JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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お知らせ

富山大学における遺伝子組換えラットの不正取扱い問題

自主管理と第三者評価では、動物実験はなくせない
富山大学における遺伝子組換えラットの不正取扱い問題でも明らかに

報道でご存知の方も多いと思いますが、2014年7 月に、富山大学の生命科学先端研究センター動物実験施設において、不活化(殺処分)措置をとったはずの遺伝子組換えラット3 匹が、蘇生した状態で死体一時保管冷凍庫内にて発見されたという問題がありました。

遺伝子組換え動物の使用については、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」で規制されています。富山大学では、この法律とそれに基づく大学の規則にのっとって遺伝子組換え動物を扱うことになっています。しかし、それらに違反し、遺伝子組換え動物の実験や保管等を行う「管理区域」の外で、不活化措置、ケージ間の移動が行われていたのです。
さらに、その後の大学の調査で、同動物実験施設において実施された遺伝子組換え動物の殺処分のうち、管理区域外で行われたものが平成17 年度以降に少なくとも128 件あることが判明しました。

富山大学は文部科学省による現地調査と厳重注意を受け、10月にこの一件について双方から発表がなされました。

富山大学のプレスリリース(PDF)

文部科学省の報道発表

rat-NAPA

photo/Norwegian Animal Protection Alliance
※この写真は富山大学とは関係ありません

JAVA、富山大学と国動協・公私動協に質問状を提出

そもそも、このような異様な事件が発生するのは動物を用いた非倫理的な実験を行っているからに他なりません。JAVAは実験の削減やシステムの構築が目的ではなく、動物実験廃止の実現を大前提に、研究機関における様々な事件や問題に対して追及の機会を逃すことなく対応しています。

今回の富山大学の事件に関しても、そのような方針に基づき、11月、JAVAは、事実確認と問題の追及を行い、富山大学学長あてに公開質問状を提出しました。
また、「動物実験に関する相互検証プログラム」*1 において、富山大学に訪問調査を行い、「適正」と評価していた国立大学法人動物実験施設協議会(以下、国動協という)・公私立大学実験動物施設協議会(以下、公私動協という)の検証委員会委員長あてにも公開質問状を提出しました。

  1. *1文部科学省告示「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(基本指針)」の規定に基づき、加盟している大学同士で、各大学の動物実験の実施体制が基本指針に適合しているかを訪問調査のうえ、評価するプログラム。

質問状への回答が届く

12月、富山大学からは、遠藤俊郎学長と同大学動物実験委員会の西条寿夫委員長名で、国動協・公私動協からは、「動物実験に関する相互検証プログラム」の八神健一検証委員長名で回答が届きました。

<富山大からの回答(PDF)
※PDFは、読みやすいように、富山大学からの回答にJAVAからの質問を挿入したものです。

回答から、富山大学は今回の違反を重く受け止め、再発防止ための策をいち早く講じたと言えると思います。しかしながら、「遺伝子組換え動物は管理区域内で扱う」という基本的なルールすら守られていなかったということには驚かされます。管理区域外での殺処分という違反が過去に128件もあったということは、これが常習化していた証でしょう。
殺処分とその後の死亡確認の不手際で、冷凍庫内でラットが蘇生した問題については、実施したのが留学生で日本語の理解が不十分だったから、責任者の教育が不十分だったからと、その理由を説明しています。しかし、留学生の語学力に関係なく、殺処分措置を的確に実施できない人物に任せたということ自体に問題があります。
今回の問題は遺伝子組換え動物についてのみ取り上げられたものですが、このような大学そして動物実験関係者の意識の低さを考えると、それ以外の実験動物の管理・取扱いにも多くの問題があるのではないかとの疑いを禁じ得ません。

<国動協・公私動協からの回答(PDF)

回答では、ラットが蘇生した問題、そのラットが管理区域外においてケージ間で移し替えられていた問題を訪問調査で見抜けなかった理由を、「動物実験に関する相互検証プログラム」の訪問調査時に「発生していなかった」「遭遇しなかった」と説明しています。
また、平成17年度以降、128件もあった管理区域外での殺処分については、「大学側の自己点検・評価の報告書への記載がなかったため」と説明しています。
つまり、これは訪問調査がいかに信頼性がないかを証明するに十分な一件であり、他の大学に対する訪問調査でも多くの問題が見落とされた可能性は大いにあると言えます。

自主管理と第三者評価の問題が露呈

動物実験者の多くは、動物実験の規制は「自主管理で十分」と主張しています。実際、大学を含め、どこの動物実験施設も自主管理を行っているわけですが、今回の富山大学の一件だけをみても、自主管理では明らかな違反であっても放置されることがわかります。

では、第三者が介入すればいいのでしょうか。「自主管理では不十分で、第三者機関による査察が必要」といった意見もあり、動物実験に反対する市民の方たちからもこういった声が多く聞かれます。しかし、国動協・公私動協による第三者評価制度「動物実験に関する相互検証プログラム」では、今回の問題が見落とされ、富山大学に対して「適正」との評価が下されていたのです。

アメリカでは、AAALACインターナショナル(国際実験動物ケア評価認証協会)による施設の第三者認証が普及しており、2007年10月29日現在、622施設が認証を受けています。普及している理由には「社会的信頼が得られる」「動物実験反対活動家への牽制にもなっている」といったこともあげられているのです。しかし、アメリカでは、サルを虐待するなどの動物福祉法に反する行為をしていてもAAALACの認証を維持している施設がいくつもあるのです。

日本では、研究界の中枢組織である日本学術会議は、「動物実験に対する社会的理解を促進するために」と題した提言書を2004年に出していますが、それには「統一ガイドラインの基準が満たされていることを第三者の立場から評価・認証する機構を設けること 」と記述があります(下線はJAVA)。
ここからも、第三者評価とは、動物実験者側が、動物実験反対の声を抑えるために考えた制度であるかがお分かりいただけるでしょう。

JAVAでは以前から、第三者評価について異議を唱えてきました。第三者評価は動物実験を守るための「隠れ蓑」となる制度であり、動物実験の廃止を阻害するシステムであるからです。第三者評価制度で「査察」をうけ「認証をされた」「適正と評価された」と聞けば、「ここの研究機関は大丈夫ね」というイメージを持たれることになるでしょう。しかしながら、それはイメージだけで、現実的には動物を救うことはできないのです。第三者評価は、良くて実験動物の福祉の向上であり、今回のように法律違反すら指摘できないケースもあるわけで、動物実験を廃止できるどころか、その妨げになってしまうのです。

動物実験廃止のために最も重要なことは何かというと、それはまさに、「動物実験反対の世論を高めること」です。現に、EUにおける化粧品の動物実験廃止が実現した大きな要因は、動物実験反対の世論が高まった結果、動物を犠牲にしない研究方法が強く求められるようになり、代替法研究が発達したためと言われています。そして、日本でも化粧品最大手の資生堂やマンダム、コーセー、ポーラが国内での廃止を決定しましたが、これは法律が改正されたからでも法規制ができたからでもありません。それは私たち消費者の声で成し得たことです。これからも「動物実験反対」の声をあげ続けていきましょう。

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