JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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さまざまな動物の命を守る

<サウジアラビア>王子の使命は中東ヴィーガン化

<サウジアラビア>王子の使命は中東をヴィーガン化すること

カレド・ビン・アルワリード(Khaled bin Alwaleed)王子は、リヤドにある46万平方フィートの宮殿で育った世界屈指の大富豪とされる王家の子息である。以前の彼は、肉を食べ、毛皮をまとい、ガチョウのダウン毛布で眠り、南アフリカにトロフィー・ハンティング旅行(趣味で野生動物をハンティングし、その記念として剥製、毛皮などを持ち帰る)にも出掛けていた。しかし今や、動物を殺戮した経験はぬぐえない記憶となり、自ら「卑劣な」所業と呼ぶ。罪の意識に苛まれた彼は、ヴィーガン(完全菜食主義者)として暮らすことに安らぎを見出すようになった。今では母国サウジアラビアはもちろん、周辺国の人々にも、自分と同じようにヴィーガンのすばらしさを体験してほしいと思っている。

「動物福祉、工場畜産、環境は、切り離せない問題です。貪欲さを捨てて、経済や人道の面から現実的に考えれば、解決方法が見つかるはずです」とカレド王子は言う。

“Saudi Prince on a Mission to Veganize the Middle East”

動物プロダクションの不適切飼育

ソフトバンクの“お父さん犬”も所属する
動物プロダクションの不適切飼育問題
― 動物愛護法の改正なくして改善はない ―

 

数々のCMやテレビ番組に動物タレントを派遣し、「国内映像業界の90%以上のシェアを修めている」と宣伝している「株式会社湘南動物プロダクション」(千葉県成田市)。

2017年11月3日に放送されたテレビ朝日の深夜番組「※注 芸人調べ」において、このプロダクションの施設を芸能人たちが訪れて、飼育されている動物たちを紹介した際、劣悪な飼育状況も映し出されました。

JAVAには番組を観た方たちから次のような問題を訴える声が寄せられ、JAVAも録画映像によってこれらの状況を確認しました。

<猫について>

  • 「敷地内にいる野良猫を捕まえて飼育して、タレント猫として派遣する」と話していた。
  • 猫専用の部屋が紹介されたが、狭いケージに入れられていた。
  • 猫が2匹も入れられていたケージもあった。
  • 水を入れた容器が見当たらなかった。

<フクロウについて>

  • 「ウラル」という名前のフクロウが小さなケージに入れられていた。
  •  止まり木が角材だった。

問題点1:猫の捕獲について

猫は、屋外を徘徊しているから、首輪を着けていないからといって野良猫と断定することはできません。猫を捕獲するという行為には、他人の猫を盗むことになる可能性があります。 だからこそ、地域猫活動においては餌を与えながら飼い猫か否かを慎重に判断しているわけです。このプロダクションの場合、保護や地域猫目的ではなく、商品にするため捕獲して劣悪な環境においており、言語道断です。

問題点2:飼育環境について

猫やフクロウが入れられているケージは搬送や一時的な保管に使用されるものであって、飼育するには不適切です。
動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)に基づく「展示動物の飼養及び保管に関する基準」には、施設の構造等について、「個々の動物が、自然な姿勢で立ち上がり、横たわり、羽ばたき、泳ぐ等日常的な動作を容易に行うための十分な広さと空間を備えること。また、展示動物の飼養及び保管の環境の向上を図るため、隠れ場、遊び場等の設備を備えた豊かな飼養及び保管の環境を構築すること。」とあります。
それに対し、湘南動物プロダクション(以下、湘南プロ)での飼育は、猫にとって不可欠である上下運動もできない、フクロウにとって必要な水浴びができない状況にあります。また、猫もフクロウも身を隠すことのできる場所が必要ですが、設けられていません。止まり木については、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の展示動物保護法(Exhibited Animals Protection Act)に基づく「飼育下の猛禽類の展示基準(Standards for Exhibiting Captive Raptors in New South Wales)」では、「止まり木は少なくとも地面から2m以上離して設置すること」「止まり木は清潔で天然の枝であること。枝の直径や断面積はツメの長さの円周以下にならないようにすること」「止まり木と屋根は、翼を広げて弧を描いて離着陸するのに十分な距離を離すこと」と規定されています。

JAVAから改善を要望

湘南プロは広大な土地を所有していることから、十分な広さの飼育施設を建築することは不可能ではないと考えます。そして、常時、清潔な水を飲めるようにしておくことは、動物飼育の基本中の基本です。
2018年2月、JAVAは湘南プロに対して、飼育動物の福祉を担保するために最低限必要な以下のことを要望しました。
( 1) 猫に十分に動き回れる、上下運動ができるスペースを与えること。
( 2) 猫に身を隠せる場所を与えること。
( 3) 猫に爪とぎや遊ぶ道具を与えること。
( 4) フクロウに翼を広げ、飛翔できるスペースを与えること。
( 5) フクロウに身を隠せる場所を与えること。
( 6) フクロウをはじめ、鳥類には角材ではなく、種類や大きさに適した止まり木を設置すること。(適した止まり木とは:清潔な天然の枝で、直径や断面積はツメの長さの円周以下にならないもの。少なくとも地面から2m以上のところ、飛翔後に着地する際、翼が屋根にあたらないところに設置したもの)
( 7) 鳥類など水浴びをする動物は、水浴びができるようにすること。
( 8) その他の動物も、「展示動物の飼養及び保管に関する基準」を遵守した、自然な姿勢で立ち上がり、横たわり、羽ばたき、泳ぐ等日常的な動作を容易に行うための十分な広さと空間を与えている。また、隠れ場、遊び場等の設備も与えること。
( 9) すべての動物が常に新鮮な水が飲めるようにすること。
(10) 排泄場所を決める動物については、排泄場所と運動や寝るスペースを別にすること。
(11) 屋外飼育の動物については、砂浴びやストレス軽減のため、床材を土か砂にすること。
(12) すべての動物が野外の景色を眺めることができる、日光を浴びることができる等、できるだけ自然を感じることが可能な環境に置くこと。

その後、湘南プロから届いた回答では、「定期的に行政の視察を受け入れ、指摘を受けた事項については速やかに改善をしている」「JAVAからの要望事項について、一通りの現況の確認を行い、JAVAの要望の水準を満たしていると判断した」旨の回答(回答1/PDFファイル)がありました。

視察を拒否

では、どのように改善されたか、本当にJAVAの求める水準を満たしているのかを確認するため、JAVAは湘南プロに視察を申し入れました。
それに対して湘南プロは、「行政による視察を受け入れることはしているが、そうした法令に基づくものでなければ、第三者に当社内部の施設を見ていただくようなことは通常は行わない」「法令に基づいて立ち入りを制限しなければならないという事情があるほか、不用意に外部の方を立ち入らせることは飼養されている動物の安全や衛生を害すると考えるから」(回答2/PDFファイル) として、視察を断ってきました。

質問状にも答えない
つまりは何の改善もなし

湘南プロのいう理由からすると、ではなぜ、テレビの撮影隊やタレントたちを入れたのかという疑問が生じますが、私的な施設だけに視察を拒否されては致し方ありません。そこで、JAVAの求める水準を満たす改善をしたのかをはじめ、次の点を確認する質問状を送付しました。

【質問1】 「動物の飼育環境の改善を求める要望書」(2018年2月21日付)に対する貴社からのご回答(同年4月19日付)に「複数の監督庁からの御指導を遵守するとともに、定期的に行政の視察を受け入れ指摘を受けた事項については速やかに改善をしています」とありますが、複数の監督庁とはどこになりますでしょうか?

【質問2】 ご回答に「テレビ番組の演出により視聴者の方や貴会に御懸念を招いた部分がある点については反省を致します」とありますが、「テレビ番組の演出により視聴者の方や貴会に御懸念を招いた部分」とは具体的にどのようなことかご説明をお願いします。

【質問3】 テレビ番組では、貴社が「敷地内にいる野良猫を捕まえて飼育して、タレント猫として派遣している」と紹介されました。この野外にいる猫の捕獲に関する貴社の現状について、該当する項目に○をつけてください。(エ)の場合、具体的にご記入ください。
(ア)現在、猫の捕獲は行っておらず、今後も行わない
(イ)現在も猫の捕獲を続けている
(ウ)番組制作側の誤った報道で、そもそも猫の捕獲は行っていない
(エ)その他(                         )

【質問4】 ご回答には、「貴会からの御要望事項(上記の( 1)~(12)の項目)について、(略)現在においても御要望の水準を満たしていると判断しました」とありました。
12項目それぞれにつきまして、当会の要望を満たされているかについてお尋ねします。「はい」もしくは「いいえ」のうち、該当する項目に○をつけてください。

この質問状に対しては、個々の質問には答えず、「質問事項は要望書と重複しており、回答はすでに差し上げたとおり」「御社からのご指摘を機に、その方法については当社内で検討をして参りたいと考えている」との回答(回答3/PDFファイル)がありました。12項目を守っているのであれば、12項目の「はい」に○をつければよいだけの話です。それにもかかわらず、個々の項目を守っているか否かを答えていません。さらに「水準を満たしている」としながら、「JAVAからの指摘を機に検討して参りたい」と、まるで検討をこれから始めるかのような言い方をしています。つまりはJAVAの求める水準を満たしているどころか、何の改善もしていないと受け取らざるを得ません。

本来、行政が改善指導すべき
不適切業者の対策には、愛護法改正が不可欠

皆さんご存知の通り、湘南プロだけでなく、ペットショプ、ブリーダー、動物園等々、問題ある動物取扱業は、数えきれないほどあります。
本来、動物愛護法に基づき、不適切な飼育をする動物取扱業に対しては、都道府県や政令市が改善勧告をして、その勧告に従わなければ命令をし、それにも反した場合、営業停止や業登録の取り消しができます。
ところが、この湘南プロのケースでは、JAVAと協力関係のある動物保護団体PEACEによる通報で判明したことですが、千葉県は立入検査をしたうえで「問題なし」という結論をだしています。 こういったケースがいくつも発生しています。
これには、JAVAは主に次の3つの要因があると考えています。

【要因1】虐待・劣悪飼育の基準があいまいで判断がしづらい
今回、JAVAの指摘の一つに「猫を狭いケージに入れている」という点がありました。しかし、どれくらいのスペースを「狭い」と感じるかは人によって差があります。現行の動物愛護法では、飼養保管に関する基準や細目はあるものの、「十分な広さと空間を備えること」「適切な温度、通風及び明るさ等が保たれる構造にすること」というように抽象的な内容です。また飼育スペース以外でも、どういった扱いが“虐待”や“飼育放棄(ネグレクト)”にあたるのかも法文には記されていません。そのため、立入り検査に入った行政職員の判断、感覚に委ねられています。それゆえ私たちがどうみても「劣悪」と感じる状態も「問題なし」との結論が出されることすらあるのです。ですので、法文に虐待の定義を盛り込んだり、飼養に関する規程を設けることで一定の判断ができるような改正が必要です。

<JAVAが求める改正>
⇒ 虐待の定義を法文に盛り込む。
⇒ 最低限の飼養設備の飼養面積及び高さや運動量等を規定する。(具体的な数値ではなく、動物種ごとに習性にあった形で体長・体高の○倍といった規定にする。犬の散歩等運動を義務化する。従業員一人当たりの飼養可能頭数を規定する等)

【要因2】勧告・命令や営業停止・登録取り消しが義務ではない
立入調査に入った行政が、「改善の必要あり」と判断した場合の改善の勧告・命令、そしてその命令にも従わなかった場合の営業停止や登録取り消しは、「できる」であって、「しなければならない」と行政の義務にはなっていません。そのため、何度も何度も改善指導を繰り返しても一向に改善しない業者が営業を続けていたりします。これでは、いつまでたっても悪質業者がなくならないばかりか、人手不足の自治体にとっても大きな負担です。例えば1ヶ月など猶予期間を定め、その期間中に改善がされなかったら、自動的に勧告、命令と手続きを踏むようにする実効力のある法改正が必要です。
また、登録取り消しで廃業した場合、そこにいる動物たちの行く末が心配で厳しい措置が取れないという行政の声もあることから、緊急保護や取り消し後5年の立入権限なども併せて盛り込む改正をJAVAは求めています。

<JAVAが求める改正>
⇒ 違反については1か月以内の勧告を義務付け、勧告に従わない業者に対して1か月以内の措置命令を義務付ける。
⇒ 行政の権限を増やし、実効性をあげる。(登録時の立入の義務化、動物の緊急保護、迅速な登録取り消し、登録取り消し後5年までの立入権限等)

上記のような法改正がなされなければ、今回の湘南プロのようなケースでは、飼育状況の改善は困難です。
JAVAは、上記の改正をはじめ実効性があり、動物たちを真に守ることができる動物愛護法にするため、積極的なロビー活動を続けています。

「獣医師の社会的役割と、その教育の今」シンポに参加

市民公開シンポジウム
「獣医師の社会的役割と、その教育の今」参加報告

【開催概要】
日時:2017年12月9日(土) 13:00~17:30
場所:東京大学弥生講堂 一条ホール
主催:全国大学獣医学関係代表者協議会 (公社)日本獣医学会
共催:(公社)日本獣医師会

【プログラム】
開会挨拶:全国大学獣医学関係代表者協議会会長 稲葉睦
(公社)日本獣医学会理事長 久和茂
(公社)日本獣医師会会長 藏内勇夫

基調講演:「新興感染症―インフルエンザならびにエボラ出血熱―」
東京大学医科学研究所教授/米国ウイスコンシン大学教授 河岡義裕

講演1:「わが国における獣医師の職域:獣医師免許と獣医学」
山口大学共同獣医学部教授 佐藤晃一

講演2:「わが国における獣医学教育改善:国際水準化に向けての現状と課題」
北海道大学大学院獣医学研究院・獣医学部教授/全国大学獣医学関係代表者協議会会長  稲葉睦

講演3:「獣医学実践教育強化の具体と公務員獣医師の確保への課題」
北里大学副学長・獣医学部教授/(特非)獣医系大学間獣医学教育支援機構理事長 髙井伸二 

講演4:「欧米における獣医学教育の現状と認証評価制度」
帯広畜産大学副学長・獣医学研究部門教授 倉園久生

講演5:「将来における獣医師への期待と獣医学教育の在り方」
東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部教授/(公社)日本獣医学会前理事長 中山裕之

パネルディスカッション

閉会挨拶:酪農学園大学理事長・(一社)日本私立獣医科大学協会会長 谷山弘行

JAVAが実験動物の飼養環境や代替法の導入を働きかけている全国大学獣医学関係代表者協議会(以下、協議会)。全国に16ある獣医系大学の教員代表者で構成される組織です。
2017年12月、この協議会が開催した獣医学教育に関するシンポジウムに参加しました。(JAVAの協議会への働きかけについてはこちら

300名ほど入る会場がほぼ満席でした。まず、主催、共催組織の3名からの開会の挨拶では、「2017年は獣医学部新設の問題で獣医学教育についてこれまでになく注目されたけれども、獣医師の役割や獣医学教育について社会にほとんど知られていないことを痛感した。その原因に自分たちがこれまで十分に説明してこなかったということもあって、このようなシンポジウムを開催した」との話がありました。
ここでは、JAVAの活動にも関係する情報が得られた講演1~5とパネルディスカッションについてご報告します。

講演1~5

内容は重複している点が多かったため、講演で得られた情報をまとめて箇条書きします。

<獣医師について>

  • 世間では、「獣医師」というと犬猫のお医者さんというイメージが強いが、産業動物の獣医師もいる。「公務員獣医師」の業務は、食品衛生監視や食肉の衛生検査、動物の伝染病の予防や発生後の鎮圧、野生動物の保護・管理、動物愛護センターでの動物福祉等、多岐にわたる。製薬会社などの企業や研究所で研究職に従事する獣医師も多い。
  • 日本は食肉検査など獣医師の仕事とされている職種が多いため、公務員獣医師や産業動物獣医師が不足している(米国では食肉検査は専門の検査師が行い、獣医師ではない)。
  • 平成26年時点で、日本には約39,000人の獣医師がいる。医師は20万人以上いるので、決して獣医師は多くはない。
  • 日本の獣医師の約25%が公務員獣医師だが、欧米では2~5%しかおらず、多くが臨床獣医師である。そのため、臨床教育に重きが置かれている。
  • 地球環境、野生動物、人と動物の健康といった地球規模の問題を、医師と獣医師が協力して取り組んでいくべきとなっている(One Healthの概念)。

<国内外の獣医学教育システム>

  • 獣医大の起源は1761年に仏・リヨンに家畜治療の大学が設立され、それが世界に波及した。
  • 日本では6年の獣医大学を卒業し、国家試験に合格して獣医師免許を取得できる。
  • 大学によって異なるが、多くの大学では1年間の教養教育課程と5年間の専門教育課程を取り入れている。
  • 諸外国の多くは、獣医大学を卒業すると国家試験なしで獣医師になれる。それは、獣医大学での教育体制を認証機関が厳格に審査し、その機関(大学)に獣医師養成機関として承認を与えているため。
  • 欧州で獣医師になるには、高校卒業後、5年以上(平均5.5年。オランダは6年)の獣医学教育を受ける。米国は、大学や大学院を卒業後、4年間獣医学教育を受け、1年間のインターン実習を受けないと獣医になれない。9年かかる。
  • 日本は欧州の体制と似ているので、欧州の大学が参考になると思われる。
  • OIE(世界動物保健機関)は、「卒業した翌日から、獣医師として活動できる教育を」と言っていて、それを各国が目指している。

<日本の獣医学教育の課題と取り組み>

  • 日本の獣医学教育は国際水準を超えている分野(感染症、公衆衛生、サイエンス、大動物臨床、小動物臨床など)はないと言える。すべての分野ですべての学生が水準を超えるのがまず目標。
  • これまでの日本の臨床実習は見学型だったが、国際水準では、卒業後にすぐ獣医師として何ができるかが重要であるため、参加型臨床実習が必要となった。しかし、獣医師法第17条において、獣医師免許のない者の治療行為が禁じられている。これに対して平成22年6月30日付の農水省の課長通知* によって、各大学がガイドラインを策定し、その条件下なら違法性はないと示した。
  • その条件の中に学生の水準も含まれていて、どの学生でも臨床実習に参加できるわけではない。その学生の水準保証のため、獣医学共用試験を導入し、合格した学生が、スチューデントドクターとして臨床実習に参加できるというシステムとなった。
  • 医歯薬系の学部・学科では10年くらい前から共用試験システムが始まっているが、マンパワー、マネーパワーが全く違っている。日本の獣医学部は欧米と比べて教員の数が圧倒的に少ない。また、十分な大動物の診療の場を持っていない大学があるなど困難な現状もある。
  • 米国では獣医大学1校につき教員は100名以上いるのに対して日本はその半分かそれ以下。ウィーン獣医大学は国内唯一の獣医大学で学生が2,000人以上、教員は1,000人以上。種別の病院があり、魚の病院も。スキルアップ用のマネキンなどが置いてある部屋があり、学生は暇さえあればそこで練習する。
  • 近隣の獣医大学同士が協力して、教員・学生を行き来させて実習を合同で行ったりしている(例:北大と帯広畜産大、山口大と鹿児島大など。小動物の患者が多い北大と大動物の患者が多い帯広畜産大が協力して、不足を補って実習を実施)。農業共済や地域病院との連携も不可欠(北里大学では地域病院とのネットワークづくりをしている)。
  • さまざまな支援を受けて、2017年より共用試験を15大学で実施(残る日本大学は2018年より参加)。836人中831人合格。
  • 学生に臨床実習をさせることになるため、付属病院には飼い主に向けて、学生の参加への理解を求める貼り紙を掲示している。
  • 欧米の獣医大学には、EAEVE(欧州獣医教育機関協議会)とAVMA(米国獣医師会)などによる教育評価が行われている(オーストラリア・ニュージーランド、韓国にもある)。日本では平成29年度から、(公財)大学基準協会による教育評価と認定をスタートさせている。

* 農林水産省消費・安全局 畜水産安全管理課長告示「獣医学生の臨床実習における獣医師法第17条の適用について」(22消安第1514号)

パネルディスカッション

会場からの質問を受ける形で行われ、6名から質問がありました。
JAVAも、「国際水準について講演でお話があったが、欧米の大学のように生きた動物を犠牲にすることなく、代替法と臨床実習で卒業できる日本の大学はあるか?」「代替法の導入の状況や今後の計画を教えてほしい」の2点を質問しました。
協議会会長の稲葉氏から、「参加型実習の充実は動物の犠牲を減らすこととまさに表裏一体。動物の犠牲を減らすことは当然。今、このために全国の大学で取り組んでいるので理解いただきたい。そしてこの回答でもって、1つめの質問への回答にもさせてもらいたい」と回答がありました。

また、JAVAと化粧品の動物実験や動物愛護法改正の活動などで連携しているPEACEの東さちこ代表が「加計学園の問題で動物を使った実習のことが取り上げられていたが、動物実験削減のためにどのような取り組みをされているか?」といった質問をされ、それに対し中山氏からは「生きた動物を使った実習をなくしていこうということは協議会・教員の共通認識」という発言がありました。

講演の内容や質問への回答からも、日本の獣医学教育の関係者の意識やシステムが変わりつつあるのを感じました。しかし、欧米のように生きた動物を犠牲にせずに卒業できる大学ができるまでの道のりは遠いとも感じます。
全国大学獣医学関係代表者協議会がJAVAからの要望書に対し「検討委員会を設置し、代替法導入の方針と具体策検討を進める」と回答していますが、現時点ではまだこの委員会は起動していない模様です。いち早く行動に移し、できるところからでも1つ1つ代替法に切り替えていくことが重要と考えます。そのために私たちも働きかけを続けていかなくてはなりません。

<スペイン>と畜場に監視カメラを

<スペイン>と畜場に監視カメラを

スペインの動物保護団体ADDAは、と畜に関する法令を順守し、可能な限り人道的な扱いを実現するため、と畜場を「見える化」するキャンペーンに力を入れている。と畜場で何が行われているか、また、現行法で要求されている「動物たちが最後の瞬間に受けるべき最良の扱い」の実態について、と畜場が開示を拒んできているため、明らかになっていないからである。

動物福祉に懸念があることから、ADDAは2017年5月、大統領とすべての国会議員に対し、と畜場への監視カメラ設置を要求する書面を提出した。2018年2月4日、と畜場の闇を取材したテレビ番組「サルバードス」が放送されると、と畜場で行われていることとその不透明さが、地域限定ではあるが一般の人々の知るところとなった。さらに2018年4月、ADDAは、監視カメラ設置要求を請願権の法的手続きに則って進めるため、関連する事実やADDAの動物福祉担当者、公的・私的獣医師らの活動等を盛り込んだ詳細な文書を、国とすべての自治体(大統領府、2つの省、17の自治体)に宛てて送付した。

街中いたるところに設置されている監視カメラだが、と畜場が設置を拒否するのは何かの違反を隠そうとしているのではないだろうか。

“Mataderos Controlados por videovigilancia”
ADDA Defiende los Animales No.56, June 2018

カタルーニャ州政府の農務省の前で今年6月に行ったデモ
©ADDA

JAVA、子猫虐殺犯を刑事告発

粘着テープで縛る、乱暴に肛門をこする・・・
JAVA、子猫虐殺犯を刑事告発

今年6月、インターネット上に少なくとも2頭の子猫を粘着テープで縛ったうえで、乱暴に肛門をティッシュでこすったり、圧迫するなどして虐殺する動画が投稿されました。この虐待動画については数多くの通報が全国の警察署に寄せられ、JAVAも告発状を提出。その後逮捕された犯人には動物愛護法違反で罰金20万円の処分が下されました。


投稿された虐待動画

6月18日に、「パンティマニアなお座敷シューター」という名で動画共有サイトYouTube(ユーチューブ)に投稿された4本の動画のうち3本に、子猫への残虐行為が撮影されていました。

動画1 白毛の子猫への虐待
<JAVAが動画で確認した内容>
犯人は白毛の子猫の両手にガムテープを巻きつけて拘束し、激辛チリソースを塗った綿棒を口の中にねじ込んだ。その後、ティッシュペーパーで乱暴に肛門をこすり続け、肛門は赤くただれて出血した。3分22秒ある動画中、終始、犯人は子猫を握りつぶすように強くつかみ、時に尻尾をつかんで逆さ吊りにし、子猫は終始、悲鳴をあげ続けていた。

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<この動画についての犯人のコメント(原文のまま)>
「【赤ちゃん猫 強制排尿・排泄!】暴れるので、ガムテープ使用しましたが、なくても押さえ方次第ではガムテープなんか不要です。おしっこは問題ないものの、便通が悪かったので、アメリカのルイジアナ・ホットソース肛門に塗り、豪快に力強く擦ったら赤く擦りむけてしまい、力も入り過ぎたせいか、身体の骨も折れてしまった…。次の日に亡くなりました。。。。」

子猫虐待1

投稿動画より。子猫の両手はガムテープで拘束されている。
背後には激辛チリソースの瓶が見える。

動画2 キジトラの子猫への虐待

<JAVAが動画で確認した内容>
犯人はキジトラ毛の子猫の両手にガムテープを巻きつけて拘束し、さらに目、鼻、口を覆うように顔面にもガムテープを貼り付けた(顔面のテープを途中で追加したり、押さえつけたりもした)。その後、ティッシュペーパーで乱暴に肛門をこすり続け、肛門は赤くただれ出血した。3分44秒ある動画中、終始、犯人は子猫を握りつぶすように強くつかみ、時に尻尾をつかんで逆さ吊りにし、子猫は終始、悲鳴をあげ続けていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<この動画についての犯人のコメント(原文のまま)>
「【子猫の強制排尿・排泄!】仕事などに行っている間はどうなのかわかりませんが、おしっこだけは毎日出ていたようです。かなり便通が悪く、ほぼ毎日強制排尿・強制排便しておりました。暴れるため、爪を切る前の動画です。ガムテープなんかなくてもできちゃいますね!日々強く擦り過ぎて、肛門なども皮が擦りむけ、少し血が出て真っ赤になってしまい、やはり力の入れ過ぎでした。。。
力の入れ過ぎって、おろしがねで大根をすりおろしするぐらいの力を入れてました
それでも排便はなかなか出なく、身体をギュッと強く握ると、なんとか出てました!が、内臓、肝臓、腎臓、胃?などが圧迫されたためか、苦しそうに悲鳴をあげていました。日々強く握り、強く擦り過ぎたためか、5月下旬に最後の悲鳴をあげて、ぐったりと亡くなりました。無念!!」

子猫虐待2

投稿動画より。子猫の両手はガムテープで拘束されている。このあと顔面にもテープを貼り付けられる。

動画3 死亡したキジトラの子猫
<JAVAが動画で確認した内容>
仰向けに横たわったキジトラの子猫の亡骸を母猫が何度も舐めていた。犯人はその子猫の頭部を大きな音がするほど指で強くはじきとばした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<この動画についての犯人のコメント(原文のまま)>
「【無念!赤ちゃん猫死亡!!】生まれてから約1ヶ月目を迎えたけども、5/30に豪快な強制排尿・排便直後にゆっくりと亡くなりました……。母猫リリィが一生懸命舐めていました。私もいろいろやりましたが、ダメでした。2匹のうちの残ったこの子だけには、 元気に育って欲しかったです……。
毎回、排尿・排便の時に身体をギュッと強く握り、内臓、肝臓、腎臓、胃!?などが強く圧迫してしまったことが主な死因です。
本当、母猫には申し訳ないけど、無念極まりない、、、、。」

子猫虐待3

投稿動画より。死亡した子猫の頭部を犯人は強くはじき飛ばした。

Evaと連名で刑事告発

動画に映し出された行為は明らかに動物愛護法違反で「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、2年以下の懲役又は、200万円以下の罰金に処する。」に該当するものです。8月、JAVAは公益財団法人 動物環境・福祉協会Evaと連名で地元の渋谷警察署に相談し、同署を介して、すでに捜査に動いていた神奈川県厚木警察署に告発状を提出しました。
その際、田中亜紀獣医師(カリフォルニア大学デービス校獣医学部疫学研究員/日本獣医生命科学大学非常勤講師)と町屋奈獣医師(公益社団法人日本動物福祉協会 獣医師調査員)が連名で作成くださった意見書「子猫の排尿・排便等に関する動画について」(下に掲載) を証拠として提出しました。これにより、あたかも子猫に排便・排尿をさせるために行った正当な行為であるかのような犯人の主張は決して通用しないことを証明しました。

犯人逮捕される

8月31日、犯人を逮捕したとの連絡が警察からありました。TBSテレビでは、逮捕されたのは千葉県成田市の38才の派遣社員の男と報じられました。

検察に起訴と厳罰求刑を要望

逮捕されても起訴されなければ罪に問えません。そのため、JAVAとEvaはそれぞれ、管轄の横浜地方検察庁 小田原支部にあてて、必ずや起訴して、懲役2年を求刑することを求める文書を送りました。

罰金20万円の処分下される

9月8日、逮捕されてから警察署に拘留されていた容疑者N・Kは裁判所に略式起訴され、同日付で罰金20万円の略式命令が下されました。
N・Kの犯した罪は残酷極まりなく、到底許せるものではありません。 それに対して、下された刑はあまりに軽いと言わざるを得ませんが、N・Kの行為が動物愛護法違反と認定され、有罪にできたことについては、再犯防止、さらには、他の動物虐待犯への抑止の効果があると考えています。

■2名の獣医師からの意見書■

 

「私が見た盲導犬の一生」元パピーウォーカーからの寄稿

人間のために働かされる様々な動物がいますが、人間に利用される動物の実態はどれも悲惨です。JAVAはいかなる動物の使役にも反対しています。
今回は、盲導犬のパピーウォーカーのボランティアをして、予想外の悲しい現実を知り、盲導犬制度に大きな疑問を持った佐藤まちえさんに盲導犬の一生についてご寄稿いただきました。

私が見た盲導犬の一生

佐藤まちえ

盲導犬

我が家では人の役に立つと思い盲導犬のボランティアをしましたが、疑問や驚くことが多く、盲導犬制度についてあまりにも無知だったと後悔しました。気がつけば、私は今まで一度も楽しそうな盲導犬を見たことがありません。

◆次々に代わる飼い主◆
盲導犬は、せいぜい15年の短い一生に飼い主が最低5回も代わります。繁殖家庭で生まれ、パピーウォーカー家庭(団体に登録したボランティア家庭、以下PWと略す)で育ち、次は訓練を受ける盲導犬育成団体(犬の所有者)、4番目は盲導犬の使用者(いわゆるユーザー)、最後は現役引退後の引き取り先です。PWが途中で交代した例もあります。

盲導犬育成団体(以下団体と略す)は全国に11団体あり、それぞれに繁殖犬を何頭か所有し、計画的に交配・出産させ、生まれた子犬を盲導犬に育てています。
繁殖犬は雌雄別々にボランティア家庭で飼育されており、子犬は母犬のいる家庭で誕生し、授乳期は母犬と一緒に育ちます(この間、母子を自らの施設に連れ戻して育てる団体もあります)。現在盲導犬の犬種は主にラブラドール・レトリバーです。
生まれた子犬達は約50日後に母犬から離され、PWに1頭ずつ、約1年間預けられます。
PWになるには審査を伴うのが一般的ですが、無審査で事前の家庭訪問もなく契約書も交わさない団体があるのは驚きです(この団体では単身者のPWも可)。
PWの責務は、預かった犬を健康で人間好きな犬に育てることで、盲導犬としての訓練は要求されません。この先の運命を知らない子犬達にとって、家庭犬として過ごす一番幸福な期間です。なおこの間、多くの団体は定期的にPWと犬を召集し状況をチエックしますが、招集も訪問も全く行わない団体もあります。

◆過酷な訓練◆
犬は1才2ヶ月頃にPWから団体に戻され、盲導犬にするための訓練が開始されます。訓練法は各団体により多少異なりますが、多くの団体が提唱している「陽性訓練」(ほめて訓練する)でさえも、排泄の制限、鳴き・吠え・走り厳禁、人や犬とのスキンシップ禁止等、犬の本質否定に基づいています。なお犬を従わせるのに体罰を続ける団体もあります。走行中の車の直前に犬を無理やり引き出し、急ブレーキをかけて車の怖さを実感させるといった手荒な訓練を行なっている団体もあります。
訓練施設の状況も団体により様々ですが、運動場もなく、建物の1室にケージを2段積みして常時60頭もの犬を収容しているところもあります。この団体は訓練士が4名だけで、他は皆見習いだそうです。なお盲導犬の訓練士は国家資格ではなく、各団体が自己基準で認定しているものです。
訓練は2才過ぎ頃まで続きますが、訓練の過程で盲導犬に不向きと判断された犬は随時脱落していきます。最終的に盲導犬になるのは、多くても候補犬の3割以下なのです。
訓練中に脱落した犬達(いわゆるキャリアチェンジ犬)は、一般家庭に譲り渡され、その後は家庭犬としての生涯を送ります。一部は団体に残り、見学会などの広報活動に使われ、他には盲導犬より合格基準が緩い介助犬の候補として介助犬団体に譲渡されることもあります。

◆盲導犬と使用者◆
最終的に訓練に合格した犬は、団体がマッチングした盲導犬申請者(身障者手帳を所有する18才以上の視覚障害者)とペアで約4週間の宿泊訓練に入り、それが無事終了すれば、その視覚障害者のもとで盲導犬としての生活を始めます。
しかし短期間で気心が通じるわけはなく、使用者と盲導犬の呼吸が合うのには1年以上かかります。指示に従わない犬を「叩いたり蹴ったり」、排泄の後始末が面倒だから「水や食事は最低限に」といった誤った扱い方が独断で繰り返されることが虐待につながるのだと思います。
なお各団体は都道府県などの地方自治体と盲導犬育成の任意契約を結んでいるので、盲導犬を使用者に貸与すると(盲導犬は貸与が主流、1団体のみ譲渡)、使用者の住む地方自治体から、育成費として1頭につき約200万円が支給されます。貸与後に問題が生じても団体に育成費の返還義務はありません(譲渡の場合も同じ仕組みです)。
盲導犬は、中途失明した人に繰り返し貸与されるケースが非常に多いですが、使用者には育成費の負担はなく、盲導犬5頭目という使用者もいます。使用者の年齢に上限もなく、80代の男性に初めての盲導犬を渡し、それを自慢している団体もありました。また現役中に万一犬が死んでしまっても、使用者は希望すれば早急に次の犬が貸与されます。

◆盲導犬の寿命と生活◆
現役引退は10才前後が一般的で、引退後は引き取り先のボランティア家庭で余生を送ります。その際、PWが希望すれば犬をPWに戻す団体もあれば、逆にPWや使用者に引退後の行く先すら教えない団体もあります。なお大手の団体は、「老犬ホーム」のような施設を有し、一般家庭に譲渡できない引退犬を飼育しているようです。
昔から「盲導犬はストレスが多いので、同種の家庭犬より短命」と言われてきました。盲導犬業界はこれに反論していますが、容易に算出できるはずの盲導犬の具体的な寿命データすら公表していません。

それに問題は寿命の長短以上に生活の質なのです。「現役中でもハーネスを外せば家庭犬と同じ扱いをする」と主張していますが、実際は、室内でも短いリードで繋がれ、散歩も一切させない。「走らせる必要はない、食事は1日1回」と公言する団体もあり、とても家庭犬と同様の生活とは言えません。重く固いハーネスを背負っての仕事中は、排泄を我慢させるために飲み水も制限され、夏の日中に熱中症で倒れた例もあります。ラブラドールは特に暑さに弱いのに、夏でも毛が飛ばないよう全身を被う服や雨具を着せられています。肉球が焼けるほど熱い、真夏のアスファルト道路も歩けるように「犬に履かせる靴を作った」とホームページに載せた団体もあります。靴は脱げたり擦れたりで、盲導犬には不向きだし、犬にとって足の裏は大切な情報収集のセンサーです。そんな道を歩かせないですむよう人間側が配慮するのが先決のはずです。
一日の「労働時間」や使用形態も使用者任せでストレスは計り知れません。盲導犬の尻尾は殆ど下がったままです。犬は飼い主とのアイ・コンタクトが最重要と言われますが、使用者の目が見えない状況で、晴眼者でも苦労が多い大型犬のケアが十分にできるのでしょうか。使用者に家族がいても、盲導犬の世話は使用者自身が行うのが原則なのです。
2014年の夏に世間を騒がせた埼玉の盲導犬オスカー刺傷事件も、実は刺し傷ではなく皮膚病の一種で、使用者や周囲が気づかなかったのが原因でした。

盲導犬の引退を10才頃と規定する団体が多く、10才は人間の60才相当だから十分早いと主張していますが、ラブラドールのような大型犬にとって「10才はもっと高齢に当たる」が大方の一般の飼い主や関係者の実感だと思います。おまけに引退年齢の規定すらない団体では、13~14才まで現役を強いることもあります。引退後も、現役中のストレスやケアの怠慢によって、例えば長年狭いケージに入れられていたための大きな座りダコ、痩せすぎ、重病発覚、犬種本来の特性の欠如・回復不能等々、痛ましいケースが後を絶ちません。

◆結びにかえて◆
2012年1月に長崎で3才の現役盲導犬アトムが失踪する事件が起こり、アトムの歩きながらの失禁写真がネットにアップされ、アトムの使用者やアトムを所有する九州盲導犬協会の非常識な対応が問題視されました。しかし結局協会も、現地調査に赴いた主だった盲導犬団体が加入する連合団体(九州盲導犬協会も加入)も、何の責任も取らず、釈明もなく改善策も打ち出さなかったようで、アトムは今も行方不明のままです。
この事件を始め、ネットに上るケースは氷山の一角に過ぎず、盲導犬虐待通報は関係機関に頻繁に寄せられています。しかし盲導犬育成団体や関係官庁は、常に黙殺するかデマとしてもみ消し、マスコミも完全無視で、問題に対応してきませんでした。税金や善意の寄付に頼り、ボランティアを多用する制度なら、せめてこういった問題にも具体的な窓口を設け真摯に対処するべきです。
「犬はモノではなく命」という犬への思い入れからだけではなく、実際は希望者もごくわずかで、限られた視覚障害者しか使えず、非効率と不公平の極みである盲導犬制度が今後も必要なのか検証し、より広範囲の人が恩恵を受けられる、人間のガイドヘルパー制度の充実や歩行補助機器などの開発にもっと手厚い助成制度を設けてほしいです。どうか皆さんにも盲導犬に代わる方法について考え、その実現を応援していただけたらと思います。

 

我が家で育てた犬。
盲導犬団体に返して1ヶ月半後の面会時に撮影(1才4ヶ月)。
本格的訓練前だが表情が激変、激痩せしていた。

 

エキゾチックアニマル展示即売会視察レポート

5/20(土)・21(日)、東京・池袋サンシャインシティで開催された日本最大級のエキゾチックアニマル展示即売会「東京レプタイルズワールド2017」。
以前より「展示方法がひどい」など悪評が絶えないため視察してきました。「見て、触れて、学べて、そして買える」がコンセプトのこのイベントには、爬虫類、両生類、猛禽類、有袋類、小哺乳類など様々な動物たち約6,000匹(主催者発表)が展示・即売されていました。

 

東京レプタイルズワールド2017-1

残念なことに、100以上の出店者と15,000人規模の来場者は年々増加傾向とのこと。
小さな子どもを連れた家族や若者や女性も多く、どのブースも大勢の人たちで賑わっていた。

 

東京レプタイルズワールド2017-2

人の往来の激しい場所で、ダンボールに入れられ販売されている生まれたばかりの
ブラックメンフクロウのひな。

 

東京レプタイルズワールド2017-3

2日間にわたる長時間の展示でグッタリしているハヤブサやタカのひなたち。

 

東京レプタイルズワールド2017-4

プリンパックと呼ばれる透明の食品用ケースに詰め込まれて売られるトカゲたち。

 

東京レプタイルズワールド2017-5

ヘビは腸の不快感をとるために体をまっすぐにする姿勢をとることが必要だが、
このように小さなケースの中で体を折り曲げられた状態で売られている。

 

東京レプタイルズワールド2017-6

透明パックに詰められたヘビを
まるで食品を選ぶかのように品定めしている来場者たち。

 

東京レプタイルズワールド2017-7

小さな透明ケースの水の中で、もがき続けているカメ。

 

東京レプタイルズワールド2017-8

種類の異なるフクロウたちが短いリーシュで足を繋がれ、近距離で展示されている。

 

東京レプタイルズワールド2017-9

頭をもたげるほど小さなケージの中に長時間閉じ込められ、
放置された糞尿にまみれて、グルグル回るか、じっとうずくまることしかできない
アカハナグマ(上段)とプラチナフォックス(下段)。

 

東京レプタイルズワールド2017-10

ハリネズミ、ハムスター、フクロモモンガ、トカゲなどの動物たち。
大勢の大人や子どもたちにつかんだり、触られ続ける。

 

東京レプタイルズワールド2017-11

イベント終了後は、段ボールや発泡スチロールなどに詰め込まれる。
生き物を扱っているとは思えないほど無造作に搬送されていく。

 


このように、会場内に展示されている動物たちは最低限の配慮すらされていない、とても悲惨な状況に置かれていました。これほど劣悪な状態にもかかわらず、東京都に第一種動物取扱業の登録をして合法的に開催されているのです。この「レプタイルズワールド」以外にも、移動販売を行うイベントや、移動動物園、サーカスといった移動展示はたくさんありますが、容器やケージに入れられて、長距離運ばれる動物たちの心身への負担は相当なものです。移動販売や移動展示をなくすために、JAVAは次回の動物愛護法改正で移動展示販売の禁止を求めて活動しています。

※動物愛護法改正の活動についてはコチラのページをご覧ください

エシカル消費に動物への配慮を

GO!GO!エシカル
倫理的な消費行動には動物への配慮が欠かせない!

フェアトレード、オーガニック、地産地消…消費行動を通じて持続可能な社会を導こうという「エシカル消費」。人権や環境という対象が先行しがちなこのテーマについて、2015年来JAVA、アニマルライツセンター、PEACEの3団体では「エシカル消費のなかに動物への配慮を含めて」と訴えてきました。関係者への粘り強い働きかけで「化粧品の動物実験廃止」や「畜産動物への福祉」が欠かせないテーマとなりました。


 

エシカル消費運動への働きかけ

2015年5月 ・第1回「倫理的消費」調査研究会(以降約2カ月に1回開催)
2015年秋 ・研究会各委員に「エシカル消費の普及に向けて動物保護からの提言書」を提出
2015年12月 ・福島瑞穂元消費者担当大臣とともに消費者庁に陳情
2016年6月 ・第7回研究会で「アニマル・ウェルフェア」が発表議題に
・研究会中間とりまとめには「動物の配慮」が入らず
・「エシカル朝食会 特別交流会」でJAVA等3団体による美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会が「化粧品の動物実験」について、アニマルライツセンターが「バタリーケージ卵」について話題提供
2016年10月 ・「エシカル消費と動物への配慮を考えるシンポジウム」開催
・英国のエシカルコンシューマー代表と消費者庁長官を表敬訪問
2017年1月 ・第9回エシカル朝食会にて、JAVAが「化粧品の動物実験をめぐる国内外の動向」特別報告
2017年3月 ・第10回研究会 最終回
2017年4月19日 ・取りまとめに「動物福祉」が配慮の対象に入る
2017年4月28日 ・日本エシカル推進協議会の一般社団法人化発足記念シンポジウムで動物がテーマの演題

※これまでの経緯については以下の記事をご参照ください。

研究会の報告書に「動物への配慮」の文字が!

2017年3月2日をもって最終回となった消費者庁の「倫理的消費」調査研究会。2016年6月の中間とりまとめには「動物」というワードは含まれませんでしたが、今回の取りまとめには「(前略)人間が動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑えることによって、動物の福祉(アニマル・ウェルフェア)を実現するといった「動物への配慮」の観点が示されたことからも、倫理的消費の範疇の広がりを伺うことができる」というくだりが示されました(「倫理的消費」調査研究会 取りまとめ~あなたの消費が世界の未来を変える~第2章 倫理的消費とは)。
これがゴールではありませんが、動物愛護法ではいまだに実験動物と畜産動物が蚊帳の外に置かれている現状で、省庁による公的な報告書においてこれらの動物たちがフォーカスされることは極めて重要な一歩だと考えます。

エシカル朝食会で動物がテーマに

2017年1月25日の「エシカル朝食会」には、女優であり動物保護活動に精力的に取り組んでいる杉本彩さんが講師として登壇。「動物福祉に取り組んだわが半生-美しさに犠牲はいらない」とのタイトルで、芸能人になってからも続けてきた猫の保護活動、動物保護団体Evaの立ち上げ、動物実験しない化粧品や動物性素材を使わないファッションブランドの展開、エシカルとは到底言えない現在のペットの流通問題について熱く語り、参加者の心に訴えました。
杉本さんの講演の前に、特別報告として、green down projectの川本健太郎理事からダウンのリサイクルについてのお話のあと、JAVAから化粧品の動物実験反対運動の歴史と現在の動向、そして動物実験の今後についてお話しさせていただきました。
いずれも動物にまつわるテーマで、政財界やNGO関係者ら参加者の方々に、動物への配慮の必要性がしっかりと刻まれたと思います。

20170125エシカル朝食会

朝食会に出席された皆さんと(一番右がJAVAの亀倉)

引き続き<エシカル>にご注目を!

このように私たちの粘り強い働きかけにより、オピニオンリーダーたちのあいだでアニマル・ウェルフェアが重要視され始めています。
2017年2月には、日本のエシカル消費運動をリードしてきた「日本エシカル推進協議会」が一般社団法人となり、4月28日には発足記念シンポジウムが開かれて、動物問題に対する意識が会場と共有され、NPO法人アニマルライツセンター代表理事の岡田千尋さんが同会の理事に、JAVA理事の亀倉弘美はアドバイザーに就任しました。
「エシカル消費」という考え方自体、日本ではまだあまり知られていない状況ですが、このエシカルムーブメントとともに、動物への配慮をこれからも広く訴えていきたいと思います。

「エシカル消費と動物への配慮を考えるシンポジウム」を主催

「エシカル消費と動物への配慮を考えるシンポジウム」を主催

エシカルシンポロゴ

エシカルシンポジウム

「エシカル消費(倫理的消費)」のムーブメントが日本でも盛り上がりつつあるなかで、その枠組みのなかに「動物への配慮」をきちんと位置付けてもらおうと、2016年10月2日、立教大学池袋キャンパスで、JAVAをはじめ国内の4つの団体がシンポジウムを開催しました。各種イベントが目白押しの時期でしたが、約250名もの方がご来場くださり、エシカル消費、アニマルウェルフェア、アニマルライツについて理解を深めていただきました。

●開催概要

エシカル消費と動物への配慮を考えるシンポジウム
日時: 2016年10月2日(日)10時開演 16時55分終了
場所: 立教大学 池袋キャンパス 5号館1階 5123教室
主催: 立教大学ESD研究所、NPO法人アニマルライツセンター、PEACE~命の搾取ではなく尊厳を、NPO法人動物実験の廃止を求める会
後援: 日本エシカル推進協議会、日本消費者教育学会、一般社団法人エシカル協会、一般社団法人全国消費者団体連絡会
特別後援:美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会
協賛: ㈱イオンフォレスト ザ・ボディショップ、㈱Control Union Japan、㈱ディーフィット/まかないこすめ、HER/COUTUME BY HER、㈱パトラコスメティック、㈱ロゴナジャパン

このほか、シンポジウム開催にあたって、ファッションジャーナリストの生駒芳子さん、株式会社大和総研 調査本部 主席研究員の河口真理子さん、フリーアナウンサーで一般社団法人エシカル協会代表の末吉里花さん、女優の杉本彩さん、日本消費者教育学会会長の西村隆男さんから、賛同のメッセージをいただきました。

●プログラム(敬称略)

第一部 エシカルとは?
1. エシカル消費と動物への配慮 日本エシカル推進協議会代表 山本良一
2. 基調講演「エシカル消費における動物への配慮の重要性」エシカル・コンシューマー主筆 ロブ・ハリスン
3. 日本における動物利用の現状と課題 アニマルライツセンター/JAVA/PEACE

第二部 現状と取り組み
1. 消費行動と動物との関わり 日本女子大学教授 細川幸一
2. 畜産動物の福祉の現状―考え方、評価法、指針― 帝京科学大学教授 佐藤衆介
3. ファッションと食―持続可能性と動物 NPO法人アニマルライツセンター代表理事 岡田千尋
4. 日本企業は動物保護をどう捉えているか 株式会社クレアンCSRコンサルタント 山口智彦
5. 「エシックス」が私たちの原動力―エシカル消費と企業の責任 株式会社ラッシュジャパン取締役 小林弥生

第三部 パネルディスカッション
「アニマル・ウェルフェアを進めていくための消費者の役割を考える」
司会  株式会社クレアンCSRコンサルタント 山口智彦
パネリスト エシカル・コンシューマー主筆 ロブ・ハリスン
サステナビリティ消費者会議代表 古谷由紀子
日本女子大学教授 細川幸一
立教大学教授 阿部治
PEACE~命の搾取ではなく尊厳を 代表 東さちこ
NPO法人動物実験の廃止を求める会理事 亀倉弘美

第一部 エシカルとは?

「エシカル消費と動物への配慮」山本良一
日本のエシカル消費運動をけん引してこられた東京大学名誉教授の山本良一氏。地球並びに複雑な生命は稀であるというレア・アース仮説に基づき、「人類文明と地球生命圏の両方を永続させていかなければならない」とし、「人類は狭い人間中心主義を乗り越えて、動物にも深く配慮していくことが必要だ」と力説。ご自身が座長を務める消費者庁の「倫理的消費」調査研究会の動向についても説明いただきました。

 

 

■基調講演■
エシカル消費における動物への配慮の重要性」ロブ・ハリスン
ロブ・ハリスン氏基調講演は、世界のエシカル消費運動の中心的存在である英国の雑誌「エシカル・コンシューマー」の創刊メンバーであり主筆を務めるロブ・ハリスン氏が登壇しました。ヨーロッパのエシカル消費運動は、①ボイコット、②調査、③エシカルな企業との連携、④認証ラベル、⑤ランキングという5つのステップを経て発展してきたとの説明があり、ケーススタディとして英国における鶏卵生産の変遷が挙げられました。1990年にはバタリーケージ生産が90%であったものが、2016年には放牧生産50%以上に移行しており、その間には生産方法の表示義務付けなどの過程がありました。ベジタリアン・ヴィーガン人口も増加しており、動物への抗生剤の利用による人体への被害なども含め、工場畜産の問題点について、わかりやすい講演でした。
質疑応答では、参加者の関心の高さをうかがわせる鋭い質問が飛び交い、「日本は水生生物の利用がより深刻ではないか」との質問には、MSCラベル(Marine Stewardship Council; 海洋管理協議会)の取り組みが紹介され、「ラベル認証では信頼性をどのように担保するのか」という質問には、NGOや消費者が監視していくことが必要との回答がありました。

「日本における動物利用の現状と課題」アニマルライツセンター、JAVA、PEACE

主催の3団体からは、化粧品の動物実験、ファッション(毛皮、ウルトラファインウール、アンゴラ、ダウン)、工場畜産(乳牛、母豚、肉用豚、ブロイラー、採卵鶏)について、動画を用いた説明を行いました。冒頭の「残酷な映像があるので退出してもかまわない」とのアナウンスにもかかわらず、ほぼ全員が最後まで退出することなく動物たちのおかれている現実を直視されました。

第二部 現状と取り組み

「消費行動と動物とのかかわり」細川幸一
消費者政策、消費者教育を専門とする日本女子大学教授、細川幸一氏からは、消費者の目線に立った動物への配慮の必要性について、具体的な事例を交えながらの講演でした。現代社会の豊かさはどこから来ているか、現代の消費社会の問題は何なのか、なぜ現在の社会が動物問題に無関心なのか、今後消費者に何ができるのか、専門に基づいた分析でありながら非常にわかりやすいお話があり、問題を身近に感じさせる30分でした。

「畜産動物の福祉の現状―考え方、評価法、指針―」佐藤衆介
動物行動学をベースにした産業動物のアニマルウェルフェアについて、日本の第一人者である帝京科学大学教授、佐藤衆介氏の講演では、動物福祉(アニマルウェルフェア)という概念の登場から現在に至るまでの流れを紹介、「5つの自由」という考え方がさらにポジティブな方向に見直されている経緯の説明とともに、EU、OIE(国際獣疫事務局)、ISO(国際標準化機構)などで動物福祉の取組みが進むなか日本政府も対応が迫られているという現状報告がありました。

「ファッションと食―持続可能性と動物」岡田千尋
ARC岡田千尋氏主催団体の一つであるアニマルライツセンター代表の岡田千尋さんからは、持続可能性という観点から、毛皮や皮革などのファッション、そして畜産が環境に及ぼしている影響についての報告がありました。毛皮産業の街、中国河北省・辛集市では公害が発生し多くの村人に健康被害が出ているという現地調査レポートや、森林破壊、地球温暖化、水や食料など資源の過剰利用など、持続可能性に多大な悪影響を及ぼしているという畜産の問題など、動物に対する感傷的な視点を排除しての客観的な問題提起がありました。

「日本企業は動物保護をどう捉えているか」山口智彦
クレアン山口氏株式会社クレアンのCSRコンサルタントである山口智彦氏からは、企業に対してCSRの取り組みをコンサルティングする立場から登壇いただきました。畜産動物の福祉について企業の取り組みを促している英国のNGO、BBFAW(Business Benchmark on Farm Animal Welfare:畜産動物福祉に関する企業のベンチマーク)が5月、英国のコラーキャピタル等合計1.5兆ポンドを運用する複数の機関投資家が畜産動物福祉の推進に署名したと発表、世界最大の機関投資家である日本の国民年金を運用しているGPIFもこの動きを無視できないのではないかとの話がありました。

「『エシックス』が私たちの原動力―エシカル消費と企業の責任」小林弥生
LUSH小林氏英国発の自然派化粧品ラッシュの日本法人である株式会社ラッシュジャパンの小林弥生氏より、動物・環境・人権といった社会問題に積極的に取り組むラッシュの企業の姿勢について発表していただきました。企業規模が大きくなれば社会への影響も大きくなるという前提に立ち、倫理観を取り込んだビジネスモデルの構築から社員のモチベーションを上げるための環境づくりまで、エシカル消費社会にあるべき企業の一例を示しました。

第三部 パネルディスカッション

「アニマル・ウェルフェアを進めていくための消費者の役割を考える」

最後は、CSRコンサルタントの山口氏を司会に迎えてパネルディスカッションが行われました。

エシカルシンポディスカッション

●英国ではどうなのか
前半は、先進国とみなされている英国の状況について、さまざまな角度からハリスン氏に質問が集中しました。英国ではエシカル消費運動・動物保護運動を進めるNGOがどれも歴史がありパワフルであること、そのベースには多様な存在を包摂する市民社会があることなど、世界をリードする存在としての特徴はあるが、そのようなバックグラウンドがなくてもSNSなど最新のツールを使った運動が奏功している事例も紹介されました。
また、20年ほど前、グローバル企業であるマクドナルドへの抗議活動に対して同社が訴訟を起こすという対抗手段をとったことがあるが、イメージダウンにつながり逆効果になったというケースを引き合いに、圧力団体としてのCSO(市民社会組織)の必要性が説かれました。
一方で、消費社会における企業のランキングなどをはじめとした「情報」に対して対価を支払う感覚が日本の消費者の間で薄れていることについて懸念が呈されると、日本だけではなく英国でも同様の状況であり、ガーディアンやタイム誌などジャーナリズムの世界においても新たなビジネスモデルの構築が模索されているとの説明がありました。
細川氏からは、英国で普通参政権が付与されたのは最近であって、英国が民主主義の先進国とみなされている所以は異議申立の気風が強いからだが、これに比べて日本人は性質が極めて抑制的であり、いわば「観客民主主義」であるとの意見が出ました。

●消費されゆく動物は線引きされるのか
主催団体の一つである立教大学ESD研究所の所長で教授の阿部治氏からは、現在の環境倫理学の対象には野生動物は含まれているが、畜産動物は含まれていないことに対する問題意識が示され、今後、動物福祉を含めた持続可能性に関する教育を広げていく必要があると訴えました。

●消費者はどこまで責任を持つべきなのか
消費されゆく動物たちへの配慮について、消費者団体こそ取り組んでいくべきではないかと水を向けられたサステナビリティ消費者会議代表の古谷由紀子氏は、このような情報が消費者にきちんと届いていない現状を踏まえて「消費者に期待しすぎるべきではない」と明言、今後は具体的な問題解決を視野に入れて、動物保護団体などから消費者団体に対する情報提供・コミュニケーションが必須であり、企業も含めたさまざまなステークホルダーによる横断的な取り組みが必要であると述べました。

エシカルシンポディスカッション2

●「暮らしの手帖」消費者意識は変わったのか
9月末で終了したNHK朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」のモデルとなった雑誌「暮らしの手帖」。この雑誌の創刊当初から編集に携わってこられ、現在は企業等の組織の利他行動の社会心理をリサーチする小榑雅章氏が会場より発言。消費者を変えていくには、消費者にとって具体的にどんな利得があるのかという点を明確にしていかなければいけないという助言がありました。
これに対してJAVAの亀倉弘美より、これまでは金銭的・物理的な利得だったのに対し、化粧品の動物実験反対運動にみられるように、「自らの消費が誰かを搾取している」「自分が美しくなるために動物を苦しめ命を奪っている」という罪の意識から解放されることも、現在の消費者の利得であると説明しました。
また、PEACE代表の東さちこさんからは、かつては「動物実験が新たに行われた化粧品は人体にとって未知の化学物質が使われている危険なものだ」という消費者保護の観点から
の主張もかなりなされてきたが、EUでの法的禁止を経て、日本企業も動物のために廃止を求める市民の声に耳を傾けるようになってきている、時代は変わりつつあるのではないかとの指摘がありました。

●まとめ
ハリスン氏より、「今日の会議には、来場者も含めて、政府関係者、大学教授、企業関係者、消費者団体、動物保護NGOと、すべてのステークホルダーが集結している。今日がまさに始まりの一日ではないか」との言葉をもらいました。


朝10時から夕方5時まで、長時間にわたって多くの方々が動物をめぐる濃密な議論に耳を傾けてくださいました。これまで動物をめぐるイベントには動物に関心のある層だけが集まることが多かったように思いますが、今回は、化粧品、アパレル、食品、外食産業、流通小売、商社などの企業や、各種消費者団体、動物関連の専攻のある大学、動物保護NGOなど、さまざまな関係先に開催のご案内をしたこともあって、これまでとは異なる層の方々にお聴きいただくことができ、個人として、また企業として、考えるきっかけ、行動するきっかけとなったのではないでしょうか。
また、今回のシンポジウムでは、私たちの暮らしと密接にかかわる動物たちの現状と今後についてもはや社会全体で考えていくべき課題だとして、さまざまな分野の団体・個人の方々に登壇、後援、賛同、協賛をいただくことができました。改めてこの場をお借りしてお礼申し上げます。
「エシカル消費と動物への配慮」というテーマに対する議論をこれで終わりにさせることなく、問題解決に向けて今後も積極的に取り組んでまいります。
当日の発表資料などはシンポジウムのウェブサイトをご覧ください。

消費者庁長官に「動物への配慮の拡充を!」陳情へ

シンポジウム翌日の10月3日、英国から来日されたロブ・ハリスン氏とともに、
岡村和美消費者庁長官を表敬訪問して、
シンポジウムの盛会を報告し、エシカル消費における動物への配慮の拡充を訴えました。
長官からは「組織としてきちんと取り組みたい」と審議官もお呼びいただいたうえで
「消費者庁としても、動物への配慮に関する取り組みと共にエシカル消費の推進を強く進めていく」
旨のご回答をいただきました。

Yahoo!に生体と生餌の販売禁止を求めよう

Yahoo!に生体と生餌の販売禁止を求めよう

大手インターネット関連企業ヤフー株式会社が運営している「ヤフオク!」と「Yahoo!ショッピング」において、生体や生餌(いきえ)が“出品”* されています。
JAVAは、ヤフーに対して、生体と生餌の出品禁止を求めていますが、ヤフーはそれに応える気がありません。

*“出品”は、動物を物のように扱うものであり、不適切な表現と考えていますが、ここでは、わかりやすいようにヤフーの規約に合せた表現にしました。

ヤフーは、「ヤフオク!」でインターネットオークションサービス、「Yahoo!ショッピング」ではインターネットショッピングサービスを提供しています。ヤフーと契約した出品者によって、生きた動物が「ヤフオク!」でオークションにかけられ、「Yahoo!ショッピング」で販売されているのです。
JAVAには、これまで「生餌は虐待にならないのか」「インターネットで生き物を販売することをやめさせられないのか」といった声が寄せられてきました。

ヤフオク!ではマウスなどの違反出品も

ヤフオク!は、ガイドラインで「哺乳類」「鳥類」「爬虫類」の生体を出品禁止にしています。しかし過去には、JAVAが把握しているだけでも生きているマウスやヤモリが出品されていたことがありました(下の写真) 。

ヤモリ出品

マウス出品

餌用としてヤフオク!に出品されていたマウスとヤモリ(2015年8月時点)

 

「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、動物愛護法)において、「愛護動物」に規定された種類の動物を販売する業を行う者は「第一種動物取扱業」として、登録等の義務が課せられています。このヤフオク!のマウスの販売者は、「愛護動物」であるマウスを自家繁殖させて出品していることから、「第一種動物取扱業」の条件(反復・継続して、営利を目的として動物の取扱いを行う)に該当しているといえるでしょう。
「第一種動物取扱業」を行うには、都道府県等の登録を受けること、そして、業に係る広告(インターネット広告を含む)には、氏名、登録番号等を掲載する義務があります。また、購入しようとする者に対して、あらかじめ直接、その動物を見せ、必要な飼育等に関する説明を文書を用いて行う「対面販売・説明」も義務付けられており、インターネット上のみのやりとりで販売することは禁じられています。つまり、このマウスの販売者は、これらすべてに反している、重大な動物愛護法違反行為を行った可能性は高いのです。

現時点では、マウスをはじめ、出品を禁止している種類の動物はヤフオク!では見受けられませんが、出品が禁止されていない魚、ザリガニ、昆虫などがペット用、餌用として出品されている状況に変わりはありません。これらはガイドライン違反でも法律違反でもありませんが、インターネット販売では、販売者から購入者には宅急便で搬送されることになり、その動物へ相当な心身の負担がかかることは明らかです。
また、命あるものをオークションにかけることは、動物愛護法の「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」という基本原則に背く行為であり、倫理的に許されるものではありません。

Yahoo!ショッピングでの動物販売の規制は…

Yhahoo!ショッピングでは、個人/ライト出店とプロフェッショナル出店の2種類の出店タイプがあり、プロフェッショナル出店では「動物(魚類、昆虫類、虫類、両生類を除く)」の販売が禁じられています。個人/ライト出店では、魚類、昆虫類、虫類、両生類を含めて販売が禁止されています。ヤフオク!と同様の理由で、プロフェッショナル出店についても、ライト出店と同じくすべての種類の動物の販売を禁止するべきです。

JAVAは生餌にも野生動物の飼育にも反対

生餌は、その名の通り、生きた餌です。飼育されているピラニアやアロワナといった肉食魚や爬虫類、猛禽類に与えるために、生きたマウス、ラット、金魚、カエル、ドジョウ、コオロギなどが売られています。
生餌にされた動物は、人間の手で逃げ場のない捕食動物がいる水槽などに放り込まれ、食べられるわけですから、野生の動物の補食とは状況が全く違います。

JAVAは、生餌には当然反対です。そしてそれ以前に、本来野生で生きる動物を飼育すること自体、問題と考えます。ただ残念ながら、肉食魚や爬虫類、猛禽類を飼育すること、生餌を与えること、愛護動物以外の動物をインターネット販売することが現状では合法なのです。その状況のなかでも、「ヤフオク!」と「Yahoo!ショッピング」のような大手の人気のあるインターネットサービスにおいて、生体・生餌の取扱いが禁止されれば、生餌にされる動物の犠牲や、動物たちが搬送などで受ける負担を減らすのに大きな効果を出せるでしょう。

ヤフーは改善する気なし

JAVAは、動物愛護法の理念にのっとり、高い企業理念を掲げてほしいと、ヤフーに以下の事項を求めました。

  1. ヤフオク!、Yahoo!ショッピングにおいて、すべての種類の生体(生餌を含む)の出品を禁じること。
  2. 違反出品者に対しては再出品させないことを規約に加えること。

しかし、ヤフーからの回答は「法令に基づき利用規約を定めている」、つまり、違法ではないから、と生体や生餌の出品を今後も認めるとしています。

利用者として声を届けよう

残念ながら、ヤフーのみならず、楽天市場やAmazonでも生体や生餌の出品を全面禁止していません。
それぞれ独自の規約、ガイドラインを作っており、法律違反でなくとも、生体や生餌の出品に反対する利用者から多くの声が届けば、規約が改訂されることも期待できます。種類を問わず、すべての動物の出品を禁止してくれるよう、ぜひ皆さんからも要望してください。

 

<ヤフー株式会社>
代表取締役社長 宮坂 学 殿
〒102-8282 東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー

<楽天株式会社>
代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史 殿
〒158-0094 東京都世田谷区玉川一丁目14番1号 楽天クリムゾンハウス
電話(楽天市場 お客様サポートセンター):050-5838-4333(9時~18時)
楽天市場問い合わせメールフォーム

<アマゾンジャパン合同会社>
社長 ジャスパー・チャン 殿
〒153-0064 東京都目黒区下目黒1-8-1
電話:0120-999-373
社長へのご意見Eメールアドレス: jasper@amazon.com

 

<ノルウェー>捕鯨を止めない裏には…

ノルウェーが捕鯨を止めない裏には…

ノルウェーは、IWC(国際捕鯨員会)が商業捕鯨を禁止した後も独自で捕獲数を880頭と設定し捕鯨を続けており、2006年からすでに5,500頭のミンククジラを捕殺している。ノルウェーの鯨肉輸出量は上昇傾向にあり、その輸出先というのが同じく捕鯨を行っている日本、フェロー諸島、アイスランドである。これらの国はCITES(ワシントン条約:絶滅の恐れのある野生動物の種の国際取引に関する条約)の規制の網を巧みにくぐり抜け鯨の国際取引を続けている。
ノルウェー人が鯨肉を好まないにもかかわらず、捕殺された鯨がすべて輸出されない。それはなぜか。米国の動物福祉団体AWIと環境NGOであるthe Environmental Investigation Agencyによれば、75頭以上の鯨がノルウェーの毛皮農場へ売られているからである。飼料農場(Rogaland Pelsdyrforlag) から入手した資料には、2014年に113.7トンの鯨肉が毛皮農場で餌に使用されたという記録があった。このことがメディアに流れると、飼料農場は2015年も鯨肉を飼料にしたことを認めた。

ノルウェーの子ギツネ

©NETWORK FOR ANIMAL FREEDOM
餌として鯨肉を与えられている毛皮農場の子ギツネ

AWI Quarterly (Animal Welfare Institute) 2016 summer: AWI Responds to Norway’s Whaling Defiance

エシカル消費の中の「動物への配慮」

エシカル消費ムーブメントのなかで「動物への配慮」が浸透中

いわゆる「エシカル消費」とは、消費行動を通じて持続可能な社会を導こうという取り組みです。しかし、まだ明確な定義はなく、その内容も含めて消費者庁が設置した「『倫理的消費』調査研究会」(以下、研究会といいます)にて1年前から議論が重ねられています。
私たちJAVAでは昨秋、この「倫理的消費」の概念のなかに「動物への配慮」を含めるよう消費者庁および研究会の各委員に提言していました
その後、このエシカル消費をめぐるムーブメントのなかで、さまざまな方々からの動物にまつわる問題提起が増え、動物に対して配慮が必要だという認識が着実に向上しています。

消費者庁「『倫理的消費』調査研究会」

2016年6月3日に開かれた第6回目の研究会では、日本女子大学の細川幸一教授から「アニマルウェルフェアとエシカル消費について」と題する話題提供がありました(第1回目からの研究会の詳細は、消費者庁のウェブサイトで見ることができます。「消費者庁」「倫理的消費」で検索してください)。
豚の妊娠ストール飼育、採卵鶏のバタリーケージ飼育、アンゴラウールやダウンの残酷な採取方法、化粧品の動物実験などの事例が説明されると、聞いていた委員たちの顔色がたちまち曇っていきました。
最後に細川教授からの「『倫理的消費』調査研究会で、動物という、意識・感覚を持ち、地球上に人間とともに生きる存在がどのような扱いを人間から受けているかの検証を行うことは当然と考える」との言葉が力強く響きました。

エシカル朝食会

6月14日、都内で開かれた「エシカル朝食会 特別交流会」に参加し、エシカル消費の普及に際して動物への配慮の必要性を訴えました。
「エシカル朝食会」は、およそ2か月に一度、企業やNGO、大学教授など日本のエシカル消費の動きをリードする人たちが集まり、講師からの講演を聴いて、朝食をとりながらエシカル消費への理解を深めることを目的にしている会(主催:日本エシカル推進協議会)ですが、これまで、安倍昭恵首相夫人、坂東眞理子昭和大学理事長らが講師を務め、板東久美子消費者庁長官(当時)、鳩山由紀夫元総理大臣など政界の要人も参席しています。
オリンピック、金融、マーケティング、遺伝子組み換え、フェアトレードと、多岐にわたるテーマについて各分野の最前線で取り組む方々からプレゼンテーションが行われました。
この場で、JAVAを含む3つの動物保護団体で構成する「美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会」は、化粧品の動物実験について問題提起をいたしました。また、「エシカル消費に動物への配慮が取り入れられるように」と一緒に活動しているアニマルライツセンターからは卵の残酷な生産過程について発表がありました。

エシカル朝食会 特別交流会1

美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会のプレゼンテーション(PEACE・東さん)

エシカル朝食会 特別交流会2

ファッションジャーナリスト、生駒芳子さんからの配布資料。WWD Japan 6月13日号の特集記事。

「エシカル消費」に「動物への配慮」を!消費者庁に要望

「エシカル消費」に「動物への配慮」を!消費者庁に要望

2015年12月2日、JAVA、NPO法人アニマルライツセンターPEACE ~命の搾取ではなく尊厳を~の3団体が連名で、「エシカル消費の普及に向けて動物保護からの提言書」を消費者庁に提出し、2015年5月以来協議されている「倫理的消費』調査研究会」というテーマのなかに、動物の権利・動物福祉の考え方に基づいた「動物への配慮」を含めることを要望しました。

※「エシカル消費」とは、消費行動を通じて持続可能な社会を導こうという動き・取り組みを指します。「エコ」という取り組みが主に環境問題に対する動きだったのに対し、「エシカル」は、環境問題だけでなく幅広い社会問題を倫理的に解決していこうというものですが、明確な定義はまだありません。詳しくは本文をご覧ください。なお、文中、「倫理的消費」と「エシカル消費」は同義として扱っています。

消費者庁にエシカル要望

会合の場には、元消費者担当大臣の福島みずほ議員が同席し、国民のあいだで動物への関心が高まっていることを説明、私たちの提言を後押ししていただきました。

「倫理的消費」という概念のなかに、動物の権利(Animal Rights)や動物福祉(Animal Welfare)の理念に基づいた「動物への配慮」を含めてください。

エシカルPDF1

「エシカル消費の普及に向けて 動物保護からの提言」より

「動物への配慮」はどこへ

2012年に「消費者教育の推進に関する法律」ができて以来、消費者庁は消費者教育・啓発を進めています。その一環として2015年5月に「『倫理的消費』調査研究会」(以下、「研究会」といいます)が消費者庁内に設置され、2か月に一度のペースで会合が開かれ、「倫理的消費」の必要性・範囲・基準、さらにはその広げ方などについて約30名の委員によって話し合われています。
欧米では「倫理的消費」を考えるとき、「動物への配慮」は必ず重要な課題として扱われていますが、日本では、この研究会設置から5か月経過した段階でも、フェアトレードやオーガニックなどすでにこの界隈ではなじみのあるテーマがベースとなり、「動物への配慮」というテーマが取り上げられることはありませんでした。

3団体合同で提言書を作成

そこで、この「倫理的消費」という概念のなかに「動物への配慮」を含めてほしいとして、3団体で提言書を作成し、研究会の委員に対して提出するとともに、2015年12月2日、国会議員を通して消費者庁の担当者に対し同研究会でテーマとして取り上げるよう要望しました。
提言書では、「化粧品の動物実験」「工場畜産」「衣料品に使われる動物」の3つのテーマを取り上げ、それぞれに企業や市民団体から賛同をいただきました。「化粧品の動物実験」では、資生堂に始まる企業の自主的な動物実験廃止決定を紹介、EUで法的に禁止となった化粧品の動物実験問題は「倫理的消費」には不可欠だと訴えました。「工場畜産」とは、大量生産の原理に基づいた畜産システムのことで、牛、豚、鶏などの動物たちは狭小なスペースに詰め込まれ、結果的に彼らの健康と福祉は顧みられることがありません。欧米では畜産動物の福祉に配慮された食品の需要が増加していることを紹介しました。「衣料品に使われる動物」は、JAVAでも取り組んでいる毛皮の問題についてはもちろん、生きた動物から毛や羽をむしり取るアンゴラウールやダウンの残酷な生産方法について言及しました。

もう動物問題を置き去りにしないで

エシカルコンシューマー(倫理的消費者)運動に先がけた消費者運動に、1980年代後半英国発祥のグリーンコンシューマー運動があります。グリーンコンシューマー(自然環境に配慮する消費者)が避けるべき製品として、環境への深刻な影響を与える製品、過剰な電力を消費する製品、過剰包装の製品、第三世界の国々に悪影響を与える製品などという項目に並んで、「仮に毒性試験などの目的があったとしても、動物を不必要に使用していたり、残酷に扱ったりしてつくられている製品」という項目があったのですが、当時この運動が日本に導入された段階で、なぜかこの動物に関する項目が落とされてしまったのです。
今年2月29日に開催された研究会では、これまでの議論の中間とりまとめが行われましたが、「倫理的消費」の定義について、「障がい者支援」「フェアトレード」「環境」「地産地消」などの言葉が並びましたが、「動物」という言葉は、残念ながら、またしても聞かれませんでした。
エシカル消費運動が市民権を得て日本に広がるにあたって、今度こそ「動物への配慮」が置き去りにされることのないよう、引き続きしっかりと粘り強く訴えていきたいと思います。

エシカルPDF
「エシカル消費の普及に向けて 動物保護からの提言」より

翅(はね)に熱した接着剤  テントウムシを虐待

<教育プロジェクト>

翅(はね)に熱した接着剤
成田西陵高校、テントウムシへの虐待を続ける

千葉県立成田西陵高等学校の部活動で、「テントウムシの翅を接着剤で固定して飛べないようにさせる」という行為を行っていることが発覚。JAVAや多くの市民の意見を受け入れず、学校はこの残酷行為を続けるとしています。

てんとうムシ

テレビの報道で発覚

2015年2月25日放送のTBSテレビのニュース番組「Nスタ」と、4月19日放送の同局情報番組「サンデーモーニング」で、この「アブラムシ退治をより効果的にするため、テントウムシの翅を接着剤で固定して飛べないようにさせる」という、千葉県立成田西陵高等学校(以下、成田西陵高校)の地域生物研究部の活動が紹介されました。

テレビ報道を見た方々から寄せられた情報によると、報道内容は以下のとおりです。

  •  農作物につくアブラムシ退治のためテントウムシを利用しているが、テントウムシは飛んで行ってしまうので今ひとつ効果が足りなかった。テントウムシが飛んで行かずにその場にずっといればアブラムシ退治に効果的なので、テントウムシが飛んで行けないようにした。
  •  方法は、テントウムシを網皿に入れ、下から掃除機で吸って飛び立てないようにした状態で、背中にグルーガンで樹脂製接着剤をつけて翅を開けないようにする。
  •  「サンデーモーニング」では、出演者から「かわいそうに」といった声も漏れた。

同校には農業や園芸を学べる学科があり、生徒たちは農家の方の苦労を見て、「手助けをしてあげたい」という気持ちで取り組んだのだと考えられます。また、虫を利用した農業は、農薬使用を回避できるなど自然環境や人体への利点もあるでしょう。しかし、だからといって、命あるものを苦しめて良いという理由にはなりません。

テントウムシにとってあまりに残酷な行為

そもそも、接着剤は生き物につけるために使う物ではありません。グル―ガンも手芸や工作に用いられ、溶けた100~200度という高温の樹脂が固まることによって材料が固定される仕組みです。その高温の樹脂を生きたテントウムシにつけ、翅を開けないようにするとは、あまりに酷い行為です。
テントウムシにとって、移動に欠かせない翅を接着剤で固定されるというのは、私たちが足を拘束されるも同然の苦痛であると容易に想像できます。成田西陵高校は「2か月たったら、接着剤は自然にはがれる」と主張していますが、自分が足を拘束されたなら、2か月も耐えられるでしょうか。しかも、テントウムシの寿命は人間よりはるかに短いのです。

イオンは、エコ活動の賞を与えていた

この「飛べなくさせたテントウムシを農業に利用する」行為が、イオングループ各社でつくられた公益財団法人イオンワンパーセントクラブ主催の「AEON eco-1(エコワン)グランプリ」の第3回で、審査員特別賞を受賞したこともわかりました(受賞タイトルは「テントウムシによる環境に優しい農業の実現を目指して」)。このグランプリは高校生のエコ活動を発表・審査するものです。
JAVAは、イオンワンパーセントクラブに対して、「成田西陵高校に対する賞を取り消すこと」と「今後のeco-1グランプリでは、生死にかかわらず、動物を用いた活動は賞の対象から除外すること」を求めました。それに対して、同財団からの回答は、今後は動物の自由を過度かつ不当に制約している場合は賞の対象から除外する、ということに留まり、JAVAの要望を全面的に受け入れるものではありませんでした。

生徒に倫理観を教えなかった学校の責任は重大

高校生のような若者が何事にも好奇心を持ち、挑戦することは重要です。しかし、それはあくまで生き物を粗末に扱わない、命を大切にすることが大前提でしょう。そして、「相手の立場を考えて行動する」「自分にされて嫌なことは他者にもしない」というのは他者と共存して生きていく上での大原則ではないでしょうか。
高校生は、善悪の判断や分別において、大人の指導が必要な場面は多々あると思います。今回のテントウムシへの行為も生徒たちは悪気をもって行ったとは思いませんが、彼らがこのアイデアを出したときに、「命の尊重」「他者の身になって考える」といった点を教師らが教え、事前に止めてあげるべきでした。「どんなに好奇心や興味があっても、便利であってもやってならないことがある」という分別をつけさせることが、教育者の役割であり、責務でもあるのです。

学校はやめる気なし
引き続き反対の声を!

JAVAでは、成田西陵高校、千葉県教育委員会に対して、この行為の問題点を指摘して即時やめるよう働きかけました。しかし、教育委員会は「一時的に飛べない状態にするが、生物農薬のように殺処分することもなく、再び自然に戻すことができる研究と聞いている。地域の農業の活性化を図るため、高校生たちが部活動の一環として一生懸命取り組んでいる、その熱意と努力については、御理解いただきたい」とし、まったく問題をわかっていません。一生懸命やろうが、やってはいけないことは、学校がきちんと教えて正すべきなのです。
成田西陵高校にいたっては、昆虫に詳しい博士などの見解などを集めた資料を送ってきて、テントウムシの体の仕組みから、グル―ガンの使用はテントウムシの体を損傷しないし、痛みも感じないから問題ないと主張し、依然としてやめる気がありません。これは、翅を拘束されて不自由を強いられるテントウムシの苦しみはまったく考えていません。農薬等で殺すことももちろん残酷ですが、「それよりはいい」とテントウムシに苦しみを与えることを正当化するのは人間の身勝手です。抵抗もできない小さな生き物に不自由な思いをさせることを良しとすることは、いじめも正当化するに等しい考え方です。テントウムシだけでなく、いじめ行為を「良い行為」として教えられる生徒たちもまた被害者です。
成田西陵高校に対して、この残酷行為をやめるよう皆さんからも声を届けてください。

<千葉県立成田西陵高等学校>
校長:久門宏
〒286-0846 千葉県成田市松崎20番地
TEL:0476-26-8111 FAX:0476-26-7093
Eメール:naritaseiryo-h@chiba-c.ed.jp

<インド>4つのサーカスがアニマルフリーに

< Victory ! >
救出された動物たち:4つのサーカスがアニマルフリーに(インド)

インドのサーカス2

無理やり芸をさせられている失明したラクダ。
体には虐待された傷跡がたくさんある/©PETA India

米国の動物保護団体PETA (動物の倫理的扱いを求める人々)とその支部PETAインドは、2012年11月から2013年7月までの9か月間にわたり16ものサーカスの調査を行った。これらのサーカスでは、動物に対して残酷な器具を頻繁に使用したり、不適切な扱い方が原因で死んだり、酷いストレスに苦しんだり、失明状態に近い動物が多くいることなどを確認した。
グランド・サーカス、ニューランボ・サーカス、ワールドチャンピオン・サーカス、グレートカマル・サーカスは、PETA、PETAインド、AWB※1(動物福祉委員会)などから告発を受け、動物は使わず人間だけのサーカスにすることを宣誓した。

  1. *1AWBIは、後述の獣医学ケアに重点を置いているインドの動物保護団体アニマル・ラハット(Animal Rahat)に所属する監査官によって構成されている。 
インドのサーカス1

グランド・サーカスから救出された馬たち/©PETA India

  • グランド・サーカスは、PETAインドとAWBIの調査後、リハビリを受けさせるために18頭の動物をAWBIに引き渡した。そして、7頭の馬と10頭の犬はPETAインドのシェルターに、メスのラクダはアニマル・ラハット所有の保護地区に移された。
  • ニューランボ・サーカスは、所有していた2頭の馬、3頭の犬をアニマル・ラハットに引き渡した。
  • ワールドチャンピオン・サーカスは、8頭の犬、1頭のヤギと1頭の馬をアニマル・ラハットに引き渡した。
  • グレートカマル・サーカスは、3頭のヤギ、2頭の馬と1頭のラクダをアニマル・ラハットに引き渡した。また、9頭の犬は里親を見つけるためにPETAインドのシェルターに移された。

どのサーカスでも、ラクダを小さな台に立たせたり、ヤギを2メートル以上の高さに張ったロープの上を歩かせたり、犬を前脚あるいは後脚だけで歩かせるなど、動物に長年、残酷な訓練による芸を強要していた。そして、いずれの動物も不衛生なところで飼育していた。
PETAインドの最高責任者であるプーバ・ジョシプラ氏は、「サーカスの経営者は、動物を命令に従わせるために、エサ、水、休息など必要なものを十分に与えないで、汚い小屋に閉じ込めておく。サーカスのような動物を使ったエンターテイメントには行かないことを勧める。」と述べている。

PeTA’s ANIMAL TIMES The Magazine That Speaks up For Animals Issue 3, 2015:
Animals Rescued:Four Indian Circuses Go Animal-Free

Victory: Animals Rescued from Grand Circus
Victory: Animals Rescued from New Rambo Circus
Victory: Animals Rescued From World Champion Circus
officialPETAIndia: Animals Rescued From the Great Kamal Circus (YouTube)

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