JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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お知らせ

JAVAの最新情報をお知らせするコーナーです。進行中の活動、パネル展やイベントなどのご案内、これまでの活動・成果などをご紹介していきます。

アースデイイベントにてパネル展開催

2014年4月30日

4月22日はアースデイ(地球の日)。
4月は各地でアースデイのイベントが行われます。

今年JAVAは、ふたつのアースデイに出展しました。
東京・代々木公園での「アースデイ東京2014」と、静岡・遠州灘海浜公園での「アースデイはままつ」です。

●アースデイ東京2014/4月19日(土)、20日(日)

毎年、「雨」「雪」「やたら寒い」「風が強い」といった厳しい天候に襲われますが、今年は大きな崩れはありませんでした。
東京のアースデイには、20年以上出させていただいていますが、ケヤキ並木は初めてでした。
たくさんの方々に動物たちの現状を知っていただきました!

アースデイ東京2014

 

 ●アースデイはままつ/4月20日(日)

10時にスタートしてすぐに雨が降ってきてしまい、16時までが開催時間だったものの早仕舞いとなってしました。
天気のせいで、残念ながら人出も少なかったようです。
昨年は、朝から雨だったものの午後から晴れたのですが、毎年うまくいかないものです。

アースデイはままつ2014

離島・高島で長崎市が猫約30頭を駆除!

長崎の離島である高島町で、長崎市によって30頭以上もの猫たちが捕獲され、市の動物管理センターに搬送されて殺処分されたと、島民や他県の市民の方々からJAVAに通報がありました。JAVAは事実関係を確認したうえで、長崎市に対して厳しく抗議し、猫捕獲の再発防止と不妊去勢手術の徹底など動物愛護にかなった方法による根本的な解決を強く要請しました。
この一件は、すでにインターネットなどを通じて拡散され、長崎市には多数の抗議が寄せられています。また、他県の動物愛護団体により、島にいる猫の一斉不妊去勢手術の実施がなされるなどの動きも出ています。

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JAVAが長崎市に確認して判明した内容

  • 猫の引取りとして手続きしたつもりだが、約30頭の猫を高島行政センター(市役所の出張所のような機関)が捕獲し、動物管理センターで殺処分を行ったのは事実。
  • かなり以前から、島内の猫の数が増えすぎて、自治会や住民から猫について何とかしてほしいと言われていた。
  • 捕獲と殺処分について全国から抗議の声が多数あった。猫の駆除は問題だったとあらためて認識した。
  • 「地域猫」を対象とした、不妊去勢手術の助成金制度(メス18,000円、オス8,000円)は2012年度で廃止になった。理由は、「地域猫」として認定するにあたって、地域の反対意見がなくならなかったため。「地域猫」という形での助成ではなく、効率的なやり方はないか見直す対象となった。
  • 今回、他県の動物愛護団体の負担で120頭くらいの手術が終わったが、まだ手術していない猫が残っている。手術によって数を減らしていき、「地域猫」を目指したいが、今後のやり方については検討に入ったばかりである。

猫の捕獲には違法性がある

■動物愛護法違反
猫は野良猫、飼い猫などの区別は一切なく、どのような立場の猫であっても「動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)」において、罰則が適応される対象の「愛護動物」と規定されていて、すべての猫が平等に保護されるべき立場にあります。
猫を捕獲する行為自体は違法とされておらず、だからこそ、不妊去勢手術や傷病の治療といった愛護目的の捕獲(保護)ができるわけです。しかし、殺すことや虐待することが目的の捕獲は、猫に精神的・肉体的に大きな苦痛を与える虐待行為であり、動物愛護法違反と言えるのです。今回のケースの場合、猫を迷惑と思い、猫を排除することを目論んで、捕獲し殺処分したのですから、後者の動物愛護法に反する捕獲として、十分違法性を問えるわけです。

■遺失物等横領の罪
猫は、その習性などから、「野良猫」または、「飼い猫」「迷い猫」などであるか判断するのは非常に困難で、野良猫に限って捕獲することは実質、不可能です。迷い猫が数キロ、数十キロ離れた場所で発見された、行方不明になってから数ヶ月、数年後に発見され、無事に飼い主の元に帰ることができた、というケースも報告されていて、単純に「自治会全世帯や近隣住民に聞いたが、飼い主はいない」「ここ数ヶ月、庭に住み着いている」というような猫でも所有者のいる可能性が高いのです。
さらに、首輪は着けていても取れることがあり、また、首輪が木にひっかかり首吊り状態になった等の首輪装着による事故の危険性から、あえて首輪を着けない飼い主も多く、首輪を着けていない猫であっても野良猫とは限りません。つまり、猫を捕獲するという行為は、他人の猫を盗むという、遺失物等横領罪もしくは窃盗罪になる可能性があるのです。なお、他人の飼い猫を死傷させる行為は、器物損壊罪に該当します。

高島行政センターが捕獲し、動物管理センターで殺処分した約30頭の猫たちについては、「所有者からの引取りを市が手伝っただけ」と両センターは主張していますが、野外で暮らし、捕獲器を用いないと捕まえることもできない猫を「引取りを依頼した島民の飼い猫」とするのは無理があります。その依頼者以外に、その猫たちにエサをあげていたり、家に入れて文字通り「飼い猫」として一緒に暮らしている島民がいる可能性もあります。そうなれば、そのエサをあげていたり、飼っていた人の猫を市が盗ったことになります。
実際、JAVAには、島の事情を良く知る人から「捕獲された猫の中には、市場で多くの人からエサをもらい、かわいがられていた猫たちもいた」「駆除後、不妊手術をされていて、毎日、ご飯をもらっていた猫数頭が姿を見せなくなった」といった通報が入っているのです。

捕獲された猫の引取りも違法性がある

長崎市は「猫の引取りとして手続きしたつもり」とJAVAに説明しています。これは「犬猫の引取りは、動物愛護法に則って行っている業務であるから、引取り依頼のあった猫を引き取るのは当然の行為で問題はない」と主張していると解釈できます。確かに動物愛護法第35条に、「行政は所有者もしくは所有者の判明しない犬猫の拾得者などから引取りを求められた場合、引き取らなければならない」とあります。しかし、これはあくまで、「飼い主が自ら持ち込んだ場合」もしくは「拾った犬猫の引取りをその拾得者から求められた場合」であり、先に指摘したとおり、飼い主と断定できない島民からの依頼や、センターに持ち込み、殺処分することを目的とした不法捕獲は、そもそも引取り対象にはなり得ません。
2012年の動物愛護法改正の際、衆参両議院の付帯決議において、「八 (略)なお、駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められない」と盛り込まれてもいます。
ところが、長崎市では、「増えすぎた猫を減らす方法はないかと考えた末、所有者からの引取りという形をとった」と、猫を殺処分するために、動物愛護法を悪用し駆除を実施しました。一頭でも殺処分数を減らすよう最大限の努力をすべき動物行政担当者として、あるまじき行為です。

解決には、「遺棄の防止」「不妊去勢手術の徹底」しかない

猫による被害を防止するには、駆除を目的とした捕獲では何ら解決することはできません。猫が増える原因は、「猫を捨てる(遺棄する)」「不妊手術を施していない飼い猫が自宅以外で子猫を産んだ(繁殖制限を怠る)」などに尽きるからです。猫の遺棄を取り締まり、不妊去勢手術の実施を徹底させれば、不幸な猫はいなくなり、それによって、市民からの苦情もおのずとなくなっていきます。
地域の野良猫たちに不妊去勢手術や定期的なエサやりを行うことで、野良猫を減らし、ゴミ荒らしなどを防いでいく、といった「地域猫活動」が全国的な広がりをみせているように、「野良猫の増加」「猫のフン」などの問題は、動物愛護を基盤にした、地道な息の長い地域ぐるみの取り組みによってしか、根本的な解決の道はありません。
これら「地域猫活動」については、すでに行政と連携した本格的な活動を行う市民グループも増えていますが、元をたどれば、一人、二人の市民による取り組みが発展したものです。本来なら行政は、こういった市民を励まし、地域猫活動へと段階的に発展させていくべきなのです。
ところが、長崎市では、最初から「地域の合意を得た地域猫にしか補助金を出さない」という高いハードルを設けました。行政は地域猫に反対する住民を説得したうえで、活動を積極的に支援すべき立場なのです。しかし、長崎市は説得するどころか、せっかく地域猫活動をしたいと市民が名乗りあげているにもかかわらず、「反対意見がなくならないから」と地域猫活動を断念しています。これでは市民の地域猫活動の芽をつんでしまっているのも同然で、長崎市は猫問題を解決する意思が皆無と非難されても致し方ありません。
不妊去勢手術を市民や動物愛護団体に任せっきりするとは言語道断です。行政が日々努力し、獣医師会の協力を得て手術を実施していくなど、率先して実行しなければ、いつまでたっても猫の問題は解決しません。

JAVA、長崎市に再発防止と根本的な対策を要請

JAVAは長崎市長に対して、厳しく抗議をしました。また上記の問題指摘をしたうえで、次のことを強く要請しました。

  1. 猫の駆除や愛護目的以外の猫捕獲の再発防止の徹底
  2. 捕獲された猫の引取りの即時廃止
  3. 猫の増加問題の解決のため、市が不妊去勢手術の実施を徹底するシステムの構築
  4. 3の実現のため、不妊去勢手術に協力してくれる市民に対する手術費用の補助制度の設置

長崎市は再発防止を回答
徹底した不妊去勢対策を求めよう!

JAVAの要請に対し、長崎市からは、職員に動物愛護法の主旨を十分に理解させ、猫の駆除の再発防止をする旨の回答がありました。また今年度、不妊去勢手術費用の助成制度を開始するとしています。
長崎市がこの助成制度をはじめ、愛護にかなった対策を迅速に実行し、それに全力を注ぐよう、皆さんからも要望してください。

長崎市動物管理センター
〒852-8104 長崎市茂里町2番2号
TEL:095-844-2961
FAX:095-846-1197
Eメール:doukan@city.nagasaki.lg.jp

<米国>シカゴ市、子犬・子猫繁殖工場から仕入れた動物の販売を禁止に

2014年3月18日

2014年3月4日、動物の権利が大勝利を収めた。シカゴ市議会の投票により、賛成49反対1で、ミルと呼ばれる犬などの動物を劣悪な環境で繁殖させる生産工場から仕入れた動物を、シカゴ市内のペットショップで販売することが禁止されたのだ。
シカゴに本拠地を置く動物の権利を擁護する非営利団体パピーミルプロジェクトは、シカゴ市とその周辺のペットショップに対して、ミルからの動物の仕入れ・販売を止めるように説得をしてきた。ミルでは通常、ワクチンを接種できる月齢に達する前に子犬や子猫を、ペットショップに販売する。そのため、子犬・子猫はジステンパーや猫白血病などの伝染病にかかりやすい。またそのような非常に幼い子犬・子猫はストレスを感じやすく、それだけでも病気の原因となる。プロジェクトの設立者で代表でもある、カリ・メイヤース氏によると、少なくとも米国人の70%は、ミルが何であるかさえ知らないという。それはつまり、ほとんどの人がミルがどれほど残酷なところかを知らないということだ。
3月4日、アリゾナ・デイリースター紙は、トゥーソン市が同様の法案について審議中であると報道した。法案が市議会を通過すれば、市内全域のペットショップは、ミルからの動物の仕入れが禁止となる。それによりペットショップは、地域の動物保護施設やレスキュー団体と提携しなければならなくなり、販売するかわりに、里親を見つけることになる。
フェニックス市もそのような条例を可決した。アリゾナ・デイリースター紙によれば、米国内の40以上の市や町が同様の条例を可決したという。これらは全て、ミルからやってくる動物の不必要な苦しみに終止符を打つだけでなく、動物保護施設の負担を軽減させようと拡大しつつある動きの中で起こっている。それにより、殺処分される動物が毎年減っていくことも考えられる。
シカゴ市の条例はあらゆる種類の動物をミルから購入することを禁止している。米国の動物保護団体HSUS(全米人道協会)によると、ミルは犬猫の他に、フェレットやウサギ、ハムスター、モルモット、そして鳥さえも、悲惨な環境で繁殖している。繁殖用の動物は、病気または高齢になって繁殖できなくなれば、殺処分あるいは廃棄される。
シカゴ市の条例は正しい方向への大きな一歩である。そしてその他の地域も、パピーミルプロジェクトのような団体の活動により、シカゴ市に続くことだろう。             (2014年3月)

Examiner.com : Chicago Bans Pet Stores from Selling Pets from Puppy and Kitten Mills

(翻訳:JAVA翻訳チーム)

<英国>英国の動物実験施設で生後間もない犬猫も犠牲に

2014年3月18日

英国の動物保護団体BUAV(英国動物実験廃止連合)のスージーは、2013年5月から12月までの8か月間、ケンブリッジシャー州にある政府認可のMSDの動物実験施設に潜入調査員として入り、実験施設という隠された世界を明らかにした。MSDとは米国に本拠地を置く世界的な製薬会社である。
MSDは、規制に準拠して実験を行っており違反はしていないと強く主張したが、BUAVが持つ証拠を見れば、実験動物の苦痛が全く軽減されていないことは明白であり、MSDの施設で独自調査がなされるべきだとBUAVは申し立てた。
同施設では子犬だけではなく、子猫、若いウサギ、若いニワトリ、子牛も実験に使用されている。これらの動物は犬伝染性気管気管支炎、パルボウィルス感染症、ネコカリシウィルス感染症などの動物用ワクチンの実験に使われる。このようなワクチンは若い動物を使った実験が法律で義務付けられているとMSDは述べている。

BUAVパピー

これらの子犬から引き離された直後、母犬は殺され、この子犬たちは実験に使用された後、生後10週で殺された

スージーは潜入していた期間に、92頭のビーグルの子犬、10頭の授乳中のメスのビーグル犬、少なくとも15頭の子猫、数は不明だがウサギと子牛、若いニワトリが殺されている場面を記録した。まだ母乳を飲んでいる4週齢だった子犬が母親から引き離されていたこともあった。ケネルクラブの動物福祉専門家は、子犬と母犬は8週齢まで引き離すべきではないと言う。

BUAV犬の実験

ビーグル犬を使った実験

 

10月15日のビデオには3頭の子犬が死にいたる注射を打たれ死んでゆく様子が映っていた。2頭目が処分され、スタッフが3頭目の小さな足に注射を打とうとすると、その子犬は身の危険を感じて大声で鳴き叫んだ。すると別のスタッフが言った。「やめなさい。まったく。何をそんなに大騒ぎしてるんだ、うるさいな。血が出て足が腫れてるんだろ。いい子だ、もう楽になるから。哀れなヤツだ。」 

BUAVのスポークスマンのサラ・カイト氏は言う。「動物を使っての研究分野で子犬や子猫にしていることが明らかになれば、多くの国民が怒りを爆発させるでしょう。」「実験動物たちは苦しみながら死んでいくだけの運命ではありません。処分されずに温かい家庭に引き取られることだって可能だったのです。簡単だからという理由で殺処分する事実を受け入れることはできません。」

BUAVオリバー

BUAVの調査員・スージーに助けられた子犬オリバー

 

殺処分されることになっていたボニー、ビリーという名の成犬2頭と5か月になる子犬オリバーだけは、スージーが救うことができた。彼女が勤務していた期間中、他に飼い主が見つかったのはたった2頭だった。MSDはもっと新しい飼い主をみつけるための努力をすべきである。
英国では動物実験には国の認可が必要だ。しかし、2012年における犬猫を使う動物実験の申請は、たったのひとつも却下されることなく全て認可された。政府によると2012年に実験に使用された犬は3,214頭、猫は202頭であった。過去12か月と比べて著しい増加である。
MSDでの調査が明るみに出ると、犯罪防止担当大臣ノーマン・ベイカー氏は述べた。「私は実験動物の取り扱いについて非常に重く受け止めています。今回の実験施設に対し、2012年は何度も抜き打ち調査を行いました。これらの調査からしっかりした結論を出せるよう、さらに詳しい調査内容を求めています。」                                                        (2014年3月)

 

●閲覧注意● 以下の動画には残酷な場面があります

The Express: Graphic Content Horrifying video shows Puppies and Kittens Tested at UK Laboratory
BUAV:Born to die

(翻訳:JAVA翻訳チーム)

ハムスタープレゼントにモノ申す

犬の “ゴン太”で知られているマルカン
客寄せにハムスタープレゼントを実施 

2013年5月5日、6日に京セラドーム大阪で「ペットとの生活の素晴らしさや、ペットと暮らすことの効用を実感・体感していただけるペットイベント」という名目で、動物イベント「ペット王国2013」が行われました。そこで「ハムスタープレゼント」という、またしても動物を物のように扱った企画が行われたのです。

2013ペット王国ハムスタープレゼント

 動物を苦しめるイベント

巨大な会場には63もの企業などが出展し、毎回、数万人の来場者があります。動物の健康相談や、動物関係の法律や災害への備えを学ぶといった、評価できるコーナーもありますが、一方では、犬や猫をはじめ小動物・爬虫類・鳥類・魚類・昆虫といった、ありとあらゆる動物を展示したり、来場者に触らせたりするコーナーもあり、この「ペット王国2013」は、動物に多大なストレスを与えるイベントなのです。

そして今回、出展企業の一つである株式会社マルカンが、またしても「ハムスターのペア100組をプレゼント」という許しがたい企画を実施したのです。

 集客目的に利用されたハムスター

「11時より配布開始(先着100ペア・無くなり次第終了)」と宣伝し、雄雌ペアのジャンガリアンハムスターを来場者たちに手渡しました。マルカンは、プレゼントに抗議した市民や愛護団体に「十分に検討した来場者に、十分な事前説明をしたうえで手渡した」と主張しましたが、先着の企画では、来場者は焦り、「プレゼントなら欲しい」「タダならもらわなきゃ損」との心理が働き、十分な検討をしないでもらってしまうことになってしまいます。そして短時間のうちに、100ペアのハムスターの希望者、つまり100人もの人たちに事前説明が十分に行えるはずはありません。現にインターネット上には、説明会がたったの5分程度と短く、説明をきちんと聞いていない来場者にも配布するなど雑であったとの報告も見受けられました。

 動物プレゼント企画の問題点

 【問題点1】 安易な飼育は安易な放棄につながる

動物を家族として迎え入れ、共に生活をしていくということは簡単なことではなく、事前に準備や家族の合意が必要なのはもちろんのこと、将来にわたっての経済的な負担も覚悟しなければならないのは、皆さんもご存知のとおりです。

具体的なハムスターの飼育においては、次のような準備や心づもりが必要です。

  •  寒い地域原産の動物であるため、暑さに弱い。寒さについても気温が低すぎると冬眠のような状態になり、健康を害するので、厳重な温度管理が必要(適温は20~25度)。クーラーによる室温の下がりすぎも危険。
  •  採光、通気、換気のよい、十分な広さのケージで飼育する。
  •  穴を掘って巣穴生活をする動物なので、巣箱が必要。
  •  運動や砂遊びをするため、はしご、車輪などのいろいろな運動具や砂が必要。
  •  そのほか、食器、水入れ、床材、トイレ、ヒーター、かじり木なども必要。
  •  1日1回はトイレの全部取り換え、週1回は床材の全部取り換えが必要。
  •  6週齢から妊娠可能で、約20日という短い妊娠期間で、一度に約5匹出産することから、繁殖制限は重要。
  •  単独生活を好むため、また喧嘩や過剰繁殖を防ぐため、1ケージに1匹の飼育をする(マルカンのホームページにも「1つのケージに1匹での飼育が基本です。」と掲載されています)。

今回の企画のように、「タダでもらえるから」などと安易にハムスターをもらった場合、飼い主に、こういった準備や心づもりができている可能性は少なく、終生愛情飼育ができる保証は極めて低いと言わざるを得ないのです。

【問題点2】 市民が動物飼育を安易に考え、モラルの低下を招く

捨て犬猫を保護し、里親探しをするボランティアの方たちは、譲渡した動物が不適切な飼育や放棄をされたり、虐待目的で欲しがる異常者などにだまし取られることのないよう、譲渡希望者に対しては身分証明書の確認をはじめ、「家族全員が賛成しているか」「飼育不可の住宅ではないか」「家族に動物アレルギーの人がいないか」「きちんと健康管理をできるか」「写真をつけて定期報告をできるか」などを約束させています。そして、最終的には里親の自宅を訪れて自分の目で確認してやっと、譲渡するにふさわしい家庭として、審査に合格させるのです。

自治体の譲渡システムでも、事前に里親の審査を行い、講習会の受講を義務付けるなどしているところが多くあり、これは「安易に動物を飼う人が、安易に動物を捨てる」という事態を防ぐためであることは言うまでもありません。

これらのことは犬猫だけでなく、ハムスターの飼育においても当てはまることであり、飼い主になる者の責任の重さはどの動物に対しても同じであると言えます。

さらに、ハムスターを客寄せの景品としていると思われても致し方ない宣伝文句で広告を出している以上、その広告を見た多くの人が、「動物を景品にしても構わない」「ペット関連の企業が景品にするくらいなのだから、ハムスターなど簡単に飼えるもの」と思うのは当然であり、このような広告や企画が社会的モラルの低下を招くことは否定できません。

 【問題点3】 ペアでの譲渡は過剰繁殖に繋がる

ジャンガリアンハムスターが約20日という短い妊娠期間で、一度に約5匹出産するという、犬猫とは比べ物にならない高い繁殖力を持っていることを考えても、また、ハムスターは1ケージ1匹で飼育すべきであることを考えても、マルカンがペアでプレゼントしたことは、非常に無責任な行為です。【問題点1】で指摘したとおり、ハムスター飼育のために必要な用品をきちんと準備してからハムスターをもらった家庭があるとは思えず、ましてや2匹を別々に飼うために、2セット用意しているとは考えられず、ハムスターをもらった家庭では適切に繁殖制限を行えずに、過剰繁殖状態に陥ってしまう可能性は大いにあるのです。実際、前年、マルカンの「ハムスタープレゼント」でもらい、その1か月半後には6匹も産ませてしまったとブログで報告している人もいます。

【問題点4】 イベント会場では、動物は大きな負担を受ける

イベント会場で生体を扱うと、動物たちは遠距離を移動させられたり、大勢の人たちが集まり騒がしい中に長時間置かれ、十分な給餌給水を受けることも、休むこともできず、心身共に計り知れない程のストレスを受けます。プレゼントであれ、販売であれ、展示であれ、そもそもイベント会場において動物を扱うこと自体に多大な問題があるのです。

 忘れられた生き物目線

株式会社マルカンは、生体販売を始め、ペットフードや飼育グッズなど、幅広く展開している企業です。ペットフードのキャラクター、犬の「ゴン太」と言えば、テレビコマーシャルを思い出される方もおられるでしょう。マルカンは、動物の生態や飼育に関する豊富な知識を有しており、消費者に対して適正飼育についての情報を提供したり、アドバイスする立場なのです。同社のホームページには、動物の生態について説明するページもあります。動物を熟知し、動物と人との良い関わりを考えるのなら、生きものの目線に立つことを優先するのが当然であり、単に集客目的のために、命ある動物を「景品=物」として扱う企画を実施したことは、あまりにも軽率としか言いようがありません。

 JAVA、マルカンに再発防止を要請

JAVAはこれらの問題点をマルカンに対して指摘したうえで、動物プレゼントを二度と行わないこと、ハムスターを渡した人たちに、今後も飼育上の適切な指導を続け、責任を持って終生愛情飼育をさせることを強く要請しました。また、「ペット王国2013」の主催者であるエコートレーディング株式会社、後援をしていた大阪府に対しても同様の問題指摘を行いました。

エコートレーディングからは、「企画に関して問題点が多いとのご意見をいただいておりますこともあり、今後の実施に関しては検討して参る所存であります。」との回答が、大阪府からは、「株式会社マルカンに対しては平成25年5月10日に、主催者に対しては平成25年5月22日に改善を図られるよう求めました。」との回答がありました。

肝心のマルカンは再三の督促にもかかわらず、現時点(2014年3月17日)では回答をしてきていません。ほとぼりが冷めるまで、言明を逃れようとしているとしか考えられません。

マルカンが問題をきちんと認識しなければ同じことを繰り返していく恐れがあります。動物を取り扱うマルカンに対しては動物プレゼントのような、命を軽んじることは二度と行わないよう、強く求めていく必要があります。

 

■株式会社マルカン■

代表取締役社長 松本幸彦
〒532-0011 大阪府大阪市淀川区西中島7-1-26 オリエンタル新大阪ビル12F
電話(お客様相談室) 072-931-0345
(受付時間 平日のAM 9:00~12:00 / PM 1:00~4:00)
Eメール marukaninfo@mkgr.jp
(メール受信時間 平日のAM9:00~PM4:00)

3月パネル展のお知らせ

2014年3月8日

今月のパネル展のお知らせです。

千葉県柏市と静岡県静岡市・浜松市にて開催します!
悲惨な状況に置かれた動物たちについて、多くの人に知ってもらいたい!というJAVAメンバーの熱い活動です。
ぜひ、見にいらしてください。皆さまのお越しをお待ちしています!

 

【3/9(sun) 静岡・静岡市青葉緑地公園】 終了しました!
●日時:2014年3月9日(日) 11:00~17:00
●場所:葵区呉服町二丁目 JR静岡駅から徒歩15分

20140309panel-shizuoka

市道の中央分離帯を幅18m、長さ 520mの緑地帯としたのが青葉緑地公園。
人通りが多い街中にあり様々なイベントに対応しています。
この日は、献血を呼びかける方も頑張っていました!

 

【3/16(sun) 千葉・JR柏駅】
●日時:2014年3月16日(日) 11:30~17:00
●場所:JR柏駅東口 ペデストリアンデッキ ビックカメラ前
※雨天の場合は、22日(土)に延期します
※地元・千葉の動物保護団体「ピアチェヴォーレ・ビアンカ」との共同開催です。

 

【3/22(sat) 静岡・JR浜松駅】
●日時:2014年3月22日(土) 11:00~17:00
●場所:JR浜松駅北口広場 遠鉄百貨店正面入口前 プラタナスの横
※雨天の場合は中止です
※地元の動物保護団体「Go!Cat’s」「サークルマム」との共同開催です。

◎千葉と静岡では、動物実験や毛皮の実態を伝えるJAVAのパネルの他、共催団体の里親探しや譲渡会についてのパネルも展示します。

ZARAが毛皮ファッションを廃止!

2014年3月4日

日本でも有名なファッションブランドZARAが、「毛皮を使用しない」ことになりました!

これはJAVAも加盟している毛皮に反対する国際連盟Fur Free Alliance(FFA)が展開している「FUR FREE(毛皮を扱わない)ブランドプログラム(Fur Free Retailers Program / FFR)」に、ZARAをはじめ数多くのブランドを展開するスペインのインディテックス社が賛同、宣誓したためです。

インディテックス社は、世界中に約6,000店舗を構えるアパレル大企業です。その中の1ブランドであるZARAだけでも日本国内に約100店舗あります。このインディテックス社の決断は、業界にインパクトを与え、毛皮廃止の流れに良い影響を及ぼすことが期待できます。

「FUR FREEブランドプログラム(FFR)」とは、ブランドや小売店が「毛皮を使用しない」という宣誓書をFFAに提出すると、「FUR FREEブランド」として承認され、承認ロゴマークが与えられます。そして、FFAは消費者に情報発信し、そのブランドが毛皮を使用していないというセールスポイントを広めるサポートをします。この承認ロゴマークが製品や店舗、ホームページなどについていることで、動物に配慮したブランドやお店であることをアピールできるだけでなく、動物の皮を剥ぐという毛皮生産の悲惨な実態を消費者に知らせるきっかけにもなります。
JAVAは日本国内におけるこのFFRの窓口になっていて、FFRを日本国内で展開しています。日本国内で買える「FUR FREEブランド」はこちらのページで、ご確認いただけます。

博物館での死体解剖イベント、中止となる!

埼玉県立自然の博物館(以下、博物館)で、2月8日(土)に、交通事故死した動物の死体を解剖するイベントが行われることが発覚しました。JAVAや多くの方からの抗議を受け、博物館は解剖の中止を決定しました。

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死体解剖イベントの内容とは

下記は、自然の博物館がホームページに掲載したこのイベントの告知です。

2月のイベント
自然史講座
2月8日(土)
筋肉の作りを知ろう
【内容】動物の体の中をのぞいてみよう。動物を解剖して、筋肉のつき方や内臓の位置を学びます。
【時間】10:00~15:00
【場所】自然の博物館 科学教室
【対象】高校生以上
【定員】10名(定員を超えた場合は抽選)
【費用】200円

この告知を見たり、博物館に問い合わせたりした市民の方々から、JAVAには次のような情報や意見が寄せられました。

  •  いくら死体だといっても命があったものなのだから、切り刻むなんて良くない。
  •  死体はモノじゃない。解剖をやめさせてほしい。
  •  高校生にそんな体験をさせるとは非常識。
  •  解剖の対象となる動物は、博物館が保管している交通事故死したタヌキやハクビシンの死体の予定。
  •  筋肉の観察がメインになるので、ある程度、皮をはいでから見る。余裕があれば内臓の観察も行う。
  •  10:00~15:00と長丁場になるのは、慣れていないとお腹にメスを入れて開くだけで午前中いっぱいかかる。あとは学芸員の解説なども1時間はかかるため。
  •  冷凍庫から出すと、固まっていた血が解けるので血は結構出る。特に打ち所が悪くて出血していた場合。
  •  臭いはかなりきつい。 

 

死体の利用=殺した行為の容認

「死体の利用」であれば、その動物に痛み、苦しみ、恐怖を味わわせるといった問題はありませんが、その動物たちは寿命をまっとうしたのではなく、人間によって殺されたことをまず考えるべきです。
死体を解剖するということは、その前段階において、生き物を殺す行為(今回の場合は車で轢き殺す)が必ずや必要になるわけです。よって、「死体なら構わないだろう」と死体の解剖をするなら、生き物を殺す行為をも容認するもの、ということになるのです。

 

犠牲になる動物をなくす努力をしなくなる

野生動物たちが車に轢かれる大きな原因は、山を開発し道路を通したこと、つまり、野生動物たちの住処を人間が荒らしたことにあるわけで、その原因はすべて人間にあります。本来なら、どうやって犠牲になる動物をなくせるかを最優先に考え、対策に全力を講じるのが人間の責任です。
不幸にも人間のせいで死に至った動物を「有効利用」しようという考えは、殺したことへの罪悪感を薄めることにもなります。それは、国民の動物愛護意識や生命尊重の念を低下させ、ひいては事故の防止に全力を傾けようとしなくなります。これでは、野生動物の交通事故は永久になくすことができないばかりか、減少させることすらできません。

 

献体制度とは明らかに異なる

獣医学生の実習において、飼い主から提供を受けた動物の死体、つまり献体を利用する方法が欧米では多くの大学で採用されています。死体という点は同じでも、この献体は、「その動物が治療を施すことができず、そのまま生かしておくことの方が苦しむことになる重大な傷病を患い、獣医学的な判断と、心からその動物を思う飼い主による判断によって、苦痛のない方法で死に至った」、つまり、安楽死となった動物の遺体を飼い主の承諾のもと獣医学実習に利用しています。人間の献体システムとただ一つ違うのは、その動物の意思は確認できないので、飼い主がその代理をしている点です。
交通事故死した動物たちを解剖することは、こういった献体利用とは異なり、「どうせ処分するか、腐敗する死体を活用してやっている」「教材や剥製にすることで無駄にしないでやっている」といった感覚に陥り、死体をモノのように扱うことになり、参加者たちの生命軽視にもつながる恐れがあります。

 

解剖では命の大切さは学べない

「動物をモノや機械として扱うことはできない」のが人間としての倫理観です。死体だからと情け容赦なく切り刻むことなどできるものではなく、また安易にすべきではありません。ましてや、不幸にも人間によって殺された動物たちの死体を教材にするとは許されることではありません。
命の大切さは、命あるもの、命あったものを丁重に扱い、尊重してこそ学べるものであって、解剖して学べることではありません。しかも、高校生のような多感な時期の青少年が、博物館の指導で行われるイベントに参加したら、「動物の体を解剖するのはよいこと」という誤った認識を持ちかねません。

 

知識を身に付けさせるなら、代替法で

生き物の体の仕組みを学ぶ方法には、生体や死体を解剖する以外にも、コンピュータを使用した学習法、ビデオ、3Dの模型など様々あります。
コンピュータを使った代替法を使用すれば、解剖の過程を何回でも繰り返しでき、また一人一人が自分のペースで解剖を行うことができるというメリットがあります。博物館が、市民に動物の体の仕組みを学ばせ、知識を身に付けさせたいと真剣に考えるのならば、こういった代替法を用いるべきです。

 

JAVA、館長に中止を要請

JAVAでは、井上尚明館長に対し、死体の解剖の問題点を指摘し、次の事項を求めました。 

  1. 2月8日に予定されている動物の解剖イベントを行わないこと
  2. 生体、死体を問わず、今後二度と、動物の解剖を市民に行わせないこと
  3. 学芸員であっても、生体の解剖は行わないこと

 

解剖の中止決定!!

後日、JAVAからの中止を求める要望書に対して、井上館長より、以下の文書回答がありました(一部抜粋)。

要望1につきましては、ご意見をいただき改めて内部で検討した結果、今回の事業では解剖は行わず、既存の博物館資料を使うなど、別の方法で動物に関する理解を深めることといたしました。

要望2につきましては、今後は、様々なご意見があることを踏まえ、解剖を目的とした講座ではなく、より総合的に生命の尊さや動物の体のしくみを学ぶことのできる事業を検討してまいります。

要望3につきましては、学芸員による動物の生体の解剖はこれまでも行っておらず、今後も実施の予定はありません。

 

世間では、「死体の解剖にまで反対するの?」「痛みや苦しみを感じないのだから、教材にして有効利用したほうがいいのでは?」といった意見もあります。しかし、JAVAは、ものを言わぬ動物たちの権利を守り、動物たちにやさしい社会にしていかなくてはならないと考えています。動物の命の尊厳を軽んじていては動物実験の廃止は実現できません。そういったことからも、「死体の解剖」についても動物たちがいかにして殺されたかを考え、そして、犠牲になる動物たちをなくすためにどうしたらよいかを最優先に考え、決して「有効利用」をすることを認めてはならないのです。

厚労大臣に化粧品の動物実験廃止を求める署名提出

1月28日 厚労大臣に化粧品の動物実験廃止を求める署名を提出しました!

20140128厚労大臣署名提出

左から:三原じゅん子参議院議員、JAVA亀倉、CFIパーマー氏、ザ・ボディショップ福本社長、
田村厚生労働大臣

 

1月28日(火)、ザ・ボディショップの福本剛史社長、クルーエルティフリーインターナショナル(CFI)の政策ディレクター ニック・パーマー氏とともに、JAVAの理事 亀倉弘美が、田村憲久厚生労働大臣に面会し、化粧品の動物実験廃止を求める116,777名分の署名を提出しました。

この署名は、化粧品の動物実験を世界的に廃止させようと活動している動物保護団体Cruelty Free International(CFI)が、動物実験に反対する化粧品企業ザ・ボディショップと共に、2012年から全世界で展開してきたキャンペーンのなかで集められたもので、JAVAはこのキャンペーンに日本のローカルパートナーとして協力してきました。

詳しくは、ウサギを救え! 化粧品の動物実験反対キャンペーンのサイトをご覧ください!

2014年もよろしくお願いいたします

2014年1月6日

新年おめでとうございます。
本年も動物たちのために尽力してまいります。
どうぞ皆さまの力をお貸しくださいますよう、お願い申し上げます。

2013年のまとめとして、1年間の活動を「活動年表」のページにまとめました。

ここ数年は、化粧品の動物実験廃止活動と動物愛護法改正活動の2大柱が中心となっております。
その他にも、様々なところで動物問題は起きておりますが、JAVAの取り組んだことを知っていただければ幸いです。

動物の死体の払い下げを廃止させよう!

殺処分ゼロを阻害する死体の払い下げを廃止させよう!

自治体の動物管理センターなどの施設に収容された犬猫などの動物が、研究機関や大学などに実験用として譲渡される、「実験用払い下げ」。この長きにわたって行われてきた悪習は、1992年にJAVAが東京都に廃止させたのをきっかけに、平成17年度末をもって、自治体による生きた犬猫の払い下げが全廃となりました 。

しかし、私たちが自治体に求めているのは、単に生きた動物の払い下げに留まらず、放棄される動物、殺処分される動物をなくすことです。今も多くの犬猫たちが殺処分されており、私たちは一刻も早く「殺処分ゼロ」を実現させなければなりません。その「殺処分ゼロ」の妨げになっているのが、殺処分された犬猫の「死体の払い下げ」です。そのため、JAVAは生体の払い下げとともに、死体の払い下げについても廃止実現のために取り組んできました。

「死体なら、殺すわけではないので問題ないのでは?」「もう死んでいて痛みや苦しみを感じないのだから、実験などに利用しても良いのではないか?」「生きた動物が使われるのを減らすことができるのではないか?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
では、なぜJAVAが「死体の払い下げ」にも反対するのか。ここでは、その理由とこの「死体の払い下げ」の廃止に向けた最近の活動をご報告します。

「殺処分された動物の死体の払い下げ」にJAVAが反対する理由

たしかに、「死体の利用」であれば、その動物に痛み、苦しみ、恐怖を味わわせるといった問題はありません。また、たとえば生きた動物の実験の代わりとなり得るケースもあります。しかし、この動物たちは無責任な飼い主によって放棄され人間の都合で殺処分されたことを私たちは忘れてはなりませんし、まず、そのことを考えるべきです。
殺処分された動物の死体の利用には、次のような問題点があるのです。

■殺処分を減らし、なくしていく動物行政への障害となる
日本では、年間約19万頭(環境省 平成23年度データ)もの犬や猫が、自治体の施設で殺処分されています。しかし、本来、殺処分はあってはならないものです。
自治体には、殺処分を減らし、なくしていくために、飼い犬猫を持ち込んできた飼い主に、新しい飼い主を探すよう促したり、不妊去勢手術の実施を啓発したりする責務があります。また、引き取ったとしても、新しい飼い主を探し、生きる機会を与えるようにしなければなりません。自治体によっては、努力しているところもありますが、実際は、持ち込んできた飼い主に何ら指導もせずに、さっさと引き取っていたり、収容した動物を譲渡していなかったりということも多々あり、殺処分中心の動物行政であることは否めません。このような状況において、殺処分した動物の死体が実験利用や経済利用されるシステムが許されてしまっていては、自治体の殺処分をなくそうという意欲がますます減退し、持ち込んできた飼い主への手間のかかる啓発や譲渡事業に対し、今以上に力を注がなくなってしまいます。そうなれば、今後永遠に、無責任な飼い主からの引取りと殺処分はなくならないでしょう。自治体の収容施設は、殺処分を繰り返し、その死体を供給するために作られた施設ではありません。自治体は本来の動物愛護業務に全力を注ぐべきなのです。

■ 死体の払い下げを認めることは、無責任な飼い主を認めること
たとえば、医学研究や教育のために動物の死体の払い下げが必要というならば、その払い下げ動物を提供している、動物の飼育を途中放棄する無責任な飼い主も同じく必要ということになります。また、自治体の死体の払い下げを支持するということは、飼い主に見捨てられ、殺処分される動物が永久に存在することを求めているのと同じことです。それはまた、放棄した無責任な飼い主が、「人の役にたった」などと考え、放棄したことへの罪悪感を薄めることにもなります。これでは、繰り返し自治体に持ち込むような常習者をなくすことができないばかりか、国民の動物愛護意識を低下させてしまいます。行政や動物保護団体が引取りや殺処分を減少させようと懸命に取り組んでいるなか、無責任な飼い主の存在を維持させるような払い下げは断じて許されません。

■「死体の払い下げ」と「献体システム」の違い
「死体」という点は同じでも、EMP(Educational Memorial Program教育メモリアルプログラム)のケースであれば、これまで述べたような問題は発生しないので、検討の余地はあるでしょう。EMPとは、「その動物が治療を施すことができず、そのまま生かしておくことの方が苦しむことになる重大な傷病を患い、獣医学的な判断と、心からその動物を思う飼い主による判断によって、苦痛のない方法で死に至った」、つまり、安楽死となった動物の遺体を、飼い主の承諾のもと、獣医学実習に利用する、いわゆる献体です。これは、人間の献体と同じシステムであると言えます。ただ一つ違うのは、その動物の意思は確認できないので、飼い主がその代理をしている点です。
EMPは、アメリカの7つの大学で実施されていますが、この場合、かかりつけの獣医師から今までのカルテを入手することが可能で、病歴などの情報が実習に大いに役立ちます。さらに、献体の場合、その動物の名前などもわかっていますので、飼い主に大切にされてきた動物、家族の一員だったという認識を学生が持つことで、遺体を丁重に扱います。
それに対し、殺処分された動物はその由来が不明で、どんな環境で暮らしてきたか、どのような病気を持っていたかなどが全くわからないのです。そして、「処分された犬猫」であれば、ミスしても「自治体にたくさんあるからまたもらえばいい」と命を軽んじたり、「不要とされた犬猫の死体を活用してやっている」といった死体をモノのように扱う感覚に陥ります。死体の払い下げは、将来は獣医師や医師という命に関わる職業に就くであろう学生たちの生命軽視にもつながる恐れがあります。

■「死体の有効利用」があっては、殺処分はなくならない
そもそも、研究機関は自治体の動物行政に関わるべきではないのです。今までの生きた犬猫の払い下げのケースでは、「金銭の授受」という不透明なお金の出入りが実際にありました。死体の払い下げも、そういった問題に発展しかねません。
自治体に対しては、研究機関との癒着関係を断ち切り、動物愛護行政を貫き、専念することを私たちは訴えていかなければならず、それにはまず、私たちが「殺処分を必ずなくす」「殺処分ゼロは実現できる」という強い信念を持つことが重要です。

状況は全く異なりますが、たとえば、密猟されたゾウの象牙について考えてみてください。アフリカの国でゾウを殺し、象牙を獲っていた密猟者が摘発され、その象牙が山積みにされ、焼却される光景をご覧になったことはないでしょうか?高価な象牙を売却すれば国が潤うのは明らかであるにもかかわらず、あえて、それらを焼却処分するのはどうしてでしょうか?「もう殺されてしまったわけだから」「もったいないから」と考え、密猟で手に入れた象牙で国が利益を得てしまえば、誰も密猟をなくそうと努力しなくなってしまい、結果、密猟は永久になくならないのです。殺処分と密猟は、違うものではありますが、「なくすべきもの」という共通点があります。「密猟された象牙を売却し、利用してしまえばよい」という考え方は、「死体を払い下げて利用しよう」という考え方と同じなのです。

動物の死体の取扱いについては、昨年の動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)の改正の際、国会でも議論され、衆参両議院の環境委員会決議において、「五 動物の死体については、我が国の伝統的な動物観や近年における動物愛護の精神の浸透を踏まえて取り扱うよう努めること。(以下省略)」と盛り込まれました。
昨今、動物霊園にお墓をつくる人、遺骨を自宅で大切に持ち続けている人が増え、さらには飼い主と動物が一緒に入れるお墓ができているなど、時代と人々の動物愛護意識の変化を考えても、動物の死体を丁重かつ畏敬の念をもって扱うべきであるのは言うまでもありません。
実際、殺処分は徐々にではあっても、減ってきています。そして、改正動物愛護法には、「引取りを行った犬又は猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者への返還もしくは、飼養を希望する者への譲渡に努める」旨が盛り込まれました。
一日も早く殺処分をゼロにするにはどうすべきかと考えた場合、殺処分された死体の払い下げを「死体なのだから良いだろう」と考えるのではなく、殺処分されたその動物は、どうやって、そうなったのか、その背景や経緯を深刻にとらえ、放棄した飼い主とその行為に批判の目を向け、否定しなければなりません。それと同時に、無責任な飼い主の行為によって生まれた、殺処分された動物の死体の有効利用にもNOと言う強い姿勢を持たなければなりません。無責任な飼い主の行為が元で生まれた死体を有効利用することは、その行為を容認することにもなるのです。
このような理由から、JAVAは殺処分された動物の死体の払い下げや有効利用に断固反対し、その廃止を目指しています。

払い下げ実施は3自治体
2自治体は廃止を決定、残る奈良県に廃止させよう!

「払い下げ」の根拠とは
「収容された生きた動物の払い下げ」、そして、「殺処分された動物の死体の払い下げ」。これらを自治体が実施する根拠となっているのが、動物愛護法にもとづく「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」(以下、引取りの措置。見直しにより、2013年9月に「犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」に改正)です。この措置に、これら払い下げが、収容した動物や殺処分した動物の死体の処分方法の一つとして認める記述があるのです。

生体の払い下げは、実際は廃止になっているもかかわらず、この記述は残っていました。昨年の動物愛護法の改正にともなって、引取りの措置の見直しも行われ、この「実験用払い下げ」の一文が削除されるという、JAVAの長年の働きかけが実りました。
一方、「死体の払い下げ」については、次のように引取りの措置に規定されています。

第5 死体の処理
「動物の死体は、専用の処理施設を設けている場合には当該施設において、専用の処理施設が設けられていない場合には廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)の定めるところにより、処理すること。ただし、化製その他の経済的利用に供しようとする者へ払い下げる場合は、この限りでない。

JAVAは、この下線部分を削除することで、死体の二次的利用、有効活用を廃止させるよう、環境省に強く求めてきました。

JAVAの調査で、死体の払い下げ実施は3自治体と判明
鳥取県と横浜市はJAVAの働きかけで廃止を決定!
環境省における、この引取りの措置の見直しの審議を行う、昨年5月17日の中央環境審議会動物愛護部会のなかで、委員から、「死体の払い下げについて削除しないのは、まだ払い下げがあるからか?」との質問があり、田邉動物愛護室長より「死体の払い下げの現状が確認できていない。調査して確認できたら、修正したい」との答弁がなされました。この答弁はつまり、引取りの措置から死体の払い下げの記述を削除するには、まず、死体の払い下げの実態の把握が先決ということです。
そこでJAVAは、この部会直後、5月~6月にかけて、犬猫の引取り業務を行っている全国の都道府県・指定都市・中核市全109自治体に対して、死体の払い下げの有無の緊急調査を行いました。その結果、下図のとおり払い下げを行っているのは全国109自治体中、横浜市、鳥取県、奈良県の3自治体のみと判明しました。その後、鳥取県と横浜市はJAVAの働きかけにより、払い下げを廃止し、残るは奈良県のみとなりました。

死体の払い下げを実施していると回答した自治体とその内容

自治体名 死体の利用目的 金額 廃止予定  廃止しない理由
横浜市 教育・試験研究 無料 依頼に応じて対応
鳥取県 教育・試験研究 無料 社会的状況を考慮し必要に応じて検討
奈良県 三味線 無料 伝統的な技術・技能であって、文化財保存のために欠くことのできないものとして本県が選定した三味線皮製作技術の保存に必要であるから。

環境省は、払い下げ実施自治体がある以上、措置は変えない消極的姿勢

注目すべきは、全国109自治体のうち、現在も死体の払い下げを行っているのが、奈良県のみという状況で、これはつまり、死体の払い下げは全国的に廃止されたも同然との現状を示すものです。すでに社会は生体の払い下げと同様に「死体の払い下げ」をも拒絶し、これに自治体も応じているということです。もはや「死体の払い下げ」を容認する規定を残す根拠や意義はないのです。
先に述べたとおり、「死体の払い下げ」にはいくつもの問題点があります。たった1自治体のために、この「死体の払い下げ」という悪習を認める記述を残すべきではありません。
JAVAは、環境省の動物愛護室長と室長補佐に面会し、直接、この調査結果を示したうえで、死体の払い下げの根拠となっている「ただし、化製その他の経済的利用に供しようとする者へ払い下げる場合は、この限りでない」という一文を削除することを求めました。またその旨のパブリックコメントも提出しました。
それに対して環境省は、「奈良県が払い下げをしていることは知っていたが、鳥取県と横浜市のことはJAVAの調査で初めて知った」とのことで、やはり実態すら把握していなかったのです。さらに、「払い下げている自治体が皆無であるなら別だが、動物愛護法における死体の扱いの定義もできていないのが現状である」として、死体の扱いについて示した条文の改正は時期尚早、今回は見送るという姿勢でした。
「すべての自治体で死体の払い下げが廃止されたなら、規定は削除する」というのは、それは単なる文言の直しであって、「改正」ではありません。動物愛護部会での審議やパブリックコメントなどを受けて、より良い「措置」にしようとするならば、たとえ払い下げを実施している自治体があろうと、良くないことはやめさせる「改正」をしなければなりません。しかし、結局、環境省は消極的な結論を下し、死体の払い下げに関する記述はそのまま残ってしまいました。

唯一、払い下げを続けている奈良県へ
皆さんから「廃止を!」の声を届けてください
環境省の姿勢から、死体の払い下げを日本からなくすためには、まず払い下げを実施している自治体をなくし、そして、根拠となっている引取りの措置の記述を削除する、という、生体の払い下げと同じ段取りで進めていかなくては難しいことがわかります。

残すは奈良県のみ、です。
奈良県は、「伝統技術の保存のため」として「奈良県選定保存技術者」である民間の業者に三味線用に払い下げを行っています。「奈良県選定保存技術者」はたった1人であり、つまり、その1人の技術者を優遇し、猫の死体を譲り渡しているのです。
行政の業務は本来、法律に基づく公正なものでなければなりませんが、払い下げに関する業務費用はすべて県民の税金で賄われており、1人の県民への不当な税金運用であるといえます。
それに加えて、県民から引き取った犬猫、捕獲した犬などは県有財産であり、それと同様に死体も県有財産であることから、それを特定の人物に譲り渡すということは、一部県民に対する不当な優遇でもあるのです。
長年、実施していた生体の払い下げに関連して、全国自治体の動物行政と民間の業者との間で様々な問題が発生しました。それは悪質なものでは金銭授受といった不正であったのです。動物行政の使命は払い下げる動物をなくすことです。払い下げ先の業者と密接な関係を続けるために払い下げ動物を確保することではありません。

JAVAは奈良県に対し、死体の払い下げをやめるよう求めましたが、「県では、平成7年に奈良県文化財保護条例に基づき、県選定保存技術(県内に存する伝統的な技術又は技能で文化財保存のために欠くことのできないもののうち県として保存の措置を講ずる必要があるもの)として、三味線皮製作技術者を認定しています。その文化財保存の重要性に鑑み、平成20年から猫の死体の払い下げに関して制度化しているものです。」と、「伝統」「文化」を理由にして廃止する気がまったくありません。
三味線には昔から犬や猫の皮が使用されていますが、国民の動物愛護意識が年々向上していることを考えても、飼い主に見捨てられ、殺処分された猫を三味線の皮に転用する事は時代に逆行しており、国民の理解を得ることはできません。

<奈良県>
県知事:荒井正吾
〒630-8501 奈良市登大路町30
TEL:0742-27-8327(県民相談広聴係)
FAX:0742-22-8653(県民相談広聴係)
Eメール:奈良県ホームページ・県政の窓(送信フォーム)

(JAVA NEWS No.91より)

12月パネル展のお知らせ

2013年12月6日

早いもので、今年最後の月となりました。パネル展のお知らせです。

<千葉・柏><静岡・浜松>の地域でパネル展を行います!
寒くても頑張って活動していますので、ぜひ、見にいらしてください。お待ちしています!

【12/8(sun) 千葉・JR柏駅】
●日時:2013年12月8日(日) 11:30~17:30
●場所:JR柏駅東口 ペデストリアンデッキ ビックカメラ前
※雨天の場合は、14日(土)に延期します
※地元・千葉の動物保護団体「ピアチェヴォーレ・ビアンカ」との共同開催です。

2013年9月千葉パネル展

 

 

 

 

 

 

 

【12/22(sun)・23(mon) 静岡・JR浜松駅】
●日時:2013年12月22日(日)・23日(月祝) 12:00~18:00
●場所:JR浜松駅北口広場 遠鉄百貨店正面入口前 プラタナスの横
※雨天の場合は中止です
※地元の動物保護団体「Go!Cat’s」「サークルマム」との共同開催です。

◎千葉と静岡では、動物実験や毛皮の実態を伝えるJAVAのパネルの他、共催団体の里親探しや譲渡会についてのパネルも展示します。

H&M、アンゴラ製品の生産を永久に停止!

2013年12月3日

日本でも若者を中心に人気があるスウェーデンの大手アパレルメーカーH&Mが、アンゴラウサギの毛を使った製品の販売を永久に停止しました!

きっかけは、米国に本部を置く国際的な動物保護団体PETA(動物の倫理的扱いを求める人々)がインターネットで流した中国アンゴラ農場の調査ビデオです。そのビデオは、体が真っ直ぐ伸びるように手足を紐で縛られ、木の粗末な長イスに拘束され自由を奪われたウサギが映し出されたところから始まります。そして、ウサギの足元に座った男に、その豊かな柔らかい毛をわしづかみにされ、乱暴にむしり取られていくのです!普段はほとんど声を出すことのないウサギたちが、恐怖と痛みから鳴き叫び続けている様は見るに絶えません。
顔と手足以外の毛はむしられるという拷問に耐えて、やっと元の檻に放り込まれたウサギたちは、真っ赤にただれた皮膚の痛みをなぐさめるように体を舐め始めるものもいれば、そういった気力もなくショック状態に陥り、まるで首の重みに耐えられないかのように不自然に首を回すだけのものもいました。このあまりにも痛ましい行為は1回では終わりません。毛が生えそろう3か月ごとに繰り返されるのです。

PETAによると、世界中で生産されるアンゴラウサギの毛の90%は、中国で生産されているとのことです。PETAは12か所の農場の調査を行いましたが、それらの農場では、ウサギたちは2~5年にわたり毛を引き抜かれる痛みにあえぎ、苦しんでいるのです。
H&Mは、このビデオを見た後、取引しているアンゴラ農場を厳しく調査しました。その結果、同社の製品ポリシーが守られていることは保証できないとして、アンゴラ製品の生産をやめることを決定したのです。

毛をはがされるアンゴラウサギ

PETAの掲載サイト(英語)

You Tube「The Truth Behind Angora Fur」

飼い主が捜していた猫を行政が殺処分

札幌市、飼い主が捜していた猫を殺処分

-市は、所有者の確認方法などの改善策を打ち出す-

動物管理センターのずさんな対応のせいで、「飼い猫が行方不明になった」と届け出たのに、殺処分されてしまった・・・こんな悲惨な事件が、2013年5月、札幌で起きました。

JAVAは札幌市に対して、再発防止と、収容された動物にできるかぎり生かす機会を与えるよう、システム改善を働きかけました。

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事件の経緯

「首輪をしていたのに・・・飼い猫を誤って殺処分」「飼い猫を誤って殺処分 札幌市、首輪に気付かず」「<動物管理センター>飼い猫を誤って殺処分 札幌市」と報道各社の記事でご存知の方も多いでしょう。
JAVAは、札幌市に対して公開質問状を提出し、今回の経緯を確認するとともに、札幌市の引取りや所有者有無のチェックシステム等についての質問を行いました。
それに対する札幌市からの回答や、報道内容、札幌市動物管理センターから出された報道機関各社あての文書「飼い主のいる猫の致死処分事案について」をまとめると、経緯は次のとおりです。

  •  5月31日、札幌南署から、その猫を「迷い猫」として、札幌市動物管理センター福移支所が引き取った。
  •  警察からの書類(引き取り願い書)には首輪がついている旨が記載されていたが、センター側では、書類(預かりリスト)を作成しなかった。
  •  預かりリストを作成しなかった理由は、引取り依頼のあった猫を警察から事前に聞いたサイズから子猫と判断し、子猫については野外にいる猫の出産がほとんどであり、飼い主の引取りを前提としていないため。
  •  センターの獣医師が伝染病有無など状態を確認しようとしたが、籠から出てこなかった。
  •  「唸る」「前足を出す」といった威嚇行動があったため、その獣医師がケージの扉を少し開け、猫を正面から見ただけで「攻撃性があり、保護困難」と判断し、同日、炭酸ガスにて殺処分した(「札幌市動物管理センター収容動物等取扱要綱」では、成猫は原則4日(閉庁日除く)収容することになっているが、攻撃性があり、保護困難と判断した場合、即日殺処分できる)。
  •  首輪が毛に隠れていて獣医師は気づかなかったが、殺処分直後、首輪に気づいた。
  •  その猫に対してはマイクロチップの読み取り作業も実施しなかった。気の荒い猫の場合、網の袋に移して読み取り作業を行うが、その猫はかなりの凶暴性を示し、体格も大きい猫で、獣医師1人では、袋への移し替えができないと判断してしまったため。
  •  殺処分の約1時間後、飼い主から「飼っている猫が迷子になった」と連絡があったが、預かりリストを作成していなかったため、該当なしと回答した。
  •  首輪の付いた猫を殺処分したと報告を受けた指導係長が、届け出のあった猫と特徴が同じであることに気づき、飼い主が判明。

猫を見る前に子猫と断定して、必要な書類を作成しなかったり、 恐怖で威嚇する猫を“大きな凶暴猫だから”と殺処分を即決してしまうなど、いい加減に扱っていて、その猫を助けよう、生かそうという姿勢がまったくないのです。

飼い主への返還と譲渡に全力をあげるのは義務

今回、猫が殺処分されてしまった大きな原因の一つが、獣医師による確認が、ケージの扉を少し開け、正面からのぞいて見ただけであり、それにより首輪を見落としたことにあったといえます。このようなずさんなチェックで終わらせるとは、職務怠慢の極みです。札幌市は「猫がかなりの凶暴性を見せたから」と、十分な確認をしなかった理由を述べていますが、知らない場所に連れてこられたなら、動物がパニックになり、身を守るために攻撃性を示すのは当たり前のことです。

「攻撃性があるから」という理由で、いい加減な確認作業だけで済まされ、ましてや即日殺処分を決めるとは、極めて安易な判断であると断じざるを得ません。
いかなる性格の犬猫であろうと、殺すことを優先するのではなく、あらゆる方法を用いて生かすよう、全力をあげるべきで、それが動物行政の務めです。
攻撃性のある犬猫には、気持ちが落ち着くよう安心できる環境に置いて、十分な期間を設けて、飼い主への返還や飼育希望者へ譲渡するよう最大限に努力しなければなりません。

「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」にもとづく「犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」において、飼い主への返還に努めること、また飼い主が判明しない犬猫については、できるだけ生存の機会を与えるように努めることが規定されています。そして、2013年9月1日から施行されている改正動物愛護法には、これらは法律本文にも盛り込まれています。札幌市の対応はつまり、動物愛護法に反していると言っても過言ではないのです。

札幌市の再発防止・改善策

殺された命は戻りはしませんが、動物たちが二度と犠牲にならないように、JAVAは札幌市に対して、再発防止の徹底を求め、また攻撃性を見せている犬猫についても、できる限り生かすようなシステムに改善するよう強く求めました。そして、札幌市からは、今後の再発防止・改善策として、以下の回答がありました。 

 

【「預かりリスト」の全件作成】
 警察署からの引き取り依頼の際に、子猫・成猫の例外なく「預かりリスト」を作成するよう改めた。 

【引き取った飼い主不明猫の確認体制の改善】
引き取った飼い主不明猫は動物管理センター(八軒:動物管理センターには八軒の他に福移支所があり、福移支所は収容・処分・火葬業務を担当)に収容し、2名以上の獣医師を含む複数の職員でリストの照合と併せて、首輪・マイクロチップの有無、感染症の有無、性別等、特徴の確認を行い、個体カルテ(病状の有無)へ記録する体制とした。 

【動物の収容環境の改善】

  1. 収容した猫は成猫子猫を問わず動物管理センター(八軒)に収容し、環境に慣らす為、一晩以上の保管を原則とする。
  2. 攻撃的な行動を示す個体であっても、給餌時に馴致を試みるなど継続して観察を行う。
  3. 特に攻撃的な行動を示す個体は、獣医師及び作業管理者以外は謝絶とし、作業時以外は消灯する等、動物が安心できる環境を作る。 

【慎重な致死処分判断の実施】
引き取った飼い主不明の猫については、収容時に攻撃的な行動が見られる個体でも、十分な経過観察を行ったうえで、処分の必要性について判断するよう改めた。また、処遇の決定を行うにあたり、複数の獣医師で個体を確認する体制とした。 

【致死処分の意思決定の改善】
収容した動物の致死処分にあたり、処分伺いの様式を見直し、担当獣医師のみの判断ではなく、事前にセンター所長までの決裁を経た後に実施するよう改めた。

これに伴い、動物管理センターの業務マニュアルである「動物管理センター収容動物等取扱要綱」、「動物管理センター収容動物管理要領」、「動物管理センター収容動物譲渡要領」及び「動物管理センター収容施設等管理要領」を改正、施行。 

札幌市については、まずはこれらの改善策がきちんと実施されるか、今後も注視していかなくてはなりません。そして、不十分な点については、さらなる改善を働きかけていくことも必要でしょう。

名古屋市でも同様の事件があった

2006年には、名古屋市でも同様の事件がありました。猫の名前は、ふうちゃん。行方不明になってしまったため、飼い主が名古屋市動物愛護センターに失踪届けを出しました。その2ヵ月後、保護した市民がセンターに連れていき、センターで収容されたにもかかわらず、殺処分されていたのです。
飼い主から相談をされたJAVAが調査した結果、センターが失踪届けをたった過去1月分しか検索しなかったことが最大の原因であることが判明しました。飼い主はその前月に届け出ていたため、検索から漏れたのです。JAVAでは名古屋市に対して、失踪動物保護管理システムの見直しを働きかけました。

地元自治体の動物行政に目を光らそう!

今回の札幌市の事件も、2006年に起きた名古屋市の事件も、どちらも飼い猫が殺処分になったことで自治体のシステムの問題が明らかになりましたが、問題のある自治体は他にも存在します。これ以上犠牲を出したくありません。今後、JAVAでは他の自治体に対しても徹底的に追及していくつもりですが、日ごろから、皆さんも地元の自治体の動物行政に目を光らせ、引取りや収容のシステムや、収容した動物の扱い(何日収容して、どういった基準で譲渡にまわしているか、など)を問い合わせたり、問題があったら改善を求めるなどして、殺処分ゼロ実現を目指していきましょう! 

(JAVA NEWS No.91より)

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