JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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お知らせ

JAVAの最新情報をお知らせするコーナーです。進行中の活動、パネル展やイベントなどのご案内、これまでの活動・成果などをご紹介していきます。

<米国>農務省研究所での動物虐待が明らかに

2018年7月24日

米国の各研究機関に設置される動物実験委員会(IACUC)は、実験に際して動物福祉法の遵守がなされているか監視と報告を行う機関だが、米国農務省農業研究局(ARS)のIACUCが虚偽の報告をしていたことが明らかになった。
発端は、米国食肉動物研究センター(MARC)で日常的な虐待が発覚したからである。その後、動植物検疫所(APHIS)による調査で、MARCだけではなく複数の農務省の研究施設において動物福祉法が守られていない実態が明かになった。
APHISの報告によると、ミシガン州イーストランシングの鳥類疾患および腫瘍学研究所(Avian Disease and Oncology Laboratory)において、水を一切与えられなかった15羽のアヒルが脱水により死亡。ユタ州ローガンの有毒植物研究所(Poisonous Plant Research Laboratory)では、摂氏45度の部屋で、暑さと痛みと苦しみの末に死んだと思われるウズラのヒナ32羽を発見。モンタナ州マイルシティの牛の研究施設であるFort Keogでは、脱水により衰弱した子牛が死亡。アイオワ州エイムズ国立動物疾病センター(National Animal Disease Center)では、不適切な低温に設定された鶏舎で七面鳥のヒナが、栄養不良から脱水および疲労により死亡。これらいずれの研究施設のIACUCにおいても、動物の死亡が記録されておらず、管理に問題はなかったと明らかに虚偽の報告がされていた。
APHISは農務省の研究施設の査察を行うが、法的な執行権を持っていない。また、農業研究用の動物は、動物福祉法の最低限の保護対象から外されている。このような大きな抜け穴や、実際の監視が不十分であることを鑑みて、米国の動物保護団体AWIは、中身のある法の執行と適切な是正処置を可能にするよう、動物福祉法の改正がされるべきだと強く主張している。

AWI Quarterly Winter 2017/Volume66/Number4
https://awionline.org/awi-quarterly/winter-2017/awi-exposes-whitewashing-animal-abuse-usda-research-labs

情報公開はどこまで?大学のサルの実験1

情報開示請求でどこまで公開されるか
~京都大学のあるサルの実験の場合 その1~

「情報公開制度」は、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」や「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」、いわゆる情報公開法や地方自治体の情報公開に関する条例にもとづいて、行政機関や独立行政法人等が保有する文書の開示を請求できる制度です。JAVAの活動においてこれまで何度も国立大学や自治体などに請求してきましたが、今回ご報告するのは、京都大学に対して行ったあるサルの実験に関する開示請求についてです。

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京大のサルの実験について開示請求

2016年7月、「医学部において、2016年1月1日~12月31日までに実施された又は実施予定である、霊長類(ヒトを除く。生体・死体を問わず)を用いたすべての実験の動物実験計画書」という条件で開示請求したところ、該当する実験が3件ありました。
そのうちの1件のニホンザルを使った実験について、計3度の開示請求と不服審査請求を行いました。

開示資料:動物実験計画書
動物実験計画書というのは、動物実験を行う前に、責任者が作成し、その機関に設置されている動物実験委員会に提出します。委員会はその計画書をもとに実験実施の可否を審査します。計画書の様式は機関によって若干異なります。

<開示された主な情報>

申請書提出日:2016年5月27日
研究課題名:巧緻な運動制御に関わる神経回路とその損傷後の機能回復機構の解明
研究目的:ここの内容を読むと、次のような目的の研究であることがわかる。

  • 正確に視覚対象を注視するための眼球の運動(サッケード運動)や細かい物体を持って操作するような手指の巧緻運動のシステムは特に霊長類で発達している。
  • 人間が脳や脊髄を損傷した後に障害が顕著に現れる機能である。
  • 巧緻運動の制御に関わる脳の領域での情報生成過程やその機能、障害後の機能回復機能について、ニホンザルを使って、行動や神経活動への影響を解析する実験を行う。

実験責任者:医学研究科神経生物学の伊佐正教授
実験実地期間:承認後~2017年3月31日
使用動物:ニホンザル 28頭
入手先:ナショナルバイオリソース、他(←ここは黒塗り)
研究計画と方法:ここの内容を読むと、次のような実験方法であることがわかる。

  • 吸入麻酔をしたサルの頭部に頭部固定用ボルト、チャンバー、電極、眼球運動用記録アイコイルなどを取り付ける手術をする。
  • 日を変えて、第一次視覚野の吸引除去や部分的脊椎損傷等の手術をする。
  • 急速眼球運動やレバー操作など様々な課題を行わせ、その神経活動や脳活動を記録する。
  • 脊椎損傷や脳の第一次視覚野除去、薬物注入などによる、課題を行う行動や神経活動への影響を調べる。
  • 摂食・摂水が困難な状態が数日続く、急激な体重減少などが見られたら実験を打ち切る。
  • 鎮痛剤などでは軽減できないような苦痛等が見られるときには安楽殺処置を行う。
  • 実験後、ペントバルビタールの静脈内大量投与で死に至らせ、脳と脊椎を採取する。

想定される苦痛のカテゴリー:D.脊椎動物を用い、回避できない重度のストレスまたは痛み(長時間持続するもの)を伴うと思われる実験(※Dは4段階のうち、苦痛が大きい方から2番目)

承認日:2016年6月13日

<非開示(黒塗り)の情報>
1 伊佐教授の連絡先(電話番号、メールアドレス)
⇒京大は、これを非開示とした理由を「公にすることにより当該研究者の研究活動の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」としています。具体的にどんな支障なのかも書かれていないばかりか、おそらく市民からの抗議の電話やメールを想定しているのでしょうが、それはあくまで推測にすぎません。なんでも「おそれがある」が通ってしまえば、すべて非開示になってしまいます。そもそも伊佐教授の個人の連絡先ではなく国立大学という公的機関の連絡先であり、開示すべきです。

2 伊佐教授以外の実験実施者や動物飼養者名
⇒京大は、これを非開示とした理由を「本学と雇用関係ない者の氏名は、慣行として公にしておらず、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第5条第1号に該当するため」としています。ちなみに、この法第5条第1号では、「個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」は公開しなくてよいと定められています。学生ならともかく、研究者として京大のプロジェクトに関わっているなら、氏名を公開すべきと考えます。

3 実験に使うサルが飼養保管されている動物実験施設内の部屋名
4 実験を行う動物実験施設内の部屋名
⇒京大は、これを非開示とした理由を「厳重な警備、厳格な管理を必要とし、当該実験動物を飼養または実験する建物内部の情報を具体的に公表していない場合で、施設棟欄に記載された実験室の名称を開示することにより、当該実験室の場所や位置が特定されるおそれがある場合は、当該施設の安全管理上、これらの情報は犯罪の予防、鎮圧または捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあり、法第5条第4号ロに該当するため」としています。この法第5条4号ロでは、「犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ」がある場合、情報を公開しなくても良いと定められています。
ここでも①と同じく、具体的にどんな犯罪や公共の安全と秩序の維持に対する支障なのかも書かれていません。おそらく市民からの抗議行動を想定しているのでしょうが、これもまたあくまで推測にすぎません。

5 サルの入手先
⇒後述の「黒塗りにされたサルの入手元」をご覧ください。

ナショナルバイオリソース(NBR)とは
2002年に文科省が着手した、動物、植物、微生物、細胞といったバイオリソース(生物遺伝資源)、いわゆる研究材料を整備、安定供給させるための一大プロジェクト。動物では、マウス、ラット、虫、魚類、鳥類、カエル、ニホンザルなど様々扱われている(2018年4月現在)。
そのなかの「ニホンザル」のプロジェクトは、過剰繁殖した動物園のサルを母群にして、産まれた子ザルを実験に使うというもの。国内の3つの動物園が、同プロジェトの代表機関である京都大学霊長類研究所とサルの提供で合意していたが、うち函館市営熱帯植物園と松本市アルプス公園は、JAVAをはじめ国内外からの抗議により中止を決定。残る札幌市立円山動物園に対しては、JAVAは署名活動、文科省と札幌市役所前でのアピールアクション、文科省、動物園、札幌市との面談、住民監査請求、裁判と闘い続けたが、最高裁がJAVAの上告を退けた。円山動物園は2005年3月に第一陣となる15頭のサルを京大霊長研に移送し、計45頭を提供した。
なお、伊佐正教授(当時、自然科学研究機構 生理学研究所に所属)は、かつて「ニホンザル」プロジェクトの課題管理者や副運営委員長を務めた人物である。

開示資料:納品書 ・請求書・譲渡証明書など
3回目の開示請求で入手した見積書と請求書から、サルを1頭、325,000円で購入したことがわかります。見積書と納品書は3セット(サル8頭分)が開示されましたが、いずれにも日付が入っていないという杜撰さです。残りの20頭のサルは同じく開示された譲渡証明書や繁殖証明書から、譲り受けたり、京大ですでに所有しているサルであったなどが考えられます。また発注書はなく、何をもって正式な発注としたのかも疑問です。

黒塗りにされたサルの入手元
JAVA、不服審査を請求

動物実験計画書のサルの入手先の欄において、ナショナルバイオリソースとは別の入手先が黒塗りになっていました。さらに、譲渡証明書 でも、譲渡元(矢印 )が黒塗りになっています。いくつもの非開示部分のうち、ここが最も問題と考えます。その理由は以下の<JAVAの主張>に記します(その他の黒塗りについては、JAVAが請求した実験とは別のサルについてなので黒塗りは妥当)。
JAVAは2017年8月18日、譲渡証明書で譲渡元が非開示であった点について、総務省 情報公開・個人情報保護審査会に諮問する不服審査請求を行いました。不服審査請求は不開示について不服がある場合に、行政不服審査法に基づき不服の申し立てをできる制度です。

<京大の主張>

  • 記載のある民間事業者はすべて、実験責任者である教授が、過去に在籍した研究機関で同様の開示請求があった際に意見を求め、自己の正当な権利利益を害されるおそれがある旨、明確な反対意見を寄せていた事業者であった。
  • 現に英国において、実験動物を取り扱う特定の企業が、過激な動物愛護団体等から圧力を受けて倒産の危機に瀕したことや、国内でも動物実験を行う機関が不法侵入、窃盗等の被害を受けた実例もあること等に鑑みれば、当該事業者の危惧は現実の可能性があり、現在もその社会状況に特段の変化があったわけではなく、法第5条第2号に該当すると判断、不開示とした。
  • 今回の審査請求を受け、当該民間事業者に改めて社名や代表者名等、事業者の特定が可能となる情報の開示の可否について意見を求めたところ、「情報が開示されることで、不当な圧力を受けて営業に甚大な被害を生じる可能性がある」旨の反対意見があり、現在においても当該事業者の意見に変更がないことを確認した。
  • 開示すれば、今後、法人名を開示されることを懸念して民間事業者が京大との取引を中止するおそれがあり、ひいては京大の研究に係る事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、法第5条第4号柱書にも該当し、不開示は適当。

<JAVAの主張>

  • 京大から提出された理由説明書には、当該民間業者から「情報が開示されることで、不当な圧力を受けて営業に甚大な被害を生じる可能性がある」旨の意見があったためとある。
  • 今回の場合、不当な圧力や被害を与えるのは、開示請求をしているJAVAであると見なされる。JAVAは、設立以来、当然のことながら法を遵守して社会に貢献する活動を行っており、法人として、動物問題に関連し、国民のモラルの向上を目指す立場にいる。そのような当会の開示請求に対して、「不当な圧力」や「甚大な被害」という理由で非開示にするというのは、JAVAの社会的な立場と名誉を著しく汚すのも同然であり、看過できない。
  • しかも、「不当な圧力」や「甚大な被害」とはどういったものなのか、その具体的な説明もなされず、非開示にすることは到底納得できない。
  • 実験動物に係る業に限らず、どのような業者であっても、何らかの被害に遭う可能性は皆無ではない。当該民間業者が「不当な圧力」や「甚大な被害」を過去に実際に受けたのならまだしも、海外の企業や他機関が受けた被害を挙げて、「自分たちにも起こり得る可能性がある」と言い出したら際限がなく、この主張が通るなら、取引業者名の非開示はいくらでも認められることになる。
  • 取引先は個人ではなく、法人である。 社会的に責任のある立場として当該民間業者が適正に業務を行っているならば、国民に堂々と知らせるべきであり、非開示にするということは、当該民間業者との取引に対して、有らぬ憶測を呼ぶおそれがあるものである。特に本件の動物実験責任者である伊佐正教授と当該民間業者は、伊佐教授が他の研究機関に在籍していた時から取引を続けているとのことであり、なおさら癒着関係等の疑いを生じさせてしまう。
  • 国税によって実施されている研究に用いられる研究資源(今回の場合はニホンザル)は、国民の財産である。自分たちの財産について、国民は知る権利があるのは当然のことであり、どこから得ているのかを知ってはじめて、その入手ルートや方法が妥当かつ正当なものなのかを検証することができるのである。譲渡元や譲渡先が不開示では、不正な国有財産の出入りや癒着等があっても国民の監視の目が行き届かないことになる。つまりは、情報公開制度が意味をなさなくなってしまうも同然である。
  • よって、「譲渡証明書中に記載のある譲渡した民間業者名及び譲渡先民間業者名」の開示を求めるものである。

審査会の結論は「不開示は妥当」

2018年3月、今回、情報公開・個人情報保護審査会が出した結論は、「不開示は妥当」というものでした。「民間業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある旨の京大の説明に特段不自然、不合理な点はない。JAVAの主張は審査会の判断を左右するものではない」との理由ですが、JAVAが指摘する疑問点にきちんと応えているとは言えません。

なぜか時間がかかる・・・

このように開示請求しても、国民に知らされない情報が多いことがおわかりいただけたかと思います。そのうえ、とにかく開示されるまでの時間が非常にかかるのです。情報公開法で認められているとはいえ、毎回毎回、30日以内の開示決定期限を30日間延長してきて、4枚、6枚といった資料を見つけ、コピーして送られてくるまでに2か月、3か月かかりました。不服審査請求に至っては、7か月を要しました。
行政文書には保管期間が3年、5年のものも結構あります。このように請求手続きの手間取っているうちに、文書が処分されてしまことも大いにあり得るのです。

今回の3回の請求と不服審査の流れをご覧ください。

情報開示請求1回目 情報開示請求2回目 情報開示請求3回目 不服審査請求
2016年7月19日

JAVA⇒京大

動物実験計画書を請求

2016年12月5日

JAVA⇒京大

動物実験計画書以外の動物実験関係資料を請求

2017年4月3日

JAVA⇒京大

サルの入手に係る文書すべてを請求

2017年8月18日

JAVA⇒京大

請求書を京大に送付

8月19日

京大⇒JAVA

9/20まで決定期限延長の連絡

2017年1月6日

京大⇒JAVA

2/6まで決定期限延長の連絡

5月8日

京大⇒JAVA

6/5まで決定期限延長の連絡

12月7日

京大⇒JAVA

審査会に諮問したとの通知

9月16日

京大⇒JAVA

決定通知(6枚ある)

2月6日

京大⇒JAVA

決定通知(4枚ある)

6月5日

京大⇒JAVA

決定通知(24枚ある)

12月19日

審査会⇒JAVA

意見書提出を希望するなら2018年1月16日までに出すこと、との通知

9月23日

JAVA⇒京大

郵送での公開を希望する旨、返信

2月14日

JAVA⇒京大

郵送での公開を希望する旨、返信

6月27日

JAVA⇒京大

郵送での公開を希望する旨、返信

2018年1月10日

JAVA⇒審査会

意見書提出

9月30日

京大⇒JAVA

6枚を発送

3月13日

京大⇒JAVA

4枚を発送

7月27日

京大⇒JAVA

24枚を発送

3月14日

審査会⇒JAVA

不開示妥当の答申

かかった期間:約2か月半 かかった期間:約3か月半 かかった期間:約3か月半 かかった期間:約7か月

それでも請求してみる価値あり!

このように、疑問や納得できないことの多い情報公開制度ですが、それでも開示請求する意義、価値はあります。活動に必要不可欠な情報が把握できることもしばしばありますし、もし、欲しい情報が開示されなくても、請求された側(今回の場合は京大や伊佐教授)からしたら、市民から注視されれば、慎重になる部分もあるでしょう。
市民による監視は市民運動の基本でもあります。情報開示は誰もが請求できます。ぜひチャレンジしてみてください。

「獣医師の社会的役割と、その教育の今」シンポに参加

市民公開シンポジウム
「獣医師の社会的役割と、その教育の今」参加報告

【開催概要】
日時:2017年12月9日(土) 13:00~17:30
場所:東京大学弥生講堂 一条ホール
主催:全国大学獣医学関係代表者協議会 (公社)日本獣医学会
共催:(公社)日本獣医師会

【プログラム】
開会挨拶:全国大学獣医学関係代表者協議会会長 稲葉睦
(公社)日本獣医学会理事長 久和茂
(公社)日本獣医師会会長 藏内勇夫

基調講演:「新興感染症―インフルエンザならびにエボラ出血熱―」
東京大学医科学研究所教授/米国ウイスコンシン大学教授 河岡義裕

講演1:「わが国における獣医師の職域:獣医師免許と獣医学」
山口大学共同獣医学部教授 佐藤晃一

講演2:「わが国における獣医学教育改善:国際水準化に向けての現状と課題」
北海道大学大学院獣医学研究院・獣医学部教授/全国大学獣医学関係代表者協議会会長  稲葉睦

講演3:「獣医学実践教育強化の具体と公務員獣医師の確保への課題」
北里大学副学長・獣医学部教授/(特非)獣医系大学間獣医学教育支援機構理事長 髙井伸二 

講演4:「欧米における獣医学教育の現状と認証評価制度」
帯広畜産大学副学長・獣医学研究部門教授 倉園久生

講演5:「将来における獣医師への期待と獣医学教育の在り方」
東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部教授/(公社)日本獣医学会前理事長 中山裕之

パネルディスカッション

閉会挨拶:酪農学園大学理事長・(一社)日本私立獣医科大学協会会長 谷山弘行

JAVAが実験動物の飼養環境や代替法の導入を働きかけている全国大学獣医学関係代表者協議会(以下、協議会)。全国に16ある獣医系大学の教員代表者で構成される組織です。
2017年12月、この協議会が開催した獣医学教育に関するシンポジウムに参加しました。(JAVAの協議会への働きかけについてはこちら

300名ほど入る会場がほぼ満席でした。まず、主催、共催組織の3名からの開会の挨拶では、「2017年は獣医学部新設の問題で獣医学教育についてこれまでになく注目されたけれども、獣医師の役割や獣医学教育について社会にほとんど知られていないことを痛感した。その原因に自分たちがこれまで十分に説明してこなかったということもあって、このようなシンポジウムを開催した」との話がありました。
ここでは、JAVAの活動にも関係する情報が得られた講演1~5とパネルディスカッションについてご報告します。

講演1~5

内容は重複している点が多かったため、講演で得られた情報をまとめて箇条書きします。

<獣医師について>

  • 世間では、「獣医師」というと犬猫のお医者さんというイメージが強いが、産業動物の獣医師もいる。「公務員獣医師」の業務は、食品衛生監視や食肉の衛生検査、動物の伝染病の予防や発生後の鎮圧、野生動物の保護・管理、動物愛護センターでの動物福祉等、多岐にわたる。製薬会社などの企業や研究所で研究職に従事する獣医師も多い。
  • 日本は食肉検査など獣医師の仕事とされている職種が多いため、公務員獣医師や産業動物獣医師が不足している(米国では食肉検査は専門の検査師が行い、獣医師ではない)。
  • 平成26年時点で、日本には約39,000人の獣医師がいる。医師は20万人以上いるので、決して獣医師は多くはない。
  • 日本の獣医師の約25%が公務員獣医師だが、欧米では2~5%しかおらず、多くが臨床獣医師である。そのため、臨床教育に重きが置かれている。
  • 地球環境、野生動物、人と動物の健康といった地球規模の問題を、医師と獣医師が協力して取り組んでいくべきとなっている(One Healthの概念)。

<国内外の獣医学教育システム>

  • 獣医大の起源は1761年に仏・リヨンに家畜治療の大学が設立され、それが世界に波及した。
  • 日本では6年の獣医大学を卒業し、国家試験に合格して獣医師免許を取得できる。
  • 大学によって異なるが、多くの大学では1年間の教養教育課程と5年間の専門教育課程を取り入れている。
  • 諸外国の多くは、獣医大学を卒業すると国家試験なしで獣医師になれる。それは、獣医大学での教育体制を認証機関が厳格に審査し、その機関(大学)に獣医師養成機関として承認を与えているため。
  • 欧州で獣医師になるには、高校卒業後、5年以上(平均5.5年。オランダは6年)の獣医学教育を受ける。米国は、大学や大学院を卒業後、4年間獣医学教育を受け、1年間のインターン実習を受けないと獣医になれない。9年かかる。
  • 日本は欧州の体制と似ているので、欧州の大学が参考になると思われる。
  • OIE(世界動物保健機関)は、「卒業した翌日から、獣医師として活動できる教育を」と言っていて、それを各国が目指している。

<日本の獣医学教育の課題と取り組み>

  • 日本の獣医学教育は国際水準を超えている分野(感染症、公衆衛生、サイエンス、大動物臨床、小動物臨床など)はないと言える。すべての分野ですべての学生が水準を超えるのがまず目標。
  • これまでの日本の臨床実習は見学型だったが、国際水準では、卒業後にすぐ獣医師として何ができるかが重要であるため、参加型臨床実習が必要となった。しかし、獣医師法第17条において、獣医師免許のない者の治療行為が禁じられている。これに対して平成22年6月30日付の農水省の課長通知* によって、各大学がガイドラインを策定し、その条件下なら違法性はないと示した。
  • その条件の中に学生の水準も含まれていて、どの学生でも臨床実習に参加できるわけではない。その学生の水準保証のため、獣医学共用試験を導入し、合格した学生が、スチューデントドクターとして臨床実習に参加できるというシステムとなった。
  • 医歯薬系の学部・学科では10年くらい前から共用試験システムが始まっているが、マンパワー、マネーパワーが全く違っている。日本の獣医学部は欧米と比べて教員の数が圧倒的に少ない。また、十分な大動物の診療の場を持っていない大学があるなど困難な現状もある。
  • 米国では獣医大学1校につき教員は100名以上いるのに対して日本はその半分かそれ以下。ウィーン獣医大学は国内唯一の獣医大学で学生が2,000人以上、教員は1,000人以上。種別の病院があり、魚の病院も。スキルアップ用のマネキンなどが置いてある部屋があり、学生は暇さえあればそこで練習する。
  • 近隣の獣医大学同士が協力して、教員・学生を行き来させて実習を合同で行ったりしている(例:北大と帯広畜産大、山口大と鹿児島大など。小動物の患者が多い北大と大動物の患者が多い帯広畜産大が協力して、不足を補って実習を実施)。農業共済や地域病院との連携も不可欠(北里大学では地域病院とのネットワークづくりをしている)。
  • さまざまな支援を受けて、2017年より共用試験を15大学で実施(残る日本大学は2018年より参加)。836人中831人合格。
  • 学生に臨床実習をさせることになるため、付属病院には飼い主に向けて、学生の参加への理解を求める貼り紙を掲示している。
  • 欧米の獣医大学には、EAEVE(欧州獣医教育機関協議会)とAVMA(米国獣医師会)などによる教育評価が行われている(オーストラリア・ニュージーランド、韓国にもある)。日本では平成29年度から、(公財)大学基準協会による教育評価と認定をスタートさせている。

* 農林水産省消費・安全局 畜水産安全管理課長告示「獣医学生の臨床実習における獣医師法第17条の適用について」(22消安第1514号)

パネルディスカッション

会場からの質問を受ける形で行われ、6名から質問がありました。
JAVAも、「国際水準について講演でお話があったが、欧米の大学のように生きた動物を犠牲にすることなく、代替法と臨床実習で卒業できる日本の大学はあるか?」「代替法の導入の状況や今後の計画を教えてほしい」の2点を質問しました。
協議会会長の稲葉氏から、「参加型実習の充実は動物の犠牲を減らすこととまさに表裏一体。動物の犠牲を減らすことは当然。今、このために全国の大学で取り組んでいるので理解いただきたい。そしてこの回答でもって、1つめの質問への回答にもさせてもらいたい」と回答がありました。

また、JAVAと化粧品の動物実験や動物愛護法改正の活動などで連携しているPEACEの東さちこ代表が「加計学園の問題で動物を使った実習のことが取り上げられていたが、動物実験削減のためにどのような取り組みをされているか?」といった質問をされ、それに対し中山氏からは「生きた動物を使った実習をなくしていこうということは協議会・教員の共通認識」という発言がありました。

講演の内容や質問への回答からも、日本の獣医学教育の関係者の意識やシステムが変わりつつあるのを感じました。しかし、欧米のように生きた動物を犠牲にせずに卒業できる大学ができるまでの道のりは遠いとも感じます。
全国大学獣医学関係代表者協議会がJAVAからの要望書に対し「検討委員会を設置し、代替法導入の方針と具体策検討を進める」と回答していますが、現時点ではまだこの委員会は起動していない模様です。いち早く行動に移し、できるところからでも1つ1つ代替法に切り替えていくことが重要と考えます。そのために私たちも働きかけを続けていかなくてはなりません。

動物愛護法改正のための活動<続々報>

2018年7月10日

議連や党からのヒアリングでアピール

法改正の活動では、議員の皆様への陳情を積極的に続けていますが、そのなかで党や議員連盟の会議に呼んでもらい、私たちの求める改正や意見をアピールする機会を得ることがあります。

■超党派
犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟
動物愛護法改正第13回PT

2018年2月5日に開催されたこのプロジェクトチーム(PT)の会議のテーマは「犬猫の引取り・譲渡・殺処分等の現状と課題、収容施設の改善等」。
茨城県動物指導センターの松本徹センター長(当時)と保護猫カフェ「ねこかつ」の梅田達也店長と私たち3団体からのヒアリングが行われました。

私たちからは、「JAVA 動物行政に関するアンケート」調査結果を踏まえて自治体業務の現状を説明し、また次の4つの改正要望がいかに重要かを訴えました。

  • 駆除目的の猫の引取りをなくす
  • 定点収集の実質禁止=輸送の改善
  • 収容状況の改善
  • 炭酸ガス殺の禁止

 

■自民党
自民党どうぶつ愛護議員連盟 第5回マイクロチップPT

3月27日に開催されたこのPTの会議で、JAVAがなぜチップ装着の「義務化」に反対するのか、次の現状や懸念を訴えました。

  • チップは万全ではなく、リーダーで読み取れなかったり、情報が登録されていないなどの理由で飼い主が判明しないことも多く、また遺棄するような飼い主はチップを入れないなど、効果に疑問がある。
  • 今のシステムでは、繁殖業者から販売店、購入者といった流通経路の追跡はできない。
  • もし、すべての飼い犬猫にチップ装着が義務づけされれば、ますます野良猫の駆除が行われるなどの危険性がある。
  • 装着費用5,000円程度と登録料1,000円が必要であり、犬猫を保護している多くの動物愛護団体にとって負担が大きく立ちゆかなくなる。
  • システム構築や個人情報管理、関係機関への読み取りリーダーの設置等、多額の税金投入が想定されるが、その分を不妊去勢手術の助成金に充てたほうが殺処分減少につながる。
  • 多くはないが、チップ装着による犬猫の健康被害の事例がある。

※JAVAのチップ装着の「義務化」反対の見解については、「なぜJAVAが犬猫へのマイクロチップ装着の「義務付け」に反対するのか Q&A 」に詳しく掲載してあります。

 

■民進党
「動物愛護管理法」改正に関する勉強会

3月29日に開催されたこの勉強会で、法律全般にわたる私たちの求める改正を、実態を伝える数多くの写真やJAVAの行った動物行政アンケートの結果などを盛り込んだ資料を使って、ご説明しました。
(私たちの求める改正については、こちら

改正動物愛護法の制定まで、引き続き全力で取り組んでまいります。

中国の有名ファッションデザイナーがファーフリー宣言

FFAの一員であるACTAsiaが、2018年6月、「Fur-Free Fashion Forum and Gala」というイベントを上海で開催。この場で3人の中国のトップファッションデザイナーが、今後毛皮を使用しないことを発表しました。
その3人のデザイナー、Grace Chen(グレイス・チェン)、Mary Ma(マリー・マー)、 Michael Wong(マイケル・ウォン)は、すでにFFAが実施している「FUR FREEブランドプログラム」の宣誓書にサインしており、先にファーフリー宣言をした中国の約40のファッションブランドやデザイナーの仲間入りをしました。
グレイス・チェン氏のブランドは習近平国家主席夫人をはじめとしたセレブたちが愛用しています。マイケル・ウォン氏は映画スターであり、ファッションレーベルのオーナーでもあります。
国際的な動物保護団体であるACTAsiaは、10年以上にわたり、中国において、思いやりのある消費を広める活動をしてきました。グローバルな毛皮取引の拠点として、毛皮製品の大きな市場を持ち、大量の毛皮を生産してきた中国のこの新しい方向性は、世界中のファッションがいかに毛皮から遠ざかってきているかを示しているといえます。


ルクセンブルク 、毛皮農場を禁止!

2018年6月、ルクセンブルク大公国で新しい動物福祉法が成立しました。
この法律は同年10月に施行され、毛皮農場の禁止が含まれています。ルクセンブルクには現在、毛皮農場は存在しませんが、これにより新しい毛皮農場の建設を防ぐことができます。政府議会は「動物はもはやモノではなく、感受性と確かな権利を有する、有能な生き物としてみなされている。」と主張しています。
ルクセンブルクは、毛皮農場を禁止した欧州で10番目の国となりました。

<カナダ・米国>小児科医研修、すべての動物使用を廃止

<カナダ・米国>歴史的Victory
米国とカナダの小児科医研修、すべての動物使用を廃止

2018年6月19日にカナダ・ケベック州のラヴァル大学小児科部長Marc-Andre Dugas 博士は、米国の動物実験に反対する医師・科学者の団体PCRM(責任ある医療のための医師委員会)に、小児科医研修プログラムで生きた子ブタを使用しないことを伝えた。ラヴァル大学は研修に生きた動物を使用する最後の大学だったが、この決定により、PCRMが調査した米国とカナダの小児科医研修、全227のプログラムから、動物を用いた実習が姿を消すこととなった。

ラヴァル大学の小児科医訓練では、気管内挿管のような侵襲的処置の実習に子ブタを使用し、心臓を包んでいる嚢に針を通したり、静脈や胸郭、喉を切開するよう指導しており、このような訓練を行う前の段階で子ブタを殺していた。PCRMは2012年に同大学での動物の使用中止を求める運動を始め、その後6年間、ケベック州政府へ請願書を提出したり、動物を使用しない最新の方法を紹介するなどして働きかけてきた。

これまで、さまざまな大学や研究所が、小児科医研修に生きた動物を使い、気管内挿管の実習を行ってきた。それが原因で気管挫傷や出血を引き起こし、動物に激痛をもたらし、死ぬことさえあった。それに対し、ヒト解剖用のシミュレーターは、プログラムすることで繰り返し使用できるなど、動物を使って行う研修より優れている。

“All Surveyed Pediatric Residency Programs in U.S. and Canada No Longer Use Animals for Training”

 

古本チャリティ募金にご協力を!

2018年6月14日

不要になった本やDVD・ソフトの買取金が寄付になります

古本チャリティ募金

本、DVD・ゲームソフト等の買取を行っている本棚お助け隊さんでは、NPO・NGOを支援する<古本チャリティ募金>を行っています。
「モノを活用した寄付文化をもっと身近に」という素敵な取り組みです。

「もう読まないけど捨ててしまうのは勿体ないなぁ」「自分は買取金がいらないので、役立つところに支援したい」という皆さま。梱包して送る、というひと手間はかかりますが、ご自分が使用した物のリサイクルと動物たちを守る活動を行うJAVAへの支援になりますので、ぜひお願いいたします。

送り方

  1. 本やDVD等を壊れないように段ボ―ルに梱包してください。
  2. このページの下にあるチラシ表面をプリントして、記入した「贈与承諾書」を同封して送ってください。
  3. 着払い発送の場合は、回収申し込みをしてください。
    ●WEBから/古本チャリティ募金のお申込
    ●電話で/TEL.050-3628-4128(平日10~16時)
  4. 元払い発送の場合は、申し込みは不要です。
  5. 宅配便伝票には以下を記入してください。
    ●お届け先/〒112-0014 東京都文京区関口1-47-12 江戸川橋ビル205号
    TEL.050-3628-4128 本棚お助け隊 古本チャリティ募金係
    ●ご依頼主/郵便番号、住所、氏名、電話番号
    ●品名/「JAVA古本募金宛」 ※必ず忘れずにお書きください

その他、詳しくは本棚お助け隊さんのサイトの<古本チャリティ募金>ページをご覧ください。(※買取できないものもありますので、ご確認ください。)

古本チャリティ募金

本棚お助け隊/古本チャリティ募金センター
〒112-0014 東京都文京区関口1-47-12 江戸川橋ビル205号
TEL.050-3628-4128(10:00~16:00)

チラシについて

JAVAに寄付されることをご案内しているチラシのご用意もあります。お知り合いに配っていただいたり、お店等に設置していただけると助かります。
ご入用の方には送料無料にてお送りしますので、お問い合わせフォームからご請求ください。
「贈与承諾書」のついている表面はダウンロードもしていただけます。ダウンロード後、プリントしてご利用ください。

動物用ワクチンの対象動物試験が省略可能に

動物用ワクチンの対象動物試験が省略可能に
~ICAPPPのパブコメが反映される~

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」によって承認されたワクチンなどの動物用生物学的製剤については、バッチ(製造単位)ごとの販売前の品質検査において、その製剤の使用対象の動物(牛、豚、犬、猫などの哺乳類、鳥類、魚類など)または実験動物を用いて安全性を確認する試験が行われています。
日米EUで組織される動物用医薬品の承認等のガイドラインを策定している国際機関VICH(動物用医薬品の承認審査資料の調和に関する国際協力)では、安全性に関して実績のある動物用生物学的製剤の安全性試験の実施を省略するための検討が進められていて、動物用不活化ワクチンの「対象動物バッチ安全試験(TABST)」の省略要件の見直し、動物用生ワクチンのTABST省略要件の制定が行われました。

2016年にそれら見直し案と制定案に対するパブリックコメント募集が行われ、JAVAは、日米欧の動物保護団体で構成する医薬品プログラムにおける国際動物保護委員会(International Council on Animal Protection in Pharmaceutical Programmes (ICAPPP))の日本窓口として、意見を農林水産省に提出していました。
2018年4月、その結果が公表されまして、ICAPPPも賛成の意見を出していた省略要件の改正や制定が実現しました。これによって、十分な数の連続したバッチが適合した生産システムの下で生産される場合、TABSTは省略*できることになったのです!さらにICAPPPが求めていた次の記述の削除・追加がなされました。

*製造工程の重要な変更や予期されていなかった副作用の発生等の例外を除く。

動物用不活化ワクチンのTABST省略要件(VICH GL50)の見直し案

  • すでにヨーロッパでは要求されていないにもかかわらず、ヨーロッパの要件表に記載されたままだったTABSTの記述が削除された。
  • 認可企業がTABSTの省略を求めることを認める、米農務省(USDA)の方針が書かれている「Veterinary Service memorandum 800.116(獣医療サービス覚書800.116)」が参考として米国の要件表に追加された。
  • ICAPPPの提案がほぼ言葉通り採用され、日本の要件表に次の一文が追加された。
    「2014年より、動物用生物学的製剤基準に定める試験に、少なくとも10バッチ連続で適合した場合、TABSTを省略することができる」

動物用生ワクチンのTABST省略要件(VICH GL55)の制定案

  • すでにヨーロッパでは要求されていないにもかかわらず、ヨーロッパの要件表に記載されていたTABSTの記述が削除された。
  • 「近い将来、Veterinary service memorandum 800.116は生ワクチンに対するTABSTの免除申請ができるように改訂される」と米国の要件表に追加された。

 

<スペイン>と畜場に監視カメラを

<スペイン>と畜場に監視カメラを

スペインの動物保護団体ADDAは、と畜に関する法令を順守し、可能な限り人道的な扱いを実現するため、と畜場を「見える化」するキャンペーンに力を入れている。と畜場で何が行われているか、また、現行法で要求されている「動物たちが最後の瞬間に受けるべき最良の扱い」の実態について、と畜場が開示を拒んできているため、明らかになっていないからである。

動物福祉に懸念があることから、ADDAは2017年5月、大統領とすべての国会議員に対し、と畜場への監視カメラ設置を要求する書面を提出した。2018年2月4日、と畜場の闇を取材したテレビ番組「サルバードス」が放送されると、と畜場で行われていることとその不透明さが、地域限定ではあるが一般の人々の知るところとなった。さらに2018年4月、ADDAは、監視カメラ設置要求を請願権の法的手続きに則って進めるため、関連する事実やADDAの動物福祉担当者、公的・私的獣医師らの活動等を盛り込んだ詳細な文書を、国とすべての自治体(大統領府、2つの省、17の自治体)に宛てて送付した。

街中いたるところに設置されている監視カメラだが、と畜場が設置を拒否するのは何かの違反を隠そうとしているのではないだろうか。

“Mataderos Controlados por videovigilancia”
ADDA Defiende los Animales No.56, June 2018

カタルーニャ州政府の農務省の前で今年6月に行ったデモ
©ADDA

Good News!農薬のイヌの動物実験が廃止に!

年間約200頭の犬が救われる
農薬のためのイヌ慢性毒性試験が廃止に!

農薬の製造・加工、輸入、販売を行うには、農水省にその農薬を登録しなければなりません。この登録申請には、数多くの動物実験データの提出が義務付けられています。その中のひとつにイヌを使った「1年間反復経口投与毒性試験」があります。JAVAはこの試験の廃止を農水省に働きかけてきて、今回、廃止が決まったのです!


農薬のために義務付けられる動物実験

農薬の登録申請の際、データの提出が農薬取締法で義務付けられている試験*1のうち、毒性に関する試験だけで、以下のように29の試験があります。そのうち23試験が動物を用いるものです。

義務付けられている毒性試験
「農薬の登録申請に係る試験成績について」
(平成12年11月24日付け 12農産第8147号 農林水産省農産園芸局長通知)より

ア 急性経口毒性試験
イ 急性経皮毒性試験
ウ 急性吸入毒性試験
エ 皮膚刺激性試験
オ 眼刺激性試験
カ 皮膚感作性試験
キ 急性神経毒性試験
ク 急性遅発性神経毒性試験
ケ 90日間反復経口投与毒性試験
コ 21日間反復経皮投与毒性試験
サ 90日間反復吸入毒性試験
シ 反復経口投与神経毒性試験
ス 28日間反復投与遅発性神経毒性試験
セ 1年間反復経口投与毒性試験
ソ 発がん性試験
タ 繁殖毒性試験
チ 催奇形性試験
ツ 変異原性に関する試験
テ 解毒方法又は救命処置方法に関する試験
ト 動物代謝に関する試験
ナ 植物代謝に関する試験
ニ 家畜代謝に関する試験
ヌ 土壌中動態に関する試験
ネ 水中動態に関する試験
ノ 水産動植物への影響に関する試験
ハ 水産動植物以外の有用生物への影響に関する試験
ヒ 有効成分の性状、安定性、分解性等に関する試験
フ 環境中予測濃度算定に関する試験
ヘ 農薬原体の組成に関する試験

「1年間反復経口投与毒性試験」とは

今回、廃止になった、イヌを用いた「1年間反復経口投与毒性試験」(以下、「イヌ慢性毒性試験」)はどういった実験なのでしょうか。
試験実施のガイドラインである「農薬の登録申請に係る試験成績について」(平成12年11月24日付け 12農産第8147号 農林水産省農産園芸局長通知)から抜粋してみました。(※下線はJAVAによる)

ガイドライン抜粋 JAVAのコメント
1.目的
本試験は、被験物質を長期間にわたって反復投与したときに生じる毒性変化、明らかな毒性変化を惹起する用量及び毒性変化の認められない最高投与量(無毒性量:NOAEL)についての科学的知見を得ることを目的とする。
農薬が長期にわたって繰り返し体内に入った場合に有害な影響が出ない最大量を得るために行われる試験です。
2.供試動物
(1)げっ歯類1種(通常、ラット)及び非げっ歯類1種(通常、イヌ)を用いる。
(2)げっ歯類については、離乳後、馴化期間を経てできるだけ早い時期の同一週齢の動物(通常、5~6週齢)を用い、非げっ歯類については、4~6か月齢の動物を用いる。
使う動物は通常、ラットかイヌです。ラットは5~6週齢、イヌは4~6か月齢と、幼い個体を使います。
3.投与方法
経口による連続投与とし、通常、混餌投与又は飲水投与により行う。ただし、混餌又は飲水投与が困難な場合には強制投与を行ってもよい。
被験物質である農薬の成分の投与方法は経口ですが、餌や水に混ぜての投与が難しければ、強制投与、つまり無理やり摂取させてもいいとなっています。
4.投与期間
1年以上とする。
実験に使われる期間は1年以上と長期にわたります。
5.動物数及び試験群の設定
(1)動物数の設定
1.げっ歯類は1群当たり雌雄各20匹以上、非げっ歯類は1群当たり雌雄各4匹以上とする。
(2)試験群の設定
1. 被験物質投与群
ア 対照群の他に少なくとも3段階の用量設定による投与群を設ける。
2. 対照群
ウ 毒性に関する情報が十分に得られていない溶媒等を使用する場合には、さらに無処置対照群を加える。
1群あたり、ラットは雌雄各20匹以上、イヌは雌雄各4匹以上とあります。対照群と、少なくとも3段階の投与群設けるので、通常、最少でラットは160匹、犬は32匹使われます。
6.観察及び検査
次の(1)~(5)の項目について実施する
(1)一般状態の観察
(2)血液検査
2. マウスを除き、検査前に一晩絶食させることが望ましい。
(3)尿検査
(4)眼科学的検査
(5)病理学的検査
1. 投与期間中に死亡した動物は速やかに剖検し、器官・組織の肉眼的観察及び病理組織学的検査を行い、死因及びその時点での毒性変化の程度を明らかにするよう努める。
2. 投与期間中に死に瀕した動物は、速やかに屠殺、剖検し、1と同様の観察及び検査を行い、瀕死状態に至った原因及びその時点での毒性変化の程度を明らかにするよう努める。
3. 投与終了時におけるすべての生存動物は、諸検査等のための採血及び採尿を行った後、屠殺、剖検し、器官・組織の肉眼的観察を行う。(略)なお、マウスを除き剖検前に一晩絶食させることが望ましい。
ラットやイヌたちは、(1)~(4)の観察・検査をされ続け、途中で死亡したら、剖検、途中で死に瀕しても、殺されて剖検、1年間実験されて生き残っても、殺され剖検されるという、いずれにしても悲惨な最期を迎えることになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

殺される前の日に絶食の苦しみまで味わいます。

なぜこの実験をターゲットにしたか

上述ように、数ある動物を用いた毒性試験の中で、なぜ今回このイヌ慢性毒性試験にターゲットを絞ったか。それは、まず1年間と非常に長期にわたる点で他の実験より残酷であり、動物福祉の観点から、EUでは必須試験から削除されていて(2013年)、米国(2007年)、カナダ(2016年)でも条件付きながら削除されているからです*2
そういった国際的な動向があることに加え、JAVAと協力関係にある米国に本部を置く動物保護団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals;動物の倫理的な扱いを求める人々)が、同じく義務付けられているイヌを用いた「90日間反復経口投与毒性試験」のデータの利用によって、1年間の実験を削除しても農薬の安全性の担保に支障はないという科学的根拠を提示してくれたからです。
そのため、まずこのイヌ慢性毒性試験を削除させよう、ということになりました。

農水省に削除を要請

JAVAはPETAと連携しながら、2015年から農水省に対して、イヌ慢性毒性試験をガイドラインから削除するように働きかけを続けてきました。そして、農水省から次のような回答を得ていました。

  •  OECD(経済協力開発機構)を始めとした国際機関で3Rの原則に基づいた取り組みがなされていることは承知している。
  •  農水省でも不要な動物試験はなるべく減らしていく方針としている。
  •  JAVAから寄せられた意見・情報や欧米における動きも参考に、今後、関係府省との協力の下、見直しを検討していきたいと考えている。
  •  具体的には、イヌ慢性毒性試験から得られるデータと同等の情報が他の試験から入手可能かどうか、国内の毒性評価の専門家からの助言を求めていく。
  •  この試験の必要性の調査研究を行っている。期間は2年間で、遅くとも2017年3月には結果が出る。

食品安全委員会の結論は「例外つき削除」

上記の農水省が言う調査研究結果が、リスク評価機関である内閣府食品安全委員会で審議されました。そして発表された「農薬の食品健康影響評価におけるイヌを用いた1年間反復経口投与慢性毒性試験の取扱いについて」(平成29年12月21日 農薬専門調査会決定)において、「原則、イヌ慢性毒性試験は不要」という結論が出されました。
しかし、この結論には以下の1~4の場合は例外として、この試験が必要と考えられると示されていました。つまり「例外つき削除」という結論だったのです。

  1.  亜急性毒性試験で認められる毒性プロファイルがイヌとげっ歯類で大きく異なる場合
  2.  イヌ及びげっ歯類について、毒性標的臓器が同じでも明確な発現用量の差が認められ、イヌの感受性が高いと考えられる場合
  3.  イヌにおける農薬の蓄積性が懸念される場合
  4.  イヌにおける薬物代謝(動態)について、1~3で示されるようなイヌ特有の毒性等に関与することが想定される場合

パブコメ募集
農水省の案は「例外なし削除」

食品安全委員会の結果をうけて、農水省がイヌ慢性毒性試験を削除するガイドラインの改正案をまとめ、それに対するパブリックコメントの募集をしました。
農水省のガイドライン改正案にも食品安全委員会がつけた4つの例外が書かれてしまうかと危惧していたのですが、農水省の改正案では、一切の例外なくイヌ慢性毒性試験を削除するという内容になっていたのです!

JAVAは次のように、農水省が出した例外なし削除の案を評価、支持し、案のとおり改正をすることを求めるコメントを農水省に提出いたしました。
また、改正案を後押しするご意見を届けてくださるよう広く呼びかけました。

  •  米国、カナダは上記の1、2、4の例外は設けていない。また、EUは1~4すべての例外を設けていない。それはこれらの場合において、イヌ慢性毒性試験を追加で実施してもリスク評価に更なる評価価値を与えないからである。
  •  食品安全委員会は、これら海外の方針を認識しながら、農薬専門調査会決定において例外を設けた。これは「3Rの原則」にも、「不要な動物試験はなるべく減らしていく」という農水省の方針にも反した時代に逆行する結論と考える。

ガイドラインから削除される!

3月29日、パブコメの結果が公表され、全部で115件の意見が寄せられ、そのうちJAVAと同様の意見が79件あったと報告されています。そして、そこには「原案の通り改正いたします」との農水省の見解が書かれていました。4月に入り、イヌ慢性毒性試験の記述すべてが削除された新しいガイドラインが通知されたのです!
今後、農薬申請の際、イヌ慢性毒性試験を行う必要がなくなります。登録申請数などにもよりますが、今後年間約200頭の犬が犠牲にならずにすむと推測されます。JAVAはすべての実験の廃止を求めていて、これはゴールではありませんが、今回の結果は大きな1歩です!

改正されたガイドラインは農林水産消費安全技術センターのウェブサイトでご覧いただけます。


  1. *1暴露の危険性や毒性の程度等からデータ提出が除外されるケースもある。
  2. *2JAVAが把握している、その他の国の状況としては、韓国は依然としてイヌ慢性毒性試験を実施、ブラジルは削除を検討中(2018年4月1日現在)。

<米国>恐ろしい構造のワナがオオカミの命を奪う

<米国>恐ろしい構造のワナがオオカミの命を奪う

締め付けるワナは野蛮な装置である
©Kelly Looby

2018年2月、ミネソタ州で一頭のオオカミが残酷なワナに掛かったのち射殺された。オオカミは、このようなワナで捕獲することが法律上許された対象ではないが、ミネソタ州ではコヨーテを殺すため一年中その使用が認められている。このオオカミは、餌を探すうちにワイヤーが鼻口部にかたく巻きついてしまったのである。最初にダルースの北にある州立公園で目撃された時、オオカミの口は留め金で固定され、針金が肉に食い込んでいた。その後ダルース市内で見つかった時には、苦痛にあえいでおり、当初、市の職員らは救助するつもりだったが、捕獲するのは無理と分かり、射殺を決めた。

この地区で野生動物の支援活動をしている団体ワイルドウッズ(Wildwoods)は「このオオカミは飢えて、骨と皮になっていた」と報告している。ワイルドウッズは、このようなワナの禁止を改めて求めようと、今回の悲劇的な出来事を大きく取り上げている。

“Snare Claims Wolf in Gruesome Fashion”
AWI Quarterly SUMMER 2018/VOLUME 67/NUMBER

 

農薬を飲まされる犬たちを救おう!

!この実験は廃止になりました!

「Good News!農薬のイヌの動物実験が廃止に!」をご覧ください
パプコメにご協力くださった皆さま、ありがとうございました


【2018年2月21日に締め切られました】
「1年間 農薬を飲まされ続ける犬たちを救おう!」
農水省へパブコメを送ってください

農薬の製造・加工、輸入、販売を行うには、農水省にその農薬を登録しなければならないと農薬取締法で定められています。
この登録申請には、数多くの動物実験データの提出が義務付けられています。その中のひとつに「1年間反復経口投与毒性試験」という実験があります。これは、ラットやイヌを用いて、1年間もの間、農薬をエサや水に混ぜて投与したり、強制投与して、繰り返し体内に入った場合に有害な影響が出ない最大量を得るために行われる必須試験です。動物たちは実験の最後に殺され、解剖されます。

この度、農水省がこのイヌを用いた1年間反復経口投与毒性試験(以下、「イヌ慢性毒性試験」といいます)を必須試験から削除するガイドラインの改正案をまとめ、それに対するパブリックコメントの募集をしています。

これは大変評価できる改正で、JAVAはこの改正案に賛成・支持するコメントを提出しました。
ぜひ、皆さんからもご意見届けてください。

イヌ慢性毒性試験は、1年間と非常に長期にわたること、また90日間の同様の試験が義務付けされている等の理由や、動物福祉の観点から、EUでは必須試験から削除されています(2013年)。またアメリカ(2007年)、カナダ(2016年)でも条件付きながら削除されています。
一方、日本では必須とされていたため、JAVAは米国に本部をおく動物保護団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals;動物の倫理的な扱いを求める人々)と連携しながら、2015年から農水省に対して、イヌ慢性毒性試験を削除するように働きかけをしてきました。
そして、農水省から「貴会やPETAから寄せられた御意見・情報や欧米における動きも参考に、今後、関係府省との協力の下、見直しを検討していきたい」「この試験の必要性の調査研究を行っている。遅くとも2017年3月には結果が出る」という回答を得ていました。

この調査研究結果が内閣府食品安全委員会で審議され、昨年12月21日付で、「原則、イヌ慢性毒性試験は不要」という結論が出されました。
しかし、この結論には以下の1~4の場合は例外として、この試験が必要と考えられると示されていました。

  1. 亜急性毒性試験で認められる毒性プロファイルがイヌとげっ歯類で大きく異なる場合
  2. イヌ及びげっ歯類について、毒性標的臓器が同じでも明確な発現用量の差が認められ、イヌの感受性が高いと考えられる場合
  3. イヌにおける農薬の蓄積性が懸念される場合
  4. イヌにおける薬物代謝(動態)について、1~3で示されるようなイヌ特有の毒性等に関与することが想定される場合

そのため、農水省のガイドライン改正案にもこの4つの例外が書かれてしまうかと危惧していたのですが、農水省の改正案では、食品安全委員会が示した例外は書かれておらず、例外なくイヌ慢性毒性試験を削除するという内容になっていたのです!

JAVAは当然、すべての動物実験の廃止を目指していますので、ラットを用いた1年間の試験をはじめ、多くの動物実験がまだ必須とされていることには反対ですが、今回の改正は農薬のための動物実験廃止への大きな一歩です。
JAVAでは以下のようなこの改正案を評価、支持するコメントを農水省に提出いたしました。

JAVAが提出したパブコメ(PDFファイル)

ぜひ皆さんからも「改正案に賛成、支持する」「国際的な動向をみても、動物福祉の観点からもイヌを用いた1年間実験の削除は不可欠。案の通りの改正をお願いします」など、改正案を後押しするご意見を届けてください。

締め切りは2月21日です。
提出方法や改正案はパブリックコメント募集のページをご覧ください。

ご協力を宜しくお願いします。

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