JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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動物実験第三者評価制度を検証

第三者認証制度は動物を救わない
―HS財団の動物実験第三者評価制度を検証する―

財団法人ヒューマンサイエンス振興財団(HS財団)が、2008年4月、「動物実験実施施設検証センター」を設立し、7月から動物実験の第三者評価制度をスタートさせました。JAVAは、現在、日本で進められている第三者評価・認証制度について、2月開催のWC6フォローアップシンポジウムの講演で、動物実験廃止の妨げになるとして反対の立場を明確にしました。
ここでは、HS財団を例にとり、改めてこの制度の問題点を検証していきます。

検証1 この制度は、動物実験が支障なく行われるための制度である
2004年、日本の科学者の代表機関である日本学術会議は、「動物実験に対する反対運動は根強い(中略)動物を用いた研究が適正に、かつ支障なく実施されるためには、研究の意義と実施状況が広く社会に認識、理解され、動物実験に関する社会的合意が形成されることが必要」として、その具体策として「国内で統一された動物実験ガイドライン制定とその実効を担保するための第三者評価システムの構築」を提言し、「動物愛護法」が改正された後では国内統一ガイドラインを制定しました。このガイドラインの制定と前後して、各省庁も、動物実験が支障なく行われるようにと、自ら指針を作成しています。このように産官学が連携して動物実験を守るスタンスを取り始め、HS財団の第三者評価制度はこの流れのなかで出てきたものであることを踏まえなければなりません。

検証2 この制度は当事者に都合よく作られた制度である
2007年に発足したHS財団の第三者評価準備委員会は、下記の一覧のとおり製薬企業、大学、その他の研究機関で動物実験に深く関わってきた人たちで構成され、3ヶ月間にわずか5回の会合で内容が決められ、この制度が始まりました。つまり、始めから動物愛護のためでなく、動物実験を社会からガードするために作られた制度なのです。

検証3 HS財団は厚生労働省の天下り先である
そもそもHS財団がどのような組織かというと、研究資源の供給や、創薬の研究開発支援などを行っている厚生労働省所管の公益法人です。そして、この財団には厚生労働省の役職を退官後に役員として天下った理事が数多く存在しています。「天下り」は日本で長らく社会問題となっていますが、HS財団も、国の補助金、委託費を仲介して研究機関に交付する「トンネル法人」と批判され、税金の無駄使いが指摘されてきました。つまり、国が研究機関に直接交付する場合より公益法人の管理・人件費(天下った役人の給料)などが上乗せされ、コストが余計にかかることになるという指摘です。

検証4 評価の対象は多額の会費を納める企業である
HS財団は会員制で、多額の会費(入会費100万円、年会費最低80万円)を納める賛助会員の半数が製薬工業協会加盟の製薬企業です。このように多額の会費を納めている賛助会員である製薬企業に対してHS財団が正当かつ公正な評価をすることは期待できず、形式的な評価で認定証を与えることが容易に想定できます(一度認定証を与えたら3年間はノーチェックです)。また、この制度に対しては業界内部でも「仲間内の認証となり意味がない」「とりあえず体面的な制度を作ればよいと考えたり、自分たちの天下り先を求める人たちによって推進されている」といった批判の声があります。

検証5 この制度は、「適正な」動物実験を補強するものである
この第三者評価の流れは「この研究機関は『適正な自主管理によって』『適正な動物実験を行っている』ので、認定証を出します」という流れになることがおわかりいただけるでしょう。
こうして認定された企業や大学が「第三者機関の認証を受けています」「動物に優しい機関です」と宣伝すれば、市民の動物実験に対する抗議のレベルを弱めることができる、と考えているのです。
この制度で公開される情報はあくまで、「自主管理に関する自己評価結果」です。どんな動物が、どんな実験に、どのような形で使われ、どのような形で処分されていくのか―実験動物たちの置かれている現状が公開されるわけではないのです。
HS財団の第三者評価制度は、徹底して「自主管理」を主張し続けてきた研究者が、「どうすれば動物実験を守れるか」「どうすれば動物実験がもっとやりやすくなるか?」と考えた末にできあがった制度なのです。
JAVAは、研究者側が言う「動物実験の規制」は、抗議運動を鎮めるためのものであって、動物を救うことや動物実験廃止にはまったく役に立たないとして反対してきました。我々は、何が本当に動物たちのためになるのかを見抜く力を身につけ、動物たちの置かれている現状や、動物実験の実態を知らせていく活動を広げていかねばなりません。

(JAVA NEWS NO.82より)

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