「マウスも困った仲間を助ける?!」川崎医療福祉大は残酷実験やめる気なし

2019年4月、川崎医療福祉大学(岡山県倉敷市)は、同大学が行った「閉じ込められたマウスを仲間が助けるかを実証する」という「マウスの救出様行動」実験についてニュースリリースを行い、複数のメディアが報じました。この残酷な実験に対してJAVAは中止要請をしましたが、同大学はやめようとしません。

実験の概要

川崎医療福祉大学(以下、医福大)が行ったこの実験の概要は次の通りです。
※ニュースリリース資料や報道より

  • この実験は、川崎医療福祉大学医療技術学部臨床検査学科の上野浩司講師と、川崎医科大学精神科学教室、岡山大学大学院精神神経病態学教室との共同研究グループによって行われた。
  • 1匹のマウスを透明なプラスチック製チューブ(直径3センチ、長さ約11センチ)内に入れ、チューブの後ろ側を紙のふたで覆った。閉じ込められたマウスは、チューブの先端の穴から鼻先を出すことができるだけで、身動きできない状況に置かれた。
  • チューブの外にいるもう1匹のマウスが紙のふたを破り、閉じ込められたマウスの尻尾を引っ張って中のマウスを解放した。
  • マウスは何も入っていない空のチューブの紙のふたは破かなかった。
  • マウスは濡れることを嫌がるため、濡れた床の上にチューブを置き、濡れた床を通らなければチューブに近づけないようにした。マウスは濡れた床をゆっくり歩いてチューブに接近し、閉じ込められたマウスを解放した。この結果は、報酬が得られないだけでなく、犠牲を払ってでも救出様の行動をとったと捉えることができる。
  • 麻酔でこん睡状態にされ、動かないマウスをチューブに閉じ込めた場合でも、もう1匹は救出を行ったため、助けを求める鳴き声などに反応しているわけではないことが確認できた。
  • この救出様行動は、会ったことのないマウスに対しても認められた。
  • 検証した14匹全てが紙のふたをかじって破り、閉じ込められていたマウスを解放した。
  • この研究は、4月9日付の英国のオンライン科学誌「Scientific Reports」で発表された。
  • チームによると、同様の行動は、マウスよりも大きいラットでは報告されているが、マウスでは初めて。実験に広く用いられるマウスが、共感や社会性をつかさどる脳のメカニズムの研究に利用できる可能性があることが今回分かり、発達障害など精神神経疾患の予防や治療法の開発に役立つという。
  • 今後、抗不安薬や精神状態に作用するホルモンなどを使って、この「救出」行動がどのように変化するかなど詳しく調べていくという。

この実験の動画や写真が朝日新聞のサイトに出ています

■ なんとも無意味で残酷な実験

閉じ込められ、必死に脱出しようとするマウス。窮地に陥った仲間を助けようと懸命にふたを破き、引っ張り出そうとするもう1匹のマウス。閉じ込められたマウスはもちろん、仲間への思いやりを利用されるマウスも哀れです。
動物たちが仲間を窮地から助けようとする行動は多くみられます。私たちも、一緒に暮らす動物たちや野生動物の観察などからも発見することができます。それをわざわざマウスを苦しめて再現するとは、あまりに無意味で残酷です。

2015年には関西学院大学がラットを溺れさせ、仲間が助けるかどうかの実験を行いました。またそれより前に閉じ込められたラットを仲間が助けるかどうかの実験は米シカゴ大学で行われており、どちらの実験でもラットでは仲間を助ける結果がでていることを医福大は知りながら、「マウスではどうか」とやったのです。

JAVAからの中止要請に対する呆れた回答

JAVAは医福大の学長に対して強く抗議し、次の事項を求める文書を提出しました。

1.上野浩司講師のチームによる、マウスの救出行動実験を中止すること。
2.その他の動物実験も廃止し、動物を犠牲にしない方法によって研究・実験を行うよう、
大学をあげて全力で取り組むこと。

それに対して医福大から届いた回答文は以下のとおり、改善の意思が一切感じられないものでした。

大学に「実験を止めて!」の声を

大学等で動物実験を行う場合、文部科学省の「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」や大学の規程に基づき、その動物実験の計画について動物実験委員会による審査や承認(医福大は学長の承認)を受けることになっています。誰が考えても実に低俗で残酷、無意味なものであると判断できる今回の実験の審査を通した動物実験委員会はまともに機能しているとは言えません。動物実験委員会は外部からの批判をかわし、動物実験を正当化し、実験をやりやすくする役割を担っているのです。それゆえ、JAVAはこの制度には問題があると考えています。
医福大は、JAVAからの抗議と中止要請を受けてもなお、「動物実験委員会の審査を通っているから」「学長に承認された実験だから」「法律や基準に則っているから」と回答してきました。意見を真摯に受け止め、今後は同様の実験は承認しないなどの改善をしようという姿勢はまったくありません。私たちが言いたいのは、定められた手続きを踏んで行われた実験であろうとも、ルールに従って行われた実験であろうとも、このような残酷な実験は許せない、即刻やめろ!ということです。

ぜひ、皆さんからも、医福大やこの実験を実施した上野講師に、「こんな実験、すぐにやめて!」「動物の気持ちをもてあそぶ実験なんて、二度とやらないで!」といった声を届けてください。1人でも多くの方のご協力をお願いいたします。

<川崎医療福祉大学>
 ◆椿原彰夫(つばはらあきお)学長
 ◆上野浩司(うえのひろし)講師(臨床検査学科)
 〒701-0193 岡山県倉敷市松島288 
 TEL 086-462-1111(代表) 
 FAX 086-462-1193(庶務課)
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 上野浩司講師の紹介ページ

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