コロラド州立大学、全国的な研究倫理団体からの強い批判を受け動物実験を中止<米国>
全国的な研究倫理団体PCRM〈*1〉は、コロラド州立大学(CSU)が一度は承認した17,766匹の動物を殺すことになる栄養学研究を中止したことを評価している。
米国農務省(USDA)とCSUの資金提供を受けたこの研究は、豆類がヒトの腸内細菌叢(腸内フローラ)に与える影響の調査が目的であった。公開記録によると、研究者はこれまでに1,587匹のマウスを使用していた。USDAは最初に498,500ドル(約7,450万円)を助成し、その後も2025年末まで有効とみなされるCSUとの協力協定に基づき費用を分担することになっていた。
PCRMは、CSUの研究担当副学長や学長に対して、これらの研究に関する科学的および倫理的な懸念を表明し、何千匹もの動物を犠牲にする必要性の調査を要請した。また、主任研究者にも連絡を取った。
PCRMの研究政策担当ディレクター代理Janine McCarthy氏は、学長宛の書簡で「豆類を多く含む食事が腸内細菌叢と非感染性疾患の転帰に及ぼす影響を調査する食事研究は、人間のボランティアを用いて倫理的かつ効果的に実施されている」と述べた。さらに、動物実験の代替手段を探すことが連邦規制と大学の動物実験委員会(IACUC)によって義務づけられているにもかかわらず、研究者の探索は不十分であったため主任研究者が代替手段を考慮しなかったと述べた。そして、IACUCもその不適切な探索に異議を唱えることができなかった。
PCRMの公文書開示請求に対しCSUは、主任研究者が2025年7月15日に研究を中止していたことや、動物実験を実施するための有効な研究実施計画書を持っていなかったことを明らかにした。
McCarthy氏は、CSUの実験中止決定に感謝し、「他の大学もこれに倣い、動物実験を中止し、より正確で費用対効果が高く、そして何よりもヒトにとってより適切な研究手法への移行を願っている。また、USDAに対しては、ヒトの栄養に関する動物実験への資金提供を停止し、代わりに現代的でヒトに特化した科学に投資するよう求める」と述べた。
- *1PPhysicians Committee for Responsible Medicine(責任ある医療のための医師委員会)/米国
Colorado State University Shutters Animal Study after Pressure from National Research Ethics Group(PCRM)
