獣医学教育への代替法導入を求めて

「獣医学教育への代替法導入を目指す検討委員会を設置」
全国大学獣医学関係代表者協議会がJAVAに回答

全国に16ある獣医系大学の教員代表者から成る「全国大学獣医学関係代表者協議会」(以下、協議会)。
JAVAは今年2月、この協議会にあてて、実験動物の飼養環境の改善や代替法の採用を求めました。
かねてからJAVAは、獣医大学における動物の扱いの改善や代替法への転換を働きかけてきました。たとえば、東京農工大学での牛の解剖実習の中止、酪農学園大学や北里大学での牛の殺処分方法の改善もその一つです。
今回の働きかけは、今年1月、JAVAと協力関係にある、英国の動物保護団体Cruelty Free International(CFI)が、日本の獣医大学における犬の劣悪飼育や犬を使った実験の実態を調査・公表したことがきっかけでした。


▼CFIによる調査・公表内容(JAVA翻訳・抜粋)▼

CFIが調査したところ、日本では獣医大学において、毎年、数百頭の犬が学生の訓練のために使われているという衝撃的な発見がありました。犬たちは、繰り返し切り開かれて縫い合わされるといった多数の不必要な手術をされ、必要なくなると犬の多くが殺され、ほとんどが解剖のために使われているのです。ある大学では、犬たちは酷い状態で飼われていました。犬たちは小さな金属製の2段ケージに1頭ずつ入れられ、かろうじて立ち上がったり、向きを変えることのできるその狭いスペースの中をグルグルと回っていたのです。

英国、カナダ、米国を含む世界中の多くの大学や獣医学校では、この残酷で不必要な練習はすでに廃止されています。シミュレーションやモデル、臨床現場での実習といった多くの人道的な代替法が存在します。

■関連するCFIのウェブページ:
https://www.crueltyfreeinternational.org/JapanInvestigation
https://crueltyfreeinternational.org/what-we-do/breaking-news/japanese-universities-kill-dogs-train-students
https://crueltyfree.e-activist.com/ea-action/action?ea.client.id=1998&ea.campaign.id=61859
https://www.crueltyfreeinternational.org/JapanPhotos

■このCFIのキャンペーンに関する共同通信の記事:
クルーエルティフリーインターナショナルが医学生訓練のために犬を殺すのをやめるよう日本に呼び掛け

日本の実験用ビーグル犬

JAVAから協議会へ要望

英国では8つある獣医大学すべてで生きた動物を犠牲にする実習がありません。
それに対して、日本の獣医大学では、さまざまな動物が実習の犠牲になっています。
欧米と日本の法律、カリキュラム実施の方法の違いや大学の意識の差など様々な事情から、現時点での日本での実現は難しいとしても、少しずつでも代替法を取り入れるなど、できることはたくさんあるはずです。第一、動物に苦痛を与えるようなことは論外であって、実験動物を適切に管理するのは当然のことです。

CFIは、日本の文部科学大臣や日本獣医師会へ働きかけをしていましたが、JAVAはこの問題については、全国大学獣医学関係代表者協議会に働きかけるのが最適と考え、2月、協議会の尾崎博会長(当時)に対し、下記の事項を求める文書を出しました。

1) CFIが指摘した犬の飼養状況に関して、調査を行い、改善をすること
2) 各獣医大学が所有する動物の飼養環境を調査し、福祉に十分配慮した環境に改善すること
3) 犬を用いた実習・実験について、速やかに代替法の採用を検討すること
4) 犬以外の動物を用いた実験・実習について、速やかに代替法の採用を検討すること

●JAVAからの要望書(PDFファイル)●

「代替法導入の方針と具体策検討を進める」
前向きな回答が届く

JAVAは4月25日までの回答を求めていましたが、協議会からは回答に時間がかかるとの連絡があり、7月10日、後任の稲葉睦会長名で回答が届きました。
そこには、「犬の飼養環境等については、各大学がその改善に努めている」「動物実験削減ならびに代替法の導入について、検討を早急に進める必要がある」「検討委員会を設置し、代替法導入の方針と具体策検討を進める」と前向きな姿勢が示されていたのです。

●協議会からの回答(PDFファイル)●

JAVAは、この回答に対して、「犬の飼養環境等の改善の状況をご報告いただきたい」「今後の検討委員会の動向をお知らせいただきたい」という要望ともに、代替法導入のため、代替法ソフトやキットの寄贈や代替法の情報提供等、できる限りの協力をすると協議会に伝えました。
一歩ずつでも日本においても動物の犠牲のない獣医学教育の実現を目指していきましょう!

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