日・EU経済連携協定における動物福祉の推進を求める書簡
3つの動物保護団体が連名で提出
2020年7月、JAVA、アニマルライツセンター、ベルギーの動物保護団体Eurogroup for Animalsは3団体連名で、欧州委員会と外務省に対して、「日・EU経済連携協定において動物のためにより多くのことを実行することを求める要望書」を提出しました。
この3団体は、同年1月に開催された「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日・EU経済連携協定;JEEPA)」についてのEU主催のシンポジウムに参加したのですが、JEEPAを活用し動物福祉を向上させるための取組みとして、この要望書を提出しました。
JEEPAは2019年2月1日に発効しました。この協定は、日本とEUに、動物福祉に関する技術作業部会を設置し、この協力分野の優先順位を定める作業計画を採用できるとしています(第18・17条 2)。また、「貿易及び持続可能な開発」の章において、締約国は絶滅のおそれのある野生動物の違法取引に対処するための効果的な措置を実施し、情報を交換しなければならないとあります(第16・6条 2 (b)及び(d))。
しかし、現在のところ、日本とEUはこの分野で進展を見せていません。そのため、EUの経験を日本の改善に生かせるトピックとして、「産卵鶏とブロイラー産業における動物福祉基準の改善」「動物実験のない化粧品業界への移行」を挙げました。それから日本とEUが協力すべき野生生物に関連するトピックとして、「エキゾチックペットの取引の規制と象牙の国内市場の閉鎖」を挙げました。そしてこの要望書の中で日本政府と欧州委員会に対し、JEEPAの実施に関連して動物福祉の技術作業部会を設立し、これらのトピックに関する意欲的な作業計画を策定するよう要請しました。
欧州委員会からの返信
これに対し、10月22日付で、欧州委員会副委員長のValdis Dombrovskis氏と欧州委員会メンバーであるStella Kyriakides氏の連名で返信がありました。そこには、次のように私たちが求めたJEEPAにおける動物福祉の推進に前向きな姿勢が記されていました。
- 動物福祉に関する協力を強化することも、日・EU協力の一環であることに同意する。
- 要望書の中では、産卵鶏とブロイラーの福祉が特に関心の高いトピックとして挙げられている。あなた方もご存知のように欧州委員会とEU加盟国は、これらの動物の福祉を向上させるために具体的な法律を制定し、多大な努力をしてきた。したがって、これらが関連する問題であろうことは認識している。しかし、これは日本との合意に基づいて決定されなければならない。
- 欧州委員会はすでに日本に連絡して動物福祉作業部会を設置するための方法を協議しており、今後開催されるJEEPAの会合では、動物福祉に関する協力を強化する機会を引き続き模索していく。
- 動物福祉の分野で前向きな変化をもたらすために今後も尽力していくことを約束する。
なお、外務省からは何ら返信はありません。JAVAでは化粧品の動物実験に関する日本の現状を欧州委員会に伝えるため、英語の簡潔な資料を作成しました。欧州委員会と外務省への働きかけを今後も続けてまいります。