中・高等学校で動物実験についての講演を行う

2018年12月、東京・中野区にある都立富士高等学校・都立富士高等学校附属中学校にて、生徒さん60名を前に、動物実験についての講演を行いました。その時の様子をご報告します。


2018年12月18日、JAVAの事務局長の和崎、理事の石島、事務局の山本の3人が同校を訪問し、動物実験についての講演を行いました。この講演を行うに至ったのは、附属中学校3年生(当時)の渡辺小春さんから「JAVAに動物実験についての講演をお願いしたい」という依頼をいただいたことがきっかけでした。

講演は放課後に行われ、希望者のみが参加する形でしたが、依頼者の渡辺さんが、企画、ポスター制作、アナウンス、先生との連携など、しっかりと準備してくださったおかげで、勉強や部活動などで忙しい中にもかかわらず、中高生合わせ60名もの生徒さんたちが参加してくださいました。

参加者の皆さんにご挨拶をした後、まず初めに動物実験への関心を高めるための導入として、石島がJAVAの活動に参加するまでの自身の体験談を話し、動物実験が行われる分野や使われる動物の種類、動物実験の賛否などについて、生徒さんたちに挙手していただく形でのアンケートをとりました。

次に、和崎が、この日のために制作した60枚のスライドを使いながら動物実験についての講演をしました。

講演内容は、「意外と身近な動物実験」というテーマで、まずは動物実験が私たちの日常生活にとても密接に関わっているという説明から始めました。実験に使用される動物の種類や頭数、動物実験の内容やその残酷さ、科学的根拠に基づいた動物実験の問題点を述べ、動物実験に代わる代替法の紹介や、動物実験をなくしていくためにはどうしたらいいかなどの対策を話しました。それらは資生堂に対するキャンペーンや解剖実習をなくすためのキャンペーンなど、JAVAの活動の実例を挙げて、順序立ててまとめたものでした。動物実験についての説明は難しい言葉が多くなりがちですが、中高生でも理解できるような言葉に言い換えたり、専門的な言葉には丁寧な説明を加えたりするなどの工夫をしました。

初めての会場だったので、音響や映像の不調も何度かありましたが、先生方のサポートで、大きなトラブルもなく無事に講演を終えることができました。

1時間以上もの間、生徒さんたちはとても熱心に耳を傾けてくださり、最後に、配布していた用紙に感想や質問を書いていただきました。感想を集計した結果、最終的に「動物実験に賛成」が2名、「動物実験に反対」が53名、「動物実験の賛否に中立」が6名でした。また21名が「講演を聞いて気持ちが変わった」と答え、13名が「この事実を周知したい」と意思表示をしてくださいました。全員がとても丁寧に感想を書いてくださり、心温まるメッセージもたくさんいただきましたので、いくつかご紹介いたします。

  • 私も将来は、動物実験や殺処分を減らせるような仕事に就きたいと思う。そして、少しでもJAVAの皆さんの活動に貢献できるように日本の未来を変えていきたい。
  • JAVAの動物実験廃止への行動力が素晴らしいと思い、考えさせられた。これから少しでも廃止されるように自分達にできることはしたいなと思った。
  • 私は動物実験の存在は知っていて、私自身、動物が好きだけれど、それがかわいそうだ、残酷だと感じていませんでした。しかし今回、動物実験の実態とともに人間がしていることの残酷さを知り、お話を聞いたり、写真を見ていて、とても胸が痛くなり、悲しくなりました。「動物実験をゼロに」と言うと綺麗ごとのようになってしまうかもしれないけれど、まずは多くの人が動物実験の残酷さを知り、少しでも多くの動物を救わなくてはならないと思いました。また、自分でもできる小さなことから動物の命を守っていきたいと感じました。今回の講演は私に大きな影響を与えるものでした。このような機会をありがとうございました。

日本では今でも「動物実験は必要」というイメージを持つ人が多いと思いますが、動物実験の問題点や残酷さをきちんと伝えることができれば、「動物実験反対」という私たちのメッセージは、多くの方に理解していただけるのだと改めて実感しました。この度の講演は私達としてもいい経験となりましたし、若い方たちの感想を受け、今後の活動の励みにもなりました。 これからの日本を担う素晴らしい生徒さんたちに、動物実験について知っていただく貴重な機会を設けてくださった富士高等学校附属中学校の皆様、誠にありがとうございました。


この講演を企画してくれた渡辺小春さんは、その後4名のチームメンバーと共にアイデアをまとめ、今年3月に米国・シリコンバレーで様々な企業に対して動物実験に関するプレゼンテーションを行いました。その時の様子をレポートしていただきました。(富士高等学校附属中学校では、シリコンバレー研修を今年から開始。その第1回目のわずか24名の中に、渡辺さんも選ばれていたのです。)

NO!!! ANIMAL EXPERIMENTS

こんにちは。渡辺小春です。私は3月に学校の研修で1週間シリコンバレーへ行ってきました。シリコンバレーはサンフランシスコの中にある、グローバル企業が多く集まっている地域です。そこで学校の友達とチームを組んで準備していた動物実験に関するプレゼンテーションを行なったので、そのお話をさせていただきたいと思います。プレゼンの内容は、どうして動物実験は問題なのか、どうしたら動物実験をしなくて済むのか、そしてそのためにどんなアイデアがあるのかという、動物実験をゼロに近づけるためのアイデアピッチです。私たちのチームは、動物実験が問題である理由として、残酷であるからだけでなくコストパフォーマンスが悪いことや人と動物には科学的に大きな違いがあることなどをあげました。動物実験の問題を、感情論だけでなくより科学的・論理的にして多くの人を納得させるためです。

※投資家に対して新しいアイデアをアピールするカジュアルなプレゼンテーション。シリコンバレーで生まれた用語。

私たちのチームのアイデアは代替法を生み出すことと動物実験をしていない商品を売るためのことです。代替法のアイデアは、人の細胞を使って植物から皮膚や眼球など人の器官を作り出すことです。

売るためのアイデアは、AIとスマートフォンを利用して動物実験の情報を送り、多くの人に知ってもらうことや、ボディブレッドという臓器の見た目をしたパンを売り、パンの酵母菌と人との関係性が動物実験のない世界を作れることを宣伝する、ということなどです。現地の人によるアイデアピッチのフィードバックではそれらを開発するのには莫大な費用と技術が必要であることや、たくさんの努力、経験、教育をもって、これを続けていかなければならないと言われました。何より重要なのはお金の問題だとおっしゃっていました。具体的な面では、動物実験をしていない商品を見分けるためにどのようなことができるかと質問されました。私たちのグループでは、見分けるためのマークを商品に付けるというアイデアをピッチしましたが、これからもっといい方法も考えていけたらと思っています。

JAVAの方々の力もお借りして、シリコンバレーで、いいプレゼンテーションができました。ありがとうございました。この恩を返すためにも、今回だけで終わらせずこれからもっと良いアイデアを、企業に力を借りれるようなアイデアを考えていきたいと思います。

都立富士高等学校・附属中学校3年生 渡辺小春

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