EUの完全禁止から1年、 南米でも禁止する州が誕生、アメリカでは禁止法案が提出される

2014年6月17日

EUが化粧品の動物実験を完全に禁止した2013年3月11日から1年。この1年の間、EUに続けと、世界各国では化粧品の動物実験廃止に向けて、さまざまな取り組みが進んでいます。

グローバル

JAVAが日本のパートナー団体として協力している、英国本拠の国際的動物保護団体Cruelty Free International(CFI)を筆頭に、数々の動物保護団体の尽力の甲斐もあって、化粧品の動物実験禁止あるいは廃止に向けて、政府レベルで踏み出す国や地域が増えてきました。動物実験反対運動は長らく欧米諸国の専売特許と見られてきましたが、アジア、南米などでもその勢いはとどまることを知りません。

ブラジル

サンパウロ州で化粧品の動物実験禁止法施行!
1匹あたり4,200万円の罰金

1月23日、ブラジル・サンパウロ州で化粧品に対する動物実験を禁止する法律が州知事に承認され、1月24日に施行されました。ラテンアメリカ諸国初の快挙です!

2013年秋、フェリシアーノ・フィーリョ州議会議員が議会に緊急提出したこの法案(Bill 777/2013)は、すでに12月11日に州議会で承認されていましたが、ジェラルド・アルキミン州知事のサインが待たれていました。
これにより、同法に違反した場合(つまり化粧品等に対して動物実験を行った場合)、その動物実験を実施した施設には動物1匹あたり100万レアル(日本円で約4,200万円)の罰金が科されるとされています。

ブラジル国内に約2,300の化粧品企業があるとされるうち、3分の1弱にあたる約700社が存在しているサンパウロ州の決定が、今後、ブラジルの連邦政府に影響を与えていくことは必至です。また、ブラジルは中南米の化粧品市場の58%ものシェアを占めていることから、ブラジルにとどまらず中南米全体に大きなインパクトを与えていくことになるでしょう。

この一連の動きの背景には、2013年10月17日に同州サンロッケ市にあるロイヤル研究所(Royal Institute)から、薬物の毒性試験に供されるビーグル犬178頭が劣悪な状況におかれていたところを救出されたという事件がありました(ロイヤル研究所はこの後閉鎖されました)。この事件が発端となって、同州では動物実験に反対する気運が大きく盛り上がりました。
これに対して、アルキミン州知事は、この法案可決を、動物保護団体だけでなく、化粧品業界団体の代表者や獣医師、生化学者、医師など研究者らと協議した結果だと説明しています。

※参考記事
Brazil’s Sao Paulo state bans animal testing
http://uk.news.yahoo.com/brazil-39-sao-paulo-state-bans-animal-testing-213308505.html

Sao Paulo to ban animal testing for cosmetics
http://www.premiumbeautynews.com/en/sao-paulo-to-ban-animal-testing,6407?PHPSESSID=8ptt47rdqbo5bshrarigv75rq1

São Paulo, Brazil Introduces Latin America’s First Ban on Cosmetics Animal Testing
http://www.huffingtonpost.co.uk/troy-seidle/sao-paulo-brazil-introduc_b_4658952.html

追記:5月1日に国レベルでの禁止法案がブラジル議会に提出されました。

アメリカ

化粧品の動物実験禁止法案が提出される
賛同議員の獲得が成立へのカギ

EUの禁止から1年が経とうという3月5日、米国下院のジム・モーラン議員(@Jim_Moran)が、化粧品の動物実験を禁止する法案を下院議会に提出し、速やかな法案通過を訴えているとのニュースが届きました。

モーラン議員が提案した「人道的化粧品法(the Humane Cosmetic Act 正式名称はTo phase out cosmetic animal testing and the sale of cosmetics tested on animals)」が成立すれば、実験禁止については1年間の段階的導入期間、販売禁止については3年間の段階的導入期間を経て、禁止が実現することになります。

法案提出当初、モーラン議員一人が提案者でしたが、2014年5月1日現在、共同提案者(cosponsor)に民主・共和両党から41名の議員が名を連ねています。同法案は追って下院の常任委員会に付託される予定ですが、委員会で審議され本会議へと上程され、成立の日の目をみるには、やはり数の力が必要。賛同する議員が増えることが望まれます。

●米国の下院議員に対して、同法案の共同提案者になるように求めるオンライン署名が立ち上がっています。ぜひ、日本からも、アメリカの議員へ声を届けてください。
Please join Cruelty Free International to ask your Representatives to become co-sponsors of the Humane Cosmetics Act.
http://chn.ge/1lD7uCt

化粧品の動物実験ワールドマップ
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