中国の野生動物保護法が一歩前進したがまだまだ不十分 動物保護は人類を守ることにつながる

2020年1月以降全世界に広がり続けている新型コロナウイルス(COVID-19)の感染源は、野生動物だった可能性が高いとの見解を中国や米国の専門家が示しています。
中国では毎年3月、全国人民代表大会(以下、全人代:日本の国会に相当する)が開催されますが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため延期されました。2月24日、全人代常務委員会にて大会延期などについて話し合われた他、感染の温床となる野生動物の食物としての消費や取引の禁止が決定されました。中国には、国家が重点的に保護する動物に限って食用を禁じている野生動物保護法がありますが、この法改正には時間を要するため、感染拡大を防ぐ緊急措置として、今回の全人代常務委員会で取引禁止が決定されました。この緊急措置は動物保護を一歩前進させました。

JAVAも加盟している毛皮に反対する国際連名Fur Free Alliance(FFA)のメンバーであるACTAsiaは、この野生動物保護法のさらなる改正を求めるため活動を続けています。その活動のひとつとして署名運動を展開しています。
http://chng.it/CygpCbv2Ryこちらから署名可能です。

これに加えて、JAVAや他のFFAメンバーは各国の中国大使に宛てて手紙を送っています。JAVAは3月5日、孔鉉佑駐日中国大使に下記3点を法律改正に盛り込むことを要請しました。

  • 毛皮農場のように商業目的のために、野生動物を檻などに入れて飼育することを禁止する
  • あらゆる野生動物の使用と売買、あらゆる目的の派生産物を禁止する
  • あらゆる野生動物を扱う市場の閉鎖と食べることを禁止する

この要請を行ったのは、先の全人代で決定された内容だけでは野生動物の保護として不十分だからです。中国の野生動物保護法は1989年に制定され、最近では2018年に改正されています。ACTAsiaによると、中国の国家林業・草原局(日本の林野庁に相当)は、54種の動物が記載された「家畜化および繁殖技術が確立している商業利用のための陸上野生生物リスト」を作成していて、それらの動物は食用、毛皮・衣類、薬用、エンターテインメント、実験用という5つの商業目的のための利用が認められています。2月24日の緊急措置で禁止になったのは食用だけです。しかもキツネ、ミンク、タヌキ、シカなどの多くの野生動物は【野生動物】のリストから【家畜】のリストに移され、今回の食用禁止の緊急措置からも野生動物保護法の規制対象からも外れています。ACTAsiaはこの機会を生かすべく、法律専門家や他の団体と協力しながら、あらゆる目的のための野生動物の飼育と使用を永久的に禁止する野生動物保護法の改正を中国政府に働きかけています。
今回の新型コロナウイルス感染拡大のような事態に関しては中国のみならず、全世界が取り組むべき課題であるのは明らかです。今後このような非常事態を発生させないためにも、動物保護は人にも有益であることを広く認知してもらえるよう、私たちJAVAも協力していきます。

※関連記事を朝日新聞社の動物情報サイトsippoに寄稿しています。
https://sippo.asahi.com/article/13331297

出典:
https://www.actasia.org/news/pei-sus-blog/when-is-wildlife-not-wildlife/
https://www.actasia.org/news/qa-coronavirus-chinas-wildlife-trade-and-wet-markets/
http://www.forestry.gov.cn/main/4818/20030805/796749.html
http://www.caaa.cn/new/html/?t=r&id=?t=r&id=3237

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