JAVA:NPO法人 動物実験の廃止を求める会(Japan Anti-Vivisection Association)

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動物実験の廃止を求める

<内部告発>北里大学獣医学部で、牛の無麻酔放血殺

JAVAに届いた内部告発
北里大学獣医学部で、牛の無麻酔放血殺

届いた内部告発

1月下旬、北里大学獣医学部に関する次のような内部告発文がJAVAに届きました。

  • 平成26年12月19日の午後に病牛の病理解剖が行われた。
  • その場において、大動物臨床学の教授が、その牛を食べようと言い出し、獣医病理学の准教授が同意した。

  • その牛は無麻酔放血殺させられ、苦しそうにうめきながら死んでいった。

  • 解剖中に肉も取られた。

  • 大学に訴えたがなにもない。大学外部からも訴えてほしい。

告発者の特定につながる恐れがあるため、原文掲載はできませんが、悲痛な思いが伝わってくる手紙でした。

残酷かつ不適切な「無麻酔放血殺」

「無麻酔放血殺」は、牛の意識がはっきりした状態で頸動脈を切り、放血させ、時間をかけて失血により死に至らせるという、牛に多大な苦痛・苦悶をあたえる残酷な方法です。国内の獣医大学で採用されている教科書においても、牛の安楽死の「許容できない方法」として「放血」が挙げられています。「放血」する特殊な場合には「麻酔下で行う」とも書かれていて、牛に最適な麻酔薬として「バルビツレート」が紹介されています。JAVAが2010年に、社団法人(現公益社団法人)日本獣医学会に対して、無麻酔放血殺は安楽殺か否か照会をしたところ、「安楽殺ではない」との明確な回答がありました。
動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)では、「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない」と定められており、同法に基づく「動物の殺処分方法に関する指針」においては、「殺処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、・・・」とあります。そして、「苦痛」の定義として、肉体的な痛みだけでなく、苦悩、恐怖、不安等も含まれると定めています。つまり、北里大学が行った無麻酔放血殺という方法は、動物愛護法に違反するといえるのです。

JAVAの取り組みで廃止の流れに

牛の無麻酔放血殺は、過去に、東京農工大学や酪農学園大学においても行われていたことがわかっていますが、いずれもJAVAの指摘を受け入れ、この方法を廃止しました。

酪農学園大学での無麻酔放血殺の実施については、2008年、その凄惨さに耐えかねた学生を含む関係者の方たちからJAVAに寄せられた内部告発によって発覚しました。同大学では、一人の女子学生が学長に、放血前に麻酔の投与を行うように直訴していましたが、学長は黙殺し、その後、その女子学生は自らの命を絶つという最悪の事態を招きました

JAVAは、当時、酪農学園大学のみならず、「全国大学獣医学関係代表者協議会」に対しても、加盟大学における牛の殺処分方法の改善を働きかけました。そして、それに対して、北里大学の柴忠義学長(当時)をはじめ、加盟全12大学(当時)の学長連名で「動物の愛護及び管理に関する法律にのっとり、できるだけ動物に苦痛を与えない方法による『安楽殺処置』を講じることにより行うことが求められるところである」との回答を得ていました。

JAVA、即刻、北里大に働きかけ

今回の北里大学において、無麻酔放血殺が行われたことは、つまり、動物愛護法にも、過去に自ら出した方針にも、背いたということです。拷問ともいえるこの残虐行為は、到底許されるものではありません。JAVAは即刻、学長に対して、徹底調査と然るべき対処をし、JAVAにその報告をすること、無麻酔放血殺を廃止すること、さらに、現行の動物実験・実習を見直し、動物を犠牲にしない方法を用いることを求めました。

北里大からの回答

後日、学長名にて、JAVAの要望書を受けたのち、特別調査委員会を立ち上げ、調査し、告発内容が事実であったこと、同大学ではすでに無麻酔放血殺は廃止されているが、今回、違反があったため、対処したことが記された回答文書が届きました。

「採取した肉は焼却処分」

大学からの最初の回答では、解剖した牛の肉を食べようとしたことについて、一切触れられておりませんでした。そのため、JAVAでは、この点についての事実関係ならびにその後の対処について、再度問いました。後日、「病理解剖において、牛の肉の一部が持ち出されたのは事実で、採取したままの状態で冷蔵庫に保管されており、獣医学部長の命により、12月24日にすべて焼却処分した(食べたり、学生等に配った事実はなかった)」との回答がありました。
今回の一連の問題にかかわった教員に対する処分は、懲戒委員会を立ち上げて、審議中とのことです。

北里大学のウェブサイトには、「北里大学獣医学部における牛の無麻酔放血殺とその対策の実施について(お詫び)」として、今回の問題の経緯と対処について掲載されています。

内部告発を活かして

無麻酔放血殺を行ったことは、牛を苦しめたということのほかに、学生たちに間違った方法を見せ、内部告発がなければ、彼らはそれが通常の方法と認識してしまうところであったことも大変大きな問題なのです。
内部告発者の方は、まず大学に訴えましたが、大学側が動いてくれる様子がないため、JAVAに助力を求めてきました。外部のJAVAから働きかけたことが、大学を動かすのに大きな後押しとなったと言えるでしょう。
ご存知のとおり、動物実験は密室の行為です。情報開示請求や第三者評価制度による審査結果を見ても、その真の実態はつかめません。そういったことからも、内部告発は動物実験廃止の活動には、重要かつ不可欠なのです。JAVAでは、ウェブサイトで「企業や学術機関など密室で行われている動物実験の実態をご存じでしたら、ぜひ情報をお寄せください。告発者の方の秘密は厳守いたします。ぜひ勇気をもってご連絡を!」と呼びかけるなど、常時内部告発を受け付ける体制をとっています。実際、多くの告発が寄せられています。今後もこの体制を継続し、内部告発という貴重な情報を生かし、動物実験の廃止につながる取り組みをしてまいります。

富山大学における遺伝子組換えラットの不正取扱い問題

自主管理と第三者評価では、動物実験はなくせない
富山大学における遺伝子組換えラットの不正取扱い問題でも明らかに

報道でご存知の方も多いと思いますが、2014年7 月に、富山大学の生命科学先端研究センター動物実験施設において、不活化(殺処分)措置をとったはずの遺伝子組換えラット3 匹が、蘇生した状態で死体一時保管冷凍庫内にて発見されたという問題がありました。

遺伝子組換え動物の使用については、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」で規制されています。富山大学では、この法律とそれに基づく大学の規則にのっとって遺伝子組換え動物を扱うことになっています。しかし、それらに違反し、遺伝子組換え動物の実験や保管等を行う「管理区域」の外で、不活化措置、ケージ間の移動が行われていたのです。
さらに、その後の大学の調査で、同動物実験施設において実施された遺伝子組換え動物の殺処分のうち、管理区域外で行われたものが平成17 年度以降に少なくとも128 件あることが判明しました。

富山大学は文部科学省による現地調査と厳重注意を受け、10月にこの一件について双方から発表がなされました。

富山大学のプレスリリース(PDF)

文部科学省の報道発表

rat-NAPA

photo/Norwegian Animal Protection Alliance
※この写真は富山大学とは関係ありません

JAVA、富山大学と国動協・公私動協に質問状を提出

そもそも、このような異様な事件が発生するのは動物を用いた非倫理的な実験を行っているからに他なりません。JAVAは実験の削減やシステムの構築が目的ではなく、動物実験廃止の実現を大前提に、研究機関における様々な事件や問題に対して追及の機会を逃すことなく対応しています。

今回の富山大学の事件に関しても、そのような方針に基づき、11月、JAVAは、事実確認と問題の追及を行い、富山大学学長あてに公開質問状を提出しました。
また、「動物実験に関する相互検証プログラム」*1 において、富山大学に訪問調査を行い、「適正」と評価していた国立大学法人動物実験施設協議会(以下、国動協という)・公私立大学実験動物施設協議会(以下、公私動協という)の検証委員会委員長あてにも公開質問状を提出しました。

  1. *1文部科学省告示「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(基本指針)」の規定に基づき、加盟している大学同士で、各大学の動物実験の実施体制が基本指針に適合しているかを訪問調査のうえ、評価するプログラム。

質問状への回答が届く

12月、富山大学からは、遠藤俊郎学長と同大学動物実験委員会の西条寿夫委員長名で、国動協・公私動協からは、「動物実験に関する相互検証プログラム」の八神健一検証委員長名で回答が届きました。

<富山大からの回答(PDF)
※PDFは、読みやすいように、富山大学からの回答にJAVAからの質問を挿入したものです。

回答から、富山大学は今回の違反を重く受け止め、再発防止ための策をいち早く講じたと言えると思います。しかしながら、「遺伝子組換え動物は管理区域内で扱う」という基本的なルールすら守られていなかったということには驚かされます。管理区域外での殺処分という違反が過去に128件もあったということは、これが常習化していた証でしょう。
殺処分とその後の死亡確認の不手際で、冷凍庫内でラットが蘇生した問題については、実施したのが留学生で日本語の理解が不十分だったから、責任者の教育が不十分だったからと、その理由を説明しています。しかし、留学生の語学力に関係なく、殺処分措置を的確に実施できない人物に任せたということ自体に問題があります。
今回の問題は遺伝子組換え動物についてのみ取り上げられたものですが、このような大学そして動物実験関係者の意識の低さを考えると、それ以外の実験動物の管理・取扱いにも多くの問題があるのではないかとの疑いを禁じ得ません。

<国動協・公私動協からの回答(PDF)

回答では、ラットが蘇生した問題、そのラットが管理区域外においてケージ間で移し替えられていた問題を訪問調査で見抜けなかった理由を、「動物実験に関する相互検証プログラム」の訪問調査時に「発生していなかった」「遭遇しなかった」と説明しています。
また、平成17年度以降、128件もあった管理区域外での殺処分については、「大学側の自己点検・評価の報告書への記載がなかったため」と説明しています。
つまり、これは訪問調査がいかに信頼性がないかを証明するに十分な一件であり、他の大学に対する訪問調査でも多くの問題が見落とされた可能性は大いにあると言えます。

自主管理と第三者評価の問題が露呈

動物実験者の多くは、動物実験の規制は「自主管理で十分」と主張しています。実際、大学を含め、どこの動物実験施設も自主管理を行っているわけですが、今回の富山大学の一件だけをみても、自主管理では明らかな違反であっても放置されることがわかります。

では、第三者が介入すればいいのでしょうか。「自主管理では不十分で、第三者機関による査察が必要」といった意見もあり、動物実験に反対する市民の方たちからもこういった声が多く聞かれます。しかし、国動協・公私動協による第三者評価制度「動物実験に関する相互検証プログラム」では、今回の問題が見落とされ、富山大学に対して「適正」との評価が下されていたのです。

アメリカでは、AAALACインターナショナル(国際実験動物ケア評価認証協会)による施設の第三者認証が普及しており、2007年10月29日現在、622施設が認証を受けています。普及している理由には「社会的信頼が得られる」「動物実験反対活動家への牽制にもなっている」といったこともあげられているのです。しかし、アメリカでは、サルを虐待するなどの動物福祉法に反する行為をしていてもAAALACの認証を維持している施設がいくつもあるのです。

日本では、研究界の中枢組織である日本学術会議は、「動物実験に対する社会的理解を促進するために」と題した提言書を2004年に出していますが、それには「統一ガイドラインの基準が満たされていることを第三者の立場から評価・認証する機構を設けること 」と記述があります(下線はJAVA)。
ここからも、第三者評価とは、動物実験者側が、動物実験反対の声を抑えるために考えた制度であるかがお分かりいただけるでしょう。

JAVAでは以前から、第三者評価について異議を唱えてきました。第三者評価は動物実験を守るための「隠れ蓑」となる制度であり、動物実験の廃止を阻害するシステムであるからです。第三者評価制度で「査察」をうけ「認証をされた」「適正と評価された」と聞けば、「ここの研究機関は大丈夫ね」というイメージを持たれることになるでしょう。しかしながら、それはイメージだけで、現実的には動物を救うことはできないのです。第三者評価は、良くて実験動物の福祉の向上であり、今回のように法律違反すら指摘できないケースもあるわけで、動物実験を廃止できるどころか、その妨げになってしまうのです。

動物実験廃止のために最も重要なことは何かというと、それはまさに、「動物実験反対の世論を高めること」です。現に、EUにおける化粧品の動物実験廃止が実現した大きな要因は、動物実験反対の世論が高まった結果、動物を犠牲にしない研究方法が強く求められるようになり、代替法研究が発達したためと言われています。そして、日本でも化粧品最大手の資生堂やマンダム、コーセー、ポーラが国内での廃止を決定しましたが、これは法律が改正されたからでも法規制ができたからでもありません。それは私たち消費者の声で成し得たことです。これからも「動物実験反対」の声をあげ続けていきましょう。

「ヒトiPS細胞を利用した安全性薬理試験法の実現にむけて」聴講報告

第11回医薬品レギュラトリーサイエンスフォーラム
「ヒトiPS細胞を利用した安全性薬理試験法の実現にむけて」聴講報告

2014年12月9日(火) /日本薬学会長井記念館(東京)

ひとつの新薬の開発には10年を超える期間と、一千億に届くほどの資金と、膨大な数の実験動物たちの犠牲が伴っています。人間のための薬を作るために、ヒトiPS細胞を利用することは、科学的にも倫理的にも最良の道であるように思われますが、最新の研究はどのようになっているのでしょうか。
日本薬学会レギュラトリーサイエンス部会によるフォーラムでの、いくつかの発表を報告します。

ヒトiPS細胞が2007年に樹立されてから8年が経ち、再生医療、病気の解明のみならず新薬の開発にも実用できるのではないかという関心が高まっている。
新薬は、まず薬となりえる成分の発見から始まり、候補として適しているか等必要な基礎研究が2~3年行われる。次の段階では、その有効性や安全性を確認するために、以下のような非臨床試験にて3~5年の間様々な試験が行われ、そこで多数の動物が使われる。

  • 薬効薬理試験
  • 安全性薬理試験
  • 薬物動態試験 (薬が体内に取り込まれ、様々な器官を通り排出されるまでの影響)
  • 毒性試験 (一般・特殊)

これらに合格すれば人への臨床試験にすすみ、さらに3~7年の試験が行われるが、開発が中止に追い込まれたり、あるいは市販までこぎつけたものの撤退せざるを得なくなる場合が非常に多い。その原因の大半が、後になってから毒性が強いとわかることにあるという。

今回のフォーラムでは、約半分が国立医薬品食品衛生研究所薬理部からの発表だった。この機関では、医薬品、食品添加物、家庭用品に使用される化学物質の作用を研究している。

同研究所薬理部長である関野祐子氏がはじめに総括を述べた。「早い段階でヒト特異の有害作用を簡便かつ確実にスクリーニングできれば、医薬品の安全性が確保され、医薬品の開発コスト削減などの成果が期待できる」 さらに、ヒトiPS細胞にて試験を行うことについて、「動物実験の種差の問題を克服する」とした。2014年には、薬の副作用の研究にヒトiPSを利用することが国家プロジェクトとなり、そのためiPS細胞も実験手法も標準化が必須となり、産官学で安全性試験法の開発および実用化に向けた問題点を検証。心筋細胞は規格化されたものが入手可能になったことから、これを利用した試験法の標準化から着手したそうだ。

現在、安全性評価への応用が検討されている分化細胞は、【心筋細胞】【神経細胞】【肝実質細胞】とのことで、これらの研究について発表がされた。

【心筋細胞】
●医薬品の評価では、不整脈を起こさないことが重要になってくる。現在のICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)のガイドライン試験では、全ての不整脈を拾えないこともあり、FDA(米国食品医薬品局)から2013年に改訂等が提案されている。FDA 内の改訂推進派により結成された Comprehensive in vitro Proarrythmia Assay(CiPA)と共に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた医薬品の催不整脈予測性に関する検証をすすめている。(国立医薬品食品衛生研究所)

●心血管細胞の分化誘導法を開発、再生医療への応用や細胞モデルを構築している。心筋に加え内皮細胞、血管壁細胞の3種細胞を同時に誘導することに成功。細胞シートを作製して、ラット心筋梗塞モデルに移植したところ1ヵ月以上に亘る効率的細胞生着を確認した。心疾患に対してヒトiPS細胞由来の心血管系細胞を用いた次世代医療を行うためのベンチャー企業を立ち上げた。(京都大学)

【神経細胞】
●医薬品を含む種々の化学物質は、急性・慢性神経毒性や胎児・小児に対する発達神経毒性を引き起こす可能性がある。現在は主に実験動物を用いているが、生物種差、コスト、スループット(効率)、動物愛護の観点から多くの問題を有し、より効果的な代替試験法が必要である。効率的神経分化誘導法とin vitro(いわゆる代替法)安全性薬理試験を研究している。(国立病院機構大阪医療センター)

【肝実質細胞】
●代謝酵素誘導試験では、3ドナー以上のヒト初代培養肝細胞を用いることが求められる。しかしドナー間差や安定供給に問題があるため、細胞資源としてヒトiPS細胞由来肝細胞が注目されている。これを使った薬物誘導性評価試験の開発を、今年度よりスタートした厚生労働科学研究として取り組んでいる。(国立医薬品食品衛生研究所)

●分化に適した培養基材と培養液を組み合わせることで、効率的な分化誘導方法を構築した。特に培養液については、メチオニンという必須アミノ酸がヒトES/iPS細胞の生育に重要であることを発見、効率的分化を導いた。マウスES/iPS細胞が必須とするアミノ酸とは、違うものであることが判明した。(熊本大学)

ヒトiPS細胞への期待は大きい。それゆえに関係する動物実験も容認されがちな状況が生まれている。そういった状況だからこそ、私たちはそこに異議を唱えなければならない。

日本動物実験代替法学会第27回大会報告

「過去からの脱却と未来に向けたキックオフ」
-日本動物実験代替法学会第27回大会報告-

2014年12月5日(金)~ 7日(日)/横浜国立大学

今大会は、改めて『動物実験代替法』というキーワードを社会に広く普及させるための第一ステップと位置づけ、「過去からの脱却と未来に向けたキックオフ」をテーマに開催されました。代替法の研究発表に加えて「生命倫理・研究倫理を考える」というシンポジウムや、実際に代替法を体験するという場も設けられました。
3日間の講演の中でいくつかをご紹介します。

代替法の社会的認知を

長らく資生堂という大企業の中で、動物実験代替法を研究してきた現横浜国立大学教授の板垣宏氏が大会長を務めた。「資生堂では、代替法にはもっと国の支援が必要だと感じていた。大学に籍を置き、学術研究や学生指導を行うようになると、代替法が日本学術振興会による助成事業の対象ではないことや、理工系学生にも浸透していないことを知り、まだまだ認知されていないことに改めて気づいた。代替法学会が発足した当時は、化粧品の研究が主だったが、最近は化学物質の毒性評価など難易度が高いものにシフトしている。しかしまだ発展途上であるのは、『動物実験代替法』というキーワードが社会に普及していないからだ。普及の一助となることを願い企画を立てた。」と、今大会への思いを大会長講演で述べた。

3次元組織モデルをいかに作るか

富山大学大学院理工学研究部の中村真人教授からは組織モデルに関する講演がされた。「生体の細胞は生体内から取り出され、培養皿におかれると機能を失い性質が変わる。それをなるべく抑え、生体に近い組織を作れば有効な研究サンプルになる。このような3次元組織モデルは非常に期待され、様々な開発がされてきたが、複雑な組織作製には限界があり、臓器に対しては有効なモデルは確立されていない。」ここで終わりであればガッカリだが、今はコンピュータと3Dプリンターを導入した研究を行っているそうだ。組織を再現するには、細胞構築だけではなく、細胞操作技術、培養技術、計測技術が必要になるとのこと。ここに工学の観点が生きてくるのだろう。期待したい。

中村氏の3次元組織モデルの話は、似て非なるものを含めれば、数年前から耳にすることがあった。2008年の代替法学会では「マイクロチップを用いた複合的バイオアッセイシステムの開発」という発表がされ、小さなマイクロチップの中に生体機能を再現して薬剤を評価する、という内容に、難解ながらも興奮して聴講したことが思い出される。
学会からは離れるが、2014年にハーバード大学のハミルトン氏が、「臓器チップ(organ-on-a-chip)」がもたらす未来」というプレゼンテーションを、有名なTEDカンファレンス(米国にて年一回開催)にて行い、大喝采を浴びた。プレゼンではワクワクする言葉が並んだ。「創薬の試験ツールは細胞培養と動物実験だが、細胞は培養の環境は好まず、動物実験では人体で何が起こるかわからないことがある」「細胞建築家になって体外で細胞にとって心地よい環境を作る、それが『臓器チップ』で、これらを流体的に結び付け様々な臓器チップをつなげて、いわゆる仮想人体を作ることができる」「すでにデジタル製造専門の企業と連携」などなど。
日本は遅れをとっているようだが、この分野の研究は世界中で進められていて、代替法としても有望株である。

創薬における生理学的薬物速度論モデル(PBPK model)への期待

2012年の代替法学会大会長だった独立行政法人理化学研究所の杉山雄一氏からは、「薬物体内動態の予測;動物実験代替法としてのin vitro試験に基づくモデリング&シミュレーションの利用」という講演がされた。杉山氏は薬物動態研究者の第一人者で、以前から「ヒトでの薬物動態を動物実験から予測するのは容易ではない」としていたが、今回も「ヒトの生物学適用性予測は動物実験からは不可能。人のことは人でなければ分からない。」と明言した。数理モデル構築に必要となる生理解剖学的なパラメータの変化については、十分な情報が集まっていて、近年FDA(米国食品医薬品局)が中心となり、PBPKmodelによる薬物動態予測を臨床試験の必要性の判断、投与量の設定に活かそうという動きがあるそうだ。日本でもぜひ進めてほしい分野である。

実験動物で笑いを取る研究者も

実験動物学会と共催のシンポジウム「動物実験における3Rsの実践と課題」の中では、筑波大学の三輪佳宏氏から「近赤外線非侵襲蛍光イメージング技術の開発と応用」について発表された。「非侵襲」とは『生体を傷つけない』という意味で、細胞レベルの体内での動きを、近赤外光を使って解析するもの。MRIのようなものを想像するとわかりやすい。発表者が、研究に使うヘアレスマウスの毛の抜け方が面白いと揶揄し、「その顔がミッキーマウスに似ているのだが、本来マウスの耳の色は肌色。ミッキーマウスは黒だけど、本当は肌色でなきゃいけないですね」などと会場の笑いをとったり、蛍光物質を含まない餌の選定に苦労したというエピソードの中で「ある餌を与えたらどんどん体重が減ってきて死んじゃった!」など、終始生命を軽んじるトーンに強い嫌悪感を覚えた。講演後の質疑で「餌の選定のために体重減少で殺してしまうとはあまりに酷い。また、実験動物で笑いを取るようなやり方には憤りを感じる。意識を変えてもらいたい」と抗議した。

動物の犠牲がない科学を求める広告を掲載

毎年、大会参加者には要旨集が配布される。会場案内から日程、各研究の概要等が掲載され200ページ近い。3次元培養皮膚モデルの販売会社や、代替試験の受託企業などの広告も入る。今回、JAVAはシンポジウムへ登壇することもあり、動物保護団体の存在感を示すと共に、研究者に対して動物実験のない人道的科学を求めていることを表明する広告をうった。動物実験に反対する人々や団体は動物さえよければいいと、研究者からは思われている節がある。そうではなく、消費者や患者や色々な立場の人が、動物を含めた命の犠牲のない科学を求めているということを、科学界に発信しつづけていく必要があるからだ。

2014年代替法学会掲載広告

大会要旨集に掲載したJAVAの意見広告

まとめ

今大会長も述べているように、「動物実験代替法」は、市民にも、マスコミにも、学術研究界にもまだまだ浸透していない。私たちJAVAは、世間の関心が向かう後押しをもっとしなければならない。そして代替法学会には、代替法が広がらない要因を解析すると同時に、大会テーマ「過去からの脱却と未来に向けたキックオフ」とした以上、対策を実行に移すキックオフとすることを強く望む。

JAVA講演報告<代替法学会大会>

【日本動物実験代替法学会第27回大会報告】

JAVA 講演
「動物に対する社会倫理の変化:賢明な取組みとは何か?」

2014年12月7日、大会3日目に開かれたシンポジウム8「生命倫理・研究倫理を考える-日本動物実験代替法学会からの発信-」において、JAVAの理事が「エシカル」をキーワードに講演しました。研究界全体を古い体質から脱却させ、動物を犠牲にしない、真に人道的で倫理的なあり方へと向かわせることが、代替法学会に望まれる社会的責任であると訴えました。


141207JAVA講演全スライド(PDF)

広がるエシカル消費
近年「エシカル」という言葉が消費社会で市民権を得てきています。”Ethical”とは「倫理的な、道徳上の」という意味の言葉ですが、ジュエリーやファッション、化粧品など、普段消費するものが、他者、とりわけ社会的弱者からの不当搾取や、社会正義に反することがないか、という点を気にかけた消費行動が、「エシカル消費」「エシカル・コンシューマリズム」と呼ばれ、広がってきています。産業革命によって大量生産大量消費を生み出した英国で誕生したこの運動は、人類の過度な欲望に対する抑制弁としての役割を担っていると言ってもよいと思います。

エシカルと動物
この運動の中心的存在である非営利組織「エシカル・コンシューマー」によれば、倫理的な企業かどうかは、①環境、②人権、③動物、④政治、⑤持続可能性の5分野に設けられている諸条件の達成度によって判断されるといいます。「動物」という分野にはさらに「動物実験」「工場畜産」「動物虐待」の3つの項目が設けられています。「工場畜産」とは動物の生態を無視した、動物の福祉に配慮のない畜産のシステムを指し、「アニマルライツ」あるいは「動物虐待」の項目は、動物に対する虐待的行為の有無、広告を通じて動物虐待を助長していないかどうかといった要件が並んでいます。
動物実験については、化粧品は当然のこと、日用品やペットフードについて、動物実験を行っていないということがエシカルと評価されるには大前提の要件とされています。

ファッションブランドが動物福祉に取り組む・動物福祉を訴える事例

pp_patagonia
【パタゴニア】
アウトドアメーカーのpatagoniaが2014年11月末、取り扱うダウン製品に使用される羽毛が100%追跡可能なものとなったと発表。生きたガチョウから羽をむしり取る「ライブ・プラッキング」という方法で採取されたり、強制大量給餌で悪名高いフォアグラの副産物としてのダウンは、動物福祉に反するとして採用しない、とのこと。
pp_viviennewestwood
【ヴィヴィアン・ウェストウッド】
英国のファッションブランド、Vivienne Westwoodは、2014年の春夏コレクションで、工場式畜産を批判するキャンペーンを展開。“苦しむために生まれてくる動物がいてはならない”と訴えた。なお、MORAL OUTREGEとは「他者の行動が道理に反するものであった場合に抱かれる怒り」と定義されている。

 

いずれも動物の利用自体を否定しているものではありませんが、
消費者が今まで知らずに寄りかかってきた動物虐待システムに大きな一石を投じました。

感謝から具体的消費行動へ
私たちは日々、食べるものや使うものを、選んで購入し、それらを食べて使って暮らしている、そのなかで、確実にだれかの恩恵を受けて生きている。それを頭では分かっているがよくわからない、だからとりあえず「感謝していただきます」といって済ませてきた人が多いと思います。でも今は、その過程で、第三国の人や子供、動物など弱者からの搾取や環境破壊の有無と程度を気にかけ、それを避けようと行動する消費者が増えてきているのだと思います。

「ソーシャル」で善意の拡散
「エシカル」が広がる背景に「ソーシャル」という言葉の広がりがあります。その一つに「ソーシャルネットワークサービス(SNS)」がありますが、その代表格であるツイッターは東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起きたときに活躍しました。
震災当日、東京都心では混乱のなか歩いて帰る人に向けて公共交通の情報や開放されているトイレの情報が拡散されました。その後、電力消費の自粛や譲り合いが市民の間で自発的・積極的に呼びかけられました。動物の被災についても、動物同伴で入れる避難所の場所や、迷子になった動物の写真や飼い主の情報、あるいは保護している動物の情報を被災地以外のユーザーが収集してハッシュタグをつけてツイートし、その情報を収斂させポスターにして現地に出入りするボランティアの方々が避難所に貼って回るといった連係プレーも行われました。
3.11は痛ましい天災/人災でしたが、SNSは、被災した人・しなかった人に関わらず、多くの市民・消費者に発信力と行動力を与え、その個人の集合体である企業の多くが、自発的に被災地の復興に貢献してきたことは論を俟ちません。

企業の社会的責任
もう一つ「コーポレートソーシャルレスポンシビリティ(CSR)」という言葉があります。企業は、利益を上げるだけでなく、それが属しているコミュニティ自体が持続していくために、人道、あるいは倫理に基づいて、そのコミュニティの一構成員として責任を果たしていかなければいけない、自社だけが潤えばいいとか、株主の意見だけ聞いていればいいというものではない、というものです。
ところで、2013年4月から化粧品・医薬部外品の動物実験廃止に踏み切った資生堂が、CSR活動の一環としてこの問題に取り組みました。2010年6月から4年間、計6回にわたって「化粧品の成分の動物実験の廃止を目指す円卓会議」を開催し、JAVAもすべての回に出席しました。この招集がかかる前の年、私たちは企業名を挙げて都内でデモ行進をしたり、株主総会の会場前で抗議活動を続けていましたので、そのような動物愛護団体をよくぞ招き入れたと思いました。
もちろん、JAVAの参加が資生堂のポーズとして利用されるのではという懸念もありましたが、この円卓会議への参加を通じて、対話の重要性に気づけたことは大きな収穫でした。

代替法学会の社会的責任
対話の重要性という意味で、JAVAは1997年からこの学会の賛助会員となりましたが、代替法という概念がもともと動物実験反対運動を背景に誕生したことを踏まえて、時の執行部の方々が協議して、JAVAの入会を認めていただいたものと思います。
今年で8回目になるチャレンジコンテストや、今回の大会では学生無料参加など、社会に開かれているという意味で、代替法学会はソーシャルレスポンシビリティを、一定果たしていると思いますが、それで十分とは言えない理由は最後に示します。

pp_LUSH PRIZELUSH PRIZE
ここで、学会のウェブサイトでも募集の案内が出されている「ラッシュプライズ(LUSH PRIZE)」の話をしたいと思います。ラッシュとは、英国の化粧品メーカーで、創業以来動物実験を行っていないだけでなく、動物実験の廃止に向けて積極的な活動を展開しているユニークな企業で、2012年、動物実験代替法の研究をしている個人や団体、動物実験廃止に向けた活動に対して賞金を授与する「ラッシュプライズ」を設立しました。毎年、5つの部門で募集し、選考を経て、受賞者には全体で25万ポンド(約4300万円)の賞金が授与されます。私たちJAVAは第一回目のパブリックアウェアネス(世論喚起)部門で受賞しました(※詳細はhttp://www.usagi-o-sukue.org/java03entry.php?eid=00010)。このラッシュプライズの企画運営を行っているのが、冒頭にお話しした、エシカルコンシューマーです。

21世紀の毒性学は1R
2014年11月半ば、ラッシュプライズの3回目の授賞式がロンドンで行われました。授賞式に先駆けて、21世紀の毒性学、21st Century Toxicologyをテーマに、世界の代替法研究をけん引している方々が参加するセッションが行われました。参加した方からの報告によると、このセッションにおけるキーワードは、1R。3Rのうち、これからの毒性学においては、ReductionでもRefinementでもなく、動物を使用しないReplacementが重要である。しかしながら、これまで長らく「毒性試験には動物を使うことが当然」という環境に親しんできた研究者にとって、Replacementの本質を理解すること、Replacementが信憑性のある方法だと認識することは困難を極めている、古い体質から抜け出せない、新しい考え方を受け入れられない人が多い、ということを、どの参加者も指摘していた、ということでした。

人道的実験技術の原則
1959年、ウィリアム・ラッセルとレックス・バーチ(※注1)が、「人道的実験技術の原則」のなかで3つのRを著しました。この「人道的」という言葉は、あるいは「倫理的」とも言い換えられると思いますが、彼らはこう言っております。

もし、我々が行うべき実験を選択する基準を持とうとするならば、多分、人間性という基準が我々が作成することのできる最良のものである。科学における最も偉大な業績は常に最も人道的であり、かつ最も美的に引きつけるものであり、最も成功した時には科学の枢要である美しさと優雅さを感じさせるものである。

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第23回大会のシンポジウム登壇時にもお話ししたように、「人道的」という言葉を普通にとらえれば、動物の痛みを取り除くことも、犠牲になる動物の数を減らすことも、動物を実験に使わないことも、いずれも人道的だと言えますが、犠牲は多いより少ない方が良いのは当然のことですから、一般的な感覚でとらえれば「いちばん良いのは動物を使わないこと」、つまり、3RのなかでReplacementが最良、との結論に必然的にたどり着くはずです。
しかし、それをどうしても認めたくない人たちがいらっしゃる。「ラッセルとバーチは動物実験を廃止しろとはいっていない」「3Rは適正な動物実験を行うための原則」というように都合よく換言する方がたくさんいらっしゃいます。まるで「3Rをきちんと守って動物実験をどんどん推進しよう」と言わんばかりです。
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代替法学会は動物実験推進か
右のスライドは、左が代替法学会の目的、右がNPO法人動物実験関係者連絡協議会(動連協)の目的として掲げられている文章です。動連協とは、動物実験を生業とする関係者による、動物実験の推進を目的に設立されたNPO法人ですが、左右、ほとんど同じ文章です。3Rという考え方は、動物実験を持続可能(サステナブル)にするために生まれたものなのでしょうか?

過去からの脱却と未来へのキックオフ
それは違うと思います。ラッセルとバーチは、自分たちが当座言えることとしてあらわしたものであり、それ以来55年が経過した今、その考え方、人間性、人道、倫理は進歩しています。pp_attitude
つい先日発売になった写真報道雑誌、DAYS JAPANの12月号の「動物たちの感情世界」という特集のなかで、マーク・ベコフ(※注2)という動物行動学者が「だから私たちは、動物たちにとっての苦しみの現実が、私たちが感じるそれとは別物であるのだと思うふりをすることを止めなければならない」と寄稿しています。
人間性がまたベルナール(※注3)の時代に戻ることはあり得ないと思っています。
たしかに、長年寄り添ってきた習慣、慣れ親しんだ方法や考え方、いままで積み上げてきた実績を「間違っていた」「無駄だった」と言われれば、だれしもプライドが傷つくのは当然のことでしょう。
だからこそ、代替法学会には、毒性学も含めた医科学研究全体が、古い体質から脱却して、動物の犠牲を生まない、人道的で、倫理的な研究のあり方へとスムーズにシフトチェンジできるよう、そこで偉大な業績を上げられるよう、大局的観点からアプローチしていっていただきたいのです。
それがまさに、代替法学会に望まれる社会的責任であると言えます。

(了)

  1. *注1 ウィリアム・ラッセル(William Russell; 動物学者)
    レックス・バーチ(Rex Burch; 微生物学者)
    ・1954年、UFAW(Universities Federation for Animal Welfare;動物福祉のための大学連合)から人道的な実験について検討するよう依頼を受け、1959年に「人道的実験技術の原則(The Principles of Humane Experimental Technique)」を著し、その中で「3Rの原則」を提唱した。現在さまざまな国際機関で実験技術の基準として採用されている。
  2. *注2マーク・ベコフ(Marc Bekoff,1945-)
    ・米コロラド大学生態・進化学部教授(有機体論生物学)。ジェーン・グードル博士が主宰する動物の生存権保護活動「根っこと新芽計画」に参画。現代アメリカで動物の生存権と環境問題をリンクさせて新しい活動を展開している注目の研究者の一人(Amazonより引用)
    邦訳済みの著書に「動物の命は人間より軽いのか – 世界最先端の動物保護思想」(中央公論社、2005)がある。
  3. *注3クロード・ベルナール(Claude Bernard, 1813-1878)
    ・フランスの医師、生理学者。晩年に著した「実験医学序説」(1865)では「人間にはヒトを用いて実験する権利はないが、動物を用いて実験する権利はある」「動物にとって苦痛であろうとも人間にとって有益である限り、動物実験は、あくまで道徳にかなっている」「生物現象を分析するためには、生体解剖(vivisection)によって行わなければならない」と述べ、近代の動物実験台頭の基礎を作った。
    ベルナールが無麻酔でイヌの実験を行っていたことに心を痛めていた彼の妻と娘は、動物実験反対運動に傾倒したことでも知られる。

JAVA、2件の解剖をやめさせる

子どもたちに解剖をさせてはならない
JAVA、2件の解剖をやめさせる

青少年による凶悪犯罪やいじめなどが大きな社会問題となり、「命の大切さ」を子どもに伝えることが一層重要視されています。それにもかかわらず、大人たちが子どもに、動物を切り刻み、殺すという残虐行為「解剖」をさせることが後を絶ちません。今回、JAVAは小学生対象の2件の解剖について取り組み、やめさせることができました。

ケース1/小学校の授業でカエルの解剖

神奈川県横須賀市にある「横須賀学院小学校」で、2013年、小学6年生を対象にしたカエルの解剖授業が行われたことがわかりました。この小学校のウェブサイトには、「解剖すなわち『命を学ぶ』授業です。」「切り取っても動き続けるカエルの心臓に、子どもたちの驚きと畏敬の念の混じった眼差しがありました。」など、教師が書いたと思われる報告が出ていました。

 

ケース2/自治体の子ども向けイベントで魚の解剖

東京都新宿区(以下、区)が小学生対象イベント「神田川をしらべよう!」のなかで、神田川の水や川底にいる生き物を調べるといった企画とともに、「魚の解剖 (魚のからだのしくみについて学ぼう)」も企画され、区の広報誌やウェブサイトで参加者募集が行われました。
この企画に疑問を持ち、問い合わせた市民の方からは以下の情報が寄せられました。

  •  解剖の対象となる魚は、神田川からとるのではなく、別に入手するもの。
  •  定員20人。解剖では5人に1匹の魚が配られる。
  •  生きている魚に麻酔かなにかの薬で大人しくさせて、体を切り開き、動いている心臓など体の中を観察する。
  •  解剖の指導は、区の職員ではなく、外部の先生が指導する。
  •  企画・主催のみどり公園課みどりの係は、「命の大切さを教えることにもなる」と説明している。

解剖は義務付けられてはいない

JAVAではこれまで多くの学校の解剖実習を廃止させてきました。しかし、残念ながら、授業の一貫としてまだ実施しているところがあります。文部科学省の学習指導要領では、解剖実習は義務付けられていません。解剖をさせるか、解剖以外の方法で学ばせるかは学校や担当教師の判断で決めることができるのです。

海外では解剖を禁止する国もある

欧米では、従来は動物実験が必要不可欠と考えられていた大学の獣医学部や医学部においてさえも、「動物を殺す非人道的な教育を拒否する権利」を多くの学生たちが主張し始めた結果、動物実験を廃止して代替法を用いる学校が急増しました。すでに米国とカナダでは、獣医学校の約69%以上(32校中22校)が動物を犠牲にする実験・実習をしないで卒業できるようになっており、医学校の約99%(197校中196校)には生きた動物を用いるカリキュラムがありません。
初等中等教育での生体解剖実習については、英国、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、デンマーク、フランスなどでは、法律で禁止するなどの規制を設けているほどです。

動物虐待と凶悪犯罪には深い関連性がある

『動物の愛護及び管理に関する法律』は、1999年に初めての改正がなされましたが、この改正法が早期制定に至った背景には、頻発する青少年による凶悪事件があります。幼女惨殺事件の宮崎勤元死刑囚、神戸の幼児殺人事件のA少年、さらには、佐賀のバスジャック事件の犯人の少年などが、殺人事件を犯すその前段階において、小動物の虐待を行っていたという事実が判明したからです。また、2002年の子猫を虐殺する様子をインターネットで流した事件は、犯人の厳罰を望む声が裁判所に殺到するなど大きな騒ぎとなりました。この事件の犯人においても、以前からハムスターなど小動物への虐待行為を繰り返していたことが判明しています。最近では、長崎県佐世保市で同級生を殺害した女子高生が、その前段階において繰り返し猫などを解剖しており、また人間の解剖にも興味を持っていたことが報道されています。
解剖実習がきっかけになって、小動物への虐待行為、さらには人間に対する犯罪へとエスカレートする恐れは多いにあるのです。

解剖は生命を卑しむ授業

教育基本法には、「生命を尊ぶ態度を養うこと」も教育の目標として規定されています。6年生の学習指導要領にも「理科」の目標として「生命を尊重する態度を育てる」ことが、そして、道徳の目標として「生命がかけがえのないものであることを知り、自他の生命を尊重する」ことが示されています。
解剖はこれらの目標に真っ向から反する授業です。「生き物を殺すことによって命の大切さを知る」「解剖もその学習方法の一つ」といった考えが通用するならば、動物虐待犯や動物虐殺を繰り返したうえに殺人を犯した者たちは、命の重さを知った心優しい人間ということになってしまいます。

動物を使わない学習方法が、子供たちにとって最適

動物を解剖しなくても、生き物の体の仕組みを学ぶ方法には、コンピュータを使用した学習法、ビデオ、3Dの模型など様々あります。そのような代替法を使用すれば、何回でも繰り返しでき、また児童一人一人が自分のペースで学習できるなど、多くのメリットがあります。
解剖を行った場合と代替法で学んだ場合では、その知識に差はない、むしろ、代替法で学んだ場合の方が優秀であったことが、海外の研究で証明され、論文が発表されています。つまり、子どもたちに生き物の体の仕組みを学ばせ、知識を身に付けさせたいと本気で考えるならば、こういった、動物を使わない方法で学ばせるべきなのです。

横須賀学院小学校は、「二度と行わない」と回答
新宿区は解剖を中止!

JAVAは解剖の問題点を指摘し、横須賀学院小学校には二度と解剖を行わないことを、新宿区に対しては解剖イベントを中止するよう求めました。
後日、横須賀学院小学校の校長からは「今後一切、動物の解剖授業は行わない」との回答がありました。また、この小学校の運営母体である学校法人横須賀学院に所属する中高一貫校、高等学校についても「中学・高校では解剖の授業カリキュラムはない」と確認でき、横須賀学院の児童徒たちは、これから解剖をやらされないですむのです。
また、新宿区からは、解剖イベントが行われる前に「解剖は行わない」との回答があったのです。

VICTORY!コーセーが動物実験廃止を公表!

コーセー「2013年上期より廃止」「今後も行わない」
動物実験廃止企業が新たに誕生しました!

 

去る9月10日、JAVAを含む3つの動物保護団体で構成する「美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会(CFB)」がコーセー本社を訪れ、化粧品の動物実験廃止を要望。

それに対して9月29日、コーセーより「2013年上期より動物実験を廃止しており、今後も行わない」との書面による回答が届きました。資生堂、マンダムに続く快挙です!

2014.9.10コーセーに署名提出

昨年の資生堂、マンダムに続いて、動物実験の廃止を決断・公表する企業が新たに誕生しました!
「美しさに犠牲はいらない」と声をあげ続けてくださった皆さんの思いが実を結びました!

詳しくは、ウサギを救え! 化粧品の動物実験反対キャンペーンのサイトをご覧ください!

市民病院で、子どもがブタの心臓で医療体験

<教育プロジェクト>

子どもがブタの心臓で医療体験
横浜市立市民病院、今年から動物使用を廃止!

2014年8月23日、横浜市立市民病院(以下、市民病院)で開催された、子どもに医療の現場を体験させるイベント「一日メディカルパーク2014」のなかで「ブタの心臓に人工弁を縫合する体験コーナーがあった」と市民の方々からJAVAに通報がありました。
この様子はNHKのニュースでも流され、映像を見た方たちからは「小さな子どもたちが動物の臓器を触っている光景にゾッとした」「医療機関が命を粗末にしている」「佐世保事件を誘発させるものだと思う」といった声がありました。

医療訓練には多くの代替法がある

今回のイベントでも、本物のブタの心臓を用いる必要性はなく、模型で体験させれば十分であるにもかかわらず、あえてブタの心臓を用いたというのは、「イベントをインパクトのあるものにしよう」「子どもたちを驚かせよう」といった主催者側の軽率で安易な考えがあったとしか言いようがありません。
採血、挿管や手術をはじめとした医療技術を学ぶ方法には、生体や死体を使用する以外に、コンピュータシミュレーション、精巧なマネキンや3D模型など様々な代替法があります。これらを使って学習すれば、手技の過程を繰り返し訓練できたり、一人一人が自分のペースで行うことができるというメリットがあります。このように動物を用いない学習・訓練プログラムやキットは多数開発され、欧米の医学部や獣医学部をはじめ、医師の訓練にも利用されています。

献体制度とは明らかに異なる

獣医学生の実習において、飼い主から提供を受けた動物の死体、つまり献体を利用する方法が欧米では多くの大学で採用されています。死体という点は同じでも、この献体は、「その動物が治療を施すことができず、そのまま生かしておくことの方が苦しむことになる重大な傷病を患い、獣医学的な判断と、心からその動物を思う飼い主による判断によって、苦痛のない方法で死に至った」、つまり、安楽死となった動物や自然死した動物の遺体を飼い主の承諾のもと獣医学実習に利用しています。人間の献体システムとただ一つ違うのは、その動物の意思は確認できないので、飼い主がその代理をしている点です。
それに対して、今回利用されたのは、臨床現場の医師や医学生が実習等に用いるブタの心臓、つまり食用や実験用として殺されたブタであり、献体の状況とはまったく異なります。「どうせ処分するか腐敗する臓器を活用してやっている」「教材にすることで無駄にしないでやっている」といった感覚に陥り、死体をモノのように扱うことになり、参加した子どもたちのみならず、病院職員全体の生命軽視にもつながる恐れがあります。

JAVAの指摘で、動物使用が廃止となる!

JAVAは横浜市に対して、臓器の利用であっても、動物の体を実験・実習に利用するという行為には問題があることを指摘した上で、生体・死体を問わず、二度と動物を用いないよう求めました。しかし、市民病院の回答は、「今後開催する講座については、JAVAからの意見を踏まえ、検討していく」に留まっていました。
そのため、JAVAでは翌2015年の開催も注視していたところ、今年の告知では、動物やその臓器を用いた講座は見受けられませんでした。そして、このイベントの担当である市民病院の総務課長に確認し、「前年のJAVAの指摘を受けて、2015年より、『一日メディカルパーク』では、生体・死体(臓器を含む)を問わず、動物を一切用いないことにした」との回答を得ることができたのです。

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このようにJAVAの指摘を受け入れる機関もあれば、頑なに解剖実習に執着する教育機関もあります。子どもや社会への影響を考えた場合どうすればいいのか、これからもJAVAは主張を発信し、活動を続けていきます。

代替法学会第26回大会報告

日本動物実験代替法学会第26回大会報告
大会テーマは「動物実験代替法の基礎科学と新展開」

2013年12月19日(木)~21日(土) 京都テルサ(京都市)にて

第26回目の大会は、大阪歯科大学准教授の今井弘一氏を大会長に迎え、京都にて開催された。大会テーマは、「動物実験代替法の基礎科学と新展開」。ナノテクノロジーやiPSといった比較的新しい分野から、化粧品、創薬、化学物質など常にテーマとされてきた分野まで様々な研究発表が行われた。また、初めての試みとして、日本動物実験代替法学会の英文学会機関誌「AATEX」のワークショップが企画された。興味深かった発表をいくつか紹介する。

ナノ材料のために増える動物実験

「ナノ」といった言葉を耳にしたことはあるだろう。ナノテクノロジーとは、ナノメートル(10億分の1ミリメートル)といった原子や分子のレベルで物質を制御する技術で、1950年代から始まったと考えられている。米国が2000年に国家戦略として研究する分野に定めたことから活発化された。
現在、この技術はエネルギー、医療、IT、材料など様々な分野で研究利用がされている。私たちに身近なところでは車、携帯電話、化粧品、食品、繊維などがあるが、例えば、“細胞と細胞の間を通ることができるよう成分をナノサイズ化した美容液”といったものがわかりやすいだろう。しかし、サイズを小さくするだけの技術ではないうえ、知らぬ間に利用された製品は増えているのに、安全性に関しては以前から懸念する声がある。
今回の代替法学会でも、ナノに関する発表が5件あったが、現在は、ナノ材料よりも小さいサブナノマテリアルまでが開発実用化されているそうだ。だが、まだまだデータがないため、動物実験をやらざるを得ない、という言葉を複数の研究者から聞いた。ナノ物質を、麻酔をかけたラットの気管内に注入する、マウスの尾の静脈に注射して投与する、さらには試験物質の心への影響をみる「こころの安全科学」と銘うった行動実験までも行われていた。迷路試験やワイヤーハング試験(金網にしがみつかせて落ちるまでの時間を計る)といったものである。それらに対して、代替法学会に所属していない研究者のみならず学会役員の研究者からも、代替法学会の大会であるにも関わらず、動物実験を行いその報告になっていることについて謝罪が述べられた。そして、そのことに対して、使用した動物数は最低限であったことや将来的に動物の犠牲をなくしたい、といた説明がなされた。しかし、いかに弁明しようが、私たちからすれば言い訳にしか聞こえない。動物実験のデータを少しでも必要とするスタンスでいては、動物実験代替法の飛躍的な発展などありえはしないだろう。代替法学会には180度転換するような思考を強く望む。

化粧品業界の皆さん、代替法開発がアリバイの時代は終わりました

動物実験代替法の誕生は、1970年代から盛り上がった化粧品の動物実験反対運動がきっかけだ。だから、国際的にみて代替法研究は化粧品業界がリードしてきたと言ってもいい。日本の代替法学会でも毎年化粧品企業の研究発表が多くのシェアを占めるが、今大会でも化粧品業界の取組についてシンポジウムが開かれ、資生堂、ロレアル、P&G各社の取組が発表された。資生堂は、動物実験廃止に踏み切るために代替法による独自の安全性保証体制を確立させたが、その取組について具体的に報告があった。動物実験廃止に及び腰な化粧品大手各社にとってはよいケーススタディになったはずだが、各社がこの報告を真摯に受け止め自社内でフィードバックしていくことを期待したい。ロレアルは化粧品シェア世界一、P&Gは日用品シェア世界一。代替法開発をけん引するのは当然といえば当然である。世界の化粧品業界における代替法開発のリーダーシップについて喧伝するロレアルに、質疑では「傘下に収めているザ・ボディショップのキャンペーンの甲斐あって日本でも化粧品の動物実験反対の機運が高まってきた。ぜひロレアルグループ全体で廃止を決断してほしい」と迫ると「うちではやっておりませんので…」とたじろぐ発表者。公の場で噓はいけない。
ところで、この四半世紀近くにわたって粛々と進められてきた代替法開発、国に対して企業が承認申請する場面でも、2006年7月には「公的に認められた代替法なら動物実験の代わりに用いても差支えない」とされ、2011年2月にはJaCVAM(日本動物実験代替法評価センター)のウェブサイトに掲載されている情報の活用促進が謳われ、2012年4月26日以降4つの代替試験法について「ガイダンス」という名の手引書が示されてきた。つまり「代替法があるものは、動物実験ではなく代替法を用いるように」という厚生労働省の意向が、「事務連絡」という形で時期を追うごとに強く示されてきたのだが、では、これによって、動物実験は減り、代替法による申請が増えているのだろうか?この点について、日本化粧品工業連合会に加盟する企業に対してアンケート調査が行われているとの報告があった。この結果についてまもなく公表されるとみられているが、「動物実験を代替せよ」との命を、業界がどこまで本気で受け止めているのかに注目していくつもりだ。まさかとは思うが、ここまで行政側から手取り足取りのガイドを受けながら、代替法による申請が増えていなかったとしたら、化粧品業界は「無用な動物実験」を平然と続けていることになる。

動物実験反対団体が動物の福祉を遅らせている?

「実験動物福祉」をテーマに、1日目にはシンポジウムが、2日目にはランチョンセミナーが、3日目には市民公開講座が開かれた。黒澤努元学会長が主導したこれら3つの企画に共通していた裏テーマは「動物権利擁護団体が実験動物福祉の向上を遅らせている」というものだった。「実験動物福祉とは、動物実験の必要性を理解している科学者の中から出てきた取組であるから、動物実験そのものに反対する活動家が、実験動物福祉や代替法3Rの考え方を広めるのはおかしい」という“縄張り争い”に始まり、「2012年の動物愛護法改正で、実験動物福祉や3Rの向上が置き去りにされたのは、偏った動物実験反対団体がそれを主張したから(いらぬ反発を受けて改正に結びつかなかったから)だ」という責任転嫁まで行われた。ここではっきりさせておきたいのは、①3Rという原則は「すべての実験動物を代替する」という最終的なゴールにたどり着くまでの過渡的な指標であってそれ自体で完結ではない、②先の法改正で実験動物福祉や3Rなど動物実験にまつわる項目が手つかずとなったのは「動物実験、実験動物に関することはすべて自主管理でやるから何も改正してくれるな」という動物実験実施者サイドの強力なロビーイングによるものだった、ということである。ミスリードも甚だしい。
シンポジウムでは、EUの演者が“Ultimate goal is to replace the use of animals(最終的なゴールは動物の使用を置き換えることだ)”と明言したのを受けて、座長や日本の演者に「3Rを標榜する立場で目指すべき最終的なゴールはどこか」と問うたが、明確な回答は返ってこなかった。残念なことに、この「最終的なゴール」を見据えることができていない研究者が代替法学会の中にもたくさんいる。これでは「動物実験をやりやすくするために3Rを隠れ蓑にしている」といわれても仕方がない。発端に「倫理」が介在する代替法学会は、科学界全体を人道的にリードする使命を帯びているともいえる。5年10年という近視眼的なスケールで物事をみるのではなく、大局的な視野に立って科学の在り方をとらえ、数十年先を見据えて適切な進路をとる研究者が増えることを願い、叱咤激励としたい。

博物館での死体解剖イベント、中止となる!

埼玉県立自然の博物館(以下、博物館)で、2月8日(土)に、交通事故死した動物の死体を解剖するイベントが行われることが発覚しました。JAVAや多くの方からの抗議を受け、博物館は解剖の中止を決定しました。

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死体解剖イベントの内容とは

下記は、自然の博物館がホームページに掲載したこのイベントの告知です。

2月のイベント
自然史講座
2月8日(土)
筋肉の作りを知ろう
【内容】動物の体の中をのぞいてみよう。動物を解剖して、筋肉のつき方や内臓の位置を学びます。
【時間】10:00~15:00
【場所】自然の博物館 科学教室
【対象】高校生以上
【定員】10名(定員を超えた場合は抽選)
【費用】200円

この告知を見たり、博物館に問い合わせたりした市民の方々から、JAVAには次のような情報や意見が寄せられました。

  •  いくら死体だといっても命があったものなのだから、切り刻むなんて良くない。
  •  死体はモノじゃない。解剖をやめさせてほしい。
  •  高校生にそんな体験をさせるとは非常識。
  •  解剖の対象となる動物は、博物館が保管している交通事故死したタヌキやハクビシンの死体の予定。
  •  筋肉の観察がメインになるので、ある程度、皮をはいでから見る。余裕があれば内臓の観察も行う。
  •  10:00~15:00と長丁場になるのは、慣れていないとお腹にメスを入れて開くだけで午前中いっぱいかかる。あとは学芸員の解説なども1時間はかかるため。
  •  冷凍庫から出すと、固まっていた血が解けるので血は結構出る。特に打ち所が悪くて出血していた場合。
  •  臭いはかなりきつい。 

 

死体の利用=殺した行為の容認

「死体の利用」であれば、その動物に痛み、苦しみ、恐怖を味わわせるといった問題はありませんが、その動物たちは寿命をまっとうしたのではなく、人間によって殺されたことをまず考えるべきです。
死体を解剖するということは、その前段階において、生き物を殺す行為(今回の場合は車で轢き殺す)が必ずや必要になるわけです。よって、「死体なら構わないだろう」と死体の解剖をするなら、生き物を殺す行為をも容認するもの、ということになるのです。

 

犠牲になる動物をなくす努力をしなくなる

野生動物たちが車に轢かれる大きな原因は、山を開発し道路を通したこと、つまり、野生動物たちの住処を人間が荒らしたことにあるわけで、その原因はすべて人間にあります。本来なら、どうやって犠牲になる動物をなくせるかを最優先に考え、対策に全力を講じるのが人間の責任です。
不幸にも人間のせいで死に至った動物を「有効利用」しようという考えは、殺したことへの罪悪感を薄めることにもなります。それは、国民の動物愛護意識や生命尊重の念を低下させ、ひいては事故の防止に全力を傾けようとしなくなります。これでは、野生動物の交通事故は永久になくすことができないばかりか、減少させることすらできません。

 

献体制度とは明らかに異なる

獣医学生の実習において、飼い主から提供を受けた動物の死体、つまり献体を利用する方法が欧米では多くの大学で採用されています。死体という点は同じでも、この献体は、「その動物が治療を施すことができず、そのまま生かしておくことの方が苦しむことになる重大な傷病を患い、獣医学的な判断と、心からその動物を思う飼い主による判断によって、苦痛のない方法で死に至った」、つまり、安楽死となった動物の遺体を飼い主の承諾のもと獣医学実習に利用しています。人間の献体システムとただ一つ違うのは、その動物の意思は確認できないので、飼い主がその代理をしている点です。
交通事故死した動物たちを解剖することは、こういった献体利用とは異なり、「どうせ処分するか、腐敗する死体を活用してやっている」「教材や剥製にすることで無駄にしないでやっている」といった感覚に陥り、死体をモノのように扱うことになり、参加者たちの生命軽視にもつながる恐れがあります。

 

解剖では命の大切さは学べない

「動物をモノや機械として扱うことはできない」のが人間としての倫理観です。死体だからと情け容赦なく切り刻むことなどできるものではなく、また安易にすべきではありません。ましてや、不幸にも人間によって殺された動物たちの死体を教材にするとは許されることではありません。
命の大切さは、命あるもの、命あったものを丁重に扱い、尊重してこそ学べるものであって、解剖して学べることではありません。しかも、高校生のような多感な時期の青少年が、博物館の指導で行われるイベントに参加したら、「動物の体を解剖するのはよいこと」という誤った認識を持ちかねません。

 

知識を身に付けさせるなら、代替法で

生き物の体の仕組みを学ぶ方法には、生体や死体を解剖する以外にも、コンピュータを使用した学習法、ビデオ、3Dの模型など様々あります。
コンピュータを使った代替法を使用すれば、解剖の過程を何回でも繰り返しでき、また一人一人が自分のペースで解剖を行うことができるというメリットがあります。博物館が、市民に動物の体の仕組みを学ばせ、知識を身に付けさせたいと真剣に考えるのならば、こういった代替法を用いるべきです。

 

JAVA、館長に中止を要請

JAVAでは、井上尚明館長に対し、死体の解剖の問題点を指摘し、次の事項を求めました。 

  1. 2月8日に予定されている動物の解剖イベントを行わないこと
  2. 生体、死体を問わず、今後二度と、動物の解剖を市民に行わせないこと
  3. 学芸員であっても、生体の解剖は行わないこと

 

解剖の中止決定!!

後日、JAVAからの中止を求める要望書に対して、井上館長より、以下の文書回答がありました(一部抜粋)。

要望1につきましては、ご意見をいただき改めて内部で検討した結果、今回の事業では解剖は行わず、既存の博物館資料を使うなど、別の方法で動物に関する理解を深めることといたしました。

要望2につきましては、今後は、様々なご意見があることを踏まえ、解剖を目的とした講座ではなく、より総合的に生命の尊さや動物の体のしくみを学ぶことのできる事業を検討してまいります。

要望3につきましては、学芸員による動物の生体の解剖はこれまでも行っておらず、今後も実施の予定はありません。

 

世間では、「死体の解剖にまで反対するの?」「痛みや苦しみを感じないのだから、教材にして有効利用したほうがいいのでは?」といった意見もあります。しかし、JAVAは、ものを言わぬ動物たちの権利を守り、動物たちにやさしい社会にしていかなくてはならないと考えています。動物の命の尊厳を軽んじていては動物実験の廃止は実現できません。そういったことからも、「死体の解剖」についても動物たちがいかにして殺されたかを考え、そして、犠牲になる動物たちをなくすためにどうしたらよいかを最優先に考え、決して「有効利用」をすることを認めてはならないのです。

厚労大臣に化粧品の動物実験廃止を求める署名提出

1月28日 厚労大臣に化粧品の動物実験廃止を求める署名を提出しました!

20140128厚労大臣署名提出

左から:三原じゅん子参議院議員、JAVA亀倉、CFIパーマー氏、ザ・ボディショップ福本社長、
田村厚生労働大臣

 

1月28日(火)、ザ・ボディショップの福本剛史社長、クルーエルティフリーインターナショナル(CFI)の政策ディレクター ニック・パーマー氏とともに、JAVAの理事 亀倉弘美が、田村憲久厚生労働大臣に面会し、化粧品の動物実験廃止を求める116,777名分の署名を提出しました。

この署名は、化粧品の動物実験を世界的に廃止させようと活動している動物保護団体Cruelty Free International(CFI)が、動物実験に反対する化粧品企業ザ・ボディショップと共に、2012年から全世界で展開してきたキャンペーンのなかで集められたもので、JAVAはこのキャンペーンに日本のローカルパートナーとして協力してきました。

詳しくは、ウサギを救え! 化粧品の動物実験反対キャンペーンのサイトをご覧ください!

山田養蜂場の動物実験にNO!

商品宣伝のために繰り返す 山田養蜂場の動物実験にNO!

ミツバチ産品で有名な株式会社山田養蜂場がマウスを用いた残酷な実験を行っているとの情報を受け、JAVAは 山田養蜂場に対して、即時、実験の廃止を申し入れました。

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 山田養蜂場の動物実験とは 

山田養蜂場は、養蜂だけでなく、ハチミツやプロポリス、ローヤルゼリーといったミツバチ産品を使ったサプリメント、化粧品などの製造・販売も行っています。そして、それらプロポリスやローヤルゼリーが「病気予防に効く」と宣伝するために、大学などと共同でラットやマウスなどを使った動物実験を数多く行っているのです。

また、同様のテーマの動物実験を行っている外部の研究にも助成金を出しています。例えば、「更年期モデルラット(卵巣を摘出し、閉経後と同じ状態にしたラット)にローヤルゼリーを与えると、骨密度の減少が抑えられた」「抗がん剤を投与したハムスターの頬の内側に、ローヤルゼリーを含む軟膏を塗ると、がん化学療法中に表れる口内炎を軽減させた」「人工的に関節炎を誘発させたマウスにプロポリスを与えたら、与えてないマウスより進行・悪化が抑制傾向にあった」などなどです。

中高年の人や気にかけている人が多い病気・症状を取り上げ、マウスやラットを似せた症状にし、実験を行っているのです。

 高齢マウスを水につける残酷実験も 

「ブラジル産プロポリスは認知症の予防や改善に役立つか?」と題した実験では、次のように高齢のマウスを足の届かない深い水の中に入れるという残酷行為を11日間も行っていたのです。 

  • 正常マウスに通常の餌を与えたグループ、老化が早く進む「老化促進マウス」に通常の餌を与えたグループ、老化促進マウスにプロポリスを低用量含んだ餌を与えたグループ、老化促進マウスにプロポリスを高用量含んだ餌を与えたグループに分け、水迷路を用いた試験(モリス水迷路試験)を行った。
  •  円形の水槽(水深16.5センチ、直径100センチ)にマウスを放し、足が届く直径10センチの地帯「ゴール」にたどり着く時間を比較。これを11日間続けた。
  • どのグループも日数が経つほど、到着時間は早まり、特に老化促進マウスでも、プロポリスを多く与えたマウスは、11日目に到着時間が早くなった。
  • つまり、高用量のプロポリスを与えると、老化促進マウスの認知機能の低下が抑えられる。

世の中の流れに逆行する山田養蜂場 

動物実験については、『3Rの原則』(Replacement:動物を使用しない実験方法への置き換え Reduction:動物使用数の削減 Refinement:動物の苦痛の軽減)の遵守が国際的な流れとなり、日本でも、『動物の愛護及び管理に関する法律』にこの『3Rの原則』が盛り込まれています。山田養蜂場をはじめ企業も例外ではなく、この原則を遵守しなければなりません。

また、EUにおいて化粧品分野での動物実験完全禁止が2013年3月に実現したことからも明らかなように、動物実験に対する批判や動物愛護の世論は国境を越えて広がってきています。そして、動物の犠牲を減らし、代替法を普及させようという動きは、産業界、研究界でも進んでいます。

山田養蜂場も、このような国際的な流れに逆行することなく、動物を犠牲にしない方法を用いて研究を実施するよう全力をあげるべきであることは言うまでもありません。しかし、山田養蜂場は、同社製品を利用している多くの消費者のデータをとることが可能であるにもかかわらず、あえて動物を使って実験を行っており、これは、『3Rの原則』に反しているといえます。

消費者モニターで調査すべき

問題はそれだけに留まりません。動物は、生理機能、寿命、体の大きさ等、さまざまな点において人間と異なる、いわゆる「種差」があり、動物実験で得たデータはそのまま人間には当てはまらないことは周知の事実です。

人間と動物との種差を知りながら、多くの人が悩んでいる病気や症状に人為的に「似せた」状態にさせた動物を用いて実験を行い、あたかも山田養蜂場の製品を摂取することによって、そういった病気・症状が改善する効果があるかのように宣伝をしています。

ハチミツ、プロポリス、ローヤルゼリーといったものは、人が長い年月利用してきた自然由来のものなのですから、その効能について、改めて動物で実験をするのではなく、人のモニターによって調査すべきです。

JAVAからの廃止要望に対する回答 

JAVAからは上記の指摘をしたうえで、山田養蜂場に対して、「動物を犠牲にしない方法によって研究・実験を行うよう、全力で取り組むこと」「動物を用いた研究に助成金を提供しないこと」を求めました。

それに対する山田養蜂場からの回答は次のようなものでした。

■ 動物実験については、今までも動物愛護の観点から、法的な義務付けのあった場合や当局から求められた場合を除き、代替法導入のために、連携大学、研究機関などから幅広く情報を入手してきた。

■  今後はより一層の努力を講じて代替法への転換に積極的に取り組むとともに、不要な動物実験の廃止を目指してまいりたい。

■  既報の世界中の有用性・安全性文献を収集して、データベース化することで、過去に実施済である試験の削減にも努めてきている。

■  ヒトにおけるランダム化比較試験により、製品の有用性・安全性を実証することを目標に研究を進めていく。

■  試験委託機関でも、「みつばち研究助成基金」においても、『3つのRの原則』に基づいた試験を実施していきたい。

「廃止する実験はあるのか?」さらなる追及には回答を拒否 

一見、代替法に力を入れ、一部分でも動物実験の廃止を考えているかのように思わせる回答ですが、曖昧な表現に終始しています。そこで、JAVAは、公開質問状にて、さらに次の点を追及しました。

Q 「今までも動物愛護の観点から、法的な義務付けのあった場合や当局から求められた場合を除き、代替法導入のために、連携大学、研究機関などから幅広く情報を入手してきておりました。」とあるが、水迷路にマウスを入れる実験をはじめ、山田養蜂場の動物実験の数々は、「法的な義務付け」や「当局から求められた」実験なのか?
Q 「不要な動物実験の廃止を目指してまいりたいと存じます。」ということだが、法的な義務付けのあった場合や、行政当局から求められた場合以外の動物実験は、企業の方針・努力次第で回避できるもの。
法的な義務付けのあった場合や、行政当局から求められた場合以外の動物実験は、今後、廃止するのか?するなら、いつからか?しないというなら、山田養蜂場が廃止を目指す「不要な動物実験」とはいったいどのような実験なのか?

これに対して山田養蜂場は、次のように今度は回答を拒否したのです。

弊社の動物実験に対する考え方は、9月25日付で貴会に送付させていただきました回答書にすべて記載し、回答申し上げました。個別の案件につきましては、回答を差し控えさせていただきたいと存じます。また、【質問3、4】(JAVA注:法的な義務付けのあった場合や、行政当局から求められた場合以外の動物実験は廃止するのか?するならいつからか?という質問)の廃止日につきましては、案件ごとに随時検討しつつ改善を進めておりますため、一律にお示しすることは致しかねます。

本当に「動物実験を減らし、なくしていきたい」と考えているならば、たとえば、「一度にすべては無理でもこの分野の実験は廃止予定」ですとか、「社内全体の廃止はいつごろを目標としている」といったおおまかな方針ぐらいは示せるはずです。それができないということは、最初の回答も、私たち動物実験に反対している消費者の怒りを鎮めるためのリップサービスに過ぎず、まったく信用できません。

引き続き「動物実験をやめて!」の声を

企業は、自分たちの商品を買わせるために、ありとあらゆる手を使い、動物実験のデータを示して、「こんな効果もあるんですよ!」と宣伝することをよく行います。山田養蜂場も、人々の病気や老いへの不安を利用し、商品を買いたいという衝動を掻き立たせるために、動物実験を繰り返しているのです。皆さんからも山田養蜂場に、動物実験をやめるよう声を届けてください。

<株式会社山田養蜂場>
〒708-0393 岡山県苫田郡鏡野町市場194
代表取取締役 山田英生
TEL:0868-54-1971(代表) FAX:0120-38-8318
メール:山田養蜂場ホームページ・ログインページ(メールによる問い合わせには無料の会員登録が必要)

(JAVA NEWS No.91より)

日本動物実験代替法学会 第25回大会報告

ヒト由来の生物資源を使う研究に期待

日本動物実験代替法学会第25回大会
2012年12月7日(金)~9日(日)/慶應義塾大学薬学部 芝共立キャンパス(東京都港区)

201212代替法学会大会

 

2012年の大会は、日本動物実験代替法学会創立25周年を迎え、記念シンポジウムも行われた。
大会テーマは「動物実験代替法のサイエンス〜機構に基づいた予測〜」。杉山雄一大会長は、36年にわたり東京大学にて薬物動態予測の研究を行ってきた。薬物動態予測はin vitro(試験管の中)からin vivo
(生体内)での薬物の影響を予測するものでもあり、自身の研究が3RsのReplacement(置換)、 Reduction(削減) 、Refinement(苦痛軽減)のうちの置換と削減にも関係するとしてこのテーマを決めたそうだ。
置換と削減に重きが置かれる、ということに注目して聴講した。

数理モデルからヒトへの影響を直接予測する

杉山大会長は、2011年の日本製薬工業協会の『メディアフォーラム』において次のような発言をしていた。「実はヒトでの薬物動態を動物実験から予測するのは容易でありません。BA(薬の吸収性の指標)という最も大事なパラメータ(媒介変数、設定値)でさえ、ヒトと動物との相関性は高くありません。」

そして、今回の代替法学会においては「動物実験代替法分野におけるモデリング&シミュレーションの重要性」と題した講演を行い、「関連する分子実態が明らかとなり、種々のin vitro実験系を用いて、分子の機能を定量的に求めることが可能となっている。In vitro実験から得た情報を元に全身での薬物動態・薬効を予測できるような数理モデルを構築することが出来れば、個々のパラメータが最終的に薬効・副作用への影響について科学的意味づけを持たせられる。In vitroから得られた予測値が、ヒトin vivoの特性値と近いことを示すより多くのデータを蓄積することが必要である。」「低分子医薬品においては、化学構造を基にしたin sillico(コンピュータ内)予測のみで、動態特性(吸収性、標的指向性、適切な代謝・排泄能力)のすぐれた化合物創製が10年以内にできるようになると推定している。」と述べた。

新薬が生み出される確率は3万分の1と言われる。開発段階でたくさんの動物の命を奪っているわけだが、もっと早い段階で薬物動態を予測出来れば、犠牲がなくなることも予想される。杉山氏が言う数理モデルから導きだす薬物動態には、大いに期待するところだ。

創薬におけるin vitro評価法

「代替法を指向した創薬を加速化する医薬品in vitro評価法の最前線」というシンポジウムでは、5つの講演が行われた。薬物動態予測、胎児への毒性を調べる胎盤利用、ヒト不死化細胞利用、抗菌薬における薬物動態学と薬力学を組み合わせた解析などが発表された。東京大学大学院薬学系研究科の前田和哉氏は、「動物実験の結果からヒトの予測をする方法があるが、動物における代謝や輸送特性は必ずしもヒトと一致しない。ヒト由来の組織サンプルが入手可能になったことや、ヒト由来不死化細胞の構築が進んでいることから、ヒトin vitro実験の結果だけから、ヒトin vivo薬物動態を直接予測することも可能になりつつある」と述べた。

より生体に近い三次元生体組織モデルの構築

大阪大学大学院の明石満氏は「細胞積層法に基づく新しい生体組織モデルの創製」について発表した。細胞単体で生体の薬剤応答評価は困難で、ヒト組織と同等の評価が出来る三次元生体組織が必要だとのこと。細胞の種類や配置を制御して積層化する『細胞積層法』それを改良した『細胞集積法』により、毛細血管・リンパ管様ネットワークを有するモデル構築が可能であることを見出し、あらゆる人体部位のモデル構築に取り組んでいるそうだ。

三次元モデルについては他の講演でも聴かれ、iPS/ES細胞から血管ネットワークを有するヒト肝臓組織の作製が実現化されるようだ。

医科学の原点回帰を期待する

動物実験は「人に試せないもの=人の代替」として動物を使い、犠牲にしてきた。しかし、手間のかかる飼育や莫大な費用、そして動物実験反対運動の広がりといった理由から、手軽で安価に実験出来る動物由来生物材料の利用が増加したと思われる。さらに、人と動物には種差があり、動物実験には限界があることに気づいていた研究者たちは、ヒト由来の細胞や三次元モデルの開発を行い、新薬候補化合物を初期段階で人に投与するマイクロドース試験なども考えるに至ったのではないだろうか。

動物に身代わりを強いるのではなく、人のことは人で調べる、という非常に理にかなった方向を微かに感じた大会だった。動物in vivoの結果と照らし合わせるような研究ではなく、ヒトin vivoの結果を導き出す研究を目指してほしい。

動物実験の法規制について

私たちJAVAはいくつかの理由から、「動物実験の廃止を妨げる動物実験の法規制」には強く反対しています。

「なぜJAVAが規制に反対するの?」と疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

その理由を、<動物実験のこと>のページにQ&A形式で掲載しました。

ぜひご一読いただいて、ご理解いただければ嬉しい限りです。

「動物実験の法規制」に反対する理由/なぜJAVAが「動物実験の法規制」に反対するのか Q&A

ビデオ「良い科学と悪い科学」

<動物実験のこと>の中の<動物実験はまちがっている> のページに、「良い科学と悪い科学」という動画を掲載しました。

動物実験に反対しているフランスの科学者が、動物実験は「悪い科学」として、科学的な観点から、動物実験の問題点とそれに代わる手段をわかりやすく説明しています。

8分30秒と短くまとめられていますので、ぜひご覧になってください。

「良い科学と悪い科学」

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