グレイハウンドレースがウェールズで禁止へ 次はスコットランドか? <英国 >
ウェールズ〈*¹〉のHuw Irranca-Davis副首相が、「ウェールズが英国では初めて、国としてグレイハウンドレースを禁止する。私はこの問題に対する強い意見を目の当たりにし、耳を傾けてきた。今こそウェールズでのグレイハウンドレースを禁止する適切な時期であると信じている。そして、これを英国で最初に実施する国になることを誇りに思う」と述べた。
スコットランドでも間もなく禁止?
スコットランドでのグレイハウンドレースを廃止する「グレイハウンドレース禁止(スコットランド)法案」は、超党派のスコットランド議会議員(MSP)から必要な支持を獲得し、また国民の大きな支持を受けて議会に提出された。Unbound the Greyhound連合〈*²〉のメンバーは、「22,655人がスコットランド政府に対し、段階的廃止を求める我々の公開書簡「PHASE OUT DOG RACING(ドッグレースを段階的に廃止しよう)」に署名し、著名人からも支持を受けた。これは残酷な産業の終止符を国民がいかに強く支持しているかを示している」と述べた。

グレイハウンドレースはなぜ残酷なのか?
グレイハウンドは、彼らを保護し家族に迎え入れた人たちに、その性格が親しみやすく繊細であることが認識されている。しかし悲しいことに、この繊細な犬たちが、グレイハウンドレース業界によって搾取されているのだ。この業界には、負傷、死亡、ドーピング、不適切な飼育環境といった、動物福祉の問題が蔓延している。だからこそ、グレイハウンドレースは廃止されなければならないのだ。
■負傷と死亡
英国グレイハウンド協会(GBGB)のデータによると、2018年〜2022年に22,284頭もが負傷し、2,718頭が死亡している。このうち675頭は、医学的に救えなかったのではなく、治療費が高額すぎる、飼育に適さない、頭数が多すぎるといった理由で処分されたのだ。
■ドーピング
GBGBの記録によると、レース業界の犬たちは、運動能力強化薬を飲まされ続けてきた。犬におけるコカインの悪影響には、神経や筋肉の異常、心拍数の増加、痙攣や発作、衰弱、嘔吐、昏睡などがあるということが明らかになっている。
■不適切な犬舎環境
レース業界で使用される多くのグレイハウンドは、彼らが生き生きと暮らせるような環境の犬舎で飼育されてはいない。最悪の場合、犬たちは、じめじめした汚れた犬舎で暮らし、治療されずに放置された傷や怪我に苦しみ、獣医師による適切なケアも受けられず、怒鳴られたり乱暴に扱われたりする。キャンペーングループScotland Against Greyhound Exploitationの象徴であるサーシャは、獣医師のもとに連れて行かれるまでの2日間、足を骨折したまま犬舎内で苦しんでいた。
■気温が高くても低くても走らせる
グレイハウンドは、脂肪と毛が少ないため、他の多くの犬種のように体温を保てず、すぐにオーバーヒートしてしまう。それにもかかわらず、猛暑の中でも走らされていた。
- *1英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)は、イングラント、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドで構成されている。
- *2この連合は、キャンペーン活動を行う慈善団体、里親センター、草の根団体、超党派議員グループを含む9つの団体で構成されており、OneKind*³もその一つである。
- *31911年にスコットランド動物実験防止協会として設立し100年以上にわたり活動を続けている動物保護団体。2010年に現名称OneKindに変更。Eurogroup for Animals のメンバー団体でもある。
Greyhound racing to be banned in Wales; is Scotland next? (OneKind)
Greyhound racing – why is it cruel? (OneKind)