遺伝子操作された類人猿の特許が無効に<EU>

2021年6月15日

数年にわたる裁判の末、欧州特許庁(EPO)は、米国企業Precigen*1所有の遺伝子操作されたチンパンジーに関する二つの特許は、もはや有効ではないと裁定した。
この裁判の結果は重大だ。というのも、EPOは完全に倫理的な理由で、遺伝子操作された動物に関する特許を初めて撤回したからだ。EU法では実験が苦痛を引き起こす可能性がある場合は、動物の遺伝子操作に関する特許を許可しない。ただし、医学的恩恵が証明されている場合は例外となる。
動物・環境保護団体連合に加盟しているジェーン・グドール・インスティテュートの創設者であり、大英帝国勲章を授与されたJane Goodall博士はこう述べている。「EPOは賢明で責任のある決定を行なった。これは、感覚を持つ生き物を単なる研究の道具とみなす科学者たちへの明確なメッセージだ」
ヨーロッパで初めて遺伝子操作された動物に特許が認められた1992年以降、動物に関する特許は物議をかもしてきた。そしてEPOは、ウシやブタといった農業で利用される動物と同じように、実験室で作られた動物についても数千の類似の特許を発行してきた。
Cruelty Free Europe*2の科学および規制関連担当ディレクターのKaty Taylor博士は、こう述べている。「実験で使われる動物に関する特許の禁止は十分ではないが、この判決が真のターニングポイントになればと思う。動物も私たちと同じく、痛みや苦しみを感じる感覚のある生き物だ。そのような動物を商品のように扱うことは許されない。私たちは倫理的な理由により、動物に関する特許の全面禁止を求め続ける」


  1. *1Precigen: 米国の生物医薬品会社
  2. *2Cruelty Free Europe: 英国の動物実験の廃止を目指す動物保護団体Cruelty Free Internationalが設立/ベルギー

Patents on genetically engineered apes are no longer valid (Cruelty Free Europe)

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