「化粧品の動物実験は廃止すべきもの」化粧品規制協力国際会議(ICCR)で訴え

2013年7月10日

2013年7月9日、東京・内幸町で開かれた第7回化粧品規制協力国際会議(ICCR-7)で、国内外の動物保護団体4団体が意見を述べる「ステークホルダーセッション」が開かれ、私たちJAVAも参加しました。各国の代表団を前に、「化粧品の動物実験は廃止すべきもの」との合意形成をするよう強く訴えました。

化粧品規制協力国際会議での訴え

ICCRとは

化粧品規制協力国際会議(International Cooperation on Cosmetics Regulation 略称ICCR)とは、EU、米国、日本、カナダの4か国の化粧品規制当局による会議体で「国際貿易への障壁を最小化しつつ、最高レベルの世界的な消費者保護を維持すること」が目的とされています。2007年にブリュッセルで第1回目の会議が開かれ、第7回目となる今回は日本で開催される初めての会議となりました。これまで「適正製造規範(GMP)」や「化粧品国際命名法(INCI)」など共通のシステムづくりのためのトピックのほか、国を超えて懸念が示されている「ナノテクノロジー」や「微量汚染物質」「アレルゲン」などが議題に上がってきました。そして、2007年の発足以来最重要課題の一つとされてきたのが「動物実験代替法」です。

利害関係者の意見を

ICCRでは、2011年より、通常の会議のほかに、化粧品規制に関わる利害関係者から話を聞くセッション(ステークホルダーセッション)を設けていますが、今年のセッションは、ステークホルダーを動物保護に関わる関係者に限定して募集が行われました。つまり、EUでの禁止を受けて、動物実験問題がもっとも重要な課題と位置づけられたからだと言えます。セッションには、日本から私たちJAVAとNPO法人アニマルライツセンターが参加。国際的に活動を展開している団体として、CFI(Cruelty Free International 現在JAVAがローカルパートナーとして協働してキャンペーンに取り組んでいます)と、HSI(Humane Society International 国際人道協会)が参加。4団体がさまざまな角度から「化粧品の動物実験からの撤退」を主張しました。

JAVAからICCRへの提言

JAVAはICCRに対して次の3点を提言しました。

  1. ICCRとして「化粧品の動物実験は廃止すべきもの」という合意形成を行なうこと
  2. 加盟各国において速やかな禁止措置を導入すること
  3. 輸入化粧品に対して動物実験を義務付けている中国のICCRへの加盟を促し、動物実験廃止に向けて共同歩調を取ること

JAVAから厚生労働省への提言

さらに、今回の会議のホスト国である日本に対しては、以下の3点を要求しました。つまり、国が企業による動物実験データの提出を受け付けないことで「事実上の禁止」状態を作り出すことを求めました。

  1. 動物実験が必要とされる医薬部外品の申請および化粧品基準の改正要請を拒否すること
  2. 1の実現如何にかかわらず、すでに代替法が確立されている試験分野について、動物実験による試験結果を受け入れないこと
  3. 新規動物実験代替試験法の早急な開発と公定化の必要性をかんがみ、日本動物実験代替法評価センター(JaCVAM)を関係各省庁に開かれたものにするために、厚生労働省から内閣府に移管設置するために尽力すること

慎重姿勢を崩さない規制当局

ICCRの加盟各国代表団のほか、オブザーバーとして参加した中国とブラジルの規制当局、EUやカナダの化粧品業界団体、日本のPMDA(医薬品医療機器総合機構)などが列席するなか、各団体が主張を展開しましたが、EU代表から出た「ICCRとしてできることとできないことがある」とのコメントに表れているように、ICCRとして動物実験の実施を規制すること自体にはきわめて慎重な姿勢が示されました。
また、どの団体からも、輸入化粧品に対しても一律動物実験を義務付けている中国への懸念が示されましたが、中国側からはそれに対する明確な回答を引き出せないままに終わりました。

セッションでは目に見える収穫はありませんでしたが、規制側の人たちに対して、動物実験廃止はもはやEUという一地域の問題ではなく全世界的な対応が求められているということを、公の場で大いにアピールできたと思います。
いま国際社会が「化粧品の動物実験廃止」への道程にあることは間違いありません。消費者に広め、メディアに知らせ、企業を動かし、規制当局に目を向けさせ、制度を変えさせる――小さな活動をひとつひとつ丁寧に積み重ねて、日本で、世界で、化粧品の動物実験廃止というゴールを勝ち取りたいと思います。

JAVAの発表スライド1

いま、動物実験を続行して新成分開発を行う企業と、動物実験を廃止したために新成分開発ができない企業が同時に存在しているが、前者は利益を上げることが許され、後者は倫理的判断をしたがために相対的に不利益を被っている。この不均衡は改善されるべきだ。(JAVAの発表スライドより)

JAVAの発表スライド2

化粧品のための動物実験を禁止した国や、自主的にやめた企業が次々と現れているが、動物実験を義務付けている中国という巨大市場は手放せないというのが企業の論理。その結果、動物実験という「負の輸出」が行われている。中国とも問題意識を共有し、廃止に向けて共に歩むべきである。(JAVAの発表スライドより)

JAVAの発表スライド3

EUの決断は、弱者を搾取して発展するマーケット=人間の無限の欲を、人間自らがコントロールできることを示した。「化粧品の動物実験廃止」を全世界で実現できたら、我々いまの世代の人間は、必ずやこの先の未来に自信と希望を持つことができるだろう。ICCRの崇高な望みと不断の努力により、この目標が達成されることを期待する。(JAVAの発表スライドより)

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