですが、50年以上前から大豆製品を取り扱い、「人口増加による食糧問題や地球環境問題解決を目的として、大豆やエンドウなど植物からタンパク質をつくる方法を長年研究してきた。最近ではミレ二アル世代向けに健康を意識した製品開発を行っている」とのこと。「特にヴィーガン向けというわけではない」としながらも、動物性成分を含まない大豆由来のチーズや肉を使わない「ソイカツ」など、エンドユーザーであるヴィーガンやベジタリアンの注目に値する商品を次々に開発しています。企業活動を通じて地球環境問題だけでなく、動物実験を廃止し動物福祉向上にも寄与する姿勢はうれしいですね!
ぜひ、不二製油グループに対して、この方針を支持するメッセージを送ってください。

不二製油グループへの意見送付先
メールフォーム
https://www.fujioilholdings.com/
(上記ページにアクセスし、右上のメールのアイコンをクリックしてください)

※傘下の財団法人について
なお、1979年に不二製油の支援によって「大豆たんぱく質栄養研究会」として設立され、1997年に財団法人に、2012年に公益財団法人となった「不二たん白質研究振興財団」は、不二製油グループから独立した組織であるため、同社が同財団の方針に関与できず、よって本ポリシーの適用除外となるとのことです。将来的には同財団で助成する研究についても「動物実験を行わない」という条件が採用されることを期待したいと思います。

※同社のウェブサイトには、動物実験を含む研究論文が掲載されていますが、すべて動物実験廃止をした2018年9月以前に行ったものであり、今後は行わないという方針を確認しています。

<英国>イヌの実験、反対世論を横目に16%増加

2019年7月18日、英国内務省は2018年に国内で実施された動物実験数に関する統計を発表した。実験件数は、2017年の370万件から350万件強へと減少している。CFI*は、この減少を喜ばしいとしながらも、英国政府は、動物実験に対する国民の考え方が変化している事実を受け止め、動物実験に代わる手段を探求する努力を重ねるべきだと考えている。5月に発表された市場調査会社イプソス・モリの調査によれば、英国民の2/3(66%)が実験動物の現状を憂慮している。
今回発表された統計で、英国におけるイヌを使った実験が前年(2017年)比16%、サルでは8%増えていることが明らかになった。国民の86%がイヌを使った実験に反対し、サルを使った実験にも同様に86%が反対していることを考えると、実験が人間に有益であったとしても、この増加は驚きに値する。
国民の大半が、国内の動物実験数に強い関心を寄せている。動物実験は残酷であるばかりではなく、無益であることがますます明らかになっている。政府は、国民の声を聞き入れ、動物実験数を減らし、人道的で有効な代替法に置き換える努力をこれまで以上に徹底すべきだ。
CFIの科学・規制担当部長ケイティ・テイラー博士は、次のように語る。「犬好きな国英国でも、毎年、何千件というイヌの実験が行なわれている。イヌの実験が人間に役立っているとする科学的証拠はほとんどないのにも拘わらず。最近の調査で世論が動物実験の終焉を望んでいることが明らかになった以上、この実験数が増加したショッキングな事実を正当化することはできない。英国は率先してこうした実験を減らすべきである。もっと人道的で信頼性の高い、動物を使わない代替法へ移行し、実験室のイヌや他の動物を苦しみから救う支援を強化するよう政府に要請していく。」

内務省統計2018年版の主な数値は以下のとおり。
 2018年、352万件の実験が完結。そのうち約170万件(49%)が遺伝子操作された動物の「創造」と飼育に関連するもので、これらの動物はそれ以上実験に使用されなかったが、残りの180万件(51%)は利用された。
 2018年に完結した352万件の実験のうち、動物に苦痛を与えたケースは、中程度から激しいものまでを含め、18%(643,142件)もあった。
 イヌを使って完結した実験は、前年比で16%増(3,847件に対し2018年は4,481件)、サルの実験は8%増(2,960件に対し3,207件)、ウサギは8%増(10,362件に対し11,159件)。

 

※CFI :Cruelty Free International/動物実験の廃止を目指す英国の動物保護団体

Cruelty Free International ウェブサイト
UK dog experiments up by 16% despite public opposition

情報公開はどこまで?大学のサルの実験2

情報開示請求でどこまで公開されるか
~京都大学のあるサルの実験の場合 その2~

京都大学(以下、京大)で行われているニホンザルを使った研究「巧緻な運動制御に関わる神経回路とその損傷後の機能回復機構の解明」について、JAVAが関係文書の開示請求を行ったところ、サルの入手元など多くの情報が黒塗りにされ、開示されなかったことをご報告しました。 今回はその第二弾をお伝えします。

開示請求をした京大のサルの実験

JAVAから以下の研究について、動物実験計画書や実験で使用するサルの入手にかかわる文書などの開示請求をしました。

研究課題名:巧緻な運動制御に関わる神経回路とその損傷後の機能回復機構の解明
実験責任者:医学研究科神経生物学の伊佐正教授
使用動物:ニホンザル 28頭

同じ文書なのに不開示部分が異なる

この研究の動物実験計画書は最初に2016年に入手しました(上)。その後、別に請求した資料の添付資料として2018年に全く同じものを入手しました(下)。
比べていただくとお分かりのように次の情報の開示・不開示が違っているのです。

  • 連絡先TEL:黒塗り ⇒ 開示
  • 伊佐教授のメールアドレス:黒塗り ⇒ 開示
  • 伊佐教授以外の動物実験実施者及び飼養者の所属と肩書:黒塗り ⇒ 開示

京大は、最初の2016年では非開示とした理由を「公にすることにより当該研究者の研究活動の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」としています。具体的にどんな支障なのかは書かれていませんが、おそらく市民からの抗議の電話やメールを想定しているのでしょう。それなのに2度目は公開したことは不可思議です。

一方、印影は、最初は開示されたのに2018年の2度目は黒塗りでした。その理由を京大に確認したところ、「平成30年11月27日の送付時点で、特別な事案に対してのみ使用している印鑑の印影であり、公にすることにより、偽造等犯罪に利用されるなど個人の権利利益を害するおそれがあるため」との説明でした。

ウェブサイトに出ているFAX番号が黒塗り

「研究用ニホンザル提供申請書」を入手したところ、伊佐教授の研究室のFAX番号が黒塗りとなっていました。しかし、FAX番号は京大のウェブサイトに出ている伊佐教授の研究室の求人広告に記載されているのです。ウェブサイトにおいて開示している情報は不開示の対象外となっているため、京大に確認したところ、「その掲載内容に係る連絡を目的としたものであり、慣行として公にしているものではない、開示している情報ではないと見做している」とのこと。
内容が何であれ、京大のウェブサイトに掲載しているのに黒塗りするとは、何でも理由をつければ不開示にできる際たるケースといえます。

サルの餌の業者まで黒塗り

前々号でこの実験に使用しているサルの入手元が黒塗りにされていたことをご報告しましたが、今回はなんとサルの飼料製造法人(餌の業者)名やその商品名まで黒塗りでした。
その理由を京大は、「公にすることにより、当該法人の権利、その他正当な利益を害するおそれがあり、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第5条第2号の柱書及び同号イに該当するため」としています。
餌の業者を市民が知ることが、なぜその業者の権利や利益を害するのか、はなはだ疑問です。

サルのケージの配置図も見せない

下の資料、これはケージの配置が記されただけの図です。それをこのように黒塗りにする必要があるでしょうか。施設の平面図も同様に真っ黒でした。
その理由は「厳重な警備、厳格な管理を必要とし、当該実験動物を飼養または実験する建物内部に関する情報で、具体的に公表しておらず、公にすることにより、当該実験室の場所や位置が特定され、またはセキュリティ対策が明らかになり、当該施設の安全管理上、これらの情報は犯罪の予防、鎮圧または捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」としています。
おそらく市民からの抗議行動を想定しているのでしょうが、ケージの配置がわかっただけでセキュリティが脅かされるのでしょうか。過剰反応としか思えません。

しかしケージの写真は公開

一方で、サルを入れているケージの写真は公開されました。市民からすると配置図を見るより、この狭いケージの写真を見たほうが「サルがかわいそう」と京大の実験に対して反感を持つように思いますが、京大の感覚は違っていたようです。

サルはモンキーチェアで拘束される

この実験がどのような手順で行われるかは動物実験計画書に記されていました が、実験はサルたちをモンキーチェア(サルを固定する装置)で拘束して行うことが、入手した「特定動物飼養・保管許可証」から判明しました。

モンキーチェアに拘束されるサル。
今回、開示請求をした実験に使われているサルではありませんが、過去に京大で行われていた実験の写真です。

開示漏れとサルの数の追加

先に請求した「見積書」「納品書」「請求書」と「譲渡証明書」「繁殖証明書」の照合をしたところ、個体識別番号J-08-004F1のサルの「譲渡証明書」「繁殖証明書」が見当たりませんでした。その理由を京大に確認したところ、「送付が漏れておりました」の一言で、漏れた文書を送ってくれるわけでも、「あらためて開示請求の手続きを」との案内もありませんでした。JAVAから確認しなかったら漏れたままであったわけで、開示された文書が請求した関係文書すべてではないこともあるという一例です。

この照合の過程で、サルの頭数の合計が29頭になることに気付き、それについても問い合わせしたところ、「当初は28頭で計画していましたが、実験が想定を超えて進捗したため、当該個体(JAVA注:開示が漏れていたサル)を年度末近くに導入し、平成29年度の動物実験計画書に記載しました」と、サルの使用数を増やしたことがわかりました。

開示請求するたびに、納得できない不開示が多くあり、これが今の日本の情報公開制度の現状といえるでしょう。しかし、活動にとって必要な情報が得られることもあります。入手した情報を今後も活動に活かしてまいります。

Good News!日清食品グループ、食品事業における動物実験を全廃!

NHK連続テレビ小説「まんぷく」の即席めん開発ストーリーも記憶に新しい日清食品。2019年4月24日、同グループが、食品事業における動物実験を全面的に廃止したことを、当会JAVAに対して明らかにしました。キッコーマンヤクルト本社に続いて、動物実験を廃止した食品メーカーがまた一つ、誕生しました!

日清食品の動物実験方針

https://www.nissin.com/jp/about/thewave/innovation/index.html

これまでの経緯

米国の動物保護団体PETAが2018年7月に配信したブログ記事、同年10月17日配信のネットメディア報道などによれば、法律で義務付けられていない範囲の動物実験を廃止してほしいというPETAからの求めに対し、日清食品を含む13の日本の食品メーカーがそれに同意したとのことでした。

しかしながら、その前年に開催された日本動物実験代替法学会第30回大会では、同社の研究員が登壇し、即席めんを例に挙げ、使用原料の残留農薬や、容器から溶出する可塑剤、また、加熱時に生成される化学物質など、一つの商品をめぐって安全性評価が必要な物質が多数存在し、そのために動物実験を行っている、と発表していました。

また、2014年に開設した研究施設「the WAVE」について、2015年8月25日付のプレスリリースには、新設した「究理棟」が「新規危害物質の健康影響を調べる動物試験施設を有する」旨の記載がされていました。

2018年7月には外部委託も廃止!

そこでJAVAでは3月、日清食品ホールディングスに対し、日清食品グループ(以下、「日清食品」といいます)が動物実験を廃止したのかどうか、日清食品の動物実験方針の確認のため面会を申し入れ、4月24日にJAVAから4名が日清食品を訪問し、広報部CSR推進室課長、グローバルイノベーション研究センター健康科学研究部部長の2名と面会しました。そこで以下の事実を確認しました。

  • 2016年4月以降、自社における動物実験は廃止した。
  • 「the WAVE」の「究理棟」では、2015年の稼働後に行なった動物実験は1件のみ。
  • 2018年7月、PETAがブログを配信したタイミングで、それまで行っていた動物実験の外部委託も廃止した。

また、

  • 2017年の代替法学会での発表は、即席めんをめぐる安全性評価を一般論として申し上げたもので、自社でやっているものを紹介したというわけではない。
  • したがって、弊社では食品事業の動物実験を廃止しているのだが、2015年当時のニュースリリースがそのまま残ってしまっていること(動物実験を行う旨の記載が残っていること)、動物実験を廃止した旨の方針を公表していないことから、動物実験を続けているのではないかという誤解を与えてしまっている。

トクホについて

食品分野のなかでも「特定保健用食品(トクホ)」については、摂取することである程度の健康効果が期待できるとしてロゴマークを表示できるようになっていますが、国の審査のもとに消費者庁の許可を受けるにあたって、有効性や安全性などの科学的根拠を示す動物実験等の試験データの提出が求められています。日清食品でも、カップ麺、シリアル、乳酸菌飲料といったトクホの商品を販売していますが、これらは動物実験を廃止する以前に開発・申請したものであるとのこと。

今後、もし新商品を出すとなった場合でも、動物実験ではない方法によるデータで承認申請を行うとのことでした。

食経験を第一に

「食べるものにまで動物実験が行われているのか!」「動物実験しなければ安全性が分からないようなものを食べさせられているなんて!」というように、食品に対する動物実験は受け入れがたいという消費者感情があることをJAVAから伝えると、「日清食品ではまず食経験があるものであること(過去に食べ物として食されてきたものであること)を優先に考えて原料を選んでいる」ということでした。実際、ヒトによる食経験がない、または乏しいものをトクホとして申請しようとする場合には、動物実験による安全性試験が求められています。

原料調達について

原料メーカーにおける動物実験の有無については、花王カネボウグループ富士フイルムなどの大手化粧品企業でも原料調達時に書面確認の徹底を始めていただいていることを紹介すると、日清食品では「仕入れ原料について動物実験が直近で行われているかどうかはわからない」としながらも、「原料メーカーへの書面への確認など、前向きに検討したい」との回答を得ました。

日清食品へエールを

食品分野においても動物実験を忌避する潮流をいち早くキャッチし、外部委託も含めて動物実験廃止に踏み切っていた日清食品。ぜひ、日清食品に対して、この方針を支持するメッセージを送ってください!

日清食品への意見送付先

メールフォーム

フリーコール(日清食品グループお客様相談室)
0120-923-301
受付時間 9:00~17:30 (土・日・祝日を除く)

※「法規制で求められる場合を除いて」との表現について日清食品に照会したところ、「現段階で何らかの動物実験を想定している訳ではない」「今後も、自社内、外部委託も含めて動物実験を実施しない」旨を確認しています(2019年6月3日現在)。

<米国>大手製薬会社、小動物の強制水泳テストを廃止

PETA*の要請を受け、製薬会社として世界トップ20位に入るアストラゼネカとノボノルディスクの両社が、マウスおよび他の小動物を使用した強制水泳テストを行わないことに同意した。また業界大手のロシュ製薬も同テストを止めると述べている。ジョンソン・アンド・ジョンソンとアッヴィは、既にこの残酷なテストを廃止し、このテストへの資金提供も行わないと決断している。
この実験は、水の入った脱出不可能な容器に小動物を落とし、出口を探して必死にもがく様子を観察するものである。動物は容器を登る、出口を求めて水中へ潜るなどを試みながら、ひたすら浮き上がろうともがく。この実験の目的は、ヒトのうつ状態の研究と言われているが、この分野の専門家らは、溺れないよう必死に手足を動かして水をかき続ける動物を観察して得られた結果の有効性を疑問視している。

PETAの脳神経学者エミリー・トランネル博士は、この実験を批判する論文を専門誌Brain Stimulationに発表した。ラットの強制水泳テストが、ヒトのうつ状態の研究に寄与するとした論文の著者に対し博士は、「動物の行動をどのように解釈すべきかという課題や行動テストの科学性を否定している」と指摘。さらに、「強制水泳テストのようなナンセンスな実験に動物を使用することは、ヒトに対する効果的な新しい治療法の開発と発展を妨げる、無視できない要因である」「科学者は、このような時代遅れの手法を捨て、ヒトに関連した研究方法に目を向けるべき」と主張し、「具体的には、患者の細胞を用いて患者に適した医薬品を開発する方法や、ヒトの心身に基づいたコンピュータモデルの活用などがある」と述べている。
PETAは、ブリストル・マイヤーズ、スクイブ、イーライリリー、ファイザーにも、業界に影響を及す優れたリーダーとして、強制水泳テストを廃止するよう働きかけている。

※PETA:People for the Ethical Treatment of Animals(動物の倫理的扱いを求める人々)/米国に本部を置く動物保護団体


PETAウェブサイト
Victory! Johnson & Johnson Bans Water Tank Test, Thanks to PETA
 Victory: Johnson & Johnson Ends Near-Drowning Tests on Animals
Victory! Top 10 Pharma Company Roche Bans Forced Swim Test
AstraZeneca and Novo Nordisk A/S Stick Up for Animals!

<米国> 粘り強さの勝利! 米国屈指の医療機関の研修医トレーニングから、動物を使った実習が消える

PCRM(責任ある医療の医師委員会)の長年の働きかけにより、米国屈指の救急医療研修医制度で知られるミネソタ州ミネアポリスにある医療センター「ヘネピン・ヘルスケア」(以下、ヘネピン)に対して、生きた動物の使用を止めさせることに成功した。

 2016年4月、PCRMはヘネピンと非公開による交渉を試み、続いて反ヘネピン・キャンペーンを公に開始。当時ヘネピンでは、救急医療研修医のトレーニングに、ヒツジとウサギを使っており、胸骨から心臓まで切り開くものや、頭蓋骨に穴をあけるものなど、ヒツジだけで20もの医療行為の実習が行われていた。そのような苦痛に耐えて生き延びた動物がいても、研修後には殺処分していた。

PCRMは、連邦裁判所に訴訟を起こし、街頭デモを行い、ミネアポリスの繁華街に広告掲示板を立て、2018年7月にはヘネピンへ抗議するとともに、ヘネピンの理事会に意見書を提出し、PCRMサポーターから集まった72,000筆以上の署名を届けた。同時に、広告掲載車5台で医療センターのあるキャンパスとミネアポリスの繁華街を終日走行し、ヘネピンの経営陣に対し、動物使用をやめるよう訴えた。

 PCRMが抗議し続けたことでついに変化が起き、ヘネピンの理事会が動物使用の見直しに着手し、その作業が2019年2月に終了した。米国とカナダにある救急医療研修機関267か所のうち、94パーセントに当たる252か所が、ヒトに関連したトレーニング方法だけを使用している。ヘネピン・ヘルスケアは、その仲間入りを果たすことになったのである。

“Victory! Hennepin Healthcare Program Ends Live Animal Use”

2019年2月22日付けPCRMメールニュース

<英国>3D生体機能チップにより疾病治療の開発が加速

ケンブリッジ大学の研究者らは、リアルタイムで継続的に細胞を観察することができる三次元の生体機能チップを開発した。この3D生体機能チップは、疾病の新たな治療方法の開発に使用できるとともに、研究で使用される実験動物を減らすことも可能にする。細胞はスキャフォールド(足場)内で培養された後に、細胞に必要な栄養分が流れるプラスチックのチューブの中に装置ごと入れられる。この装置により細胞が三次元的に成長できるため、体内で細胞が成長するさまをより正確に模倣できる。この論文の筆頭著者である Dr. Charalampos Pitsalidis は、「このシステムにより、組織の成長および外部からの薬品や毒素に対する反応を観察することができる。毒性試験のほかに、組織内の特定の疾患を誘発したり、疾患の主要なメカニズムを研究したり、有効な治療法を発見したりすることも可能である」と述べている。

Pitsalidis C, Ferro MP, Iandolo D, Tzounis L, Inal S, Owens RM. Transistor in a tube:
A route to three-dimensional bioelectronics. Sci Adv. 2018:4;eaat4253

“3D Organ-on-a Chip Could Accelerate Disease Treatment”
PCRM’s Good Medicine/Winter 2019/Volume XXVIII, Number 1

中・高等学校で動物実験についての講演を行う

2018年12月、東京・中野区にある都立富士高等学校・都立富士高等学校附属中学校にて、生徒さん60名を前に、動物実験についての講演を行いました。その時の様子をご報告します。


2018年12月18日、JAVAの事務局長の和崎、理事の石島、事務局の山本の3人が同校を訪問し、動物実験についての講演を行いました。この講演を行うに至ったのは、附属中学校3年生(当時)の渡辺小春さんから「JAVAに動物実験についての講演をお願いしたい」という依頼をいただいたことがきっかけでした。

講演は放課後に行われ、希望者のみが参加する形でしたが、依頼者の渡辺さんが、企画、ポスター制作、アナウンス、先生との連携など、しっかりと準備してくださったおかげで、勉強や部活動などで忙しい中にもかかわらず、中高生合わせ60名もの生徒さんたちが参加してくださいました。

参加者の皆さんにご挨拶をした後、まず初めに動物実験への関心を高めるための導入として、石島がJAVAの活動に参加するまでの自身の体験談を話し、動物実験が行われる分野や使われる動物の種類、動物実験の賛否などについて、生徒さんたちに挙手していただく形でのアンケートをとりました。

次に、和崎が、この日のために制作した60枚のスライドを使いながら動物実験についての講演をしました。

講演内容は、「意外と身近な動物実験」というテーマで、まずは動物実験が私たちの日常生活にとても密接に関わっているという説明から始めました。実験に使用される動物の種類や頭数、動物実験の内容やその残酷さ、科学的根拠に基づいた動物実験の問題点を述べ、動物実験に代わる代替法の紹介や、動物実験をなくしていくためにはどうしたらいいかなどの対策を話しました。それらは資生堂に対するキャンペーンや解剖実習をなくすためのキャンペーンなど、JAVAの活動の実例を挙げて、順序立ててまとめたものでした。動物実験についての説明は難しい言葉が多くなりがちですが、中高生でも理解できるような言葉に言い換えたり、専門的な言葉には丁寧な説明を加えたりするなどの工夫をしました。

初めての会場だったので、音響や映像の不調も何度かありましたが、先生方のサポートで、大きなトラブルもなく無事に講演を終えることができました。

1時間以上もの間、生徒さんたちはとても熱心に耳を傾けてくださり、最後に、配布していた用紙に感想や質問を書いていただきました。感想を集計した結果、最終的に「動物実験に賛成」が2名、「動物実験に反対」が53名、「動物実験の賛否に中立」が6名でした。また21名が「講演を聞いて気持ちが変わった」と答え、13名が「この事実を周知したい」と意思表示をしてくださいました。全員がとても丁寧に感想を書いてくださり、心温まるメッセージもたくさんいただきましたので、いくつかご紹介いたします。

  • 私も将来は、動物実験や殺処分を減らせるような仕事に就きたいと思う。そして、少しでもJAVAの皆さんの活動に貢献できるように日本の未来を変えていきたい。
  • JAVAの動物実験廃止への行動力が素晴らしいと思い、考えさせられた。これから少しでも廃止されるように自分達にできることはしたいなと思った。
  • 私は動物実験の存在は知っていて、私自身、動物が好きだけれど、それがかわいそうだ、残酷だと感じていませんでした。しかし今回、動物実験の実態とともに人間がしていることの残酷さを知り、お話を聞いたり、写真を見ていて、とても胸が痛くなり、悲しくなりました。「動物実験をゼロに」と言うと綺麗ごとのようになってしまうかもしれないけれど、まずは多くの人が動物実験の残酷さを知り、少しでも多くの動物を救わなくてはならないと思いました。また、自分でもできる小さなことから動物の命を守っていきたいと感じました。今回の講演は私に大きな影響を与えるものでした。このような機会をありがとうございました。

日本では今でも「動物実験は必要」というイメージを持つ人が多いと思いますが、動物実験の問題点や残酷さをきちんと伝えることができれば、「動物実験反対」という私たちのメッセージは、多くの方に理解していただけるのだと改めて実感しました。この度の講演は私達としてもいい経験となりましたし、若い方たちの感想を受け、今後の活動の励みにもなりました。 これからの日本を担う素晴らしい生徒さんたちに、動物実験について知っていただく貴重な機会を設けてくださった富士高等学校附属中学校の皆様、誠にありがとうございました。


この講演を企画してくれた渡辺小春さんは、その後4名のチームメンバーと共にアイデアをまとめ、今年3月に米国・シリコンバレーで様々な企業に対して動物実験に関するプレゼンテーションを行いました。その時の様子をレポートしていただきました。(富士高等学校附属中学校では、シリコンバレー研修を今年から開始。その第1回目のわずか24名の中に、渡辺さんも選ばれていたのです。)

NO!!! ANIMAL EXPERIMENTS

こんにちは。渡辺小春です。私は3月に学校の研修で1週間シリコンバレーへ行ってきました。シリコンバレーはサンフランシスコの中にある、グローバル企業が多く集まっている地域です。そこで学校の友達とチームを組んで準備していた動物実験に関するプレゼンテーションを行なったので、そのお話をさせていただきたいと思います。プレゼンの内容は、どうして動物実験は問題なのか、どうしたら動物実験をしなくて済むのか、そしてそのためにどんなアイデアがあるのかという、動物実験をゼロに近づけるためのアイデアピッチです。私たちのチームは、動物実験が問題である理由として、残酷であるからだけでなくコストパフォーマンスが悪いことや人と動物には科学的に大きな違いがあることなどをあげました。動物実験の問題を、感情論だけでなくより科学的・論理的にして多くの人を納得させるためです。

※投資家に対して新しいアイデアをアピールするカジュアルなプレゼンテーション。シリコンバレーで生まれた用語。

私たちのチームのアイデアは代替法を生み出すことと動物実験をしていない商品を売るためのことです。代替法のアイデアは、人の細胞を使って植物から皮膚や眼球など人の器官を作り出すことです。

売るためのアイデアは、AIとスマートフォンを利用して動物実験の情報を送り、多くの人に知ってもらうことや、ボディブレッドという臓器の見た目をしたパンを売り、パンの酵母菌と人との関係性が動物実験のない世界を作れることを宣伝する、ということなどです。現地の人によるアイデアピッチのフィードバックではそれらを開発するのには莫大な費用と技術が必要であることや、たくさんの努力、経験、教育をもって、これを続けていかなければならないと言われました。何より重要なのはお金の問題だとおっしゃっていました。具体的な面では、動物実験をしていない商品を見分けるためにどのようなことができるかと質問されました。私たちのグループでは、見分けるためのマークを商品に付けるというアイデアをピッチしましたが、これからもっといい方法も考えていけたらと思っています。

JAVAの方々の力もお借りして、シリコンバレーで、いいプレゼンテーションができました。ありがとうございました。この恩を返すためにも、今回だけで終わらせずこれからもっと良いアイデアを、企業に力を借りれるようなアイデアを考えていきたいと思います。

都立富士高等学校・附属中学校3年生 渡辺小春

<英国>動物を使用しない医学研究所

<英国>動物を使用しない医学研究所

英国の動物代替センターARC (Animal Replacement Center of Excellence)は最先端の科学を駆使して、ヒトモデルを進化させ、現在のがん研究で使用されている動物の数を減らすことを目指している。ARCはロンドン大学クイーン・メアリーのブレイザー研究所と英国で動物を用いない研究に助成金を提供する助成機関AFR UK (Animal Free Research UK)が協力して運営している。

人の病気はヒトモデルで

ARCのMike Philpott教授のプロジェクトは、人の皮膚がん、頭頸部がんにおける動物からの置き換えや、ヒト細胞モデルを使うことに焦点を当てている。例えば皮膚がんについては、ヒトのがん組織、がん細胞株、または美容整形手術から寄贈された正常な皮膚細胞のいずれかを使用しており、そこから遺伝子発現を変えることによって皮膚がんのモデルを作成している。人の皮膚がんでは最も一般的である基底細胞がんを対象にしている。基底細胞がんを治療するために使用される薬物の多くは、マウスを用いて試験されてきた。しかし、基底細胞がんはマウスではなく人の皮膚の病気であるため、創薬試験のモデルとしては、マウスよりもヒト細胞モデルの方がはるかに優れている。

また、Adrian Biddle博士(AFR UKが代替法で資金提供している研究者)による研究では、人のがんとの適合性がより高い腫瘍の侵入、転移および治療抵抗性が異なる細胞亜集団に対する重要な試験を行うことができるイン・ビトロモデルを構築している。新鮮なヒト腫瘍標本をモデルに組み込む技術は、大きな進歩である。この研究は、口腔がんと乳がんの両方のヒト腫瘍標本を用いて行われている。

“HOW COSMETIC SURGERY CAN HELP US BEAT SKIN CANCER”

“THE ANIMAL REPLACEMENT CENTRE OF EXCELLENCE (THE ARC)”

(右から)Philpott教授と研究メンバーのDr. Rahman、Dr. Biddle 、Dr. Youssef
©Animal Free Research UK

日本動物実験代替法学会第31回大会が熊本で開催

<動物実験代替法学の体系化と人財育成>
 日本動物実験代替法学会第31回大会報告

2018年11月23日~25日、「動物実験代替法学の体系化と人財育成」というテーマを掲げた日本動物実験代替法学会の第31回大会が、熊本県にある崇城大学にて開催されました。2016年4月に発生した地震の被害からの復興のさなかにある熊本を支援しようということで開催地が決まったとのことです。

「日本動物実験代替法学会第31回大会」のWebサイト

代替法を学問として

今大会のテーマである「動物実験代替法学の体系化と人財育成」についてのシンポジウムでは、大会長である崇城大学の松下琢副学長が登壇。「動物実験代替法に必要となる学問体系について」と題する発表で、「動物実験代替法(3Rs)の考え方の根底には「動物愛護の精神」があるが、「かわいそう」という感情的なものではなく、動物行動学、生理学、生態学など科学的根拠のある「動物福祉(アニマルウェルフェア)」に基づいており、さらに、生命倫理学、組織培養学、統計学、応用情報学といったさまざまな学問分野が関係しているという概要が改めて説明されました。そして、少子化で学生数が減少する昨今、この3Rsを担っていく人材を育成するためにも、これらの必要な学問を「動物実験代替法学」として早急に体系化していきたいとの提言がありました。体系化した場合、基礎科目としては英語や数学のほか生命倫理や動物愛護についても学ばせること、また、演習として薬理学実習や細胞培養実習に加え動物愛護センターでのボランティアなどが考えられるとしました。

続いて同大学総合教育センターの鈴木俊洋氏による「なぜ我々は動物を保護するのか? ―動物愛護の倫理的根拠―」という発表では、21世紀の科学は倫理について考えていかなければならないとし、人間と動物との関係における両極の考え方を紹介。①動物には意識も心もなく、よって権利もなく、保護する理由はもっぱら人間の利用のためとする人間中心主義、②動物には人間と同様の権利があり動物実験も肉食も禁止すべきという動物の権利思想の二極だが、動物の利用を認めつつストレスや苦痛を少なくする「動物福祉」という考え方はどちらにも属さず、中途半端だと考えられがちである。しかしいまの社会のなかでは我々の実感に沿った倫理であり、今後は動物にも道徳的コミュニティが拡大していくと考えられると話しました。この問題を考えるにあたって2本の映画「キューティー・ブロンド2」「猿の惑星(創世記)」を薦めていました。

※3Rsとは Replacement(動物を使用しない方法への置換)、Reduction(動物使用数の削減)、Refinement(実験技術の洗練による動物の苦痛軽減)の頭文字3つのRのこと。本来の言葉の意味から言えば動物実験代替法とは動物を使用しないReplacementだが、数の削減や苦痛軽減も含めて3Rsが広義の代替法とみなされている。

これからの動物愛護

熊本市獣医師会の松田光太郎元会長の特別講演では、これからの動物愛護のあり方として、「かわいそう」という感情に基づくものから、ヒト以外のすべての生き物との関わり方を論理的・科学的にとらえなおした学問として再構築していくべきとの提言がありました。障害者と健常者の間に優劣がないのと同様、同じ地球に存在する生命体にも優劣はなく、すべてが対等という認識のもとに、動物を「かわいがる」のではなく「命を尊重して共生する」と考えるべきである、として「感情からの離脱」を訴えていました。

口腔ケアはまだ動物実験が?

数あるポスター発表のなかで目に付いたのが口腔ケア用品。ライオン、花王、サンスターの3社による、ヒト3次元口腔粘膜培養モデルを用いた口腔ケア用途の原料の有用性評価に関する共同研究発表がありました。化粧品では大手各社が脱・動物実験の方向に進むなか、口腔ケア用品に関しては代替法の確立がまだ難しく、いまなお研究段階にあるとのこと。口腔ケアの有用性評価ということは、つまり薬用ハミガキ関連の分野です。購入する前に、動物実験を行っているかどうか、ぜひ問い合わせてください。化粧品の動物実験に反対する際の訴えと同様、「新規原料を開発するなら代替法が確立してからで十分。動物実験はやめてほしい」と声を届けましょう。

まとめ

今大会では、代替法を学問として位置付けるために、感情に依拠する動物愛護とは一線を画したいという研究者の思いが見て取れました。たしかに、不特定多数の、様々な価値観を持つ人たちに対して訴えていくとき、しっかりとした根拠に基づいた主張の仕方は大切です。でも、言葉の通じない動物たちの不幸な境遇を知って、「かわいそう」「助けたい」と思うのは自然な感情の発露。そこから次にどういうステップを踏むかが大事なのであって、感情自体を否定せず、説得力のある活動へとつなげていきたいものです。

農薬登録基準に動物実験の3Rを

生活環境動植物に関する農薬登録基準
環境大臣に動物実験の3Rを要望

2018年6月15日に改正農薬取締法が公布されました。農薬登録基準のもと、農薬が及ぼす水産動植物(魚類、甲殻類等)に対する影響評価がこれまで行われてきましたが、この改正により、陸域を含む「生活環境動植物」に対象が広げられました。そして現在、環境省の中央環境審議会 土壌農薬部会 農薬小委員会において、「生活環境動植物」に対する影響を評価するための審査基準の設定について、検討・審議が始められています。
この検討・審議を経て、評価対象とする動植物種や試験に用いる生物種の選定、毒性試験の策定等がなされます。これはつまり新たな動物試験が追加されることを意味します。

欧米は代替法の採用において日本のお手本となることが多いですが、今回の場合、EUや米国では、すでに哺乳類や鳥類といった陸域の生物への影響を評価する動物試験を行っていることから、欧米をお手本とはできません。
しかし、日本においては、化粧品をはじめとした企業の動物実験廃止や様々な分野での代替法の採用が進められています。今回と同じ農薬に関しても、3月に農薬の登録申請に必要な試験からイヌを用いた1年間反復経口投与毒性試験が削除されるという、画期的な動きがあったことは4月にご報告したばかりです。
そして、今般の農薬取締法の改正でも、参議院の付帯決議に次のとおり動物試験に代わる方法の開発・活用や3Rの有効な実施の促進について盛り込まれたのです。

七 試験に要する費用・期間の効率化や国際的な動物試験削減の要請に鑑み、定量的構造活性相関の活用等を含む動物試験の代替法の開発・活用を促進すること。
また、国内外の法制度で明記されている動物試験における3R(代替法活用、使用数削減、苦痛軽減) の原則に鑑み、不合理な動物実験の重複を避けるなど、3Rの有効な実施を促進すること。

JAVAは、8月、国内外の3Rの動向を伝えた上で、中川雅治環境大臣(当時)に対して、「生活環境動植物に係る農薬登録基準」に動物を用いない試験方法を取り入れる等、3Rを最大限考慮することなどを求める要望書を提出しました。今後の環境省の動きに注目し、またご報告したいと思います。

写真:イメージ

毒物劇物の分野での代替法利用についての講演会参加報告

8月2日(木)に東京大学本郷キャンパスで開催された、技術講演会「毒物劇物の判定にどう代替法を用いるか」(主催:日本動物実験代替法学会)に参加しました。

開催挨拶
酒井 康行 (日本動物実験代替法学会会長、東京大学大学院工学系研究科)

毒物劇物の判定基準
古田 光子 (厚生労働省 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 化学物質安全対策室)

OECDのTGとJaCVAM提案書の現状
小島 肇 (国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部)

代替法利用における留意点
高橋 祐次 (国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)

代替法利用に関する留意点
稲若 邦文 (日本化学工業協会 化学品管理部)

個別研究例 STE法(TG491)の利用
安保 孝幸 (花王株式会社 安全性科学研究所)

個別研究例 毒劇物の眼刺激性評価におけるウシ角膜を用いる混濁度および透過性試験法(BCOP試験)の有用性について
河村 公太郎 (株式会社化合物安全性研究所 安全性研究部)

総合討論(パネルディスカッション)

毒物及び劇物取締法において、化学物質が毒物・劇物の指定対象となるかどうかの判定にも、多くの動物実験が実施されています。
昨年6月に厚労省から出された「毒物劇物の判定基準の改定について(通知)」(薬生薬審発0613第1号 平成29年6月13日)では、近年の動物愛護の観点からの動物実験の廃止などの動向をうけて、毒物劇物の判定に使える具体的な代替法の例示がされました。

通知は国立医薬品食品衛生研究所のウェブサイトでご覧いただけます。

例示された代替法は、皮膚腐食性についての2つの代替法(経皮電気抵抗試験とヒト3次元培養表皮モデル)、眼腐食性と強度刺激性についての4つの代替法(ウシ摘出角膜を用いる混濁度および透過性試験(BCOP)、ニワトリ摘出眼球を用いる試験(ICE)、 フルオレセイン漏出試験法(FL)、in vitro 短時間曝露法(STE))です。また、皮膚刺激性についての代替法も条件つきで考慮可とされました。
ただし、急性経口毒性、急性経皮毒性、急性吸入毒性は、有効の代替法はないとして、動物実験での判断が継続されます。また、毒物劇物に指定された製剤の適用除外申請にも代替法は活用可能とされましたが、具体的な例示はされていません。このような現状や課題について6名の専門家の講演があり、最後にパネルディスカッションが行われました。

講演では、毒性の専門家から「多くの化学物質が対象となる毒物・劇物の分類における代替法の利用は、評価の高速化と効率化にも寄与する」、産業界からは「代替法の利用促進をはかりたい」といった発言がありました。
そして、パネルディスカッションでは、「動物実験ありきで、代替法は動物実験との比較のためだけのツールという印象を受けた。何十年も同じ状態。代替法でやっていこうと考えを変えてもらわないと」と、私たちが「そのとおり!」と思わず叫びたくなるような意見を言ってくれた参加者がいました。JAVAも「一つでも動物実験が減るよう代替法採用にさらに尽力してもらいたい」とパネラーたちに要望しました。

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