ポーラ・オルビスグループ「2015年1月1日から廃止」!

2015年1月29日

動物実験廃止企業にポーラが仲間入りを果たしました!

去る2014年12月26日、JAVAを含む3つの動物保護団体で構成する「美しさに犠牲はいらないキャンペーン(CFB)実行委員会」は、ポーラ本社を訪れ、同社の持株会社であるポーラ・オルビスホールディングスより:

「2015年1月1日から開発に着手する化粧品・医薬部外品について動物実験を廃止します」

との方針を引き出しました!
2013年に廃止を決断した資生堂、今後も行わない方針を表明したマンダム、2014年に廃止の事実と今後も行わない方針を表明したコーセーに続いて、また新たに動物実験廃止企業が誕生しました!

CFBが手渡した要望書に対するポーラ・オルビスホールディングスからの2015年1月9日付書面

美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会
 JAVA 理事 亀倉 弘美 様
 ARC 代表理事 岡田 千尋 様
 PEACE 代表 東 さちこ 様

拝啓
新春を寿ぎ、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

昨年末はご多忙の中、面談にお越し頂き誠にありがとうございました。
貴重な情報交換の機会となったこと、嬉しく思っております。

さて、ポーラ・オルビスグループの化粧品(医薬部外品を含む)における動物実験廃止の基本方針につきまして、別紙のとおり送付させて頂きます。

なお、この基本方針は、弊社ホームページにて既に公表しております。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

敬具
2015年1月9日
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
広報・IR担当 取締役
藤井 彰

化粧品(医薬部外品を含む)における動物実験廃止の基本方針

ポーラ・オルビスグループは、化粧品(医薬部外品を含む)の研究・開発において、代替法技術の確立に伴い外部委託を含めて動物実験を行なわない方針です(*)。

(*)万一、社会に対して安全性の説明責任が生じた場合や、一部の国において行政から求められた場合を除きます。

以上

2015年1月9日
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

書面のPDFはこちら。

但し書き(*)にある「一部の国において行政から求められた場合」については、「中国での動物実験について(CFBの見解)」 も併せてご覧ください。

同社のウェブサイトでも「化粧品(医薬部外品を含む)の研究開発において、代替法技術の確立に伴い外部委託を含めて動物実験を行わない」との方針が公表されています。
【株式会社ポーラ・オルビスホールディングス|CSR情報|事業的CSR|お客さま満足の向上を目指して】

【ポーラ化成工業株式会社 > 研究 > 研究紹介 > 品質研究】

グループ企業個別に「動物実験なし」アピール

1929年に創業し、2006年、ポーラ・オルビスホールディングスとして持ち株会社体制へ移行したポーラグループは、通販会社として始まった自然派のオルビス(株)、スーパーやドラッグストアで購入できる(株)pdc、高級オーガニック化粧品ブランド・THREE((株)ACRO)を抱えるほか、豪州のオーガニック化粧品・ジュリークやフランスのオルラーヌ、米国のH2OPLUSなど外資系ブランドも傘下に収めています。
これらのグループ企業ではこれまで個別に「動物実験していない」とアピールしていました。
たとえば:

  • pdc
    弊社では、商品開発に際し動物を用いた試験は一切行っておりません。また、今後も行う予定はございません。お客さまが安心してお使いいただける化粧品をお届けする為、商品の製造を委託している会社においても、弊社商品の安全性は、動物を用いた方法によらず永年の処方実績に基づいて判断され、必要に応じ培養細胞を用いた代替試験法、さらにはボランティアによる使用試験を加えて保障されております。」
  • THREE
    「動物実験をしません。私たちは、自然環境への配慮と生態系の維持という観点から動物実験を行いません。」
  • オルビス
    「オルビスでは、製品並びに使用している原料の動物実験を、自社で行うことも、原料メーカーまたは他機関に依頼することもしておりません。また、新規原料を採用するために、動物実験をする予定もございません。(略)オルビスは、私たちを取り巻くすべてのもの、人にも地球にも優しくありたいと願っています。人にとっても動物にとっても同等にかけがえのない生命を犠牲にすることなく、今後も堅実な努力を積み重ねていきたいと考えています」(消費者への回答)

ところが、同グループの看板会社でもあるカウンセリング化粧品の(株)ポーラ、グループの研究開発を担うポーラ化成工業(株)を含め、グループ全体として、動物実験を行わないという方針は公表されていませんでした。
JAVAが過去に実施した公開質問に対して(株)ポーラは「現在開発されている代替試験法では求められる安全性を保証できるレベルではないため、どうしても動物実験を回避できない場合がある」と回答していました(2010年回答2013年回答)。

「グループ全体として廃止を!」直接要望

複数のグループ企業が動物実験を行わないというポリシーを掲げていることから、同グループが「化粧品・医薬部外品開発にあたって、動物実験を行うことは望ましくない」または「企業は動物実験を望まない消費者の思いに応えるべき」と認識しているのは明らかでした。
そこで、「グループ全体として動物実験を廃止してほしい」との要望をすべく、持株会社であるポーラ・オルビスホールディングスに対して2014年11月12日付で面会を申し入れていたのですが、年の瀬ギリギリになって、ようやく面会が実現しました。
先方からは(株)ポーラ・オルビスホールディングスの広報・CSR管掌取締役、(株)ポーラの品質保証管掌取締役をはじめ5名の方々と、私たちCFBからは、亀倉弘美(JAVA)、岡田千尋(ARC)、東さちこ(PEACE)が出席しました。

「原料・完成品を問わず、自社における実施・外部委託を問わず、グループ企業全体で、部外品を含む化粧品への動物実験をすべて廃止して」私たちの要望を伝え終えると、先方から「2015年1月1日から開発に着手する化粧品・医薬部外品の動物実験を廃止します」という嬉しいレスポンス!役員会での決定を経て、すでに12月中旬には公式ウェブサイトでその方針を明示しているとのこと。その後、私たちからの要望に対して別途書面による回答をお願いし、率直な意見交換を行いました。

中国問題

化粧品の動物実験廃止を巡って、日本の大企業が避けて通れないのが、輸入化粧品に対して動物実験を義務付けている中国の問題。つまり、中国に化粧品を輸出している以上、その企業は完全に「動物実験を廃止した」とは認められませんが、大企業にとって中国市場を手放すのは容易ではなく、ポーラグループも中国への輸出は今後も継続するとのことです。しかし、日本化粧品工業連合会を通じて代替法の講習会を開催(2011年)するなど、中国の動物実験問題の改善に取り組んでいるとのこと。そのような企業努力に期待をして、引き続き積極的な働きかけを要望しました。
また、2014年6月から、中国国内施設で生産する場合は動物実験の法的要件が解除されたことに伴い、中国国内で製造する場合には動物実験をしなくて済む可能性が出てきていますが、ポーラグループでは中国国内に工場を保有しておらずロットも小さいため、従前どおり、日本で生産したものを輸出していくということです。
※中国への輸出を継続する企業をどう評価するかなど、中国問題については別途、JAVACFBともに見解を出していますのでご覧ください。

原料調達

自社では動物実験を実施せず、外部にも委託しないという企業でも、原料調達先のメーカーにおける動物実験の有無をモニターできているところは極めて少ないと言っても過言ではありません。消費者としては、その化粧品の原料一つに至るまで、動物実験が行われていないという確信がほしいところですが、直接の顧客ではない私たち消費者の声が原料メーカーに届きにくいのも現状です。ポーラグループとしては、原料調達先の企業に対して、強制はできないものの、今後、このたびの化粧品・医薬部外品の動物実験を行わないという自社の方針を示していくとのこと。
このように、消費者と直接向き合う立場の企業が、原料調達先など取引先に対してそのポリシーを伝えていくことで、原料メーカーを含めた化粧品業界全体の動物実験廃止につながることを願います。

代替法研究

2014年12月26日の面会に先駆けて開催された、日本動物実験代替法学会第27回大会(2014年12月5日~7日)では、ポーラ化成工業の研究者らが難水溶性物質(水に溶けにくい物質)の光毒性試験の改良研究について発表し、優秀ポスター賞を受賞しました。こういった研究成果への評価が、今回動物実験廃止に踏み切る大きな要因となったとのこと。

日本動物実験代替法学会 第 27 回大会で優秀ポスター賞受賞

私たちは、代替法が100%確立していなかったとしても、EUなどのように倫理的な判断で動物実験を禁止することは可能であり、代替法が確立していないことを動物実験継続の理由にするべきでないと考えています。一方で、代替法が確立すれば確実に動物実験は禁止できるとも考えています。研究開発力のある大企業には、これまで以上に、動物を使わない研究方法の開発に全力をあげてもらうよう、消費者の声を届けていきましょう。

詳細はCFBのサイトをご覧ください。

TOP