ウサギを使ったパイロジェン試験は5年以内に段階的に廃止
だが、動物を利用しない試験は既に規制当局が12年前に承認済み <EU>

2021年10月26日

EUでは毎年35,000〜46,000匹のウサギが、パイロジェン試験に使用される。しかし、35年以上前から動物を利用せずにヒトの血液を用いたより高性能の試験方法があり、2009年には規制当局が承認している。欧州医薬品医療品質部門(EDQM)は今回、5年以内にこのウサギを使った試験を終了すると発表した。

パイロジェンは、ヒトに発熱や敗血症性ショックを誘発する可能性のある汚染物質である。ワクチンや輸液などの生物学的製剤のバッチごとに、この物質の混入の有無を調べる試験が行われる。ウサギを小さな箱に固定し、耳の静脈に試験液を注入するのだ。その結果、発熱性物質が検出されなかったバッチのみ出荷できる。欧州薬局方ではこの試験に加え、動物を使わずに、ヒトの血液を利用する単球活性化試験(以下「MAT」という)も認めている。MATは1980年代にドイツで開発され、2005年に国際的に検証され、2009年に欧州薬局方に追加された。MATは製品ごとに検証しなければならないため、試験を各製品に適合させる必要はあるが、製薬会社はそれを行うための12年の猶予があったのである。

DAAE*の副理事長であるCorina Gericke獣医学博士は次のように述べている。「パイロジェン試験には動物を使わない方法が長い間存在しているにもかかわらず、いまだに動物実験が行われている。動物実験は不十分でしばしば再現性のない結果しか生み出さない。しかしながら簡単に承認される。その一方で、動物を使わない技術の承認は非常に厳しく、たとえ承認されても、引き続き動物実験も許可されており並行して試験が行われるのである」

残酷で全く必要のない動物実験の終わりがようやく見えてきたが、Gericke博士は「この実験が廃止されるまでの5年間とは、EUで少なくとも175,000匹のウサギのさらなる死を意味する」と懸念している。

©Doctors Against Animal Experiments
  1. *Doctors Against Animal Experiments (動物実験の即時廃止を支持する医師・科学者の団体) /ドイツ(ドイツ語名:Ärzte gegen Tierversuche e.V.)

Pyrogen test on rabbits to be phased out in 5 years (Ärzte gegen Tierversuche e.V. [Doctors Against Animal Experiments])

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