茨城県が一部の改善を公表【3】
茨城県が一部の改善を公表したことを「茨城県が一部の改善を公表【1】」や「茨城県が一部の改善を公表【2】」でご報告しました。2025年4月~7月には、下記<1>と<2>の改善を行ったことが畜産センターのウェブページ「アニマルウェルフェアの取り組みについて」で公表されました。
画像:茨城県畜産センターのウェブページ「アニマルウェルフェアの取り組みについて」より
<1> 3つの暑さ対策
牛の暑さ対策として一般的なのは、体を濡らし風を当てて気化熱で体温を下げる方法です。それには、ファン(扇風機)とミストは欠かせません。「茨城県が一部の改善を公表【2】 」では、「水浴びと扇風機」による暑さ対策をご報告し、「いまだミストが出る装置もしくは調査をした外部有識者が勧める『ドライフォグ』の装置による方法は行われていない」と指摘していましたので、ミストが設置されたことは評価できます。
ただ、ミストは発する水分によって、ベッドの環境を悪化させる可能性もあると外部有識者は指摘しています。ミストによる湿気が逆に牛へのストレスとなることもあります。今は試作段階で順次設置を進めていくとのことですので、牛舎ごとの飼養環境に応じて外部有識者が勧める「ドライフォグ」にする必要もあると考えます。
また、「茨城県が一部の改善を公表【2】」でご報告した乳用牛に行っている水浴びですが、肉用牛については行っているのか依然不明です。行っていない場合、体を大量の水で濡らし、送風で乾かす水浴びは冷却効果が高いので、肉用牛についても取り入れることを検討するべきです。
パドックの「日よけ」については、使用しているのが農作物用の寒冷紗のため、日光を通してしまって十分な日よけになっておらず、牛の暑熱対策としては不十分であると繰り返し指摘してきました。日よけと雨よけ両方の効果がある、きちんとした屋根を設置すべきです。
<2> 飼育管理状況の自己点検
畜産センターが自己点検に活用しているという農林水産省のチェックリストは、牛については乳用牛と肉用牛ごとに、牛の取り扱いや飼育方法・飼育環境等に関して85項目挙げられています。
このセンターの報告には、一番チェック頻度が高い分類Aでも「月に1回」とあります。
チェック項目によっては、月に1回や年に1回でも問題ないものもあります。しかし、「搾乳時以外に1日1回以上、飼養環境や健康状態の悪化の兆候がないか確認していますか(例:採食や反芻の状態、損傷や跛行の発生状況、休息の状況、行動等)」や「日常的にこまめに蹄を観察し、少なくとも1年に1回は削蹄を行っていますか」などの項目は、月1回ではアニマルウェルフェアへの対応が遅れ、牛が1か月不適切な環境・状態におかれる可能性があることになります。
遅きに失したとはいえ、自己点検をすることになったのは評価できますが、このチェック頻度には疑問があり、まずは県が採用しているチェック項目と、それらをA~Dのどれに分類しているかを明確に示すこと、さらに点検状況を公表することを求めます。
これからも皆さんの声を届けてください
このように依然として気になる点、改善が必要な点は多々残っています。茨城県が改善をさらに進め、また改善した点はそれを継続することが重要です。
そのためにも、県の改善状況に注目していることを伝え、「さらに改善を進めていってほしい」といった皆さんからの声を届け続けてください。
■茨城県知事 大井川和彦殿
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